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Trademark Appeal Case

酸化被膜工法の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−16094(T2004−16094/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「酸化被膜工法」の文字を標準文字で書してなり,第7類「化学機械器具,金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。),栽培機械器具,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機,牛乳ろ過器,搾乳機,育雛器,ふ卵器,蚕種製造用又は養蚕用の機械器具,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のもの及び「水車・風車」を除く。),陸上の乗物用の動力機械の部品,水車,風車,風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,業務用電気洗濯機,業務用攪はん混合機,業務用皮むき機,業務用食器洗浄機,業務用切さい機,業務用電気式ワックス磨き機,業務用電気掃除機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,修繕用機械器具,機械式駐車装置,乗物用洗浄機,消毒・殺虫・防臭用散布機(農業用のものを除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,バルブ,芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ」及び第40類「金属の加工,放射線の除洗,布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,ししゅう,ゴムの加工,プラスチックの加工,セラミックの加工,木材の加工,紙の加工,石材の加工,剥製,竹・木皮・とう・つる・その他の植物性基礎材料の加工(食物原材料の加工を除く。),食料品の加工,義肢又は義歯の加工(医療材料の加工を含む),映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,製本,浄水処理,廃棄物の再生,原子核燃料の再加工処理,印章の彫刻,グラビア製版,貴金属又は貴金属製品の加工,繊維機械器具の貸与,写真の現像用・焼付け用・引き伸ばし用又は仕上げ用の機械器具の貸与,金属加工機械器具の貸与,製本機械の貸与,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与,製材用・木工用又は合板用の機械器具の貸与,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具の貸与,浄水装置の貸与,廃棄物圧縮装置の貸与,廃棄物破砕装置の貸与,化学機械器具の貸与,ガラス器製造機械の貸与,靴製造機械の貸与,たばこ製造機械の貸与,材料を特定しない総合的な材料処理情報の提供,プラスチック加工機械器具の貸与,印刷,一般廃棄物の収集・分別及び処分,産業廃棄物の収集・分別及び処分,編み機の貸与,ミシンの貸与,印刷用機械器具の貸与」を指定商品及び指定役務として,平成15年10月7日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は,「本願商標は,『酸化被膜を形成させる加工方法』の意味合いを容易に認識させる『酸化被膜工法』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるものであるので,これをその指定商品及び指定役務中,前記意味合いに照応する加工方法を用いた商品及び役務に使用するときは,単に商品の品質(内容)又は役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは,商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断して,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は,上記したとおり「酸化被膜工法」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ,その構成中の「酸化被膜」の文字は,「金属表面の酸化物の薄い層」を意味する語(日刊工業新聞社発行「図解めっき用語辞典」)であり,その後半部分の「工法」の文字は,一般に「加工・工事などにおける造り方・組立て方」を意味するものとして理解される語であって,これらを一連一体に結合したにすぎない本件商標は,その指定商品及び指定役務中,第7類「金属加工機械器具」及び第40類「金属の加工」との関係においては,全体として「酸化被膜を形成させる加工方法」意味合いを容易に認識させるものというべきである。

すなわち,「化学反応によって,金属製品の表面に酸化被膜を形成させる処理」が「酸化被膜処理」と称されており((財)日本規格協会発行「JIS工業用語大辞典【第5版】」),「鉄鋼の酸化膜でもFe2O3は粗雑で脱落しやすいが,Fe3O4は緻密で脱落しにくく,摩耗や腐食に強いので,この被膜をあらかじめ形成しておく処理」が行われ,精密機械,ねじ,ナット点火栓,銃身,高速度鋼工具などの加工に応用されていることが認められる(日刊工業新聞社発行「図解機械用語辞典」第3版)。

また,このような「酸化被膜を形成させる加工方法」が,金属の防錆,防食等の目的で用いられていることは,原審説示の新聞記事に加え,「酸化被膜」に関する次のような新聞記事及びインターネットのホームページの情報からも知ることができる。

(1)2000年9月27日付 日経産業新聞 1頁

「イールドなど3社,8色チタン球開発――光触媒使い抗菌機能。」の見出しの下,「【京都】光触媒材料開発のイールド(京都市,伊藤剛久社長)など三社は,光触媒を使った抗菌・防臭機能を持つチタン金属球を共同開発した。(中略)イールドの加工法は,チタンの表面に酸化被膜を形成する陽極酸化法で,特許を出願中。(以下略)」とする記事がある。

(2)1993年3月16日付 日本経済新聞 地方経済面(新潟)22頁

「中野化学工業所2年以内に着工,ステンレス発色・模様加工,新工場で一貫処理めざす。」の見出しの下,「金属表面加工の中野化学工業所(燕市,中野信男社長)は,ステンレス表面の発色技術とエッチング(模様付け)技法を組み合わせて,建材や金属洋食器の付加価値を高める新しい加工法の売り込みを強化する。(中略)この技術はステンレスの表面に透明の酸化被膜を作り,その厚さを部分毎に変える。(以下略)」とする記事がある。

(3)1991年7月13日付 日刊工業新聞 8頁

「明豊エンジ,オゾン工法による水道管洗浄の受注活動に乗り出す」の見出しの下,「明豊エンジニアリング(東京都豊島区東池袋一ノ三一ノ一三ノ一三〇一,社長小沢久雄氏,電〇三(3984)八二八八)は,水道水の殺菌にオゾンを使う工法『オゾンジェット工法パイプ洗浄』の受注活動に本格的に乗り出した。(中略)この工法では,発生させたオゾンを水の中に高濃度に混ぜる点がミソ。このオゾン水は給水パイプ内の汚れやさびを取り除くだけでなく,オゾンの酸化力によって生じる酸化被膜により,パイプの寿命を飛躍的に延ばすことができるとしている。(以下略)」とする記事がある。

(4)1994年8月29日付 日刊工業新聞 34頁

「三十五商事,殺菌洗浄システム受注好調。高層住宅の赤水を高濃度オゾン水で退治」の見出しの下,「マンション,公団など高層住宅の赤水対策は,入居者の悩みのタネとなっているが,高濃度オゾン水を使っての殺菌洗浄システムで成果を上げ,受注を拡大している企業がある。三十五商事(東京都中野区上高田3の39の13,社長梅林哲氏,電03・3387・1327)がそれ。(中略)同社の工法は,オゾンの強い酸化力と殺菌力で給水管内のスライム,スケール,錆(さび)などを殺菌分解して除去し,鉄部表面に酸化被膜をつくるというもの。(以下略)」とする記事がある。

(5)1995年11月22日付 日刊工業新聞 33面

「水沢商事,ビル給水管の赤サビを1〜2日で除去。再発生抑止工法を開発」の見出しの下,「水沢商事(東京都新宿区新宿1の23の1,社長千葉郁氏,電03・3342・8017)は,給水管内の赤錆(さび)を洗浄により除去,トルマリン(電気石)により錆の再発生を抑制する工法を確立,赤水対策ビジネスに本格的に乗り出した。(中略)この工法は,配管内に植物性の界面活性剤を注入,空気でかくはんし,赤錆を乳化したり,剥離(はくり)しやすい状態にしたうえで,空気圧(一平方センチメートル当たり二−三キロg)をかけて洗浄。この後,すすぎ作業を行い,赤水を解消する。これに加え,給水槽内に設置したトルマリンの働きで配管内の赤錆発生を抑制する仕組み。トルマリンは電極を持つため,水をわずかに電気分解し,水の一部を水素と界面活性物質(ヒドロキシルイオン)に分解する仕組み。このヒドロキシルイオンが酸性の水道水を還元水に変え,酸化保護被膜を配管内に形成するという。このため赤錆の再発生を防ぐことが可能。(以下略)」とする記事がある。

(6)http://www.atomlt.com/06school/sc04/sc04_03.html

アトムリビンテック株式会社のウェブサイトにおいて,「ATOM NEWS」「「さびる」「さびない」」との見出しの下,「『鉄はさびる』とか『ステンレス鋼はさびない』とかいいますが,「さび」とはなにかといいますと,『酸化被膜』すなわち金属が酸素などと化合した化合物のことです。銅のばあいは緑青色の酸化被膜ができ,鉄のばあいは赤茶色の酸化被膜ができるということになります。ステンレス鋼のばあいは『さびない』のではなくて,その表面にできる酸化被膜,つまり一種のさびである透明で薄い膜が安定して変化しない状態になっているということです。アルミニウムのばあいも,やはりごく薄い酸化被膜ができ,この被膜が緻密で無色透明で,しかも地金に固く密着しているのです。・・・」とする記述がある。

(7)http://www.coguchi.com/yougo_s/kinzoku_yougo/a_o.html

白銅株式会社の「小口ドットコム」のウェブサイトにおいて,「金属用語解説」の「アルマイト/alumite」の項に,「『陽極酸化被膜処理』ともいい,アルミニウムに耐食性酸化被膜を施すこと。ショウ酸溶液中でアルミを陽極として電解すると,アルミの表面に多孔質で電気絶縁性・耐摩耗性の高い酸化被膜ができる。さらに高圧蒸気または熱湯処理をして孔をふさぐと黄緑乳白色の耐食性にすぐれた被膜になり,建材用のアルミの表面処理によく使われている。また自然発色法や染色法を利用して容易に着色でき,黒やブロンズ色が多用されている。多孔質を利用して樹脂や金属を侵入させ,耐摩耗性を改善させたり通電性をもたせることもできるので,被膜の用途,目的によりクロム酸や硫酸などを使用して,さらに優れた特性を出すこともできる。」との記述がある。

(8)http://www.jaero.or.jp/data/publish/bunka/taidan/2004/200410_1.html

日本原子力文化振興財団のウェブサイトにおいて,「技術管理を適確に実行するために 規格が必要になっている」と題された「原子力文化」インタビュー記事中に,「進行を抑えるはずの酸化被膜がどんどん取られるのがエロコロ現象だ。エロージョン(壊食)とコロージョン(腐食)は同時に起こり,現在,区別できない現象であることが定説です。略称エロコロと言います。配管の中で水により腐食すると,酸化被膜が必ずできます。流れによってその酸化被膜が削られます。酸化被膜がなくなると,今度は金属そのものが新しい酸化被膜をつくります。それがまた削られて非常に大きな減肉の要因になってしまいます。普通の腐食ですと,表面に酸化被膜ができると,かなり安定して腐食がむしろ進行しなくなるんですが,進行を抑えるはずの酸化被膜がどんどん取られてしまいます。それがエロコロ現象です。・・・」とする記述がある。

(9)http://www.ozone-aqua.co.jp/oasys/comparison.html

株式会社アクアのウェブサイトにおいて,「オアシスのメリット」の見出しの下,「オゾン殺菌工法」の特徴として,「 給水,給湯管内に『酸化被膜』をつくり,赤サビ・スライム・汚れの付着を防止」とする記述がある。

そうすると,本願商標をその指定商品及び指定役務中,例えば「酸化被膜の形成に用いる金属加工機械器具,酸化被膜を形成させる金属表面防錆加工」等,前記意味合いに照応する商品又は役務について使用するときは,取引者・需要者は,金属に酸化被膜を形成させる加工方法に関連する商品の品質又は役務の質(内容)を表示したのものと理解するにとどまり,結局,本願商標は,商品の品質又は役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。

また,本願商標は,これを前記意味合いに照応する商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは,商品の品質又は役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当なものであって,取り消すことはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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