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Trademark Appeal Case

歴史人物商標の公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2003−18931(T2003−18931/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「うどんめん」を指定商品として、平成14年12月26日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は、その構成中に、土佐勤王党に参加し、薩長連合の盟約に立ち会い、大政奉還を実現し、また海援隊を組織し海運業にも従事した幕末の志士として認識・理解される『坂本龍馬』の文字を有してなるものであるから、その偉業は高知県桂浜の銅像の建立に見られる如く、今日においても郷土高知県はもとより、全国の人々に敬愛されており且つその者の遺族の承諾を得たものとは認められず、このようなものを商標としてその指定商品に使用することは穏当でないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、商標の構成自体が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれると解するのが相当である。

(2)本願商標は、別掲のとおり、その構成中に「坂本龍馬」の文字とその右側に高知市浦戸の桂浜にある「坂本龍馬像」のモデルにもなった湿板写真(高知県立歴史民族資料館蔵)に写っている坂本龍馬の上半身を描いたと認められる図を有してなるものであるところ、「坂本龍馬(坂本竜馬)」は、株式会社岩波書店発行「広辞苑」(第五版)、株式会社三省堂発行「大辞林」、株式会社小学館発行「国語大辞典」及び株式会社三省堂発行「コンサイス人名辞典」によれば、「(1835−1867)幕末の志士。名は直柔(なおなり)。土佐藩郷士。土佐勤王党に加盟。江戸に出て勝海舟に入門、航海術を学び、長崎に商社を設立(のち海援隊に発展)。西郷・小松・木戸らと計り、薩長連合を策し、前藩主山内容堂を説き、大政奉還を成功させたが、京都の近江屋で中岡慎太郎とともに幕吏に暗殺された。」等と掲載されていることからも、一般によく知られている歴史上の人物と認められる。

また、「坂本龍馬」は、郷士高知県高知市はもとより、国民一般に広く敬愛され、慕われている人物であることも、新聞記事情報及びインターネットのホームページ等において、以下の記事があることからも十分に裏付けられ、枚挙にいとまが無いというものである。

(ア)2006.1.6「毎日新聞」東京朝刊13頁

「毎日新聞世論調査:リーダー像 龍馬型待望論・・・。」

◇資質「誠実さ」重視−−「今の日本の首相にふさわしいリーダーのタイプ」を4人の歴史上の人物を挙げて聞いたところ坂本龍馬を選んだ人が26%で最も多く、徳川家康(20%)、織田信長(12%)、・・・。龍馬を挙げた人は男性(27%)、女性(25%)ともに最多だった。年代別では20〜50代は龍馬がトップだが、60、70代以上になると、江戸幕府の幕藩体制を固めた家康が最多だった。「龍馬」と答えた人が首相に求める資質は「誠実さ」(41%)が際立って多く「創造性」(23%)、「安定感」(18%)を圧倒した。必要な資質として「誠実さ」を挙げた人のうち最多の32%がふさわしいリーダーとして龍馬を選択。

(イ)2005.12.30「読売新聞」東京朝刊23頁

「全国最後の『龍馬会』郡山に発足 ファン40人参加、人間的魅力に興味=福島」

幕末の志士・坂本龍馬を慕う県内の歴史愛好家らによる「福島龍馬会」(上野富男会長)が、郡山市に発足した。龍馬会はこれまで、福島を除く46都道府県と、アメリカやフランスなど5か国にあったが、本県では、龍馬が薩長同盟を仲立ちしたことや、土佐藩が戊辰(ぼしん)戦争における会津攻略の原動力となった歴史的経緯から、組織されていなかった。会では、龍馬に関する著作の輪読やその内容に関する議論を行うほか、龍馬ゆかりの地を訪ね歩いて龍馬の内面に迫る。

(ウ)2005.12.24「毎日新聞」東京朝刊2頁

「ひと:橋本邦健さん=全都道府県で龍馬会を設立した会社役員」

土佐出身の幕末の志士、坂本龍馬を慕う「龍馬会」が11月末、47都道府県で最後まで空白だった福島県に誕生した。佐藤栄佐久知事も飛び入り参加した設立総会の盛況ぶりを見て、“全国制覇”に奔走した15年間の苦労が吹き飛んだ。

(エ)2005.11.2「高知新聞」朝刊28頁

「龍馬賞に高知FD 地域密着の活動評価」

第二十回龍馬賞が四国アイランドリーグ(IL)の本県チーム、高知ファイティングドッグス(FD)に贈られることが決まり、一日発表された。同賞は坂本龍馬に続く人材の輩出を願い昭和六十年に創設された。高知新聞社など県内マスコミで構成する高知報道十二社会が選考に当たっており、高知FDが地域密着をモットーに県民に元気と誇りを与えたと、高く評価された。

(オ)2005.10.14「朝日新聞」大阪地方版 高知30頁

「『行動移す坂本龍馬の精神を学んで』あす高知、ファンの集い/高知県」

全国各地の坂本龍馬ファンが交流する「第17回全国龍馬ファンの集い」の本大会が15日午後1時半から、高知市九反田の市文化プラザ「かるぽーと」である。高知をはじめ京都、福井、長崎など龍馬とゆかりのある7市町の代表者が「先人に学ぶ」をテーマに語り合う龍馬サミット、各地の龍馬会8団体による活動報告などがある。

(カ)2005.10.5「毎日新聞」地方版高知21頁

「龍馬像:清掃作業で輝き戻る 四国電力グループが高所作業車で−−高知 /高知」

高知市浦戸にある「坂本龍馬像」の清掃作業が4日行われた。1年分の汚れが落とされ、すっきりした龍馬像がお目見えした。また、地元小学生が高所作業車に乗り、間近で龍馬像を見学した。・・・6年の岡崎恭磨君(12)は「近くで見ると、服のしわまではっきり見えた。龍馬を尊敬しているので間近で見られて感激」と話していた。

(キ)2002.8.21「毎日新聞」地方版 京都26頁

「『全国龍馬社中』結成 発起人の1人、赤尾博章・京都龍馬会会長に聞く /京都」

幕末の志士・坂本龍馬(1835〜1867年)を顕彰する各地のグループが集まり、「全国龍馬社中」(会長、橋本邦健・坂本龍馬倶楽部会長)を立ち上げた。全国に広がるネットワークをフルに活用し、新たな龍馬ファンの獲得を目指す。ずば抜けた行動力と独創性を発揮して激動の時代を生きた坂本龍馬。国民的ヒーローとしての人気は根強く、親ぼく団体は高知、京都をはじめ全国各地、海外にもあるという。全国龍馬社中は龍馬の地元・高知市役所内に事務局を置き、名誉会長に龍馬本人を指名するなど、ユニークさも売り。

(ク)「全国龍馬社中」http://www5.inforyoma.or.jp/~zenkoku/

「全国龍馬社中」は、坂本龍馬を尊敬し、慕い、師と仰ぐ日本全国・世界各地で活動している龍馬会及び龍馬に関わる団体等により結成された全国組織です。

(ケ)「高知県立坂本龍馬記念館」http://kochi-bunkazaidan.or.jp/~ryoma/

(コ)「高知市立龍馬の生まれたまち記念館」http://www.inforyoma.or.jp/hometown/

南国土佐、高知市は幕末の英傑坂本龍馬が生まれ育った地として広く全国に知られています。龍馬は高知市上町に生まれ、幼い頃泳ぎを修得したり、剣の腕を磨いたり、また海外の情勢などを聞きその目を世界へと向けていきました。

(サ)「坂本龍馬」( フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E6%9C%AC%E9%BE%8D%E9%A6%AC

(3)してみれば、「坂本龍馬」の文字とその右側に坂本龍馬と認められる図を有してなる本願商標を、同人と何らの関係もない請求人(出願人)が、その指定商品について私的独占使用の目的をもって採択し、これを商標として登録することは、公正な競合秩序を害するおそれがあるから、これは社会公共の利益に反し、また、社会の一般的道徳観念に反するものというのが相当である。

以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。

なお、請求人は、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張するが、そもそも具体的事案の判断は、過去の審査例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものであって、本願商標については前記認定のとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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