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Trademark Appeal Case

周知作品の商標無効

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89047(T2005−89047/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4825911号商標(以下「本件商標」という。)は、「Deeplove」の欧文字と「ディープラブ」の片仮名文字とを二段に書してなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,香水類」を指定商品として、平成16年4月22日に登録出願、同16年12月17日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第117号証(枝番号含む)を提出した。

請求の理由

本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は商標法第46条第1項の規定により、無効にされるべきである。以下にその理由を述べる。

(1)商標法第4条第1項第7号該当について

(ア)本件商標は、その出願時において、書籍等の作品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者間に広く認識されていた題号「DeepLove」と同一であり、著者の許諾を得ることなく出願、登録されたものであるから、被請求人が本件商標を採択、使用することは、「Deeplove」の名声及びその顧客吸引力に便乗し、不正の目的を持って使用するものであり、公正な商品の取引秩序、すなわち、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるため、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(イ)著作物「DeepLove」の周知・著名性について

「DeepLove」は、請求人の代表取締役であるYoshiこと湯下善之が執筆した、女子高校生を主人公とした物語である。

「DeepLove」は、2000年5月に請求人である有限会社ザブンが運営する携帯サイト「ザブン」において連載が開始され、サイトヘのアクセス数が2,000万件に達した。

その後、書籍化され、2004年7月には販売部数200万部に達した。

また、ビデオや劇場版映画化もされて、ビデオの販売数は2004年5月までには2万本が販売されたし、映画も盛況であった。

さらに、テレビドラマ化や漫画化もされた。

(ウ)「DeepLove」の語は、著者であるYoshiが自ら創案した造語であり、イミダス(2005年版)にも掲載されている。

また、本件商標の出願時において、書籍、ビデオ、映画、漫画、テレビドラマ等の作品として「DeepLove」が周知であったことは、先に述べたとおりであるから、本件商標の出願時には「DeepLove」といえば、書籍、映画等の作品を想起・観念し、その出所を著者Yoshi及び請求人と認識し得たといえる。

さらに、被請求人が、主として使用許諾を受けた商標を使用した商品の企画、製造、販売を行っている企業であること、本件商標と周知・著名商標「DeepLove」とは、ほぼ同一であること。加えて、被請求人が、本件商標の登録後に、同一の商標を第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類及び第25類において出願していること等から、被請求人は、請求人商標の顧客吸引力にただ乗りする意図で本件商標を採択、出願したものであり、不正の目的及びひょう窃の意図を有していたと推認する。

また、周知商標である「DeepLove」には、著者及び請求人の活動に対する尊敬や信用が付加価値として備わっているため、本件商標を使用した商品は、それに接した一般消費者に、Yoshiや請求人を連想させ、その商品に本来は存在しなかった尊敬や信用を見いださせることで、購買意欲を誘発させる可能性があることから、本件商標をその指定商品に使用することは信義則に反するものであって、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号該当について

本件商標は、「DeepLove」の欧文字と「ディープラブ」の片仮名文字とを二段に書してなり、請求人が書籍等に使用する周知商標「DeepLove」と文字構成及び称呼が同一であること及び書籍等の作品「DeepLove」が、本件商標の出願時において周知となっていた事実は、前記したとおりである。

さらに、「DeepLove」に関する記事は、若者向けファッション雑誌「Cawaii!」、「SCawaii!」、「Boon」、「egg」及び「Popteen」等に掲載されている。

そして、本件商標の指定商品である香水等のファッション関連商品は、若者が日常最も関心を寄せるものである。

また、人気を博した書籍や映画の題名や登場キャラクター等の商品化は、一般的に行われている事実も多い。

そうとすれば、本件商標の指定商品の需要者には、作品「DeepLove」の主な需要者である女子高生を中心とした若者が当然含まれるため、その需要者層を共通にするものである。

そして、本件商標の指定商品である香水等のファッション関連商品は、若者が最も関心を寄せる対象商品の1つであり、若者が、香水などに付された商標に対して示す興味・関心の程度は、その幅広い需要者層の中において非常に高いことは経験的事実である。

さらに、本願指定商品中、被請求人が、主として製造し、取り扱う商品である香水をはじめ、化粧品、シャンプー等のせっけん類は、製造メーカーの名称とは別に、商品のライン毎に名称が付けられており、商品の需要者又は取引者は、その商品毎に付された名称をもって取り引きに当たるのが通常であること、また、実際に映画のタイトルが、そのまま付けられた香水も存在している。

したがって、作品「DeepLove」と同一である本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品があたかも請求人又は請求人と何等かの密接な関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 被請求人は、答弁していない。

4 当審の判断

(1)本件商標について

本件商標は、前記したとおり、「Deeplove」の欧文字と「ディープラブ」の片仮名文字とを二段に書してなり、その指定商品を第3類「せっけん類,香料類,化粧品,香水類」とするものである。

そして、該構成中の「Deep」の文字は、「深い」を意味し、同じく「love」の文字は、「愛」を意味する比較的平易な英語として、また、前記欧文字の下段に書された「ディープラブ」の片仮名文字は、その欧文字の読みを特定したものと見られ、各文字は、ともに我が国において広く一般に知られている語といえるから、本件商標よりは、「深い愛」の固有の親しまれた観念を生ずるものである。

請求人は、「DeepLove」の語は、請求人代表者が自ら創案した造語である旨主張するが、請求人代表者が、作品の題号として考え、採用したとしても、上記のように、「Deep」及び「love」の各語は、一般に広く知られている語であり、「DeepLove」の語自体が、「深い愛」を意味する熟語として、英和辞典にも掲載されている(例えば、「新英和辞典」第3刷・1998年発行)ことからすれば、直ちに親しまれた意味合いを認識し得ない造語であるとは、一概にいうことができない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当について

(ア)請求人の提出に係る甲各号証によれば、「DeepLove」(以下「引用標章」という。)は、請求人の代表者が執筆した、女子高校生を主人公とした物語の題号であり、2000年5月に請求人である有限会社ザブンが運営する携帯サイト「ザブン」において連載が開始され、その後、書籍、ビデオ、映画、漫画、テレビドラマ等に作品化され、その書籍及び映画化に関連する記事が、各種新聞、雑誌において紹介されたことが認められ、本件商標の出願(平成16年4月22日)時及び査定(平成16年12月17日)時には、上記作品の題号として、女子高校生を中心として相当程度知られていたものと認めることができる。

しかしながら、本件商標の指定商品「せっけん類,香料類,化粧品,香水類」と、引用標章が題号として使用される上記書籍、ビデオ等の商品とは、一般消費者をその需要者とするものの、それぞれの商品の生産者、販売者、取引系統、用途又は目的における関連性において明確な差異を有する商品と判断するのが相当である。また、引用標章が題号として使用される商品の需要者は、専ら女子高生を中心とする若者と認められ、本件商標の指定商品の需要者は、若者に限定されるものではないから、両者の商品の取引者及び需要者についても、共通性・関連性は、相当弱いものというべきである。

請求人は、人気を博した書籍や映画の題名や登場キャラクター等の商品化は、一般的に行われていることから、本件商標をその指定商品に使用した場合、その取引者・需要者に、当該商品があたかも請求人又は請求人と何らかの密接な関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある旨主張しているが、人気を博した書籍等について、常に商品化がされるとは限らないし、本件著作物の特定のキャラクター等を商品化し、それが知られているというような特段の事情も認められないから、この点に関する請求人の主張は、採用することができない。

(イ)上記(ア)で認定したとおり、引用標章は、本件商標の出願前より、請求人代表者による著作物の題号として、書籍、ビデオ、映画等について使用され、少なくとも、本件商標の出願時及びその査定時において、女子高生を中心とする需要者に相当程度知られていたことは、認められるものの、引用標章の独創性の程度は、本来的に「深い愛」の意味合いを認識させるにすぎないから、相当程度低いといわざるを得ないものであって、本件商標の指定商品と引用標章が題号として使用されている商品との関連性の程度もそれほど強いものとはいえないこと等を総合すると、商標権者が、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用標章を直ちに連想又は想起するとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的・組織的に、何らかの密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

(2)商標法第4条第1項第7号該当について。

本件商標は上記した構成よりなるところ、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な印象を与えるような文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標を指定商品について使用することが、社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとすべき事実は認められず、さらに、他の法律によってその使用が禁止されている事実も認められないから、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。

(3)結論

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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