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Trademark Appeal Case

称呼類似性と近似音

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2004−90493(T2004−90493/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4770751号商標の指定商品中「薬剤」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4770751号商標(以下「本件商標」という。)は、「フローリン」及び「FLOWLINE」の文字を上下二段に表してなり、平成15年5月20日登録出願され、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」を指定商品として、同16年5月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要旨

(1)登録異議申立人「剤盛堂薬品株式会社」(以下「申立人」という。)は、登録第2469196号商標を引用して、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり、本件商標の登録は取り消されるべきであると申し立て、その証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証を提出した。

(2)登録異議申立人「第一製薬株式会社」(以下「申立人」という。)は、登録第2469196号商標、同第3066286号商標、同第3148614号商標、同第463748号商標及び同第4199763号商標(以下、「引用5商標」という。)を引用して、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり、本件商標の登録は取り消されるべきであると申し立て、その証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証(枝番を含む。)を提出した。

3 本件商標に対する取消理由

申立人の引用する登録商標は次のとおりである。

引用商標

(1)登録第2469196号商標は、「フラーリン」の文字よりなり、平成1年12月5日登録出願、第1類「薬剤」を指定商品として、同4年10月30日に設定登録、その後、第5類「薬剤」に書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである(以下「引用1商標」という。)。

(2)登録第3066286号商標は、「FLOREN」「フローレン」の文字を二段に書してなり、平成4年12月10日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同7年8月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである(以下「引用2商標」という。)。

(3)登録第3148614号商標は、「FLOLAN」の文字よりなり、平成5年6月2日登録出願、第5類「薬剤」指定商品として、同8年4月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである(以下「引用3商標」という。)。

(4)登録第463748号商標は、「FROMIN」「フローミン」の文字を二段に書してなり、昭和29年7月3日に登録出願、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同30年3月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである(以下「引用4商標」という。)。 そこで、本件商標と引用1商標ないし引用4商標の類否について検討するに、本件商標は、構成中の「フローリン」の文字より、「フローリン」の称呼を生ずることが明らかである。

一方、引用1商標ないし引用4商標は、それぞれの構成文字より「フラーリン」「フローレン」「フローラン」「フローミン」の各称呼が生ずるものである。

先ず、本件商標より生ずる「フローリン」の称呼と引用1商標より生ずる「フラーリン」、引用2商標より生ずる「フローレン」、引用3商標より生ずる「フローラン」及び引用4商標より生ずる「フローミン」の各称呼を比較するに、それぞれの称呼は共に第二音目に長音を伴う4音構成からなるものであり、「フローリン」と「フラーリン」とは、第2音目において「ロ」と「ラ」の音を異にし、「フローリン」と「フローレン」「フローラン」及び「フローミン」とは第3音目において「リ」と「レ」、「ラ」及び「ミ」の音を異にするものである。

そして、上記差異音「ロ」と「ラ」及び「リ」と「レ」及び「ラ」は、「ラ」行に属する近似音であり、「ラ」と「ミ」は、母音(i)を共通にするものであるから、これらの差異は、それぞれの称呼全体に及ぼす影響が少なく、それぞれ一連に称呼したときは彼此聞き誤るおそれがある商標といわざるを得ない。

してみると、本件商標は、(1)ないし(4)の引用各商標と称呼上類似の商標であり、また、本件商標の指定商品と(1)ないし(4)の引用各商標の指定商品とは同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

商標権者は、以下のように主張し、その証拠として乙第1号証ないし同第37号証を提出している。

(1)本件商標と引用各商標とを対比すると、両者は互いに商標の態様を異にしているので、外観において彼此互いに紛れるおそれはない。また、観念についても、引用各商標並びに本件商標からは対比するべき特定の観念は生じておらず、観念において混同を生ずることはない。

(2)称呼についてみると、本件商標からは、片仮名表記の「フローリン」の称呼が生じ、また、英文字の「FLOWLINE」からも、片仮名「フローリン」の振り仮名によって「フローリン」の称呼のみが生ずる。

引用1商標からは、「フラーリン」の称呼が生じ、本件商標の称呼と対比すると、両者は、第3音において「ロ」と「ラ」の相違がある。「ロ」音は、舌面を硬口蓋に近づけ、有声の気息を通じて発する子音「r」と母音「o」との結合した内にこもるような音であるのに対し、「ラ」は舌面を硬口蓋に近づけ、舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声子音「r」と母音「a」との結合した明るい音であり、両者は互いに聴別し得る音である。

引用2商標は、その片仮名の態様から「フローレン」の称呼が生ずる。本件商標の称呼と対比すると、両者は第3音において「リ」と「レ」の相違があり、かかる相違について異議決定理由や審決は、3音〜5音程度の短い音構成より成る場合、全体に及ぼす影響は大きく、互いに聴別出来ると教示している。

引用3商標からは、その英文字の発音から「フローラン」の称呼が生ずる。本件商標の称呼と対比すると、両者は第3音において「リ」と「ラ」の相違がある。両者は子音「r」が50音図中の同行音に属する近似した音素とはいえるが、その帯有母音において「リ」の母音「i」と「ラ」の母音「a」とは、前者が舌面位置の高い小開き母音であるのに対し、後者は舌面位置の低い大開母音であって、両母音は音質的に相当異なるものであり、聴別し得るものである。

引用4商標からは、その片仮名の態様から「フローミン」の称呼が生ずる。本件商標の称呼と対比すると、両者は第3音において「リ」と「ミ」音の相違がある。「リ」音は、舌面を硬口蓋に接触させ有声の気息を鼻腔に通じて発する比較的強い音であるのに対し、「ミ」音は、両唇を密閉して有声の気息を鼻腔に通じて発する比較的弱い音であるから、両音は互いに音質を異にし、聴別し得るものである。

以上のとおり、本件商標の称呼と引用商標の各称呼を対比すると、いずれも長音「ー」を挟んで前後いずれかの音が一音相違している。各音の発音上の相違に起因する称呼上の聴別性については前記のとおりであるが、称呼が5音以下の比較的短い音から構成されている場合においては、長音「ー」を挟んで存在する一音の相違は明確に聴別出来るものであり、相違する音に長音が付加されていることより、更にその相違は明確になるものである。

(3)商標権者は、商標「フローリン」「不老林」「FLOWLINE」を長年にわたって使用してきている。その結果、当業者はもちろんのこと、消費者取引社の間においても、商標「フローリン」「不老林」「FLOWLINE」は広く知られている。

また、「フローリン」及び「不老林」の文字を2段に併記した登録第4763518号商標(以下、単に「不老林商標」という。)の異議決定において、不老林商標は、前記引用各商標と類似しないと決定している。

5 当審の判断

本件商標は、前記したとおり「フローリン」の片仮名文字と「FLOWLINE」の欧文字を二段に書してなるところ、上段の「フローリン」の片仮名文字は、下段の「FLOWLINE」の欧文字の読みを特定するものといえるから、本件商標よりは、「フローリン」の称呼を生ずるものである。

そして、全体として特定の意味合いを看取できるものでなく、構成文字全体をもって一種の造語を表したものと把握されるというのが相当である。

他方、申立人が引用する引用1商標ないし引用5商標は、それぞれの構成文字より「フラーリン」「フローレン」「フローラン」「フローミン」及び「フロウジン」の各称呼が生ずるものである。

そこで、先ず本件商標より生ずる「フローリン」の称呼と引用2商標「フローレン」の称呼を比較するに、「フ」「ロー」「ン」の3音を共通にし、第3音における「リ」と「レ」の音の差異を有するところ、該差異音は、50音図中「ラ」行に属する同行音である上に、その帯有する母音[i]と[e]が調音位置、調音方法が近似するものであり、また、両称呼全体においては第2音「ロ」に長音が伴っていることより「ロー」音が他の音より強く発音されることを併せ考慮すると、該差異音は明確には聴取されない音となり、両者を一連に称呼するときは、全体の語調語感が相似たものとなり、称呼において類似する商標といわざるを得ない。

してみれば、本件商標と引用2商標とは、類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品中「薬剤」と引用2商標の指定商品とは同一のものである。

次に、引用5商標「フロウジン」の称呼を比較するに、両称呼は、「フロー」と「フロウ」の音が近似するものの、他の「リン」と「ジン」は音質が異なるから十分に聴別し得るものと認められる。

また、本件商標より生ずる「フローリン」の称呼と引用1商標より生ずる「フラーリン」、引用3商標より生ずる「フローラン」及び引用4商標より生ずる「フローミン」の各称呼を比較するに、それぞれの称呼は共に第二音目に長音を伴う4音構成からなるものであり、「フローリン」と「フラーリン」とは、第2音目において「ロー」と「ラー」の音を異にし、「フローリン」と「フローラン」及び「フローミン」とは第3音目において「リ」と「ラ」及び「ミ」の音を異にするものである。

そして、上記差異音「ロー」と「ラー」及び「リ」と「ラ」は、「ラ」行に属する近似音であるとしても、長音を伴う前者は一連に称呼するときに強く発音される事情、及び帯有する母音[o]と[a]、[i]と[a]においてもその調音位置、調音方法を異にし、また、「リ」と「ミ」は、母音(i)を共通にするとしても「リ」音は、舌面を硬口蓋に接触させ有声の気息を鼻腔に通じて発する比較的強い音であるのに対し、「ミ」音は、両唇を密閉して有声の気息を鼻腔に通じて発する比較的弱い音であるから、これらの差異は、それぞれの称呼全体に及ぼす影響が大きく、それぞれ一連に称呼したときはその語調語感が相違し、十分聴別し得るものというべきである。

さらに、本件商標と引用1商標、引用3商標及び同4商標は、共に特定の語義を有しない造語と認められるので、外観及び観念においても何ら紛れるおそれもない。

以上に述べたとおり、本件商標は、引用2商標と類似の商標と認められ、本件商標の指定商品中「薬剤」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。

しかしながら、本件商標は、引用1商標、引用3商標ないし同5商標とは非類似の商標と認められるから、その理由をもってその登録を取り消すべき限りでない。

なお、登録権者は、不老林商標について言及しているが、本件商標とその文字の態様を異にするものであり、また、該異議決定によると引用各商標と彼此聞き誤るおそれがある旨の記載が認められ、その主張は採用することができない。

よって、結論のとおり決定する。

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