結論テキスト
審判費用は,被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2005−30481(T2005−30481/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3065188号商標(以下「本件商標」という。)は,「特濃」の文字と「とくのう」の文字を二段に横書きしてなり,平成4年11月11日に登録出願,第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として,同7年7月31日に設定登録,その後,同17年4月5日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
請求人は,結論同旨の審決を求める,と申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
したがって,本件商標は,商標法第50条により,その登録を取り消されるべきである。
(1)新製品の企画について
被請求人は,被請求人から本件商標の使用許諾を得ている子会社が本件審判の請求前3年以内に,本件商標をその指定商品について使用した事実がある旨主張する。
しかし,乙各号証いずれによっても,本件商標が本件審判の請求前3年以内にその指定商品について使用された事実をうかがい知ることはできない。
すなわち,商標は,それを付した商品が市場に出現することにより初めて,自他商品識別機能を発揮するものであるところ,乙各号証は,いずれも新商品を企画している事実を示すにすぎず,市場において販売された事実を示すものではないから,本件商標の使用は,商標法でいう使用にあたらないことは,明らかである。
ちなみに,「工業所有権法逐条解説」(社団法人発明協会発行)によれば,商標法における商品とは「商取引の目的たりうべき物,特に動産をいう」であるとされており(甲第2号証),試作品は,まだ,商取引の対象とはされていないものである。また,乙各号証によるも,最終的に市販する商品すらまだ決まってはいない状況であるから,このようなものは,商標法にいう「商品」ではないことは,明らかである。
してみると,本件商標は,本件審判の請求前3年以内にその指定商品について使用された事実はないというべきである。
(2)乙第2号証及び乙第4号証ないし乙第7号証(電子メール印刷物)について
乙第2号証及び乙第4号証ないし乙第7号証には,どこにも本件商標は見当たらず,新企画商品に使用される予定の商標として表示されているものは,「V.P.6(ベジプロ)」のみである。しかも,乙第6号証(1)には,「V.P.6(仮称)」とあり,これ自体使用予定が確定された商標ではなく,乙第2号証及び乙第4号証ないし乙第7号証による限り,新企画商品については,まだいかなる商標も実際には使用されていないことが明らかである。
(3)乙第3号証(容器(アルミパウチ)の写し)について
被請求人は,乙第3号証は,乙第6号証(2005年(平成17年)3月31日付け新商品提案書)に添付されたと主張する。
しかし,乙第3号証には,「特濃」の文字が表示されているとしても,乙第6号証には,「容器の見本を添付」,「添付の容器見本を参照」といった趣旨の記載は見当たらないから,上記被請求人の主張を客観的に判断することはできない。
仮に、乙第3号証が乙第6号証に添付されたとしても,乙第3号証は,企画の段階のものであるから,これが市販されていないことはもとより,市販することに決定されたものでもない。このことは,被請求人が乙第3号証について「パッケージ案」としていることからも明らかである。
したがって,乙第3号証に収納された商品が実際に市場に出現したと見ることはできない。
また,乙第3号証には,「V.P.6」及び「ベジプロ」の表示が目立つように表され,「特濃」の文字は,小さく表示され,商標というよりはあたかも商品の品質表示として表示されているものであるから,上記の状況から判断すると,本件商標がその指定商品について使用されたと判断することはできない。
(4)使用に係る商品について
被請求人は,使用に係る商品「豆乳プリン」(以下「使用商品」という。)は,「プリン味の豆乳飲料」の意味である旨述べているが,乙第6号証によると,その「4.感触商談結果」の欄には,<豆乳ハンディデザート(豆乳プリン)として提案>とあり,「プリン味の豆乳飲料」なる記載は,見当たらない。
さらに,乙第2号証,乙第4号証及び乙第5号証は,いずれも表題に「豆乳プリンサンプル送付の件」又は「豆乳プリンの件」とあり,「豆乳飲料」の記載は見当たらない。また,乙第3号証には,「バニラプリン」と明記され,「○○飲料」という表示は,見当たらない。
これらはいずれも、まだ企画中の商品に係る資料であるから,そこに記載されている商品の名称が最終的に市販されるものと異なることはあり得ると思われるが,少なくとも,これらの資料による限り,使用商品は,清涼飲料でも果実飲料でもなく,一種の「プリン」であると判断せざるを得ず,もしそうであるとすると,被請求人には,本件商標をその指定商品である「清涼飲料」又は「果実飲料」について使用する意図すら存在していなかったということになる。
(5)以上のとおり,乙各号証によるも,被請求人又は被請求人から本件商標の使用許諾を得ている子会社によって,本件審判の請求前3年以内に,本件商標をその指定商品について使用した事実を見出すことはできない。
被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める,と答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
被請求人は,被請求人の子会社であるカネボウフーズ株式会社(乙第1号証,以下「カネボウフーズ」という。)に本件商標を使用許諾し,同社が商品「飲料」に本件商標を付して販売を計画している事実を証明する証拠資料を提出する。
(1)乙第2号証は,2005年(平成17年)1月18日付け電子メール印刷物であり,使用商品は,この日に初めて試作品が完成した。上記電子メール中に「豆乳プリン」とあるが,これは,後に挙げる証拠資料からも明らかなように「プリン味の豆乳飲料」の意味である。また,この試作品の完成と同時に,本件商標を付したパッケージ案も作成した(乙第3号証)。
(2)乙第4号証は,2005年2月8日付け電子メール印刷物であり,この日に,前記プリン味のバリエーションとして,3種類の試作品が完成した。
(3)これら4種類の試作品をもとに,サンクス,ローソン等の取引先において商談を行ったが,乙第5号証は,その商談内容に関する2005年2月25日付け電子メール印刷物である。この文書の中に,「飲んだ結果」とあるように,取引先のバイヤーに実際に試飲してもらい,意見等を参考にしながら商品コンセプトを検討してきた。
この検討内容をもとに,前述のパッケージ案(乙第3号証)を添付した2005年3月31日付け「新商品提案書(ステップ1)」を正式に社内に提案した(乙第6号証)。この提案書にあるように,使用商品は,アルミパウチ型の豆乳飲料であり,競合他社商品としてゼリー飲料である「ダイエットウィダー」,「蒟蒻畑」等が挙げられる。
(4)上述のとおり,カネボウフーズは,今まさに,本件商標を付した飲料商品を今秋販売に向けて企画をしている段階にある。このことは,前述の提案書を提出後も,原料の変更により,消費者により受け入れられる食感を追求していることを記した2005年5月30日付け電子メール印刷物(乙第7号証)からも明らかである。
したがって,本件商標の本審判請求前3年以内の使用の事実が認められるから,本件商標の登録は,取り消されるべきものではない。
そこで,カネボウフーズによる上記使用が商標法第50条でいう登録商標の使用に当たるか否かについて検討する(カネボウフーズが被請求人の子会社であり,販売計画を進めている者であることについては,争いのない事実。)。
(1)乙第2号証,乙第4号証,乙第5号証及び乙第7号証は,カネボウフーズが2005年(平成17年)9月にテスト販売(乙第6号証)を予定している使用商品の販売企画推進のために,社内間の電子メールによる交信を記録した印刷物と認められ,その日付は,2005年1月18日,2005年2月8日,2005年2月25日及び2005年5月30日のものである。
(2)乙第3号証は,パッケージの写しであるところ,その正面には,「Kanebo」,「ベジプロ/[バニラプリン]」,「V.P.6」,「特濃」,「有機豆乳30%使用」,「高タンパク食品」,「植物性タンパク質6g/イソフラボン・10mg ビタミンE・10mg」,「コレステロール ゼロ 100Kcal」の各文字が表示されている。
(3)乙第6号証(1)及び(2)は,使用商品の販売企画について,カネボウフーズの社内に提案をするための,2005年3月31日付け「新商品提案書(ステップ1)/『タンパク補給栄養食品 V.P.6(ベジプロ)』」である。
しかしながら,上記事実を推認させる証拠は,いずれも商品開発,販売計画を記載したカネボウフーズの会社内の内部文書というべきものであり,これをもって,本件商標が請求に係る指定商品について使用されたことを示すものということはできない。他に本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,カネボウフーズ等により本件請求に係る指定商品について,自他商品の識別標識としての機能を発揮する態様で使用されたと認めるに足る証拠の提出はない。
そうすると,被請求人は,本件審判の請求の登録(平成17年6月1日)前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を請求に係る指定商品について,使用した事実を証明していないものといわざるを得ない。また,被請求人は,本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて,正当な理由があると述べるものでもない。
以上のとおりであるから,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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