結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2004−31286(T2004−31286/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
登録第1082781号商標(以下「本件商標」という。)は、「マッハ3 ハンディレザー」の文字を横書きにしてなり、昭和46年10月9日登録出願、第13類「かみそり」を指定商品として、同49年8月19日に設定登録されたものである。その後、同59年8月23日、平成6年10月28日及び同16年6月1日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、平成16年6月23日に指定商品を第8類「かみそり」とする指定商品の書換登録がされたものである。
請求人は、本件商標についてその登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
本件商標は、被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件商標を継続して3年以上日本国内において本件商標の指定商品に使用した事実がない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の要件を充足し本件商標の登録は、取消されるべきである。
(1)被請求人は、被請求人の100%子会社であり、被請求人のトイレタリー事業を扱う株式会社エフティ資生堂(以下「エフティ資生堂」という。)を通常使用権者として、本件商標と社会通念上同一の商標を、請求に係る商品中「レザー」「ハンディレザー」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用している事実があるから本件商標は取消されるべきではないと主張している。
しかし、被請求人の主張は、事実上あるいは理論上誤ったもので到底認めることが出来ない。
(2)被請求人は、本件商標の使用権者であるエフティ資生堂が商標権者である被請求人の100%出資の連結子会社であり(甲第1号証及び甲第2号)、被請求人はかかる100%出資会社による本件商標の使用について使用許諾を与えている。したがって、エフティ資生堂が本件商標の通常使用権者である旨述べているが、その主張を裏付けるに足りる証拠は何もない。また、被請求人の挙げる乙第1号証、乙第2号証にその事実を立証するに足りる記載は何もない。
周知のとおり親子関係会社を明らかにするための連結計算子会社は、他の会社により経営を支配されているものであり、法務省令で定める会社その他の団体をいうものである(商法特例法1条の2第4項)。そして委員会設置会社においては、取締役に指定された執行役に連結計算書類作成義務が課されている(商法特例法21条の32第1項)。
しかしながら、この連結計算書類は乙号証のいずれを見ても全く記載されておらず、被請求人の主張は全く立証されていない。してみると被請求人によるエフティ資生堂に対する使用許諾は何等認められず、商標原簿上その登録が無いことは当然のことである。
(3)乙号証商品カタログは、被請求人のものではなく、資生堂アメニティグッズ株式会社(以下、「資生堂アメニティグッズ」という。)のものであり、これ等商品はいずれも被請求人と関係がないのみならず、乙第3号証第2頁の資生堂アメニティグッズの会社概要、即ち4パラグラフ中の第3パラグラフで「さらに当社(アメニティグッズ株式会社)は“ご利用される方に快適をお届けする”ことをコンセプトに、資生堂製品にかぎらず、ホテルの客室用アメニティーグッズやパウダールーム用の小物・雑貨等も幅広く品揃えしており、皆さまの仕入業務のお役にたてるものと存じます。」(資生堂アメニティグッズの会社概要インターネットにも同様の記載がある。甲第3号証。)と記載している。
してみると、カタログ掲載の商品は特定性が無いことを被請求人も認めているところで、それは本件における被請求人の主張と明らかに相違するものであり、これ等商品をもって被請求人の製造販売にかかるものということは到底できない。
(4)被請求人は、上記にかかわらず本件商標を付した「【6】(黒丸内に「6」の数字が白抜きで配されている。)828590 レザー(マッハ3 1枚刃)及び【13】(黒丸内に「13」の数字が白抜きで配されている。)828930 レザー(マッハ 1枚刃)バラ」を業務用化粧品や客室用アメニティグッズを販売する被請求人のグループ企業カタログ商品であり(乙第5号証)、また乙第6号証には、4頁、12頁、44頁にFTSレザーマッハの記載があり、更に乙第7号証には、エフティ資生堂レザー、マッハ3、ハンディレザーの記載がある旨指摘しているが、これ等はいずれも資生堂アメニティーグッズの商品としての表示に係るものであり、被請求人の行為によるものでないことが明らかである。
もし被請求人が法的使用の主張をすることを欲するならば、使用権の設定登録をするか、あるいは共有持分の登録をすれば容易に問題を処理することが出来るにかかわらず、それら手続をしないでこじつけの理由を主張することは妥当でない。
(5)なお、本件商標は、「マッハ3 ハンディレザー」と一連に横書きしたものである。このような記載が被請求人商標として存在しないものであることはいうまでもないところである。
(6)エフティ資生堂から鹿児島共和株式会社等への売上伝票
ここでの売上伝票は数字で表示した商品のみで、商品自体の記載は何もなされていない。してみると、これ等伝票は数字の取扱いの証拠とはなり得ても、それ以外の何の立証にもなっていないのみならず、取扱商品がいずれの製造販売にかかるものかすら不明であることを証拠上自白しているのであるからそれが何の立証にもなり得ないものである。
結局、被請求人の主張は理由なく、証拠もまた不十分なものであるので採用に理由ないものである。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標の使用者であるエフティ資生堂は、商標権者である被請求人の100%出資の連結子会社であり(乙第1号証及び乙第2号証)、被請求人は、かかる100%出資子会社による本件商標の使用について使用許諾を与えている。したがって、エフティ資生堂が本件商標の通常使用権者である。
なお、被請求人とエフティ資生堂との間で書面による使用許諾契約はないが、取引の経験則上100%の資本を有する子会社に自己の登録商標が付された商品を販売させるにあたって敢えて書面で使用許諾契約を締結することはないのが通例であり、被請求人もこれに倣ったものである。また、そもそも使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要としない以上、書面による使用許諾契約が存在しないことは、特に問題とならない。
本件商標の通常使用権者であるエフティ資生堂は、本件商標を付した「レザー」「ハンディレザー」を主に業務用化粧品や客室用アメニティーグッズを販売する被請求人のグループ企業である資生堂アメニティグッズ(乙第3号証)に販売するほか、その他鹿児島共和株式会社(乙第4号証)等の卸売や同じく被請求人のグループ企業である株式会社ザ・ギンザ等に販売している。
その事実は、以下の乙第5号証ないし乙第9号証より明らかである。
(1)資生堂アメニティグッズ作成の商品カタログ
乙第5号証及び乙第6号証は、資生堂アメニティグッズが本件商標の付された商品を販売するために使用するカタログの写しであり、乙第5号証は2000年9月から、乙第6号証は2003年6月から使用されているものである。
乙第5号証には、以下の記載がある。
「【6】(黒丸内に「6」の数字が白抜きで配されている。)828590 レザー(マッハ3 1枚刃)」
「【13】(黒丸内に「13」の数字が白抜きで配されている。)8289 30 レザー(マッハ3 1枚刃)バラ」
また、乙第6号証には、以下の記載がある。
4頁:【16】(黒丸内に「16」の数字が白抜きで配されている。) R10901 FTSレザーマッハ3(H)ハコ」
12頁:「1ヶ函 R10901 FTSレザーマッハ3(H)
業務用バラ R11907 FTSレザーマッハ3(バラ)」
44頁:「R10901 FTSレザーマッハ3(H)1ヶ函
R11907 FTSレザーマッハ3 バラ」
さらに、乙第7号証として、上記カタログで販売されている商品の拡大コピーを提出する。かかる箱の裏面には、以下の記載がある。
エフティ資生堂レザー
マッハ3
<ハンディレザー>
本件商標は、カタカナ「マッハ3 ハンディレザー」を一連で横書きにしてなる商標であるが、乙第7号証に見られる上記のような二段書きでの使用も、本件商標の社会通念上同一性のある使用というべきである。
なお、乙第5号証及び乙第6号証のカタログ記載の商標のうち、「FTS」は通常使用権者である「エフティ資生堂」を表すもの、「レザー」部分はかみそりを表す英語の「RAZOR」をカタカナ読みしたものである。
また、上記商品「レザー」「ハンディレザー」は、請求に係る商品「かみそり」に含まれていることは明らかである。
(2)エフティ資生堂から鹿児島共和株式会社等への売上伝票
乙第8号証は、品番「828930」又は「828590」の商品が鹿児島共和株式会社、ダイカ株式会社秋田支店、株式会社ザ・ギンザヘと取引されたことを示すエフティ資生堂の売上伝票である。
乙第5号証の商品カタログから明らかなとおり、本件商標が付された商品「レザー」「ハンディレザー」の品番は「828590」もしくは「828930」であるから、かかる売上伝票より、上記カタログ掲載の各品番に対応する各商品が取引されたことが客観的に明らかである。
また、売上伝票に記載の日付もそれぞれ「020925」(2002.09.25)、「030108」(2003.1.8)、「030403」(2003.4.3)、「021022」(2002.10.22)、「030611」(2003.6.11)となっており、これらはいずれも本件審判の請求の登録前3年以内のものである。
なお、乙第5号証のカタログは、乙第6号証のカタログが発行される2003年6月まで使用されていたものであり、その期間の本件商標が付された商品「レザー」「ハンディレザー」の取引は、かかる品番「828590」もしくは「828930」で取引されていたものである。
また、乙第9号証は、上記取引を示すエフティ資生堂ロジスティクス部作成の売上げ表一覧であり、上記の取引がされていることを示すものである。
しかして、前記乙各号証と被請求人の主張を総合すれば、エフティ資生堂は、被請求人から本件商標の使用について許諾を受けた者、通常使用権者と認められるというのが相当である。
なお、連結子会社について、商法上、連結計算書類の作成義務があるとしても、本件審判において同書類が示されないことにより、前記認定を左右するものとはいえない。
(1)乙第3号証は、資生堂アメニティグッズのホームページの写しであるところ、この「会社概要」によれば、同社は被請求人のグループ企業の一であること、同社が業務用化粧品や客室用アメニティーグッズを販売すること、被請求人の製品を取り扱うことが認められ、乙第9号証をも併せみれば、エフティ資生堂の取引先であることが認められる。
そして、「取り扱い商品」欄の中には、「FTSレザーマッハ3(H)1ヶ函」「FTSレザーマッハ3 バラ」の表示とともに各商品の実物の写真が掲載されている。
(2)乙第5号証は、資生堂アメニティグッズの商品カタログの写しであるところ、その2枚目には、「828590 レザー(マッハ3 1枚刃)紙箱入」「828930 レザー(マッハ3 1枚刃)バラ」の記載があり、これに対応した商品の実物の写真が掲載されている。そして、その最下段末尾には「2000.9」の表示があり、同カタログが2000年9月に作成されたものと推認される。
(3)乙第6号証は、資生堂アメニティグッズの商品カタログの写しであるところ、その4頁には「FTSレザーマッハ3(H)ハコ」の記載とともに、これに対応した商品の実物の写真が掲載されている。また、同12頁には「FTSレザーマッハ3(H)」の記載とその商品実物が掲載されている。さらに、同44頁には、「FTSレザーマッハ3(H)1ヶ函」「FTSレザーマッハ3 バラ」の記載がある。そして、同カタログの後ろから2枚目の最下段の右端に「03.6」の表示があり、これより、同カタログが2003年6月に作成されたものと推認される。
(4)乙第7号証は、商品実物の写しと認められるところ、その商品包装の裏面には、「エフティ資生堂レザー」の文字の下段に「マッハ3」と「<ハンディレザー>」とが二段に表示されており、その下に図案化した欧文字とともに「株式会社エフティ資生堂」と「東京都中央区銀座7−5−5」の記載を認めることができる。そして、下段の商品実物の写しは、包装の表面に表された青色系の四角を「H」状にした図形からして、乙第6号証にいう「Hマークシリーズ」の一を示したとみられるものである。
(5)本件商標は、「マッハ3 ハンディレザー」の文字よりなるものである。しかして、その構成中「ハンディレザー」はハンディタイプのレザーを看取させ、商品の品質を表したと理解されるものであるから、自他商品の識別機能を果たす主要部は、「マッハ3」にあるというべきものである。してみると、乙第5号証及び乙第6号証のカタログに示された商標は、本件商標とその要部を共通にするといい得るものである。
そして、乙第7号証に示された商標は「マッハ3」と「ハンディレザー」とを二段に分けて表示しているが、本件商標と同じ文字をもって構成されるものであり、かつ、称呼を同じにするものであって、さらに、他の文字や図形から独立して自他商品の識別機能を果たし得るものであるから、前記の商標は、社会通念上本件商標と同一の商標と認めて差し支えないものというべきである。
(6)乙第8号証の1ないし5は、いずもエフティ資生堂の売上伝票の写しである。そして、乙第8号証の1ないし同3は鹿児島共和株式会社との間の売上に係るものであるところ、同伝票の商品コード/品名の欄には「レザーホテルヨウバラ1(N)」とともに「828930」の表示があり、この番号は乙第5号証に示された商品の番号と共通の番号であることから、同商品を示したものとみるのが相当である。また、年月日の欄には「020925」の記載が認められ、2002年9月25日を示すものとみるのが相当である。
さらに、乙第8号証の4及び5をみると、前者は、エフティ資生堂とダイカ株式会社との間の、また、後者は、株式会社ザ・ギンザとの間の売上に係るものであるところ、いずれも、商品コード/品名の欄には「レザーホテルヨウ1マイバ」とともに「828590」の表示があり、この番号は乙第5号証に示された商品の番号と共通の番号であることから、同商品を示したものとみるのが相当である。また、年月日の欄にはそれぞれ「021022」「030611」の記載が認められ、2002年10月22日、2003年6月11日を示すものとみるのが相当である。
そして、上記の事項は、乙第9号証のそれぞれの取引を示したとみられる欄の、「製品コード」「製品名」「得意先名」「年月」の各記載とも合致している。
してみれば、エフティ資生堂と鹿児島共和株式会社、ダイカ株式会社、及び株式会社ザ・ギンザとの間で、前記年月日に、本件商標と社会通念上同一の商標を付した商品「レザー」の取引がなされたものと推認し得るところである。
(7)上記の使用に係る商品「レザー」は、本件の取消請求に係る指定商品「かみそり」の範疇に属する商品というべきものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。