Trademark Appeal Case
周知商標の立証責任
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90282(T2005−90282/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4844356号商標(以下「本件商標」という。)は、「地区宅便」と「ちくたくびん」の文字とを上下二段に横書きしてなり、平成16年10月18日に登録出願、第35類及び第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同17年3月11日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
ア 商標法第4条第1項第7号該当について
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)等多数人が参画して設立している「株式会社地区宅便東京」が登録を受けるべきであるところ、本件出願人の冒人出願行為、剽窃的行為により登録出願されたものであり、横取り的な出願及び登録行為を国家の法制のもとに登録保護することになると、本件商標に関して本件出願人よりもより一層密接な関係を有する申立人等多数人が参画して設立している「株式会社地区宅便東京」の利益を多大に害し、その結果、社会の一般的道徳観念に反する。
イ 商標法第4条第1項第8号該当について
本件商標は、申立人等多数人が参画して設立している「株式会社地区宅便東京」の名称を含むものであり、本来、申立人等が登録を受けるべきものであるにもかかわらず、これを本件出願人の冒認行為、剽窃的行為により登録出願されたものである。
ウ 商標法第4条第1項第10号該当について
本件商標は、申立人等の会社「株式会社地区宅便東京」の業務である物品の運送等の役務に「地区宅便東京」として使用され、また、かつて申立人を含む協同組合員の全員が物品の運送等の役務に「地区宅便」として組合員各自が使用していたものであり、申立人等が使用する物品の運送業務等にかかる役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている「地区宅便東京」あるいは「地区宅便」なる商標と類似する商標である。
エ 商標法第4条第1項第15号該当について
本件商標は、申立人等の会社「株式会社地区宅便東京」の業務である物品の運送等の役務に「地区宅便東京」として使用され、また、かつて申立人を含む協同組合員の全員が物品の運送等の役務に「地区宅便」として組合員各自が使用していたものであり、申立人等が使用する物品の運送等にかかる役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であるので、本件商標を、本件商標の各指定役務を表示するものとして使用すると、これが申立人等多数人が参画して設立している「株式会社地区宅便東京」の役務と経済的又は組織的に何等かの関係があるものと誤認され、需要者が出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標は、「地区宅便」及び「ちくたくびん」の文字よりなるところ、本件商標は特定の観念を生じない造語からなるものとみるのが相当である。
(2)申立人提出に係る甲各号証に徴すると、平成7年8月23日付けの「LOGISTICS NIPPON」に、「協同組合地区宅便」が「メール宅配便の配送品質向上を目指し、端末機30台を含む管理システムを、組合員と協力会社に導入、・・・整えた。地区宅便では、これを機に組織的な体制づくりに力を入れ、事業部を発足させるとともに統一ネーミングを決める計画で、・・・全力投入する。」との記事が掲載されたこと(甲第5号証)、サービスエースの標章を付した協同組合地区宅便のパンフレット(作成日は不明)があり、これの表紙には「地区宅便」の文字が「協同組合」の文字に比して大きく、太字で表示されていること(甲第2号証)、「株式会社地区宅便東京」なる法人が昭和55年4月1日に設立登記され、平成17年1月21日現在存続していること(甲第3号証及び同第6号証)が認められる。
しかしながら、「地区宅便東京」あるいは「地区宅便」が、本件商標の登録出願前において既に、申立人等の会社「株式会社地区宅便東京」あるいは「協同組合地区宅便」の著名な略称であったと認めるに足りる証左は見いだせない。
また、「地区宅便」あるいは「地区宅便東京」の文字からなる商標が、本件商標の登録出願前において既に、申立人を含む協同組合員が物品の運送等の役務に使用していた商標として、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認め得るに足りる証左も見いだせない。
(3)してみると、本件商標が他人の著名な略称を含むものであるとする申立人の主張は、その前提を欠くといわざるを得ないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(4)さらに、申立人の引用する商標「地区宅便」は、本件商標の登録出願前、需要者の間において広く認識されるに至っていたものとは認められないこと前記(2)のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
(5)前記甲第5号証の記事からすると、平成7年8月23日当時、「協同組合地区宅便」という団体が存在したことが認められ、「組織的な体制づくりに力を入れ、事業部を発足させるとともに統一ネーミングを決める計画」であったことが窺えるとしても、その後の当該団体や前記計画の経緯等は明らかでない。また、本件商標権者がこれらにどのような関わりがあったかも定かではない。
しかして、本件商標が「協同組合地区宅便」の上記計画等に由来して採択され登録出願されたものと断じ得る証拠はなく、また、「株式会社地区宅便東京」に係る標章に由来して採択され登録出願されたとする証拠もない。
そうとすれば、本件商標は、申立人の主張するような冒認出願行為や剽窃的行為という社会的に到底是認し得ない行為により商標登録を受けたものであると断ずることはできないというべきであるから、公序良俗に反するものとはいえない。他に本件商標が公序良俗に反するものとすべき理由はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)前記(2)のとおり、申立人の引用する商標が周知であったとはいい難いものであるから、本件商標を指定役務に使用しても、これに接する需要者が、「地区宅便東京」あるいは「地区宅便」を想起し連想して、当該役務を申立人等多数人が参画して設立している「株式会社地区宅便東京」の役務と経済的又は組織的に何等かの関係があるものと誤信し、その出所について混同するおそれがあるとは認められないと判断するのが相当である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(7)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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