Trademark Appeal Case
称呼類似性「ナビセル」
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90403(T2005−90403/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4860958号商標(以下「本件商標」という。)は、「ナビセル」の片仮名文字と「NAVICEL」の欧文字を二段に書してなり、平成16年8月24日に登録出願、第1類及び第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年4月28日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第606279号商標は、「AVICEL」の文字を横書きしてなり、昭和36年8月11日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同38年2月28日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品については、第1類、第5類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換の登録が平成17年3月16日にされたものである。
同じく登録第1496484号商標は、「アビセル」の文字を横書きしてなり、昭和51年6月4日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年1月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品については、第1類、第5類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換の登録が平成15年3月12日にされたものである。
同じく登録第4206531号商標は、「AVICEL−PLUS」の文字を標準文字で書してなり、平成9年8月12日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年10月30日に設定登録されたものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標より生ずる「ナビセル」の称呼と引用商標より生ずる「アビセル」の称呼とは、語頭音における「ナ」と「ア」に差異を有するところ、本件商標の語頭音「ナ」は、鼻子音「n」と母音「a」が結合したものであって、前記「n」は弱音であるため、母音「a」が強く発音され聴取される音である。そうすると、引用商標の語頭音「ア」とは、極めて近似するものであり、両商標は称呼上類似する商標である。そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり、取り消すべきものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の商品「結晶セルロース」の商標として、昭和38年から現在に至るまでの40年以上にわたって使用され、当該商品に係る分野において、周知・著名商標となっており、これと称呼において類似する本件商標がその指定商品中「化学品」に使用された場合には、申立人ないしその関連会社の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであり、取り消すべきものである。
(3)商標法第4条第1項第7号及び第19号について
本件商標は、上記したとおり、周知・著名となっている引用商標と酷似した称呼の生じる「NAVICEL(ナビセル)」の文字からなるものであるところ、その採択・使用に当たって、申立人の何らの承諾を受けているものではない。
すなわち、本件商標は、国際的に著名な申立人及び引用商標の信用を不当に利用しようとするものであり、正当な商習慣に反し、かつ、国際信義に反するものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び第19号に違反してされたものであり、取り消すべきものである。
(4)申立人は、証拠方法として、甲第1ないし第26号証を提出している。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、構成各文字は、外観上まとまりよく一体に表現されていて、片仮名文字部分が欧文字部分の読みを特定したものとみても不自然ではなく、しかも、全体をもって称呼してもよどみなく一連に称呼できるものである。そして、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の一種の造語よりなるものと認識し、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、「ナビセル」の一連の称呼のみを生じ、既成の親しまれた観念を有しないものといわなければならない。
一方、引用商標は、上記2のとおりの構成からなり、それぞれより「アビセル」の称呼を生じ、特定の観念を有する成語とはいえないものである。
しかして、本件商標から生ずる「ナビセル」の称呼と引用商標から生ずる「アビセル」の称呼とは、いずれも4音という短い音構成にあって、称呼の識別上重要な要素を占める第1音において「ナ」と「ア」の音に差異を有し、この差異が短い音構成の全体に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼した場合においても、全体の音感音調が異なったものとなり、彼此明瞭に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標とは、上記の構成からみて外観及び観念においても相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人より提出された証拠によれば、申立人の所有する引用商標がその業務に係る商品「結晶セルロース」の商標として使用されていることは認められるが、提出に係る証拠のみによっては、引用商標が我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものとは認められない。加えて、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、非類似の別異のものであることから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはなく、該商品が申立人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第7号及び第19号について
上記(1)及び(2)のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であり、本件商標が引用商標のもつ顧客吸引力を不当に利用したり、正当な商習慣に反し、かつ、国際信義に反するものとは到底いい難く、また、不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び第19号に該当するものともいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、第15号、第7号及び第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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