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Trademark Appeal Case

商標の要部抽出と称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89034(T2005−89034/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4370638号商標(以下「本件商標」という。)は、「エム・ユー・スポーツ」の文字を標準文字で書してなり、平成11年4月9日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同12年3月24日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第518500号の2商標は、昭和31年3月13日に登録出願、同33年4月15日に設定登録された商標登録第518500号商標権について同52年12月14日に分割移転の登録により分割がされ、商標登録第518500号の2となった商標権に係る商標であって、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第2類「化粧用染料、化粧用顔料」を指定商品とするものである。同じく、登録第1472087号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和50年6月24日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品、香料類(ただし薫料を除く)」を指定商品として、同56年7月31日に設定登録され、その後、平成14年5月8日に、第3類「歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」に指定商品の書換登録がされたものである。同じく、登録第1720181号商標は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和55年12月26日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同59年10月31日に設定登録され、その後、平成16年11月17日に、第3類「歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」に指定商品の書換登録がされたものである。これら各登録商標は、いずれも現に有効に存続するものである。

以下、これらの登録商標を一括して「引用商標」といい、また、これらを個別にいう場合は上記掲載順に従い「引用A商標」「引用B商標」「引用C商標」という。

3 請求人の主張の要点

請求人は、「本件商標の指定商品のうち『香料類,化粧品,歯磨き』についての当該登録商標の登録を無効にする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)本件商標と引用商標との類否

本件商標は、「エム・ユー・スポーツ」の文字を左横書きしてなるものであるところ、これらの文字全体を常に一連不可分のものとしてのみに把握しなければならないとする特段の事情は見出せないから、本件商標は、「エム」「ユー」及び「スポーツ」という三要素からなると容易に理解されるものである。

しかるところ、「エム」と「ユー」の文字は、ローマ字の「M」と「U」を直ちに想起させるものであって、特段の特異性はなく、自他商品の識別力を有しないか、例えあったとしても、極めて弱いものというべきである。

これに対して、「スポーツ」の文字は、「運動競技」を意味する外来語として広く一般に親しまれているものである。

そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「スポーツ」の文字に強く注意をひかれ、ひいて、これより生ずる「スポーツ」の称呼及び「運動競技」の観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないというべきである。

したがって、本件商標は、「スポーツ」の称呼及び「運動競技」の観念を生ずるものといわざるを得ない。

一方、引用商標は、それぞれ別掲(1)ないし(3)に示すとおりのものであるところ、それぞれの構成からみて、これらにおける「SPORTS」「Sports」及び「スポーツ」の文字も独立して見る者の注意をひき、かつ、自他商品の識別標識たり得るものである。

ところで、化粧品業界において、肌に有害な紫外線から肌を守る日焼け防止用の化粧品や汗をかいても化粧くずれしない化粧品が取引されてはいるが、専らスポーツをする際に用いられる化粧品、すなわち、スポーツをする際のみに使用されるという固有の品質を有する化粧品というような化粧品が取引されているといった事情は見出せない。

もっとも、アウトドアスポーツは、太陽の下で行い汗をかくことも多いから、スポーツと前記のような日焼け防止用化粧品や汗によって化粧くずれをしない化粧品は、全く無縁のものとまではいい得ないが、「SPORT」「SPORTS」(スポーツ)の語には、本来的に「日焼けを防止する」とか「化粧くずれをしない」といった意味はないから、これに前記のような事情を併せて考慮すると、「SPORT」「SPORTS」(スポーツ)の語は、上記の化粧品の用途なり効能なりを漠然と暗示するものとはいえても、更に進んで、自他商品の識別力を有しないものとまではいえないものとみるのが相当である。

したがって、「SPORT」「SPORTS」(スポーツ)の文字は、化粧品との関係において、自他商品の識別標識として機能し得るものというべきである。

また、スポーツと「香料類,歯磨き」といった商品の品質、用途等の間には、何らの具体的、直接的な関係はないから、「SPORT」「SPORTS」(スポーツ)の文字が、これら商品の自他商品の識別標識として機能するものであることは明らかである。

そうすると、引用商標がその指定商品について使用されたとき、これに接する取引者、需要者は、それぞれの構成中の「SPORTS」「スポーツ」あるいは「Sports」の文字部分に強く注意をひかれ、これらより生ずる「スポーツ」の称呼及び「運動競技」の観念をもって取引に当たる場合も決して少なくないというべきである。

してみれば、引用商標は、いずれも「スポーツ」の称呼及び「運動競技」の観念を生ずるものといわざるを得ない。

(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否

また、本件商標の指定商品のうちの「香料類,化粧品,歯磨き」と引用商標の指定商品は同一又は類似のものである。

(3)小括り

以上によると、本件商標は、引用商標とその称呼及び観念を同じくする類似のものであって、引用商標の指定商品と同ー又は類似の商品である「香料類,化粧品,歯磨き」について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(4)結論

したがって、その指定商品中の「香料類,化粧品,歯磨き」についての本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してなされたものといわざるを得ないから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第21号証を提出した。

(1)「Sports」「スポーツ」等の文字に識別性のないこと

(ア)請求人は、本件商標及び引用商標の各構成中の「スポーツ」や「SPORTS」「Sports」の文字部分を捉えて、自他商品の識別標識としての機能を発揮する要部であり、この部分から「スポーツ」(運動競技)の称呼・観念を生ずる旨主張する。

(イ)しかしながら、「SPORTS」(Sports、スポーツ)の語は、「スポーツの(に関する)、スポーツ用の、<服装など>スポーツに適した、ふだん着向きの」等の語義を有する英語であって(乙第1号証)、我が国においても広く普及し親しまれた語であるから、本件商標の指定商品との関係で、その商品がスポーツに適したものであることを意味する品質表示の部分であるにすぎない。

そのために、本件商標と同様に、せっけん類、香料類、化粧品、その他の第3類に属する商品について使用する商標には、その構成中に「スポーツ」や「SPORTS」、「Sports」の文字を含んだものは枚挙に暇がなく、例えば、登録第1866537号商標「active sports」(旧第4類)、登録第2213233号商標「フレックス サン アンド スポーツ/FLEX SUN & SPORT」(旧第4類)、登録第2225131号商標「アクア スポーツ」(旧第4類)など、乙第2号証ないし同第21号証に示した登録商標がある。

(2)本件商標と引用商標との対比

(ア)本件商標と引用商標とを、その外観構成において対比すると、本件商標は、「エム・ユー・スポーツ」の片仮名文字を標準文字で書してなるものである。

これに対して、引用A商標(別掲1)は、「SPORTS」の欧文字と、その下方にラクビー選手図柄を描いてなるものであり、引用B商標(別掲2)は、「コーセースポーツ」の片仮名文字と「KOSE SPORTS」の欧文字を文字よりなり、また、引用C商標(別掲3)は、「Sports Beauty」の欧文字よりなるものである。

したがって、本件商標は、引用商標と「エム・ユー・」の文字の有無等において顕著に相違するものであるから、外観上彼此相紛れるおそれのない非類似のものである。

(イ)次に、称呼、観念についてみると、本件商標は、その構成文字の全体として格別の語義、観念の生じないものであり、その構成文字に相応して「エムユースポーツ」の称呼を生じ、また、この構成中の識別力のない「スポーツ」の文字部分を省略して「エム・ユー・」の部分から単に「エムユー」の称呼、略称をも生ずるものである。

これに対して、引用A商標は、その構成文字やラグビー選手図柄に相応して「スポーツトシテラグビーヲスルセンシュ」(スポーツとしてのラグビーをする選手)の称呼、観念を生ずるほか、ラグビー選手図柄の部分から単に「ラグビーセンシュ」(ラグビー選手)の略呼、観念を生じるものである。引用B商標は、構成文字の全体として「コーセースポーツ」(請求人会社のスポーツ)の称呼、観念が生ずるほか、「スポーツ/SPORTS」の文字部分は識別力のない付記的部分であるから、単に「コーセー/KOSE」の文字部分から「コーセー」(請求人会社)の略称、観念をも生じ、また、引用C商標は、構成文字の全体としてはまとまった意味合いを有するものではないから、単にその構成文字に相応して「スポーツビューティー」の一連の称呼を生ずるのみの造語として理解されるものである。

したがって、本件商標から生ずる称呼又はその略称と、引用商標から生ずる称呼又はその略称とは、「エムユー」の音の有無等において顕著に相違し、また、その観念上対比すべくもないから、本件商標は、引用商標とその称呼、観念上においても相紛れるおそれはなく、非類似のものである。

(ウ)なお、請求人は、本件商標の構成中、「エム」と「ユー」の文字は、ローマ字の「M」と「U」を直ちに想起させるものであって識別力のない部分である旨主張する。

しかしながら、本件商標は、「エム」と「ユー」、「ユー」と「スポーツ」の文字の間にそれぞれ中黒「・」を配して構成したものであり、請求人の主張するように「エム」と「ユー」の文字を単純に併記したものではないから、「MU」の欧文字2文字の音訳を単に片仮名文字で表したものと理解することはできない。

また、本件商標の指定商品の取引界において、「MU」の欧文字2文字がその商品記号として普通に用いられている事実もない。

したがって、本件商標の構成中、「エム・ユー・」の文字部分は、格別の語義、観念の生じない造語として理解されるものであるから、その指定商品について使用することにより、自他商品識別力を発揮し得る要部であり、請求人の上記主張は失当である。

(3)結論

以上のとおり、本件商標は、引用商標とその外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録を受けたものではない。

したがって、本件商標は、同法第46条第1項の規定によってその登録を無効とすることはできない。

5 当審の判断

本件商標は、上記のとおり「エム・ユー・スポーツ」の文字よりなるところ、構成文字は中黒「・」を配した構成よりなるが、外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずる「エムユウスポーツ」の称呼も格別冗長というべきものでもなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、「エム・ユー・」の文字部分は、かかる構成においては特定の欧文字を認識、理解させるものとはいい難く、かつ、構成中の「スポーツ」の文字部分のみが識別標識として独立して認識されるとみるべき格別の事情は見い出せないから、本件商標は、構成全体をもって一体不可分であり、特定の意味合いを有しない造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。

そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「エムユースポーツ」の称呼のみを生ずるものというべきである。

他方、引用A商標は、別掲(1)に示すとおり、その構成中の文字部分に相応して、「スポーツ」の称呼及び「運動競技」といった観念を生ずるものである。引用B商標は、別掲(2)に示すとおり、その構成文字に相応して、「コーセースポーツ」「コーセー」又は「スポーツ」の称呼を生ずるものである。また、引用C商標は、別掲(3)に示すとおり、その構成文字に相応して、「スポーツビューティー」の称呼を生ずるものである。

そこで、両商標を比較するに、本件商標から生ずる「エムユースポーツ」の称呼と、引用商標から生ずる「スポーツ」「コーセースポーツ」「コーセ」及び「スポーツビューティー」の称呼とは、その音構成において顕著な差異があるものであるから、明瞭に区別し得るものである。また、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得るものであり、さらに、観念については、本件商標は特定の意味合いを有しない造語よりなるから、比較すべくもない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の第3類「香料類,化粧品,歯磨き」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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