sokuhyo

Trademark Appeal Case

不使用取消証拠の信憑性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30325(T2005−30325/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4539991号商標(以下「本件商標」という。)は、「スーパーダイマカラー」及び「SUPERDYMACOLOR」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成12年11月20日に登録出願され、第6類「とい,とい台その他の建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として、同14年2月1日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要旨

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第4号証を提出している。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

2 弁駁の理由

被請求人は、「本件商標は、その指定商品中『鼻かくし取付金具』について、本件審判請求の登録前3年以内に使用された事実がある。」旨主張し、証拠として、乙第1ないし第4号証を提出している。

しかしながら、これらの証拠は、いずれも本件審判請求の登録前3年以内の使用を証明するものでなく、かつ、信憑性に乏しいものであるといわざるを得ない。よって、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に使用された事実は未だ認められないから、本件商標の登録は、取り消されて然るべきものである。

(1)乙第1号証について

乙第1号証は、被請求人の製品カタログの部分的なコピーとのことであるが、同カタログ内に本件商標は一切表示されていない。

よって、これを本件商標の使用証拠として採用することはできない。

(2)乙第2号証について

(ア)被請求人は、乙第1号証に記載されている商品「鼻かくし取付金具」の材料変更されたものについて本件商標を使用している旨主張し、乙第2号証の1及び2は、当該材料変更された「鼻かくし取付金具」の販売開始を告知するために作成されたリーフレット及び案内カタログであるとする。そして、被請求人は、これらリーフレット及び案内カタログを全国の取引先に配布した旨主張する。

しかしながら、乙第2号証のリーフレット等の配布先等が明らかにされておらず、よって実際に配布されたかどうか不明であるから客観的証明力に欠けるものといわざるを得ない。

(イ)また、被請求人は、本件商標の使用に係る商品は汎用品ではなく、ユーザ一の指定する色に応じて別途製造する、いわゆる別注品であると主張するが、乙第2号証の1によれば、「備考」として、「価格、梱包数は変更ございません。」と記載されている。

別注品であるにもかかわらず、価格に変更がないということは常識的に考えても極めて不自然である。

(ウ)乙第2号証の1のリーフレットには右上に「平成15年2月15日」と記載されているが、この程度の表記であれば後から容易にタイプ可能なものであるから、当該日付についても疑問無しとはいえない。

因みに、被請求人は、これらのリーフレット等を2003年2月15日付で配布したと主張するが、当日は土曜日である。昨今の就業状況に鑑みて、被請求人の取引先の多くは休日であったことも考えられる。よって、通常であれば土曜日にこのような広告を配布することは避けるはずではないのか。

仮に、被請求人が当該日付の信憑性を主張するのであれば、日付の下に記載された「管理No,54−R019a」や、右下の「54期−R019a」等の番号体系を明確にするなどして客観的証明力の存在を立証されたい。

(3)乙第3号証について

(ア)乙第3号証の写真は、その撮影場所、撮影者、撮影年月日等が一切不明であるから、何らの証明力もないと断ぜざるを得ない。

また仮に、同写真が本件審判請求の登録前3年以内に撮影されたものであるならば、当然、その撮影場所、撮影者、撮影年月日等を明らかにすべきであるし、さらには、このような写真が如何なる目的で撮影されたのか、その合理的な理由も明らかにされなければならないことはいうまでもない。

(イ)なお、同写真中の段ボール箱に張りつけてある、「スーパーダイマカラー」の表示は、後から貼り付けたものと容易に推測できるものであるから、本件において証拠とする目的をもって、パソコン等で急ごしらえして貼り付けたのではないか、といった疑念をいだかざるを得ない。

この点について、被請求人は、乙第2号証の1中の「ケース表示」の欄における「新デザインケースに『スーパーダイマカラー』 のシール対応」の記載との整合性を主張するかも知れない。

しかしながら、請求人は、乙第2号証の1自体の証明力をも疑問視していることは、上述のとおりである。

(4)乙第4号証について

(ア)乙第4号証に添付された特注品受注請書には、本件商標「スーパーダイマカラー」の表示はない。よって、これをもって本件商標の使用事実が立証されるものではない。

同特注品受注請書中に記載されている「SS8300Y」の表示は、乙第1号証中に記載されている「鼻かくし取付金具」の品番と一致している。一方で、乙第2号証によれば、被請求人が本件商標を使用していると主張する「鼻かくし取付金具」は「別注対応」であるとして、品番は記載されていない。

これらの点から客観的に判断すれば、被請求人が本件商標を使用していると主張する「鼻かくし取付金具」は、受注した被請求人自身も「品番『SS8300Y』の商品であって、足のみ別カラーに変更された商品」といった認識であったにすぎないことが明らかであり、むしろ本件商標「スーパーダイマカラー」は、取引者は勿論のこと、被請求人にとっても上記商品の商標としては認識されていない(機能していない)事実を立証するものといえる。

(イ)加えて、乙第4号証の証明者であり、被請求人が取引先と主張する「株式会社奈良ハウテックス」は、甲第2及び第3号証から明らかなとおり、被請求人のグループ会社(子会社)であり、かつ、同社の代表取締役(松本晴次氏)は被請求人の代表取締役と同一人である。また、取締役の一部も同一人である。

したがって、乙第4号証の証明者は被請求人と実質的に同一人であるから、同証明書からは客観的証明力を認めることはできない。

(5)以上のとおり、乙第1ないし第4号証は、それぞれを個別的にみた場合においても、本件商標の使用の事実を証するものとして信憑性を欠くものであるが、乙第1ないし第4号証を総合的に勘案したとしても、本件商標の使用の事実を導き出すことはできない。

(ア)被請求人は平成15年2月から、本件商標を使用して「鼻かくし取付金具」の製造・販売を行っていると主張しているが、それから2年3ヶ月以上経過している答弁書提出時の平成17年5月末に至っても、乙第1号証のカタログ自体に、シールによる訂正をも含め、本件商標「スーパーダイマカラー」 を使用していないことを自認している。

しかしながら、仮に被請求人が主張するとおり、本件商標を実際に使用しているならば、カタログの表記の類は可及的速やかに訂正されるのが商慣習上当然のことである。

よって、被請求人は、本件商標を使用してはいないのではないか、あるいは、仮に使用しているとしても、それは形式的な使用にすぎず、取引者においては本件商標は一切認識されておらず、よって乙第4号証の物品受領証のように、同カタログにおける品番により取引がなされているのではないかと考えられる。

(イ)被請求人は、乙第1号証の製品カタログに記載された「鼻かくし取付金具」 を材料変更したものについて本件商標を使用していると主張する。

しかしながら、乙第2及び第4号証中に記載されている品番「SS8300Y」には変更がなされていない。つまり、材料変更したにもかかわらず品番を変更していないということになるが、他方、被請求人は、乙第2号証の2等で、ISO9001の認定を取得していることを表示している。このような品番管理は、被請求人が認証を取得しているISOの通常の考え方からすると、不自然であるといわざるを得ない。

このことは、同じ「鼻かくし取付金具」であって、「鼻かくし取付金具」と同じくサビに強い材質(乙第2号証の2、甲第4号証)である「ZAM材」を使用した商品には「SS8300ST」(乙第1号証中、品番の欄)との別の品番が付与されていることからも首肯されるところである。

よって、請求人は、乙第2号証のリーフレット等は本件において証拠とする目的をもって作成されたものではないか、との疑念をいだいている。

(ウ)仮に、乙第2ないし第4号証が実在したとしても、被請求人が主張するように、本件商標が実際に商標として、即ち、自他商品の識別標識として使用され、かつ、本件商標の使用に係る商品が市場を流通していた事実を認めることはできない。少なくとも被請求人は、乙第2号証のリーフレット等を実際に配布した事実、その際の配布先、時期、方法や本件商標が表記された取引書類(例えば、注文書、請求書、等)を提出することにより、本件商標の使用に係る商品が市場を流通していた事実を立証すべきである。

被請求人は、本件商標を別注品について使用している旨主張している。別注品であるならば、当然ながら発注者、発注日、納品日等を容易に特定できるはずであり、具体的な取引書類も容易に提出可能であると思われる。

(6)以上のとおり、乙第1ないし第4号証は、いずれもその信憑性について大いに疑問が残るだけでなく、乙各号証を総合的に勘案しても、これらの証拠によっては、本件商標が本件審判請求の登録前に使用された事実は証明されない。

第3 被請求人の答弁の要旨

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第4号証(枝番を含む。)を提出している。

1 被請求人は、本件商標を日本国内において使用しているので、請求人の主張は根拠がなく、商標法第50条第1項の規定には該当しない。

なお、本件審判請求書の副本の発送日(予告登録日)は、平成17(2005)年4月18日となっているので(注:商標登録原簿の記載によれば、予告登録日は平成17年4月12日である。)、この日から3年以内に本件商標を現に日本国内において使用している事実を以下に証明することで答弁する。

2 本件商標の使用状況について

被請求人は、平成15(2003)年2月から現在に至るまで、建築用又は構築用の金属製専用材料に含まれる「鼻かくし取付金具」について、本件商標を使用し、その商品について製造及び販売を継続して行っている。

3 使用事実の証明

(1)被請求人は、平成14(2002)年8月より、同社の製品カタログ「ファスニング折版屋根部材」を、日本全国の取引先に対して配布している。この事実を証明するため、乙第1号証を提出する。

乙第1号証は、上記した製品カタログの部分的なコピーであるが、その33頁には、商品「鼻かくし取付金具」が記載されている。

(2)本件商標「スーパーダイマカラー」は、前記カタログ配布後、亜鉛鉄板材を素材として製造、販売していた「鼻かくし取付金具」を材料変更したものについて使用している。

乙第2号証の1及び2は、被請求人が前記材料変更された「鼻かくし取付金具」の販売開始を、取引先に告知するため作成した「OTIS商品レポート」(リーフレット)及び案内カタログのコピーであり、前記リーフレット及び案内カタログは、平成15(2003)年2月15日付で全国の取引先に配布されたものである。

これらのリーフレット及び案内カタログには、いずれも、本件商標「スーパーダイマカラー」が登録商標を表す記号と共に、明確に記載されている。

なお、このリーフレット及び案内カタログに記載されているとおり、本件商標「スーパーダイマカラー」を使用している商品「鼻かくし取付金具」は、汎用品ではなく、ユーザーの指定する色に応じて別途製造する、いわゆる、別注品であることが記されている。

(3)乙第3号証は、被請求人が別注品である「鼻かくし取付金具」を梱包し、販売するため、本件商標を記した段ボール箱の写真である。

この写真に示された段ボール箱には、本件商標である「スーパーダイマカラー」が、「鼻かくし取付金具」の文字、被請求人の社名とともに大きく表示されており、その横には、ユーザーの指定した色を表示するシールが貼着されている。

(4)乙第4号証は、前記リーフレット及び案内カタログを配布後、日本国内の取引先より注文を受け、販売した事実を示すため、取引先の協力によって作成された証明書(証明願)である。本件商標を使用している「鼻かくし取付金具」は、乙第1及び第2号証にも示している品番「SS8300Y」の商品として発注を受けた事実が証明されており、通常の取引形態で販売していることを裏付けるものである。

4 むすび

以上、乙第1ないし第4号証からも明らかなように、被請求人は、本件審判請求の予告登録日前3年以内において、本件商標を、指定商品「とい、とい台その他の建築用又は構築用の金属製専用材料」である「鼻かくし取付金具」に対して、現に日本国内において使用している。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定には該当せず、請求人の主張は根拠のないものである。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

(1)被請求人発行の「ファスニング 折版屋根部材」と題する商品カタログ(33頁)には、商品「鼻かくし取付金具」が掲載されており、その品番として「SS8300Y」、「SS8280」及び「SS8300ST」が表示されている(乙第1号証)。この商品「鼻かくし取付金具」は、本件商標の指定商品である「建築用又は構築用の金属製専用材料」の範疇に属する商品といい得るものである。

(2)被請求人の雨樋金具商品改良を告知するための「OTIS 商品レポート」と題するリーフレットには、商品名として「スーパーダイマカラー」「鼻隠し取付金具バラ品300タイプ・280タイプ」の表示がされ、品番として「別注対応」の表示がされている。そして、このリーフレットの右上隅には「平成15年2月15日 第19号」と記載され、説明文中には「切替時期」として「平成15年2月中旬より在庫なくなり次第、順次切り替え。」との記載がある(乙第2号証の1)。

「オーティスの”ダイマ”商品群」と題する被請求人の商品カタログには、商品の図形と共に品番として「SS8300Y」、「SS8280」及び「別注対応 足のみカラー」の表示がされている。上記図形の左側には、色違いで目立つように「新発売 平成15年2月」と記載されている。さらに、左下方向に文字の大きさを異にする「スーパーダイマカラー」、「鼻隠し取付金具」及び「屋根上に取り付けられる足部を当社EPカラーで塗装し、耐食性と意匠性を兼ね備えた商品がスーパーダイマカラーです。」と記載され、その下部にやや小さく「*ご指定の色を別注対応で受賜ります」と記載されている(乙第2号証の2)。

上記リーフレット及び商品カタログに示された金具の図形と上記(1)の商品カタログに示された金具は、ほぼ同一といい得るものであり、また、それぞれに記載された表示(品番の「別注対応」の表示、品名の「足のみカラー」の表示)も一致するものである。

(3)商品梱包用と称する段ボール箱の側面には、上記金具の図形及び「鼻かくし取付金具300」の文字が記載されており、「スーパーダイマカラー」の文字を記載したシール及び「足カラー くろ」の文字を記載したシールが貼られている(乙第3号証)。上記段ボール箱の側面に示された金具の図形と上記(1)の商品カタログに示された金具はほぼ同一といい得るものである。

(4)被請求人が株式会社奈良ハウテックスから商品の注文を受けたことを示す「特注品受注請書」には、品名欄に「鼻隠し取付金具 足のみ カラー黒」と記載されており、「図示・明細」欄には「SS8300Yの足のみカラー黒」及び「頭部と同梱して下さい!」との記載がある。また、この受注請書の右上には17年2月17日の日付がある。以上の「特注品受注請書」において、上記品名の商品を株式会社奈良ハウテックスが被請求人へ注文したことを証明している(以上、乙第4号証)。

2 以上の認定事実を総合すれば、被請求人は、少なくとも平成15年2月中旬には「スーパーダイマカラー」の文字からなる商標を商品の包装に付し、又は商品に関する広告に付すると共に、商品「鼻かくし取付金具」を販売していたものとみるのが自然である。また、上記(4)の特注品受注請書における「鼻隠し取付金具 足のみ カラー黒」及び「SS8300Yの足のみカラー黒」の記載からすれば、上記(2)のリーフレット及び商品カタログに記載された商品が、足のみ黒色にして別注で注文を受けたものとみて差し支えないというべきであり、その時期は平成17年2月17日と認められる。

そして、上記「スーパーダイマカラー」の商標は、社会通念上同一といい得るものである。

そうすると、被請求人は、本件審判請求の登録日である平成17年4月12日前3年の期間内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標をその指定商品について使用していたものというべきである。

3 請求人は、被請求人の提出に係る各乙号証はいずれも本件審判請求の登録前3年以内の使用を証明するものでなく、信憑性に乏しいものである旨主張している。

しかしながら、以下のように、各乙号証は信憑性を欠くものとはいえない。

(1)本件商標の使用に係る商品は、別注品であるにも拘わらず、価格に変更がないとしても、そのこと自体は取引上あり得ないことではない。また、乙第2号証の1のリーフレットの右上の日付は後にタイプ可能なものであり、同日は土曜日であったことを理由に同リーフレットを疑問視する点については、同リーフレットの記載内容及び乙第2号証の2の商品カタログの記載内容からして、記載された日付の前後に作成し配布されたものとみて差し支えないというべきである。

(2)乙第3号証の写真中の段ボール箱に貼付された「スーパーダイマカラー」の表示については、本件商標の使用に係る商品が別注品であることから、注文に応じて、注文に係る色彩を示すシールと共に、既存の箱に貼付して使用したとみられるものであり、取引上あり得ないことではなく、実際にこの段ボール箱に商品を梱包して取引されたとみて差し支えないというべきである。

(3)乙第4号証に添付された特注品受注請書には、本件商標の表示はないものの、該受注請書中に記載された「鼻隠し取付金具 足のみ カラー黒」及び「SS8300Yの足のみカラー黒」の表示は、乙第2号証の1及び2のリーフレット及びカタログに掲載された商品の品番に対応するものであり、同じ商品が取引されたというべきである。

また、乙第4号証の証明者は、被請求人のグループ会社であり双方の代表者が同一人であるとしても、法律上は別法人であり、別会社として取引していることが示されている以上、乙第4号証が客観的証明力を欠くものとはいえない。

4 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。