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Trademark Appeal Case

子会社による商標使用の有効性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30216(T2005−30216/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2095409号の1商標(以下「本件商標」という。)は、「OPTIMA」の文字を縦書きしてなり、昭和57年1月18日に登録出願された商願57−2623に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同59年12月27日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、同63年11月30日に設定登録されたものであるが、その後、指定商品中の「電池、バッテリーチャージャー、バッテリーテスター」についての商標登録は、分割移転され、その登録が平成12年6月21日にされ、さらに、同「エレクトロニックオーディオシグナルプロセッサ,アンプリファイアー,スピーカー」についての商標登録は、平成16年8月17日付け審決により取り消され、その確定の登録が同17年1月21日にされているものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中の「電気通信機械器具,電子応用機械器具」についての登録を取り消す、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用された事実はない。

したがって、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具」について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、本件商標を被請求人の100%子会社であるドイツ連邦共和国バートホムブルク在、ライノタイプ・ライブラリー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(以下「ライノタイプ社」という。)を通して、その指定商品中「電子応用機械器具」に含まれる商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」(以下「使用商品」という。)について、継続して現在も使用しているとし、乙第1号証ないし乙第4号証並びに参考資料1及び2を提出している。

しかしながら、乙第1号証ないし乙第4号証並びに参考資料1及び2は、ライノタイプ社のもとに使用されている事実を証明するものであり、被請求人が使用している事実を証明するものでないことは、明白である。

被請求人は、ライノタイプ社を通して、使用されている事実を証明することが被請求人の使用の事実の証明になるとの理由付けとして、

(a)ライノタイプ社は、被請求人の100%子会社であること

(b)乙第1号証中のインボイスの右上に、ライノタイプ社が被請求人のグループ会社の一社であることを示すドイツ語「Ein Unternehmen der Heidelberg−Gruppe」が表示されていること

(c)乙第2号証中の商品カタログ(欧文)の裏表紙の左上に、ライノタイプ社が被請求人のグループ会社の一社であることを示す英語「A division of the Heidelberg‐Group」が記載されていることを挙げている。

しかしながら、上記(a)ないし(c)のいずれの主張も裏付けがなく、ライノタイプ社が使用商品について、被請求人に代わって日本における使用を証明する正当性を見出すことはできない。

なお、本件商標については、専用使用権、通常使用権のいずれの設定もなされていない(甲第5号証)。

(イ)むすび

以上により、本件商標は、本件審判の請求の登録日(平成17年3月16日)前3年以内に、その指定商品中「電子応用機械器具」に含まれる使用商品について、被請求人により継続して日本国内において使用されていたものであるという被請求人の答弁は理由がないものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証並びに参考資料1及び2を提出している。

(1)使用の事実

(ア)被請求人は、本件商標を被請求人の100%子会社であるライノタイプ社を通して、その指定商品中「電子応用機械器具」に含まれる使用商品について、継続して現在も使用しているものである。

(イ)乙第1号証(本件商標の使用説明書(1))は、ライノタイプ社から日本国の通常使用権者である「エス・ディ・ジー株式会社(S.D.G.K.K.)」(東京都豊島区高田3丁目32番3号、メイスンビル在、以下「エス・ディ・ジー社」という。)宛に供給される「OPTIMA」又は「Optima」(両商標をまとめて、以下「使用商標」という。)を付した使用商品に係る同社作成のインボイスである。作成年月日は2003年(平成15年)2月26日及び2004年(平成16年)7月15日である。

ちなみに、上記インボイスの右上にライノタイプ社が被請求人のグループ会社の一社であることを示すドイツ語「Ein Unternehmen der Heidelberg−Gruppe」が記載されている。

なお、使用商標に後続する「roman」又は「Rm」の文字はローマン体を、「BOLD」、「bold」又は「Bd」の文字はボールド体を、「oblique」の文字は傾斜タイプ等のフォントの種類をそれぞれ意味するものである。

(ウ)乙第2号証(本件登録商標の使用説明書(2))は、エス・ディ・ジー社が使用商品の国内顧客向け販売資料として現在も使用している、ライノタイプ社によって印刷作成されたカタログ(欧文)である。

印刷年月日は、2000年(平成12年)4月1日であるが、当時、一括して印刷したものを現在も継続して使用しているものである。

ちなみに、乙第1号証同様、カタログ(欧文)の裏表紙の左上に、ライノタイプ社が被請求人のグループ会社の一社であることを示す英語「A division of the Heidelberg‐Group」が記載されている。

なお、乙第3号証は、エス・ディ・ジー社による乙第2号証(カタログ)に関する印刷年月日及び使用証明である。

(エ)乙第4号証は、エス・デイ・ジー社が、「慶昌堂印刷株式会社」(東京都文京区在)からの発注に基づいて、乙第1号証及び乙第2号証に示される使用商品の販売形態の一つであるコンパクトディスク、すなわち「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶したコンパクトディスク」を販売した数量及びその金額を示す、平成16年9月1日付け請求書兼領収書である。

(オ)参考資料1として、エス・ディ・ジー社が使用商標を付した使用商品の国内顧客向け広告及び販売資料として現在も使用している事実を示す、ホームページ(抜粋)を提出する。

また、参考資料2として、日本国特許庁においては、使用商品が「電子応用機械器具」に含まれる商品と判断されている事実を証する商標登録第4793752号のIPDLデータを提出する。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録日(平成17年3月16日)前3年以内に、その指定商品中「電子応用機械器具」に含まれる使用商品につき、継続して日本国内において使用されていたものである。

4 当審の判断

(1)請求人は、本件商標の商標権について、その指定商品中の「電気通信機械器具,電子応用機械器具」についての登録の取消しを求めている(請求日:平成17年2月25日)ところ、前記1のとおり、「電気通信機械器具」中の「エレクトロニックオーディオシグナルプロセッサ,アンプリファイアー,スピーカー」についての商標登録は、平成16年8月17日付け審決により取り消され、その確定の登録が平成17年1月21日にされているものであって、商標法第54条第2項の規定により、その審判の請求の登録日である平成16年3月24日に消滅したものとみなされるものである。

したがって、「電気通信機械器具」中の「エレクトロニックオーディオシグナルプロセッサ,アンプリファイアー,スピーカー」の商標登録について取消しを求める請求は、対象物の存在しない不適法な請求というべきであるから、却下すべきものとする。

(2)請求人は、エス・ディ・ジー社が日本における通常使用権者であること、乙第1号証及び乙第4号証が本件審判の請求の登録前3年以内に発行されたものであること、乙第2号証が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内でエス・ディ・ジー社により使用されたものであること、エス・ディ・ジー社が日本国内で使用する使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であること、使用商品が請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具」の範疇に属する商品であることについては、争うことを明らかにしていない。

一方、請求人は、被請求人が本件商標の使用事実を立証する証拠は、ライノタイプ社が使用する事実を証明するものであり、ライノタイプ社が被請求人の子会社であるとする裏付けがないことから、ライノタイプ社が被請求人に代わって日本における使用を証明する正当性を見出すことはできない旨主張する。

しかし、上記のとおり、日本国内における使用商標の使用者は、通常使用権者であるエス・ディ・ジー社と認められ、乙第1号証ないし乙第4号証を総合すれば、被請求人は、そのグループ会社の一つであるライノタイプ社を通して、エス・ディ・ジー社に対し、使用商標を表示した「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」(使用商品)を輸出し、エス・ディ・ジー社は、使用商品を本件審判の請求の登録前3年以内である平成16年9月1日ころに、東京都文京区水道2−4−26に所在の慶昌堂印刷株式会社との間で取引を行ったことが認められるところであるから、ライノタイプ社が被請求人に代わって日本における使用を証明する正当性を見出すことはできないとする請求人の主張は不適切なものといわざるを得ない。

請求人の主張が、仮にエス・ディ・ジー社に対して使用商品を輸出するライノタイプ社が、被請求人といかなる関係にあるのか不明であるとの主張であるならば、乙第1号証(インボイス)の右上及び乙第2号証(カタログ)の最終頁には、ライノタイプ社が被請求人のグループ会社の一つであることを明示する「Ein Unternehmen der Heidelberg−Gruppe」の文字及び「A division of the Heidelberg‐Group」の文字が記載されていることなどから、ライノタイプ社が被請求人の関連会社であることが認められ、かつ、ライノタイプ社と被請求人との関係を明らかにする資料としては、これらの表示をもって十分であるというべきである。

(3)むすび

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定商品中の「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」について使用していたことを証明したというべきである。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「電気通信機械器具(但し、「エレクトロニックオーディオシグナルプロセッサ,アンプリファイアー,スピーカー」を除く。),電子応用機械器具」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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