Trademark Appeal Case
図形商標の要部認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90172(T2005−90172/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4830306号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「洋服,コート,セーター類,Tシャツ,スポーツシャツ,靴下,手袋,ネッカチーフ,バンダナ,マフラー,帽子,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴 」を指定商品として、平成16年6月9日に登録出願、同17年1月7日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の(1)(ア)及び(イ)の登録商標を引用して、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同11号、同15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標
(ア)登録第3273031号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第25類「被服(和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成6年5月25日に登録出願、同9年3月12日に設定登録されたものである。
(イ)登録第3278984号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、第25類「被服(和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成6年6月6日に登録出願、同9年4月11日に設定登録されたものである。
以下、これら引用商標をまとめていうときは、「引用各商標」という。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第11号について
本件商標は、頭部にニット製の帽子をかぶり前面を向いた人物の図形から構成されるところ、その帽子の前頭中心部に配された「D」の装飾文字は、需要者の注意を引くものであり、かつ、引用A商標及び引用B商標の「D」の装飾文字と酷似するものである。
そして、引用A商標及び引用B商標は、米国のメジャーリーグに所属する、デトロイト・タイガースのチームロゴとして、世界的に周知・著名性を有するものである。
そうとすれば、両商標は、外観上類似するものであり、かつ、両商標より、それぞれ生ずる「ディー」の称呼及び欧文字「D」の観念においても類似する商標である。
また、本件商標の指定商品は、引用A商標及び引用B商標が、永年使用してきた商品「被服、かばん類」と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して、登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標の人物が着用している帽子への装飾文字の付されかたが、申立人の帽子への付される態様と同一であるところからして、本件商標に接する取引者・需要者は、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して、登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
商標権者は本件商標を、引用A商標及び引用B商標の著名性にフリーライドする目的で使用するものと推認し得るものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して、登録されたものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、頭部に「D」の装飾文字を付けたニット製の帽子をかぶり、両足にはいた靴を真横に開き、だらりと下げた両手の人差し指を左右の靴の上部に当てており、また、左右に開いた上着の間には、シャツのデザインと思しき二本横線がのぞき見られ、ベルトの真ん中には、横楕円形の中に特異な形状を描いたバックルをつけ、目の部分も特異な形状で描き、歯をむき出しにして笑う、極めて不気味な面相の特異な人物図形からなるものである。
また、上記人物図形が、特定の称呼、観念を生ずるほどに、一般によく知られた事物・キャラクター等を表したものであるとする事実も見いだし得ないところから、本件商標は、特定の称呼及び観念を生じ得ないものと判断するのが相当である。
しかして、本件商標のような特異な人物図形に接する取引者・需要者は、これを一体的なものとして、認識し把握すると見るのが相当であり、また、図形中のニット製の帽子に描かれた小さな「D」の装飾文字部分は、全体の構成図形中に埋没しており、「D」の装飾文字部分のみが、特別に看者の注意を強く引くと見るべき特段の事情も認められないから、構成中の「D」の装飾文字部分のみが、独立してもなお、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るとすべき理由は見当たらないところである。
そうすると、本件商標中の「D」の装飾文字部分が独立して、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るとして、本件商標と引用各商標より生ずる「ディー」の称呼、欧文字「D」の観念及び両商標の装飾文字部分が外観上類似するという、申立人の主張は、その前提を欠くものといわなければならない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観及び観念において比較し得ないものである。
さらに、両商標は、ほかに類似すると見るべき理由は、存在しない。
したがって、本件商標と引用各商標は、その称呼、外観及び観念のいずれにおいても、非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して、登録されたものではない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人提出に係る甲各号証によれば、引用各商標が、申立人の業務に係る商品及び役務について使用する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されているという事実は認められるものの、引用各商標の周知性を加味したとしても、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれよりしても、類似しない別異の商標であることは、上記認定のとおりである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して、登録されたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人提出に係る甲各号証によれば、引用各商標が、申立人の業務に係る商品及び役務について使用する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されているという事実は認められものの、上記したとおり、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれよりしても、商標の構成上、別異の商標であると見るのが相当である。
そうとすれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用各商標ないしは申立人を連想、想起するようなところは認められず、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して、登録されたものではない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、前記したとおり、引用各商標とは、類似しない商標であって、他に混同を生ずるとすべき特段の理由を見いだせないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものとはいい得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して、登録されたものではない。
(5)結論
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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