Trademark Appeal Case
POLO商標の著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第8442号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類,化粧品,歯みがき,靴クリーム,靴墨」を指定商品として、平成6年12月2日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、本願商標は商標法第4条第1項11号及び同法第4条第1項15号に該当する、との理由をもって本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)「POLO」商標及び「ポロ(図)商標」の著名性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行の「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行の「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」の前身,以下、「ポロ社」という。」)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国において、ラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」(又は、「Polo」)の文字又は同文字に「by RALPH LAUREN」の文字及びポロ競技者の図形(以下、「ポロ(図)商標」という。)を組み合わせた商標(以下、これらを一括して「POLO商標」という。)が用いられ、この商標は「ポロ」の称呼(略称)をもって呼び交わされていることが認められる。
そして、株式会社洋品界昭和55年4月発行の「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行の「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」、「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行の「dansen男子専科」、前出の「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行の「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行の別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行の「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出の「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年6月発行の「流行ブランド図鑑」に「POLO」、「Polo」、「ポロ」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
さらに、前出の「男の一流品大図鑑」、同「世界の一流品大図鑑’80年版」、同「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」等の事典類並びに昭和53年2月16日付「日本経済新聞(夕刊)」及び平成1年5月19日付「日本経済新聞(夕刊)」の新聞広告ないしは報道記事によれば、「ポロ(図)商標」は、「Polo」又は「by RALPH LAUREN」の文字とともに、これら日刊新聞に全面広告として掲載されていることが認められ、さらには、馬に乗ったポロ競技者が打球棒を振り上げている様を表現した図形、すなわち「ポロ(図)商標」を「ポロプレーヤーマーク」と称して扱っている報道記事が認められる。
なお、ポロ社又はラルフ・ローレンに係る「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標並びに「ポロ(図)商標」について、上記認定とほぼ同様の事実を認定した東京地方裁判所判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日判決言渡)及び東京高等裁判所判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上、認定の事実を総合し、かつ、上記判決の趣旨も併せ考慮するに、「ポロ(図)商標」を含む「POLO商標」は、我が国においては、遅くても昭和55年頃にはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、衣料品、靴及びかばん類等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。
(2)商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、別紙に表示したとおり、「Polo」及び「Club」の欧文字の間に「馬に乗ったポロ競技者が打球棒を振り上げている様を表現した図形」を配してなるものである。
そして、本願商標は、その構成中に前述(1)において、その著名性を認定した「Polo」の文字及び「ポロ(図)商標」と近似の図形を有してなるものである。
そして、「POLO商標」及び「ポロ(図)商標」の著名性は前記(1)の認定の如く、衣料品、靴、かばん、眼鏡その他、いわゆるファッション関連の各種商品分野にまで及んでいる状況であり、また、香水、化粧品の業界は、多くの有名デザイナーの進出に見られるように、ブランド志向の強いものといえる状況よりすれば、これらの商品は共にファッション用品という観点において密接に関連し、その需要者層を共通にする場合が少なくないといえるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、「POLO商標」の著名性ゆえに、「Polo」の文字部分と「馬に乗ったポロ競技者の図形」部分に着目し、該文字及び図形部分をもって強く印象づけられるとともに、ポロ社又はラルフ・ローレンに係る「POLO商標」及び「ポロ(図)商標」を連想・想起し、これらの者又はこれらの者の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(3)請求人の主張について
請求人(出願人)は、請求理由において、本願商標と同一及び「Polo Club」の文字を有する商標は請求人(出願人)に係るブランドであって、「被服」などの商品に使用し、20年以上の使用実績をもつ知名度の高い商標であり、かつ、「被服」を初め各種商品の総合ライセンスブランドとして高く評価されており、また、ラルフローレンの商標とは異なる出所を表示するオリジナルな有力ブランドとして周知著名であるから、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはない旨主張し、甲第1号証ないし甲5号証を提出している。
しかしながら、提出に係る甲各号証からは、請求人(出願人)に係る本願商標と同一及び「Polo Club」の文字を有する商標がメンズカジュアルの商品分野において相当程度の知名度を有するものとしても、その知名度、取扱い品目、販売高、所有率等いずれの点よりしても、「POLO商標」に係る商品のそれを上回っているものとする証左は見出せないから、衣料品分野において「POLO商標」を超えて周知性を有するものとは認められず、また、化粧品等の商品分野においては「POLO商標」の著名性が及ぶというべきこと前記のとおりであるから、それら証拠をもって、本願商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所混同を生ぜしめないとする根拠とすることはできない。
また、請求人(出願人)は、「Polo Club」の周知著名性は過去の審査例、審判例においても承認されているとして、甲第6号証ないし同第10号証の2(拒絶査定例、審決例等)を提出しているが、商標自体の構成と本願指定商品の分野における需要者一般の注意力及び「POLO商標」の著名性に照らし、本件については前記認定判断を相当とするから、それら事例をもって本件における混同可能性の有無の判断基準とすることは妥当でない。
したがって、これら請求人(出願人)の主張は採用することができない。
(4)結語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、本願はこの理由をもって拒絶すべきものである。
なお、請求人(出願人)は請求理由において、原査定の商標法第4条第1項第11号該当を理由とする点に対して、本願商標と原査定引用の商標とは非類似のものである旨、その理由を述べているが、原査定は、本願商標の商標法第4条第1項第15号該当についても摘示しているところであって、本願については、同法条の規定を適用すべきものであること前示のとおりであるから、その余の理由についての判断は省略した。
よって、結論のとおり審決する。
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