Trademark Appeal Case
結合商標の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−21913(T2003−21913/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ワイドヒップガード」の文字を標準文字で書してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年9月30日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、平成15年8月11日付けの手続補正書により、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用ライナー,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『ワイドヒップガード』の文字を書してなるところ、その構成中、『ワイド』は『幅の広いさま』を、『ヒップ』は『尻まわりの寸法、尻』を、また、『ガード』は『守る、保護する』をそれぞれ意味する語であるから、全体として『幅広の、お尻を保護するもの』の如き意味合いが生ずるものである。また、インターネット情報によれば、女性のための衛生用品を取り扱う他の企業のホームページ等において、例えば、生理用ナプキンついて、『ワイドヒップ設計で後ろモレを防止します。』との記載があること、また、その衛生用品の特徴について説明する中で、モレを防ぐことを『ガード』と表現しているものも少なからず認められるところである。そうとすると、本願商標を補正後の指定商品中、例えば、上記に照応する商品(例えば、生理用ナプキン等)に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、『幅広の、お尻保護用商品』の意味内容を認識させる以上に格別顕著なところはなく、単にその商品の品質、用途、効能を表すにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。なお、出願人は、意見書において、本願商標の指定商品につき『ワイドヒップガード』と称しているような事実を発見することができなかった旨述べているが、たとえ当該文字が現に使用されている事実がないとしても、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を表すものとして認識され得る表示態様の商標であるが故に登録を受けることができないとしたものであり、本願商標よりは、上記意味内容が容易に認識され得るものと認められるところである。また、出願人は、本願商標よりは、様々な観念を想起することができると述べているが、補正された指定商品との関係を考慮すれば、上記意味合いが生ずるとするのが妥当である。さらに、出願人が主張している登録例は、その商標を構成する全体の意味合いとその指定商品の関係などを考え合わせても、本願商標と同様視することはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 請求人(出願人)の主張(要旨)
(1)請求人(出願人)が調査した限りでは、本願商標「ワイドヒップガード」が指定商品の品質(内容)、効能等を直接(具体的に)示すものとして広く一般的に使用されているような事実や、業界において「幅広の、お尻保護用商品」を「ワイドヒップガード」と称しているような事実を発見し得ない。例えば「生理用ナプキン」について、一般にお尻の広い人を保護するための生理用ナプキンというものは存在せず、お尻の幅の広い、狭い等により区別はされていない。請求人(出願人)の商品においても、昼用の商品、夜用の商品という区別の他に、(経血量が)多い人のための商品、スッキリ感を好む人のための商品、フィット感を好む人のための商品、安心と快適を求める人のための商品、というように区別をしている(第1号証)。また、他社商品においても、軽い日用、スリム、レギュラー、ロング、夜用といった区別や(第2号証)、座るとき、寝るとき、のような区別をしている(第3号証)。同様に、「生理用パンティ」についても、お尻の広い人を保護するための商品は存在しない。
したがって、本願商標を指定商品中の「生理用ナプキン、生理用パンティ」等に使用しても、これに接する取引者、需要者をして直ちに「幅広の、お尻保護用商品」の如き意味内容を認識することがないことは明らかであり、「全体として『幅広の、お尻を保護するもの』の如き意味合いが生ずるにすぎない。」と断定する審査官の判断は取引の実状を無視したものであって、事実に対する誤認があり否定されるべきものである。
(2)本願商標を構成する「ワイド」が「幅広いさま」の意味を有し、「ヒップ」が「尻まわりの寸法」や「尻」の意味を有し、「ガード」が「守る」「保護する」の意味を有するものであって、「ワイド(wide)」、「ヒップ(hip)」及び「ガード(guard)」の各語が、ともに広く一般に親しまれた英語であることは請求人としても否定するものではない。しかしながら、これらの語は、それぞれ上記以外にも複数の意味を有しているものであるから、本願商標に接する取引者、需要者をして、「自由な腰回りの寸法となるよう用心する」、「自由でかっこいい警備」、「偏見のないかっこいい番人」等のような多様な観念を想起させ得るものであり、「幅広の、お尻を保護するもの」を認識するにすぎないとする審査官の判断はここにおいても否定されるものである。なお、仮に本願商標より「幅広の、お尻保護用商品」を想起するとしても、具体的にはどのような商品であるかが不明なものであって、本願商標に接する取引者、需要者が「生理用ナプキン、生理用パンティ」等に本願商標が付されたとしても、その具体的な品質、用途、効能等の内容を認識することはないとするのが相当である。
(3)登録第2337655号外6件(第7号証ないし第13号証)の登録例があることから、本願商標もこれらの前例と同様に登録されて然るべきものである。
4 当審の判断
(1)本願商標は、上記のとおり、「ワイドヒップガード」の文字よりなるところ、その構成中の「ワイド」、「ヒップ」及び「ガード」の各文字が、それぞれ「幅広いさま」、「尻、尻まわりの寸法」及び「守る、保護する」程の意味合いをも有するもの(広辞苑第5版、ランダムハウス英和大辞典参照)であることは、請求人(出願人)も認めるところである。
(2)ところで、いわゆる生理用品や失禁用品を取り扱う業界においては、経血漏れや尿漏れを防止するために、お尻に当たる部分を幅広に設計・加工した生理用ナプキンや失禁用パッド等の商品が製造、販売されていること、また、それら商品の特徴を説明する際には、「ワイド設計」、「幅広設計」、「おしりをワイドにつつんで」、「おしりもしっかりガード」及び「(後ろモレ・背モレ等の)モレをガード」等の如く、「ワイド(幅広)」、「おしり(ヒップ)」及び「ガード」の語が普通に使用されているのが実状である。
(3)そうすると、本願商標をその指定商品中「生理帯,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用ライナー」に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、本願商標を構成する「ワイド」、「ヒップ」及び「ガード」の各文字をそれぞれ上記(1)の意味合いで理解し、構成文字全体として、当該商品が「幅広く、お尻(からのモレ)をガードする商品」であること、すなわち、「経血漏れや尿漏れを防止するために、お尻に当たる部分が幅広になっている商品」であることを表示する語として理解するに止まり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものというのが相当であるから、本願商標は、単に商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといわざるを得ない。
また、本願商標を上記「経血漏れや尿漏れを防止するために、お尻に当たる部分が幅広になっている商品」以外の商品「生理帯,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用ライナー」に使用するときには、これに接する取引者、需要者において、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。
(4)請求人(出願人)は、本願商標は登録すべきものであるとして、上記3のとおり、その理由を述べているが、これら請求人(出願人)の主張については、次のとおり、いずれも採用することはできない。
ア 請求人(出願人)は、本願商標「ワイドヒップガード」が指定商品の品質(内容)、効能等を直接(具体的に)示すものとして広く一般的に使用されているような事実や、業界において「幅広の、お尻保護用商品」を「ワイドヒップガード」と称しているような事実を発見し得ないことから、本願商標を指定商品中の「生理用ナプキン、生理用パンティ」等に使用しても、これに接する取引者、需要者をして直ちに「幅広の、お尻保護用商品」の如き意味内容を認識することがないことは明らかであり、「全体として『幅広の、お尻を保護するもの』の如き意味合いが生ずるにすぎない。」と断定する審査官の判断は取引の実状を無視したものであって、事実に対する誤認があり否定されるべきものである旨主張する。
しかし、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日判決言渡参照)。そして、上記(2)のとおり、生理用品や失禁用品を取り扱う業界における取引の実状からすれば、本願商標は、全体として「幅広く、お尻(からのモレ)をガードする商品」であること、すなわち、「経血漏れや尿漏れを防止するために、お尻に当たる部分が幅広になっている商品」であることを表示する語として容易に理解されるものといわなければならない。
したがって、請求人(出願人)の上記主張は採用できない。
イ 請求人(出願人)は、本願商標を構成する「ワイド」、「ヒップ」及び「ガード」の各文字(語)がそれぞれ上記(1)以外にも複数の意味を有しているものであるから、本願商標に接する取引者、需要者をして、「自由な腰回りの寸法となるよう用心する」、「自由でかっこいい警備」、「偏見のないかっこいい番人」等のような多様な観念を想起させ得るものであること、また、仮に本願商標より「幅広の、お尻保護用商品」を想起するとしても、具体的にどのような商品であるかが不明である旨主張する。
しかし、本願商標が如何なる意味合いで理解されるものであるかは、その指定商品に関する取引の実状に基づいて、その取引者・需要者の認識を基準として判断すべきものであるところ、上記(2)のとおり、生理用品や失禁用品を取り扱う業界における取引の実状からすれば、その取引者、需要者は、本願商標を構成する上記各文字をそれぞれ上記(1)の意味合いで理解するものというのが相当であり、また、構成文字全体としては、当該商品が「幅広く、お尻(からのモレ)をガードする商品」であること、すなわち、「経血漏れや尿漏れを防止するために、お尻に当たる部分が幅広になっている商品」であることを表示する語として理解するものというべきである。
したがって、上記取引の実状に照らせば、本願商標から「自由な腰回りの寸法となるよう用心する」、「自由でかっこいい警備」、「偏見のないかっこいい番人」等のような観念をも想起させ得るものとは到底認め難く、この点に関する請求人(出願人)の主張も採用できない。
ウ 請求人(出願人)は、過去の登録例を挙示して、本願商標もこれらと同様に登録されて然るべきものである旨主張するが、それらの登録例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に拘束されるべき理由はない。
したがって、この点に関する請求人(出願人)の主張も採用できない。
(5)ちなみに、生理用ナプキンや失禁用パッドに関しては、新聞記事又はインターネットの情報においても、請求人(出願人)の取扱いに係るものも含め、例えば次のような記事又は掲載情報を見出すことができる。
ア 1991年5月25日付け日経流通新聞には、「生理用ナプキン――使い分け進み新素材開発競う、メッシュタイプが急伸(売れ筋)」の見出しの下に、「...夜用スーパータイプに扇状に広がるヒップガードを付けるなど、安心面をさらに追求した。...」との記載がある。
イ 1992年10月30日付け化学工業日報には、「ユニ・チャーム、超薄型の夜用ナプキンを発売(いんふぉめーしょん)」の見出しの下に、「...扇状に広がってヒップを包み込むヒップガードにより、夜に不安の後ろモレもない。」との記載がある。
ウ 2001年9月14日付け化学工業日報には、「P&G、マッハ吸収シートのナプキン発売(いんふぉめーしょん)」の見出しの下に、「...「ウィスパーネオ 朝までガード」をこのほど全国で新発売した。「幅広バックガード」の隅々までぎっしり敷き詰められた吸収体が後ろモレをしっかりガード。...」との記載がある。
エ 「ケンコーコム」のウエブページ(http://www.kenko.com/product/item/itm_6541911072.html)には、「...「エリス ウルトラガード(特に多い夜用 羽なし)18枚」は、特に多い日の夜用羽なしタイプの生理用ナプキンです。幅広ヒップホールドでしっかりガード。...」との記載がある。
オ 「ケンコーコム」のウエブページ(http://www.kenko.com/product/item/itm_8341280072.html)には、「...「センターイン デオドラントクリーン普通の日用」は、不快指数ゼロの消臭・通気性・安心構造の生理用品です。...ヒップは就寝時にも安心なワイド幅設計。...」との記載がある。
カ 「ケンコーコム」のウエブページ(http://www.kenko.com/product/item/itm_8221528072.html)には、「...夜間のおしっこをワイドに吸収する尿とりパッド。おしりをすっぽり包み込む、長くて幅広い大判タイプです。...」との記載がある。
キ 「ケンコーコム」のウエブページ(http://www.kenko.com/product/item/itm_8211581072.html)には、「...おしりもしっかりガードする安心の大きさと瞬間吸収力で、長時間ご使用いただける尿とりパッドです。...」との記載がある。
ク 「楽天市場」のウエブページ(http://item.rakuten.co.jp/soukai/4974638678923/)には、大人用尿とりパッドについて「...おしりをワイドにつつんで安心吸収...後ろ(背中側)が広がっていますので、たっぷり吸収しモレにくい安心設計です。...」との記載がある。
ケ 「楽天市場」のウエブページ(http://www.rakuten.co.jp/e-omutsu/659803/741087/)には、尿とりパッドについて「...男性用でも安心なおしり幅広形状採用!...●おしり幅広形状」でおしりまですっぽり包み込んで後ろモレを防ぎます...」との記載がある。
コ 「介護用品のグッドライフ」のウエブページ(http://www.ncb2000.com/omutsu/atpad2.html)には、尿とりパッドについて「...高さ4cmの股モレ防止ギャザーと後部の幅広設計で尿モレをがっちりガード...」、「おしりすっぽり幅広設計 おしりもすっぽり包みこみ、背モレを防止。」との各記載がある。
サ 「株式会社創快ドラッグ」のウエブページ(http://www.soukai.com/P468932/p.html)には、中軽量用失禁パッドについて「...●ロングサイズで夜も安心・・腰までとどく長さ36cm。(寸法巾17.5cmX長さ36cm) 後モレを防ぐ巾広のヒップガードで座っている時も夜間も安心です。...」との記載がある。
してみると、これらの新聞記事又はインターネットの情報によっても、上記(3)の認定の妥当性を裏付けることができる。
(6)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これと同趣旨をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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