結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2005−30605(T2005−30605/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1973515号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和59年7月16日に登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同62年7月23日に設定登録され、その後、平成9年6月17日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、商標登録第1973515号の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、過去3年の間、商標権者が日本国内において使用した事実が認められない。また、使用権者が本件商標をその指定商品について使用した事実も認められない。したがって、本件商標は、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが、その指定商品について、過去3年間、日本国内において継続して使用していないものと認められるので、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(ア)被請求人が使用しているとする商品「鉄板焼用」の「やきそば麺」は、商標法上の商品に該当せず、また、被請求人商品に本件商標を付す行為は商標法上の商品についての商標の使用に該当しない。
係る被請求人商品は、店舗において提供された飲食物(焼きそば)を飲食した来店客が、当該飲食物(焼きそば)の材料に使用されている「焼きそば用麺」を注文することによって、初めて、しかも、その場(店舗内)においてのみ、かつ、当該注文をした来店客に対してのみ提供されるものでしかなく、取引市場を転々流通するものではない。したがって、被請求人商品は、商標法上の商品に該当しないものである。
土産用の焼きそば麺を購入していることの証明〔乙第6号証(1)及び(2)〕を行っている人は、被請求人が営業する店舗である「おなか本店」において飲食した後に、そこで飲食した「焼きそば」の材料に使用されていた「焼きそば用麺」を注文し、これを、その場(店舗内)において入手し、自宅に持ち帰って調理して飲食する。この過程において、被請求人商品に付されている本件商標は、自他商品識別機能、出所表示機能、品質保証機能、広告機能のいずれをも取引市場において発揮していない。
このように、被請求人商品に付されている本件商標は、商標の機能を発揮していないものであり、商標法上の商標と認められない。
テイクアウト品に関しては、来店客が店内で供される飲食物と同様の飲食物をテイクアウトすることを店舗(飲食物を提供する者)が積極的に認めて、テイクアウトが多く行われている場合には、商標法上の商品であると認められる判決例(名古屋高裁判決61.5.14、東京高裁判決平1.8.16)があり、その一方、来店客が店内で飲食せずに持ち帰ることを特に禁止していないため、回数は少ないとしても、来店客が場合によっては飲食物をテイクアウトすることがあるときには、商標法上の商品と認めない判決例(東京地裁判決昭62.4.27、東京高裁判決平6.10.26)があるが、被請求人商品は、以下に述べるとおり、「テイクアウトすることを積極的に認めている」ものということはできないものであり、更に、店内で供される飲食物と同様の飲食物ではなく、店内で供される飲食物の材料になっているものでしかないから、前記の裁判例を参照すれば、被請求人商品は、商標法上の商品と認められない。
すなわち、焼きそばの玉を焼きそば麺のお土産用商品としてテイクアウトすることを積極的に認めているならば、店舗内にそのような広告がなされ、メニュー表などにその旨が表示され、被請求人商品の売上伝票、レシートの控え、乙第5号証(4)〜(7)の写真に見られるビニール袋の製造業者からの納品伝票などが当然に存在し、これらが「使用証明」として提出されるのではないかと思われる。
しかし、被請求人が、店内に行っている広告の写真や、メニュー表の写し、売上伝票・レシートの写し、ビニール袋製造業者からの納品伝票の写しなどを準備するよりも、準備することがはるかに困難と思われる顧客が土産用の焼きそば麺を購入していることを証明する証明書〔乙第6号証(1)、(2)〕しか提出されていないところからすると、被請求人の店舗において、焼きそばの玉を、焼きそば麺のお土産用商品としてテイクアウトすることを積極的に認める取扱いはなされていないものと考えられる。
前述したように、テイクアウトすることを積極的に認めているとは考えられない被請求人商品、しかも、過去の判決例にあるようなテイクアウト品(店内で供される飲食物と同様の飲食物)ではなく、店内で供される飲食物の材料になっているものでしかない被請求人商品を、商標法上の商品と認めることはできない。
(イ)よって、被請求人商品は、商標法上の商品に該当せず、また、被請求人商品に本件商標を付す行為は、商標法上の商品についての商標の使用に該当しない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証(括弧書き番号を含む。)を提出した。
被請求人は、会社設立と共に本件商標の使用を開始し、本件商標の指定商品について継続して使用している。
(1)商標権者の業務
本件商標権者は、乙第1号証に示す如く、昭和57年6月1日に「有限会社おなか」として会社設立後、本店住所は「名古屋市中区新栄1丁目47番15号」に定めて以来、現在まで活動しており、平成14年8月には「おなか錦店」を更に開店し、現在まで「おなか本店」及び「おなか錦店」の二店舗において、事業目的の活動を継続しているものである。乙第1号証の「現在事項全部証明書」によれば、「目的」の項目に1,飲食店業、2,食料品の販売、3,前各項に附帯する一切の業務とある如く、本件商標を付した商品販売は、上記の二店舗に於いて、本来の業務として使用継続している。
(2)商標権者が飲食店舗を経営している事実
まず、乙第3号証に示す資料は、平成17年6月1日以来インターネットによって公開されているものであり、商標権者の営業活動が確認できる。
乙第4号証は、「有限会社おなか本店」を移転して、平成17年6月7日に「鉄板料理おなか本店」を新装開店した時の開店案内であって、開店通知のはがきを約500枚、同一内容文面による封書を約200枚を、顧客並びに不特定多数人に配布したものである。乙第4号証の上段は、被請求人の代理人が平成17年6月6日に受領した開店案内通知葉書であり、葉書表面に被請求人の代理人の宛先を示している。同下段には、平成17年6月7日が開店日であること及び店舗の地図と共に、発信人である「おなか本店」が明確に記載されている。
乙第5号証(1)ないし(7)の7枚の写真の撮影者は、被請求人の代理人であり、平成17年7月22日に「おなか本店」に直接赴き撮影したものである。
乙第5号証の(1)ないし(3)は、乙第4号証に基づく「平成17年6月7日」の開店日以来、1ヶ月半程経過した上記の「おなか本店」の店舗の状況を示している。この写真は、役務の提供の様子を示すものであるが、この店舗において、食事をした後に、自宅に帰りこの店舗が使用している焼きそばの味を家族等に提供したいと希望する顧客がかなりおり、そうした顧客のために、本件商標権者は、特製の焼きそばやお好み焼き用のソースである「フレッシュベジタブルソース」をお土産品用商品として店内で別途販売に供しているばかりか、焼きそばの玉を、10玉ビニール袋に密封した「焼きそば麺」の土産用商品をも¥1,500の価格により提供している。
前記の「フレッシュベジタブルソース」は、異なった商品区分に属しており、本件商標権者は、別途商標登録第1976815号として調味料を含む商標権を所有している。
(3)「おなか本店」開店初日に「焼きそば麺」を顧客が購入した事実
乙第5号証の(4)ないし(7)は、顧客に販売した土産用商品の「焼きそば麺」を示しており、商標権者が「おなか本店」において平成17年6月7日の開店日に、顧客が、食事をした後に、「おなか」の文字を中央部に付した図形商標がビニール袋前面に付された土産商品「焼きそば麺」を購入した事実がある。
お土産用「焼きそば麺」である乙第5号証の(4)は、販売目的の商品であることから、ビニール袋の前面中央部に、本件商標権の構成を明らかにすると共に、商標権者の住所名称を印刷して発売元であることを明らかにして出所表示機能を全うしている。更に、品質の保証機能を全うすべくこの焼きそば麺の製造会社の名称をも明らかに表示している。
顧客の二人が、お土産用の焼きそば麺を購入したことを証明する平成17年7月24日付けの証明書を乙第6号証(1)及び(2)として提出する。
(4)お土産用販売商品の焼きそば麺は、本件指定商品に入る
お土産用商品として店内で販売に供している「焼きそば麺」は、本件商標権における指定商品のうち、「加工食料品」における「加工穀物」に分類されるべく性質の商品であることは自明である。
(5)本件商標権者が、上述の如く本件商標の指定商品の範囲とする「焼きそば麺」について、本件商標を、不使用取消審判の予告登録日前3年以内に相当する平成17年6月7日に使用していた事実が立証されたので、本件審判請求の理由は解消したものである。
本件審判請求の予告登録は、商標登録原簿に徴すれば、平成17年6月9日にされていることが認められる(乙第2号証)。
そして、被請求人の提出に係る乙第3号証及び同第4号証によれば、「おなか本店」は、大府市森岡町5−62−1に鉄板焼きと割烹料理を提供する店として同17年6月7日に開店したと認められるところ、被請求人の代理人が「おなか本店」で撮影した写真「乙第5号証(1)〜(7)」には、「撮影日」として「17.7.22」と記載されているものであり、その写真の(1)及び(2)は、「おなか本店」の文字が確認できる建物の外部を、同(3)は、店内を撮影したものである。また同(4)及び(5)は、透明な包装袋に焼きそば麺が入った状態の商品を撮影した写真、同(6)及び(7)は、該商品の包装袋に印刷されている図形・文字が見える包装袋の写真であって、これらの包装用袋には、本件商標と社会通念上同一と認められる「おなか」の文字を有する人物の図形がその中央部に大きく表され、その左側には「むし」「鉄板焼用」の文字、右側には「ふかし焼きそば」の文字が記載され、その下部には、加工食品の品質表示として、「品名」欄に「焼きそば麺」、「内容量」欄に「120g×10=1,200g」、「総発売元」に「有限会社おなか 名古屋市中区新栄一丁目47−15」の文字が、「原材料」、「製造元」の表示と共にそれぞれ記載されていることが認められる。
そして、被請求人が、「おなか本店」の開店初日に来店した顧客が商品「焼きそば麺」を購入したことを証するものと述べる乙第6号証(1)及び(2)の証明書には、平成17年7月24日付けで、東海市荒尾町西屋敷92−10に住所を有する小林重雄、及び東海市加木屋町円畑20一1に住所を有する村瀬充弘により、「おなか本店」の開店日(平成17年6月7日)に、同店内において、食事をした後に、お土産用として販売されている上記乙第5号証に示された「焼きそば麺」10玉をそれぞれ購入した旨が証明されている。
上記事実によれば、鉄板焼料理と割烹料理を提供している「おなか本店」は、店内において、被請求人を販売元とする、持ち帰り用(お土産用)の1袋10玉入りの商品「焼きそば麺」を販売しており、該「焼きそば麺」には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されていて、「おなか本店」は、平成17年6月7日の開店日に、東海市に住所を有する二人の顧客に該「焼きそば麺」を販売した事実が認められ、これに反する証拠はない。
「おなか本店」が販売したとする「焼きそば麺」は、本件指定商品に属する商品であると認められる。
以上によれば、本件審判の予告登録前3年以内である平成17年6月7日に、被請求人が「おなか本店」において本件商標を使用した商品「焼きそば麺」を販売した事実が証明されていると認めることができる。
請求人は、「おなか本店」で販売されている「焼きそば麺」のような店内で供される商品の商標は商標の機能を取引市場で発揮していない。更に、店内で供される飲食物の材料になっているものでしかない被請求人の商品を商標法上の商品と認めることはできない旨を主張している。
確かに、「焼きそば麺」を持ち帰り用として販売する旨が、「おなか本店」のメニュー表あるいは広告等が店内に表示されているのかどうか明らかでなく、また、持ち帰り用(お土産用)の商品を販売するコーナーがあるのかどうかなど、「焼きそば麺」を持ち帰り用(お土産用)として積極的に販売しているか否かは定かでない。
しかしながら、乙第5号証の(4)ないし(7)の写真に示されているように、「焼きそば麺」の販売用に印刷された透明な包装袋が用意され、その包装袋には、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)に定める、販売する際に必要な加工食品表示基準に則った表示がされていることからすれば、「おなか本店」で販売されている「焼きそば麺」は、販売数量の多寡はともかく、たまたま顧客の要望があったから店で使用している材料を有料で分け与えるという類のものではなく、販売することを目的として準備されている商品といわなければならない。そうすると、該商品は、「おなか本店」で販売されている事実があり、少なくとも、該商品を販売する店内という取引の場において、使用されている商標が出所標識として機能しているというべきであるから、上記請求人の主張は、採用することができない。
したがって、被請求人(商標権者)により本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、請求に係る指定商品に含まれる商品「焼きそばめん」に使用されていたものと認められるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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