Trademark Appeal Case
商標の分離観察と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−750(T2003−750/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、後掲のとおり、黒線で枠取りし緑色系で彩色した直方体図形とその正面に図案化された「Digi」と「Con」の欧文字を二段に描きし、この下部に白抜きするが如きの「The DigiCon.」の欧文字を表した構成からなり、指定役務を第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」及び第41類「コンピュータにより作成されたデータ・映像・音楽等に関するコンテストの企画・運営又は開催,その他のコンテストの企画・運営又は開催,コンピュータにより作成されたデータ・映像・音楽等に関するコンテストの企画・運営又は開催に関する情報の提供,その他のコンテストの企画・運営又は開催に関する情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,音楽の演奏,放送番組の制作,映写フィルムの貸与」として、平成12年12月20日に登録出願されたものである。
2 引用商標
(1)「デジコン」の片仮名文字を標準文字により表してなり、平成12年2月29日登録出願、第38類「電子計算機端末による通信,ファクシミリによる通信,テレビ会議通信,電子メールによる通信,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,有線ラジオ放送,電子計算機端末によるニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,ファクシミリの提供(店内に設置されたファクシミリを利用させるもの)」を指定役務として、平成13年9月7日に設定登録された登録第4504434号商標
(2)「デジコン」の片仮名文字を標準文字により表してなり、平成12年2月29日登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,研究用教材に関する情報の提供及びその仲介,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教に関する情報の提供,植物の供覧・動物の供覧に関する情報の提供,電子計算機端末通信による図書及び記録の供覧に関する情報の提供,美術品の展示に関する情報の提供,庭園の供覧に関する情報の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営に関する情報の提供,電子計算機端末通信による映画の上映(ダウンロードによる販売を伴わないものに限る。),映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供,演芸の上演に関する情報の提供,演劇の演出又は上演に関する情報の提供,電子計算機端末通信による音楽の演奏(ダウンロードによる販売を伴わないものに限る。),放送番組の制作,ゴルフ競技会に関する情報の提供,相撲の興行に関する情報の提供,ボクシングの試合に関する情報の提供,野球の試合に関する情報の提供,サッカーの試合に関する情報の提供,音楽コンテストの開催に関する情報の提供,競馬に関する情報の提供,競輪に関する情報の提供,競艇に関する情報の提供,小型自動車競走に関する情報の提供,当せん金付証票の発売に関する情報の提供,音響用又は映像用のスタジオの提供に関する情報の提供,運動施設に関する情報の提供,娯楽施設に関する情報の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与・映写フィルムの貸与,楽器の貸与に関する情報の提供,スキー用具の貸与・スキンダイビング用具の貸与に関する情報の提供,テレビジョン受信機の貸与・ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与・録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与・遊園地用機械器具の貸与・遊戯用器具の貸与に関する情報の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)に関する情報の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,ネガフィルムの貸与・ポジフィルムの貸与,絵画の貸与に関する情報の提供」を指定役務として、平成13年9月28日に設定登録された登録第4509746号商標
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類似について
本願商標は、後掲のとおりの構成よりなるところ、黒線で枠取りし緑色系で彩色した直方体図形(以下「直方体図形部」という。)、その正面に図案化された二段書きの「Digi」と「Con」の欧文字(以下「正面図案化部」という。)及びこの下部に白抜きするが如きの「The DigiCon.」の欧文字部の各構成要素からなるものである。
そして、これら本願商標の構成部は視覚上において、直方体図形部及び正面図案化部と「The DigiCon.」の欧文字とは自ずと分離して看取されるばかりでなく、意味上においては直方体図形部と正面図案化部又は「The DigiCon.」とを常に一体のものとしてのみ把握しなければならないような格別の事情は存しない。
してみると、本願商標の構成にあっては、直方体図形部と正面図案化部、又は「The DigiCon.」の欧文字はそれぞれ独立して取引に資されるものといえるものである。しかして、「The DigiCon」の文字中冒頭の定冠詞「The」は、「デジコン」と称呼され、特定の意味合いを生じ得ない造語といえる「DigiCon」に冠したものであり、この場合において該定冠詞が特段の意味を表すものとは判断し得ず、かつこれを冠するや否やによりその欧文字部分全体として別異な意味合いが生ずるものともいい得ないないことから、その構成において「The」の文字に較べ圧倒的に顕著に表され、かつ自他商品の識別力を有するといえる「DigiCon」の文字に印象付けられ、これに相応して「デジコン」と称呼して商取引に当たる場合があること決して少なくないものとみるのが商取引の実際に照らし相当である。
そうすると、本願商標は「The DigiCon」の欧文字部分に相応し、一連に「ザデジコン」の称呼のほか、単に「デジコン」の称呼をも生じるものといわなければならないし、これと相俟ってみれば、正面図案化部は「Digi」と「Con」の欧文字を二段書きしたものと読み取ることができるとみて差し支えないところであり、正面図案化部からも「デジコン」の称呼を生じる蓋然性が高いものである。
一方、引用商標は、それぞれ「デジコン」の片仮名文字よりなるものであるから、これに照応して「デジコン」の称呼が生じるものであり、かつ、一般に定着した意味合いを有しない造語といえるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、構成全体の外観における差異はあるものの、「デジコン」の称呼を共通にするところがあり、観念においては両者を識別できるものでもないから、両商標を同一又は類似の役務に使用した場合に、出所について紛れる虞がある類似の商標であるというのが相当である。そして、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似のものである。
(2)請求人の主張について
なお、請求人は、本願商標の構成中の「The DigiCon」部分については語調も5音で冗長ではなく、その書体も同一であることから、称呼「ザデジコン」のみを生じ、これと引用商標の称呼「デジコン」とは重要な語頭が異なるだけでなく、その構成音も5音と4音の差異を有する。
にもかかわらず、本願商標の全体的な構成から欧文字と認識出来る部分があるからといって、その商標全体の構成より直ちに当該部分のみを分離するだけでなく、欧文字部分として書されている一連の「The DigiCon」から、更に「The」部分を分離して「DigiCon」部分のみを抽出し、本願商標と引用商標との類否を判断することは商取引の経験則に反するものである。 また、本願商標は、その欧文字部分に敢えて「The」を付加することで、「これこそが(TBSの企画する)グラフィックコンテストである」と強調された観念を想起させる意味で採択したものであり、請求人はその関連会社と提携し、2000年(平成12年)6月より既に4回にわたって「The DigiCon(ザ・デジコン)」と称する主にクリエイターを発掘することを目的とした「コンピュータグラフィックによりデザインされた映像に関するコンテスト」を開催するに際して本願商標を使用しているばかりでなく、本願商標を使用する前から「The DigiCon」又は「ザ・デジコン」のように一体の態様にて使用している。
そして、「The(ザ)」を含む商標で、その指定役務との関係で当該部分を有することにより一連の造語であると判断された登録例、及び「The(ザ)」が付加されたことによって互いに非類似であると判断された登録例は複数存在する旨主張して、原査定を取消し、登録すべき旨の審決を求めている。
確かに、請求人が「The DigiCon(ザ・デジコン)」と称するコンピュータグラフィックによりデザインされた映像に関するコンテストを開催していることは、甲号各証により認めることができる。しかし、商標法における「役務」とは、他人のための労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうるべきものと解されており、「The DigiCon(ザ・デジコン)」は当該コンテストの名称としての使用であり、主にクリエイターを発掘することを目的とする当該コンテスト自体がこれに当たるものともいい難いものであるから、その使用をもって直ちに前記認定を覆すことはできない。
また、「DigiCon」部分のみを抽出し、本願商標と引用商標との類否を判断することは商取引の経験則に反するとの点ついては、本願商標のかかる構成においては、請求人の商標採択の意図とは関係なしに印象的な部分に着目し商取引に資する場合が多いといえるから、上述(1)のとおりに判断するのが相当であって、請求人の主張は採用できないところであり、この点は商取引指標的使用でないとしても、当該コンテストの名称が甲第12号証において単に「デジコン」と記載(他にインターネット上で「DigiCon6」(http://www.tbs.co.jp/digicon/)、「デジコン5」(http://www.h5.dion.ne.jp/~kingdom1/dezi5.htm)等の掲載がある。)していることからその妥当性が窺える。
そして、請求人は「The(ザ)」の文字を有する商標の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきものであると主張しているが、商標の類否判断はその商標ごとになされるものであって、請求人が挙示した登録例は必ずしも本願商標の判断を拘束するものでなく、これにより前記認定を左右することができない。その他請求人の主張をもって前記認定を覆すことはできない。
(3)結語
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の判断は妥当であって、取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
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