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Trademark Appeal Case

著名商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89046(T2005−89046/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4769563号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4769563号商標(以下「本件商標」という。)は、「VINPICOEUr」の文字と「ヴァンピックル」の文字を二段に横書きしてなり、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議室の貸与,家具の貸与,タオルの貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、平成15年8月22日に登録出願、同16年5月14日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第15号違反について

(1)請求人の使用に係る商標の著名性について

請求人は、本件商標の登録出願日前である1997年(平成9年)、東京都中央区銀座にレストラン「オザミデヴァン」を開店して以来、レストラン業を営んでおり(甲第3号証)、2000年(平成12年)に銀座4丁目にレストラン「ヴァンピックル」を開店すると同時に、同店の看板・宣伝広告などに商標「ヴァンピックル」、「Vinpicoeur」及び「VINPICOEUR」(これらの商標をまとめていうときは、以下「請求人商標」という。)の使用を開始し、現在まで継続して使用している。

また、請求人は、2003年(平成15年)6月に開店した東京都千代田区丸の内に「ヴァンピックル丸の内」(甲第3号証)においても、請求人商標を継続して使用している。

そして、請求人の営業に係るレストラン「ヴァンピックル」及び「ヴァンピックル丸の内」(まとめていうときは、以下「請求人レストラン」という。)は、開店以来の請求人の努力により、本件商標の出願日前既に、各種の全国版有名雑誌に、たびたび紹介されるほど広く知られ、人気のあるレストランとなった結果、請求人商標は、請求人レストランの「飲食物の提供}という役務を指称する商標として広く知られるものとなっていた(甲第4号証ないし甲第12号証)。また、その後も、請求人レストランは、各種の雑誌やラジオによって頻繁に紹介され、本件商標の査定時において、請求人商標は、請求人レストランの飲食物の提供という役務を表す商標として一層広く知られるものとなっていた(甲第13号証ないし甲第24号証)。

さらに、請求人は、インターネット上にホームページを開設して、積極的に宣伝広告活動を行っている(甲第25号証)。

(2)本件商標と請求人商標との比較

請求人商標は、前記のとおり、「ヴァンピックル」、「Vinpicoeur」及び「VINPICOEUR」である。

一方、本件商標は、「VINPICOEUr」と「ヴァンピックル」を二段に併記してなるものであり、その構成中下段の「ヴァンピックル」は、請求人商標の一つである「ヴァンピックル」と同一であり、また、構成中上段の「VINPICOEUr」は、請求人商標中の「Vinpicoeur」及び「VINPICOEUR」とは、ほとんど同一である。

したがって、本件商標は、全体として請求人商標と極めて類似していることは、明白である。

(3)混同を生ずるおそれについて

以上のように、請求人商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、請求人レストランの「飲食物の提供」という役務を指称する商標として広く知られるものであるから、これらの商標と極めて類似する本件商標は、「他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標」といわざるを得ず、長年の努力により信用を築いてきた請求人の保護の見地からも、また、レストランを利用する一般消費者の保護の見地からも、その登録は、無効とされるべきものである。

加えて、請求人は、請求人レストランのほか、2005年(平成17年)には、名古屋にも新装オープンさせ(甲第3号証、甲第25号証)、全国的に店舗数を増加させている情況下においては、被請求人が、本件商標をその指定役務について使用するときは、あたかも、これが請求人の業務に係る役務又は請求人と何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあることは、明らかである。

(4)請求人が使用している他の有名商標について

上述のように、請求人は、請求人レストランだけでなく、東京都中央区銀座にレストラン「オザミデヴァン」を開店して以来、東京都千代田区丸の内に「オザミトーキョー」、「ブラッスリーオザミ」など次々に新店舗を開店させ、商標として「AUXAMIS」、「AuxAmis/des Vins」、「AUXAMIS/TOKYO」等を使用しており、これらのレストラン及びこれらの使用の係る商標は広く知られている。このことは、これらの商標について、他人の商標登録出願に対し、商標法第4条第1項第15号に該当するとの理由で、その出願が拒絶査定がされている(甲第26号証ないし甲第27号証)ことからも明らかであり、請求人レストランにあっても、その著名性は何ら変わるところはない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

2 商標法第4条第1項第19号違反について

(1)前記1で述べたように、請求人商標は、請求人レストランの「飲食物の提供」という役務を指称する商標として、日本国内における需要者の間に広く認識されている。

そして、請求人商標と本件商標とが、類似することも上述のとおりである。

(2)被請求人は、本件商標を商標登録出願したのみならず、「AUXAMIS/AUXAMIS TOKYO」についても、その商標登録出願をした(拒絶査定確定:甲第27号証)。これらの商標は、いずれも、その登録出願前から請求人が「飲食物の提供」の役務について使用をし、著名となっている商標と極めて類似する商標であり、被請求人は、請求人の多大な努力により商標に化体した業務上の信用・人気を無断で利用することにより、不当の利益を得る目的をもって商標を使用しようとしたものと判断せざるを得ない。

さらに、請求人商標は、雑誌「gli」(甲第6号証)に紹介されているとおり、「ワインがあなたのハートを射止めます」という意味合いを持つ、請求人の代表者である丸山宏人による創作語であることから、他人が偶然に同様の商標を考えついて登録出願することは考えられず、その点からも、本件商標の商標権者が、請求人の使用している商標に化体した信用や人気を利用しようとしたと考えざるを得ないものであり、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものであることは、明白である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当することは、疑いのないものである。

3 結び

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号又は同第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、前記第2の請求人の主張に対し、何ら答弁していない。

第4 当審の判断

1 請求人商標の著名性について

甲第3号証ないし甲第13号証及び請求理由の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。

(1)請求人は、2000年(平成12年)12月に東京の銀座において、ワインと肉の串焼きを主とする飲食物を提供するレストラン(以下「ヴァンピックル銀座店」という。)の営業を開始し、「ヴァンピックル」、「Vinpicoeur」及び「VINPICOEUR」の各文字よりなる請求人商標を使用したこと。

(2)その後、請求人は、2003年(平成15年)6月に、東京の丸の内において営業を開始した同種のレストランには、「ヴァンピックル丸の内」の文字よりなる商標を使用したこと。そして、上記「ヴァンピックル銀座店」は、請求人商標を表示して、全国的に発行されている雑誌、例えば、「エスクァイア日本版(2001年4月号)」、「Gainer(2001年5月号)」、「gli(2001年7月号)」、「月刊食堂(2001年8月号)」、「25ans(ヴァンサンカン、2001年12月号)」、「ENGINE(2001年12月号)」、「月刊食堂(2002年5月号)」、「メニュー(創刊号、2002年11月30日発行)」、「Winart(2003年4月1日発行)」等に、本件商標の登録出願前から、その査定前を通して頻繁に紹介されていたこと等が認められる。

(3)してみると、請求人商標は、請求人の営業に係る「ワインと肉の串焼きを主とする飲食物の提供」の役務の出所を表示する標識として、本件商標の登録出願(平成15年8月22日)前には、少なくとも需要者の間に相当程度広く認識されるに至っており、その著名性は、本件商標の査定(平成16年2月27日)時点においても継続していたものと認められる。

2 出所の混同について

本件商標は、前記のとおり、「VINPICOEUr」の文字と「ヴァンピックル」の文字を二段に横書きしてなるものである。

これに対し、請求人商標は、前記のとおり、「ヴァンピックル」、「Vinpicoeur」及び「VINPICOEUR」の文字よりなるものである。

そうすると、両商標は、欧文字部分において、大文字と小文字との差異を有するものの、同一の綴り字よりなるものであり、また、片仮名文字部分においては同一であるから、いずれも「ヴァンピックル」の称呼を共通にするばかりでなく、外観においても極めて近似する商標といわなければならない。

そして、本件商標及び請求人商標は、いずれも、欧文字の綴り及びその称呼において、わが国においては親しまれて使用されている語とはいえないとしても、請求人の創造語として独創性があり、特異なものとして印象付けられるから、本件商標に接する需要者は、これより、直ちに著名な請求人商標を想起又は連想するというのが相当である。

してみれば、本件商標は、これをその指定役務について使用した場合は、需要者をして、該役務が請求人又は同人営業上何らかの密接な関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標というべきである。

3 結び

以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標と認められるから、その登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであり、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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