Trademark Appeal Case
語尾の微差による称呼・外観類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−22522(T2003−22522/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「SOLMIRA」の欧文字を標準文字で書してなり、第5類「遺伝性疾患または遺伝性障害治療薬,血管形成疾患または血管形成障害治療薬,眼疾患または眼障害治療薬,炎症性疾患または炎症性障害治療薬およびその他の薬剤」を指定商品として、2002年3月28日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条の規定による優先権を主張して、平成14年9月27日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3329597号商標(以下「引用商標」という。)は、「ソルミラン」の片仮名文字と「SOLMIRAN」の欧文字を二段に併記してなり、平成7年5月9日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同9年7月4日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
本願商標は、「SOLMIRA」の欧文字を標準文字で書してなるところ、これが特定の意味合いを有する既成語を表したものとはいえないことから、該構成文字に相応して、英語風発音にて「ソルミラ」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、「ソルミラン」の片仮名文字と「SOLMIRAN」の欧文字を二段に併記してなるところ、これが特定の意味合いを有する既成語を表したものとはいえず、該構成文字に相応して、「ソルミラン」の称呼を生ずるものである。
そして、本願商標に係る指定商品は、第5類「遺伝性疾患または遺伝性障害治療薬,血管形成疾患または血管形成障害治療薬,眼疾患または眼障害治療薬,炎症性疾患または炎症性障害治療薬およびその他の薬剤」であり、引用商標に係る指定商品は、第5類「薬剤」であるから、両商標の指定商品は、いずれも「薬剤」であって、同一又は類似するものである。
ところで、商標の類否は、商品の取引の実情を明らかにし得るかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当とされるところ、近時、医療現場において、名称の誤認による薬剤の取り違えで、患者が重症に陥ったり、死亡するに至る事故が相次ぎ、厚生労働省においても、医療関係者に対し、医薬品等の安全対策について情報提供すると共に、すべての医療用医薬品に識別用バーコードを付与したり、特許が切れた新薬と同じ成分を使って開発メーカー以外の複数のメーカーがつくる「後発医薬品」について、今後申請される品名を薬の正式名称で統一する方針を検討しているところである。
また、医療現場以外の薬局店における需要者は一般の人々といえるものである。
これらを踏まえた上で、本願商標と引用商標の類否について検討するに、本願商標より生ずる「ソルミラ」の称呼と引用商標より生ずる「ソルミラン」の称呼とは、語尾における「ン」の音の有無の差異を有するのみである。
そして、この「ン」の音は、鼻音の弱音であり、明確に聴取され難い語尾に位置することと相俟って、該差異が称呼全体に及ぼす影響は小さいものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに相紛らわしいものというのが相当である。
さらに、引用商標の構成中、上段の「ソルミラン」の片仮名文字部分は、下段の「SOLMIRAN」の欧文字部分の称呼を表したものとして認識され、把握されるとみるのが自然であり、これに接する需要者が、「SOLMIRAN」の欧文字部分に着目して取引にあたる場合も少なくないというべきであるところ、本願商標と引用商標の欧文字部分は「SOLMIRA」の文字列を共通にし、わずかに語尾部分の「N」の有無の差異を有するにすぎないから、該欧文字部分における外観も類似するといわざるを得ない。
また、両商標は共に特定の意味合いを有しない造語と認められることから、観念の差異が称呼及び外観の類否判断に影響を及ぼすということもない。
そうとすれば、本願商標と引用商標は、外観及び称呼において類似する商標であるというのが相当であり、かつ、前記のとおり、本願商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができないとした原査定は妥当であって、これを取り消すことができない。
請求人(出願人)は、「(1)日本語の発音方法では、「ホームラン」「ロングラン」等のように、語尾音「ン」が明瞭に発音される場合が少なくない。(2)外来語であって新しく取り入れられたもののうち、3拍以上の名詞の場合には、通常、語尾から3番目にアクセントの頂点がくる。」旨述べ、過去の審査例を挙げている。
しかしながら、(1)に掲げられたものは、特定の意味合いを有する既成語についての事例であり、造語である本願商標と引用商標の類否判断の参考とするには適切でなく、仮に、(2)のような外来語のアクセントに関する法則があったとしても、直ちにこれが本願商標及び引用商標にあてはまるものとも認め難いものであるから、これらの点についての請求人(出願人)の主張は採用することができない。
また、請求人(出願人)の挙げる審査例も、2音と3音という極めて短い音構成からなり、欧文字表記と片仮名表記という外観上の差異等もある事例及び「薬剤」以外の商品を指定商品とした事例であるから、いずれも採用することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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