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Trademark Appeal Case

デュープレックスの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−21071(T2004−21071/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「デュープレックス」の文字を標準文字で書してなり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、平成15年9月26日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、標準文字で『デュープレックス』の文字を書してなるところ、この該文字は『住宅用建築の一種。一棟が2戸用に作られているもの』等の意味合いであるから、これを本願指定役務中、例えば前記意味合いに照応する『デュープレックスタイプの住宅』等に使用するときは、単に役務の質(内容)、提供の用に供するものを表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、上記のとおり「デュープレックス」の文字よりなるものであるところ、該文字は「2つの部分からなる、二重の」あるいは「(アパートが)重層型の、(家が)二世帯用の」等の意味を有する英語「duplex」の表音を、片仮名で表記したものと認められるところ、該語は、コンサイスカタカナ語辞典(1994年 株式会社三省堂発行)によれば、「住宅用建物の1種、一棟が二戸用に作られているもの」等の意味を有するものと認められる。

しかして、「デュープレックス」の語は、住宅建築に関連する分野においては、「一棟で二世帯の共用住宅、二戸一棟としてデザインされた住宅」等、住宅形式を表す語として、この業界において一般に使用されており、例えば、「デュープレックスタイプ、デュープレックスハウス」のように商品の品質、役務の質等を記述する語として使用されていることは、新聞記事情報のデータベース、及びインターネットのホームページ等の情報からうかがい知ることができるものである。

ところで、一棟に壁を挟んで二戸の住宅を設ける発想は、欧米では古くからある住宅形式であるところ、近年我が国の住宅建築に関連する分野においては、従来の和風のものと異なった、欧米など諸外国の家屋の建築工法や施工スタイルが取り入れられ、それぞれ特色のある住宅が建築され、取引されている実情がある。

そして、それらの建築様式や施工スタイルについては、日本語に適切に訳すことが馴染まないものも多く、原語のまま、あるいは該語の表音を片仮名で表して使用されて、既に外来語として親しまれている語も多く存在するところである。

加えて、我が国においては、ライフスタイルの多様化、都市部における住宅地取得の困難性等から、住み手の様々な要望に対応する住宅が求められており、近年では、一戸建てあるいは高層集合住宅の中間に位置する家屋が設計され、例えば、土地付き住宅の一戸建てより安価で購入可能な住宅、あるいは、各世帯のプライバシーを確保しつつ共存する多世帯住宅など、特徴のある住宅が注目され、提供されている実情もある。

このような状況の下、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標「デュープレックス」の文字より「一棟で二世帯の共用住宅、二戸一棟としてデザインされた住宅」のごとき意味合いを容易に理解、認識するにとどまるというのが相当であるから、これをその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その役務が「一棟で二世帯の共用住宅、二戸一棟としてデザインされた住宅」に関するものであること、すなわち、該役務の質(内容)を表示したものとして認識するにとどまり、これをもって自他役務の識別標識とは、認識し得なものといわなければならない。

そうすると、本願商標は、結局、役務の質を表示したものであって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当であり、また、本願商標を前記に照応する役務以外の役務について使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。

なお、請求人は、「本願商標が『デュープレックス』なる称呼を生じるものであり、実際の指定役務に係る業界において役務の質を直ちに表示するものとして使用されているものではない。すなわち、指定役務との関係で言えば、特定の役務に関する観念を直ちに生じさせるものではない造語商標に分類し得るものである。」旨主張している。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない商標として、役務の提供の場所、質、提供の方法等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものを例示的に列挙しているところ、同号の趣旨は、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから、一私人に独占を認めるのは妥当ではなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないと解されるものであって、仮に「デュープレックス」の語が、現実に使用されておらず、あるいは、一般には知られていない場合であっても、将来役務の質の表示として使用されて、取引者、需要者の間において役務の質の表示であると認識される可能性があり、また、これを特定人に独占させることが適切でないと判断されるときには、同号に該当すると解されるものである。

そして、本願商標「デュープレックス」については、上記のとおり、取引者、需要者をして、役務の質を表示したものとして理解するにとどまるものであり、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないものである。

また、請求人は、本願商標の永年にわたる使用実績により、本願商標が、自他役務の識別力発揮する商標となった旨主張している。

しかしながら、商標法第3条第2項の趣旨は、同法第3条第1項第3号ないし同第5号に該当するような本来的には自他商品又は役務について、識別力のない商標を特定の者が永年独占的にその業務に係る商品又は役務について使用した結果、それら商品又は役務の需要者、取引者の間において当該使用者の商品又は役務を表示するものとして広く認識されるに至った場合に初めて、その商標登録を認めようとするものであるから、その適用が受けられる商標は、特定の者の業務に係る商品又は役務として広く認識された商標と同一の商標及びその商標が使用されていた商品又は役務と同一のものに限られるものと解されるところ、請求人の提出にかかる甲第13号証ないし甲第17号証のみでは、本願商標の使用期間、販売実績、売上高等の営業の規模、広告宣伝の方法、回数及び内容等の使用状況に関する事実についての客観的証拠は不十分であるから、本願商標が使用された結果、自他役務の識別標識として認識されているとするには十分なものとはいえないものである。

してみれば、使用により識別力を有するに至った商標であるとの請求人の主張は、認めることができない。

したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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