Trademark Appeal Case
標語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−20847(T2004−20847/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「夢ひろげるニューリテールバンク」の文字を横書きしてなり,第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成15年9月24日に登録出願されたものである。
そして,願書記載の指定役務については,平成16年5月25日付け手続補正書により,第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入のあっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「この商標登録出願に係る商標は,昨今主として,中小企業や一般大衆を相手としたリテール業務において差別化の競争がリテールバンクを目指す都銀・地銀等で盛んであることから,看者をして,単に『リテールバンクの誇示表示的』の意味合いを認識させるにとどまる『夢ひろげるニューリテールバンク』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるものであるから,これを本願指定役務に使用しても,これに接する需要者は上記表示であると認識するにとどまり,需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものと認める。したがって,この商標登録出願に係る商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定・判断して,本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
企業は,その取扱役務や企業のイメージに関して,需要者に親しみやすさや好感,信頼感などの良い印象を抱いてもらうよう日常的に心掛けているところ,その一手段として,標語(キャッチフレーズ)などを採択し,それらを通じて役務の広告,宣伝や企業イメージの向上に努めているのが実情である。
そして,これらの中には,端的な宣伝語句であるもののほか,役務や企業のイメージを向上させることを目的とする観念的・抽象的表現の標語も採択されているところであり,その場合,これらが,需要者により,自他役務の識別標識(商標)として認識・理解されるものと,単なる標語(キャッチフレーズ)の一種として認識されるにとどまるものがあるというのも実情である。
そこで,本願商標を見るに,その構成は前記のとおり,「夢ひろげるニューリテールバンク」の文字よりなるところ,各文字は,普通に用いられる方法で同書,同大,等間隔で表されており,「夢ひろげる」及び「ニュー」の各文字は,いずれもよく知られた平易な語句であって,「夢を広げる」及び「新しい」といった意味合いを容易に理解させるものである。
また,近年,中小企業や一般大衆を相手とした小口かつ多数の金融サービス取引が「リテールバンキング」と呼ばれ,主要銀行のほとんどが,「リテールバンキング」を経営における重要な柱として位置づけているところであり,かつ,「リテールバンク」の文字が,そのような業務を行う銀行を表すために広く一般に使用されている実情が認められ,本願商標に接する取引者,需要者は,構成文字全体より,「夢を広げる新しい小口取引銀行」という程の観念的・抽象的意味合いを認識,把握すると見て差し支えなく,もって本願指定役務に係る業務を含む請求人(出願人)業務の内容と関連づけて認識,理解する見るのが相当である。
しかして,前記意味合いを看取させるにすぎない本願商標をその指定役務に使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,自他役務の識別標識として認識するというよりは,むしろ,それを妨げる特別の事情がない限り,ごく自然に「夢を広げる新しい小口取引銀行」という企業イメージを表した標語(キャッチフレーズ)として認識,理解するというべきである。
そして,本願商標について前記認識,理解を妨げる特別の事情を見いだすことはできない。
してみれば,本願商標をその指定役務に使用しても,取引者,需要者は,顧客向けに企業イメージを訴えるためのキャッチフレーズの一類型と理解するにとどまり,それをもって自他役務の識別標識とは認識し得ないものであるから,結局,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。
請求人は,過去における登録例を挙げ,本願商標も十分に自他役務の識別標識力を有する旨述べるところあるが,請求人が挙げる登録例は,商標の具体的構成において,本願商標と事案を異にするものであり,本願商標の登録の適否を判断する基準とするには必ずしも適切でなく,それら事例をもって,前記認定が左右されるものではないから,請求人の主張は,採用の限りでない。
したがって,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当なものであって,これを取り消すべき限りでない。
よって,結論のとおり審決する。
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