Trademark Appeal Case
レンズ加工と結晶研磨の役務類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第14355号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「S−TECH」と「エス・テック」の文字を上下二段に書してなり、第40類「電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼戻し,溶融めっき,宝飾品の加工,眼鏡の加工」を指定役務として、平成6年10月24日に登録出願されたものである。その後、指定役務については、平成9年5月26日付手続補正書をもって、「宝飾品の加工,眼鏡の加工」に補正し、さらに、平成9年9月24日付手続補正書をもって、「眼鏡用レンズ加工」に補正しているものである。
2 原査定の引用商標
原査定において本願商標の登録の拒絶の理由に引用した登録第3185355号商標は「エステック」の文字を書してなり、第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。)の取次ぎ,裁縫,裁縫の取次ぎ,ししゅう,ししゅうの取次ぎ,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼戻し,溶融めっき,金属の研磨,光学結晶の研磨,映画用フィルムの現像,映画用フィルムの現像の取次ぎ,写真の引き伸ばし,写真の引き伸ばしの取次ぎ,写真の焼付け,写真の焼付けの取次ぎ,写真用フィルムの現像,写真用フィルムの現像の取次ぎ」を指定役務として、平成4年9月29日に登録出願、同8年4月30日に設定登録がなされているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、前記したとおりの構成からなるところ、その構成文字に相応して「エステック」の称呼を生ずること明らかである。
他方、引用商標は、前記したとおりの構成からなるところ、その構成文字に相応して「エステック」の称呼を生ずること明らかである。
(2)指定役務の類否について
請求人は、「引用商標の指定役務中の『光学結晶の研磨』は、『光学器械器具に属する特殊用途な光学電動部品のレンズ、プリズム、偏光版などの材料の研磨』の意として理解しえるものであり、これらの役務は、特殊なものであって、商標が使用される役務は限られた特殊な業者であるのに対し、本願の補正後の役務『眼鏡用レンズ加工』は、レンズ高精度玉型加工であり、視力にあったレンズ・データを入力し、フレーム枠に最適なレンズを入れるための設計と高精度な加工業務に係る役務を行っているものであるから、商標が使用される役務は主として一般の需要者であることからすれば、両者の役務は顕著な差をするものである。」旨主張している。
確かに、請求人提出の証拠(「現代商品大辞典」の「新素材商品」の項によれば、「光学結晶(opticalcrystal)」は「レンズ、プリズム、偏光板等の受動部品として広く用いられてきた。」「将来の光産業時代を目指して光機能デバイス用光学結晶の開発が進展している。」等の記載が認められ、一般の眼鏡店において行われている「鏡用レンズの加工」と、専門の工場によって行われている「光学結晶の研磨」は、その需要者が異なる場合もあると考えられる。
ところで、役務の類否を判断する場合には、役務の提供の手段、目的又は場所の同一性、需要者の範囲の同一性、業種又は事業者の同一性、規制する法律の関連性、役務の提供の用に供する物品の関連性等を総合的に考慮し判定すべきであると解される(特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」社団法人発明協会 平成4年3月23日改訂発行参照)。
これを本件についてみるに、例えば、岩波書店発行「広辞苑」(第5版)によれば、「ガラス【glasオランダ・硝子】」は、「石英・炭酸ナトリウム・石灰石などを原料として、高温度に熱して溶融し、冷却して製した硬く脆もろく透明な物質。着色には金属の酸化物を混ずる。用途が多く、種々の器具・建材に製する玻璃はり。広義には、融点以上の高温で溶融した物体を急冷・固化させた等方性無定形物質。」と、「レンズ【lensオランダ・イギリス】」は、「光の屈折作用を示す透明体。球面と球面、または球面と平面とを両側面とする。あるいは、それを数個組み合せたもの。ふつう、ガラスを精密に研磨して作り、中央部分の厚いものを凸レンズ、薄いものを凹レンズという。光学装置に使用。」と、また、「こう−がく【光学】」は、「光の性質を研究・応用する物理学の諸部門の総称。光の諸側面に応じて、幾何光学・物理光学・分光学などがある。メーザー・レーザーの発明によって発展した量子光学を含める。」と、「けっ−しょう【結晶】」は、「原子が規則正しく周期的に配列してつくられている固体。日常的には単結晶を意味することが多い。」と、さらに、「か−こう【加工】」は、「人工を加えること。細工すること。原材料に手を加えること。『−品』」と、また、「けん−ま【研磨・研摩】」は、「とぎみがくこと。研削けんさく。『レンズの−』を意味する語とされている。
そうとすれば、「眼鏡用レンズ」と「光学結晶」とは、共に、「光を通す透明な物質」と認識・理解されるものであり、「役務の提供の用に供する物品」という点からみて少なからぬ関連性が認められる。また、「加工」と「研磨」の語は、「レンズの加工」とも「レンズの研磨」とも使用されていることよりして、この種業界にあっては、両者はほぼ同義で使用されていることもあわせ考えると、同一又は類似する原材料の加工・研磨という役務の提供の手段も類似するものといえる。
そうすると、補正後の本願の指定役務「眼鏡用レンズの加工」と、前記「光学結晶の研磨」とは密接な関係があるといことができる。
かかる事情の下で、この両役務について同一又は類似の商標が使用された場合には、これに接する取引者、需要者がその役務の出所について混同を生ずることは必定である。
したがって、本願商標及び引用商標の指定役務とは類似するものとのいわざるを得ない。
(3)以上のとおり、本願商標と引用商標とは、外観、観念に差異を有するとしても、「エステック」の称呼を共通にする類似の商標であって、かつ、両商標の指定役務は類似のものと認められるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
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