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Trademark Appeal Case

著名商標と結合商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89101(T2005−89101/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4841289号商標(以下「本件商標」という。)は、平成16年4月28日に登録出願され、「コンバースストーン」の文字を標準文字により書してなり、第19類「陶磁製建築専用材料,れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,セメント及びその製品,木材,石材」を指定商品として、同17年2月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む)を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項により無効とされるべきである。

1 商標法第4条第1項第15号違反について

(1)コンバース商標の著名性

スニーカーないしスポーツシューズ(運動靴)の分野を中心にアパレル等の分野における著名ブランドである「CONVERSE/Converse/コンバース」商標(以下、これらを一括して「引用標章」または「コンバースブランド」という。)については、現在その日本国内における取扱販売等当該商標に係る権利の一切を掌握する請求人会社(「伊藤忠商事株式会社」、大阪市中央区久太郎町在住)の専権に委ねられているところ、引用標章は、元々米国にあって西暦1908年に「Marquis M.Converse」が創業した「Converse Rubber Co.」(以下「コンバース社」という。)に係るスポーツシューズの商標であって、同社製のスポーツシューズの生産量は世界でもトップクラスとされる。

引用標章にあって特に「Converse All Star」と呼ばれるバスケットボールの花形プレイヤーであったChuck H.Tailor氏の顧問参画もあって急速に人気を高め同社のドル箱的存在となったもので、同製品は現在まで大きなモデルチェンジなしに生産されているように超ロングセラー商品とされる。

これら引用標章及びコンパース社の概要・来歴等は、祥伝社ムック平成11年5月20日発行「永久定番コンバース」(抜粋)並びに同記事中の「コンバースヒストリー」(甲第2号証)、株式会社研究社1990年発行英和商品名辞典「Converse:コンバース/コンヴァース」の項(甲第3号証の1)及び株式会社三省堂2001年発行グランドコンサイス英和辞典「Converse」の項(甲第3号証の2)に徴してその沿革・歴史・著名性等の一端を知ることができる。

そして、株式会社ボスティコーポレーション2003年10月発行「シューズブック」 2004年版(抜粋)(甲第4号証の1)によれば、我が国において引用標章に係る製品の販売足数は2002年/430万足、2003年/500万足と高水準にあり、2002年は業界4位、2003年はニューバランス、プーマ、ミズノ、アシックス等を抑えナイキ、アディダスに次いで国内第3位と極めて順調であることが判る。

因みに、同シューズブック2005年版(抜粋)(甲第4号証の2)によれば、2003年、2004年とも525万足と高水準にあり、ナイキ、アディダス、アシックスに次いで国内第4位を占め、プーマ、ニューバランス、ミズノ等を大きく凌いでいることが判る。

また、(有)スポーツ商工プレス2003年12月8日発行 「THE SPORTS FRONTIER」に係る報道記事(甲第5号証の1)によれば、同紙が全国27店舗を対象に実施した同年9月から11月の間のフットウエア販売動向アンケートによると、コンバース・オールスターはウイメンズでは他のメーカーを抑えて年間を通してトップであったこと、メンズでも3位にランクされているように需要者に幅広く支持されていたことが判る。

さらに、2003年8月から2004年3月にかけて発行された同紙報道記事によれば(甲第5号証の2ないし同7)、コンバースブランドがしばしば取り上げられ報道されているように、そのシューズ業界における実勢及びその好調ぶりが窺われる。

そして、引用標章に係る製品は国内のファッション雑誌を始め一般雑誌又は業界雑誌等において頻繁に紹介され又は広告掲載された。一例として、株式会社ベストセラーズ平成15年5月10 日発行「(Best Super Goods Series Vo166)(ストリートジャック特別編集)スニーカーJACK(Vol.4)」(甲第6号証)の掲載例を示す。

また、この種の雑誌広告は2003年5月から2004年3月までの一年をとっても枚挙にいとまがないほどあるが、因みにコンバース製品の国内販売の業務を一手に担当するコンバースジャパン株式会社(東京都千代田区紀尾井町3−12在)のまとめた広告実績一覧「PROMOTION REPORT」(2003.5〜2004.3)(甲第7号証)によれば、各種スポーツ雑誌、ファッション雑誌、一般雑誌、女性誌、業界誌をはじめ業界新聞、経済紙聞ほか都内JR原宿駅サインボードに至るまで幾多のマスメディアを使って広告記事を継続掲載し、或いは上記各紙上でしばしばキャンペーンを張ってアピールし、さらにバスケットボール・チームとのスポンサー契約を結び又は有名タレントとの広告出演契約(2004年1月)を交わすなど、引用標章又はコンバースブランド料に係る各種商品について当時すでに活発な広告活動を展開していた状況が顕著に見受けられる。

これら広告記事内容をみると、コンバースブランドは男性用・女性用又は小児用・成人用を問わずスニーカー等スポーツシューズ分野を中心に、Tシャツその他インナーウエア・アウターウエア、ソックス、帽子、手袋等の被服類のほか、ウエストバッグ・その他のバッグ類・ベルト・財布等の革製品、眼鏡フレーム等のアクセサリー、その他タオル等と日用・雑貨品の多彩な商品分野においてブランド展開を図っていることが判る。

さらに、2001年11月から2004年3月にかけて発行された我が国一般新聞においてコンバース・シューズ(スニーカー)に関し或いはコンバースブランドの国内における事業展開の状況等についてしばしば取り上げられ報道されてきたことは(甲第8号証の1ないし同9)、当時における人気の高さを窺うのに十分といえる。

以上の事実と証拠により、引用標章は本件商標の登録時は元よりその出願時においてすでに我が国需要者一般に広く認識されるに至ったいわゆる著名商標であってこれを否定するに足りる証拠はない。

(2)出所の混同について

本件商標は「コンバースストーン」の文字よりなるところ、構成前半の「コンバース」において、上記引用標章又はその呼称名と全く同じである。

ところで、本件商標構成中「ストーン」の文字部分はその指定商品(石材ほか)の原材料又は品質(石材又は石目調に設えたものという品質)を表すものでしかなくこれを否定し得る特段の事情は見出せない。

そして、これに接する需要者は実質的に自他識別標識としての機能を発揮し得る部分(主要部)を前半の「コンバース」と目して取引に当たることが少なくない。

また、上記コンバースシューズの広告・販売活動及び他商品分野へのライセンス活動等により引用標章の著名事情が我が国社会一般の不特定多数の者において認知されたものとすれば、その事情は商品の違いを超えて本件商標の指定商品の分野における需要者においても同様とみて差し支えなく、したがって各種コンバース製品(他分野の商品を含む)に係る需要者と本件商標の指定商品に係る需要者とは重なる(共通する)場合が少なくないものといえる。

そうすると、たとえ本件商標に係る指定商品である建築用又は構築用部材(甲第1号証の2)と上記スポーツシューズ等とがその用途・性質等において大きく異なるとしても、請求人会社が履物類をはじめ被服類その他アパレル用品、アクセサリー、文房具等日用・雑貨品の分野へとライセンス活動を展開してきた状況が顕著であること、それら商品の広告・宣伝活動が極めて活発に行われている状況にあること、引用標章が固有の来歴事情を持つこと、我が国需要者一般のこのブランドこ向けられる関心度が比較的高い傾向にあること、さらに上記コンバース社ないしは請求人会社の事業規模よりして事業拡大(多角経営)の可能性若しくはその業務の蓋然性が決して低くないこと等の点を総合すれば、本件商標に接する需要者は、上記各事情よりして容易に引用標章を連想・想起すると共にその商品が恰もコンバース社又は請求人会社ないしは上記販売会社の業務に係るものの如くその出所について誤認混同を来すおそれがあるといわなければならない。

上述のとおり事実と証拠に基づき本件商標の無効の理由を具体的に述べる請求人主張は正当であってこれを否定するに足りる証拠はない。

そうとすれば、本件商標は他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあったものといわざるを得ないから、その登録は商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわなければならない。

2 商標法第4条第1項第7号違反

商標法は公正な競争と取引秩序の維持を図ること、すなわち競業秩序の維持を目的とするところ、商標法第4条第1項第7号は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標は商標登録を受けることができない」旨を定めており、その趣旨は商標の構成自体が公序良俗に反する場合だけでなく、一般に国際信義に反し又は社会公共の利益に反する場合もこれに含まれると解される。

これを本件商標についてみるに、上述のとおり引用標章は元々米国にあってスポーツシューズの分野で世界的に知られるまでに成功したコンバース社に係る著名ブランドであって、我が国にあっては実質的にそのブランド力を受け継ぐ請求人会社及びその関連会社により事業が展開されており、またそのライセンス事業等も活発に行われているというのが実情であり、かつその歴史と伝統に裏付けされたコンバースブランドの名声は米国は無論のこと我が国においても各階各層の需要者一般に広く認識されたいわゆる著名商標であった。

こうした情勢にあって引用標章と酷似する本件商標を登録することは、引用標章の名声に便乗しその指定商品又は指定役務について使用の独占を意図する不正の目的が疑われ、或いはそれら指定商品又は指定役務の分野における商取引の秩序を害し取引者・需要者間に無用の混乱を招くおそれがあるといわなければならない。

そして、上記コンバースブランドの醸成過程ないしはその来歴事情よりしてかかる不正競合を惹起させる行為は国際信義に反するおそれがあり、また社会公共の利益にも反し穏当を欠くものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第7号に違反してされたものといわざるを得ない。

3 結論

本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者はその登録(査定)がされた平成17年1月27日の当時は無論のことその出願がされた平成16年4月28日の当時においてすでにコンバース社又は請求人会社若しくはその関連会社に係る引用標章とその出所について誤認混同を生ずるおそれがあったというべきであり、またその登録はコンバース商標の来歴事情等よりしてその名声に便乗した不正競合との疑念を抱かせ或いはその指定商品の分野における商取引の秩序を阻害しひいては社会公共の利益にも反する結果となる。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同第7号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、その登録は同法46条第1項により無効とされるべきである。

4 答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標と引用標章とは商標において類似しないとし、或いは本件商標は不可分一体の造語であるとし、登録事例を挙げるなどしてその非類似を述べている。

しかし、そもそも本件商標と引用標章とが類似するか否かと出所の混同を生じるか否かは別の問題である。元々法律要件が異なり商標法第4条第1項第15号は「出所混同のおそれ」があれば足りることから、これらを混同して述べる被請求人の主張は妥当性を欠く。

(1)被請求人は本件商標が「コンバース」と「ストーン」の文字(語)の結合よりなる点についてこれを認めているように、その不可分一体性を理由に混同惹起の可能性を否定する主張は根拠が薄弱であって些か無理がある。

すなわち、被請求人の述べる「2つの語のうちの一方が日常使用されない特異な語であるなどその語自体が特別顕著な印象を与えるとか、その称呼が全体として殊更冗長であるなど特段の事情がない限りその商標は原則として一連に称呼され一体的に観念される」との観点から本件商標をみた場合、たとえば岩波書店発行広辞苑及び三省堂発行「大辞林」にはいずれも「ストーン」の記載はあるが「コンバース」の記載はないことから(甲第9号証の1及び同2)、「ストーン」に比して「コンバース」はあまり一般に馴染まれた語でないことが判る。こうした場合、本件商標に接する需要者はこれより容易に上記両語の結合と認識し以って前半の「コンバース」の文字(語)をある種特徴的なものとして印象に留めるとみるのが自然といえるから、この点においてすでに上記被請求人のいう「特段の事情がない」とする根拠はなくむしろ「特段の事情がある」こと、すなわち「一連に称呼され一体的に観念される」との主張に何らの根拠もないことが証明される。

(2)被請求人は「本件商標は、『コンバースストーン』の片仮名文字よりなり構成各文字はまとまりよく一体的に表されていてこれより生ずる『コンバースストーン』の称呼も格別冗長でなくよどみなく一連に称呼し得る」旨述べている。

しかし、「コンバースストーン」の称呼は全部で9音と決して短い音構成のものではなく、しかもその称呼は丁度中間において「ス」の音を反復することから前後の「ス」音の間で一拍分息の段落を生ずるように或いは中間で一旦途切れるように称呼され聴取されるとみるのが自然であって、この中間における息の段落又は一旦途切れる感を無視してなお全体の語調が「よどみなく一連に称呼される」とするのは些か無理があり、「ストーン」と「コンバース」の両語間には自ずと軽重の差があるというべきであるから、結局本件商標が片仮名文字のみで構成されているとの理由はその不可分一体性を主張する根拠とはなし得ないものといわなければならない。

(3)被請求人は「本件商標は『コンバース』と『ストーン』の各文字が軽重の差なく一体的に結合されていてどれといって分かち難いほどその結合は強固であること、それ故に後半部の『ストーン』は『商品の品質・原材料等』を表示するものでなく、むしろ需要者等はそれら文字の意味合いを考慮なく一連不可分の造語として把握・認識される」旨述べている。

しかし、本件商標は意味上において「コンバース」の部分が特徴的に捉えられること、それ故に「コンバース」と「ストーン」の両語間には軽重の差を有すること、称呼上一連不可分の音構成とみるのは無理があること、それ故に本件商標が不可分一体であるとの主張は何らの根拠も有しないこと等の点は客観的に明らかといわなければならない。

(4)被請求人は本件商標構成中の後半部の「ストーン」は商品の品質・原材料等表示でないとして、「○○ストーン」商標と「○○」商標との非類似を判断した審決例3例ほか並存登録例を挙げ、本件商標と引用標章との非類似の根拠理由である旨述べている。

しかし、審決例・登録例をもってしては「ストーン」が品質・原材料等表示でないことの証左足り得ない。

因みに、当該商標の構成中に「ストーン」又は「STONE」の文字を含みかつ指定商品を「石材」、「石材模造品」又は「石製品」とする商標の登録事例についてみると、この類型のものは遡ること昭和44年出願(同48年登録)のものから直近の平成16年出願(同17年登録)のものまで量的に圧倒的多数のものを数えることができる(甲第10号証の1ないし同68)。

この事実は、特許庁の審査・審判の判断が一貫して「ストーン/STONE」をその指定商品の品質・原材料等表示とみていること、すなわち建築・構築部材を取り扱う分野の取引の実情を反映したものとみて差し支えないものと考える。

そして、この取引の実情はたとえば石材関連事業者に係るウェブページ(甲第11号証の1ないし同10)において当該取扱に係る石材について現実に「ストーン」又は「STONE(Stone)」の語が取引上普通に用いられている状況よりしてすでに顕著な事実といわなければならない。

そうすると、「ストーン」が商品の品質・原材料等表示でないとか、本件商標と引用標章とが非類似との旨述べる被請求人の主張は何ら根拠がなくむしろ取引の実情に反するものであって適切でない。

そして、上記に述べたとおり商標法第4条第1項第15号の判断においては「出所混同のおそれ」があれば足りるとされ、類似要件以上に取引の実情その他の観点から具体的に検討されるべきものとすれば、先の「請求の理由」(審判請求書)において述べたとおり本件商標構成中の主要部と目される「コンバース」の文字部分より容易に引用標章を連想・想起し請求人会社等の業務に係る商品の如くその出所について混同を生ずるおそれが少なからずあったといわなければならない。

(5)被請求人は、引用標章は「会話をすること、談話をすること、逆であること、あべこべであること」の意味を有する比較的平易な英語(外来語)であって誰しも容易に採択し得るものであるため取引者・需要者の印象に強く残るとか又は強い識別力があるとはいえない旨述べている。

しかし、上記(3)において述べたとおり「ストーン」と「コンバース」の両語はその馴染まれ方に較差があるため需要者は前半の「コンバース」の文字(語)をある種特徴的なものとして印象に留めるとみるのが自然といえるから、引用標章が取引者・需要者の印象に強く残らないとか或いは強い識別力がないなどと述べる被請求人の主張は、何ら根拠に基づくものでないことが判る。

また、被請求人は乙第2号証(小学館プログレッシブ英和中辞典)により「converse」が当該意味合いにおいて比較的平易な英語(外来語)である旨述べているが、当該辞典の凡例(*印の有無など収載語の見出し表示に付される重要度等を示す編集上の表示)からみてそのような帰結を導く根拠はなく、また乙第1号証の出典(「三省堂/コンサイスカタカナ語辞典」)にしてもその編集方針よりして、いわゆる外来語として一般に馴染まれた語を収載したものというよりはむしろその使用頻度とはあまり関係なく専ら多数収載することで昨今氾濫するカタカナ語の使用事情に応えようとしたものとみることができるから、結局これら出典によっては「コンバース/CONVERSE」が我が国において比較的平易な英語(外来語)と理解されるとする点は客観的に証明されない。

そして、仮に被請求人の主張するような帰結が可能であるとすれば、別の出典においてたとえば三省堂グランドコンサイス英和辞典には、「CONVERSE」について「【商標】コンバース『米国のスポーツシューズメーカーの製品)』」(甲第12号証)との記述も見受けられることから、この特定・固有の商標すなわち米国コンバース社ないしはこれを実質的に受け継ぐ我が国請求人会社に係る商標と理解される向きも強ち否定し得ない。

(6)被請求人は、商品の関連性がないとして、本件商標に係る指定商品と引用標章に係るスポーツシューズとは全く関連性のない異質の商品であり、またその多角経営化の傾向(被服類・かばん類・装身具等にも使用されていること)を考慮したとしても、コンバース社が本件商標の指定商品に係る業務を行うものとは取引者・需要者に認識されない旨述べている。

しかし、被請求人も認めているように、我が国にあって請求人会社が引用標章についてファッション関連商品を中心に多様な商品分野に亘ってブランド展開を図っている状況は、コンバース社又は請求人会社若しくはその関連事業者等による多角経営の可能性を十分窺わせるところであって、引用標章の著名性等よりして本件商標に接する需要者はむしろ容易に請求人会社又は関連事業者等に係る業務の如く認識し得るとみるのが至当と考える。

したがって、商品自体の違いから請求人会社等による本件商標の指定商品への業務の蓋然性がない旨述べる被請求人の主張は確たる根拠に基づくものでなく理由も希薄であって妥当性を欠くから、採用されるべきでない。

(7)被請求人は、商標法第4条第1項第15号の適用に関し特許庁編「商標審査基準」及び最高裁判決「平成10年(行ヒ)第85号」を挙げ、かつ引用標章の著名の程度に言及しつつ本件商標は他人の業務に係る商品と混同を生ずるものでない旨理由を述べている。

しかし、引用標章の著名性については請求人が先の審判請求書においてその事実を客観的に明らかにし得たものというべきであり、またこの点について被請求人の述べる理由は、全く根拠がなく客観性もないことは明らかといわなければならない。

そうすると、確たる根拠もなく本件商標に接する需要者が引用標章を連想・想起するまでに引用標章は著名でないとか、本件商標をその指定商品について使用してもコンバース社又は請求人若しくは同人と組織的・経済的に関係を有する者の業務に係るものの如くその出所について混同を生ずるおそれはない旨理由を述べる被請求人の主張は妥当でなく、採用されるべきでない。

(8)被請求人は、第三者に係る機械器具類(第9類)を指定商品とする登録事例(商標登録第3361924号、乙第5号証)を挙げこれと同様に本件商標についても出所混同のおそれはないと判断されるべき旨述べている。

しかし、乙第5号証に係る商標登録はその出願又は登録の時期からみて本件商標とは判断時期を明らかに異にするから、それと本件商標とを同列に論ずることが許されるはずはなく法的にもそのような根拠は存しない。したがって、判断時期を無視して述べる被請求人の主張は不当であって採用されるべきでない。

以上、述べたとおり、請求人の述べる本件商標の商標法第4条第1項第15号違反とする主張に対する被請求人の答弁は、いずれも根拠がなく客観性に欠けるものといわなければならない。

そして、本件商標が請求人会社等の業務に係る商品の如く需要者をして混同を来すおそれのあることは、請求人が先の審判請求書において述べたとおりであって、ほかにこの請求人主張を覆すに足りる事実・証拠はなく、したがって請求人主張は正当といわなければならない。

また、請求人主張の正当性は、「地下たび」に係る「力王」商標に基づき当該他人に係る「飲食物の提供」の役務(サービス)に係る「力王」商標の登録無効を求めた無効審判において審決が商標法第4条第1項第15号非該当の旨判断したのに対し、同法条の規定違反を理由に同審決を取り消した東京高等裁判所平成14年(行ケ)第285号判決(平成15年5月21日言渡)(参考判決2)からも、理由づけられる。

また、同判決は、企業の多角経営の可能性について、「周知の商標はそれ自体企業の信用が化体されたものとして経済的価値を有し、異業種に商品展開する企業がその価値に着目して商標の使用について許諾を受けることも広く行われていることは、当裁判所に顕著な事実である」旨判示していることが特記される。

そして、請求人会社がこの許諾(ライセンス)を含めたブランド活動を異業種の分野に亘って展開している状況は、正にこの判決の趣旨を理由づけるものというべく、請求人会社等の企業の信用が化体された引用標章はそれ自体で経済的価値を有するものといえるから、その著名性は十分保護の対象たり得るものと思量する。

(9)被請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第7号に違反するとする事由及び証拠は見出せない旨述べ、また被請求人は本件商標をその取扱に係る窯業外装材(建築専用材料)の商標として採択・使用していること或いは出所混同を来している事実はない旨理由を述べている。

しかし、先の審判請求書及び弁駁において述べたとおり、引用標章は元々米国にあってスポーツシューズのブランドとして世界的に知られる至った固有の商標であって、現在はその歴史と伝統を実質的に受け継ぐ請求人会社に係る固有の商標として引き続きその著名性を維持・拡大する状勢にあることはすでに客観的に明らかといわなければならない。

そして、引用標章は決して被請求人のいうような「誰しも容易に採択し得る平易な英語(外来語)」などというものでなく、それ自体で請求人会社等の信用を表象する独特の商標という事実もまたすでに明らかといえるから、本件商標に接する需要者が出所混同を来すおそれがあることは無論のこと、被請求人がすでに本件商標を当該取扱に係る建築材料について使用している点は不正の意図とみられなくはなく、したがって、その行為を正当化することはできない。

こうした状勢下、殊更引用標章と事実上同一といえる「コンバース」の文字をその商標の主要部とした本件商標の採択に大いに疑義を感ずるのは一人請求人のみではない。

すなわち、a)本件商標の出願の日(平成16年4月28日)は引用標章について請求人会社及び関連会社が集中的かつかなりの規模で広告活動を開始しまた販売活動を活発化させた2003年(平成15年)から2004年(平成16年)の時期と符合するのは全くの偶然とは思われないこと、b)請求人が先に述べた商標法第4条第1項第7号違反の主張に対して被請求人は今次の答弁書においてその採択に至った事情について全く触れることなく単に同法条の規定の非該当を述べ或いは被請求人会社の取扱に係る当該建築材料の商標として採択・使用している事情を述べるに止まっていること、c)今回の無効審判の請求(予告登録日:平成17年8月22日)があって後の平成17年9月22に被請求人は本件商標とはその構成を一部変更した「コンバーストン」商標を第6類及び第19類所定の商品を指定商品として(第19類は本件商標と全く同一の商品を指定している。)新たに商標出願したこと(商願2000−89188号,甲第13号証)等、本件商標はコンバース商標の名声に便乗しその指定商品又は指定役務について使用の独占を意図する不正の目的が疑われるものであり、またその指定商品の分野における商取引の秩序を害し取引者・需要者に無用の混乱を来す虞があり、さらにその不正競合を惹起させる行為は国際信義に反し或いは社会公共の利益にも反する結果となるから、穏当を欠くものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第7号に違反してされたものといわざるを得ない。

(10)まとめ

以上に述べたとおり、被請求人の答弁はいずれも根拠がなく客観性を欠くものであるから、その主張は採用されるべきでない。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号又は同第7号に該当するものといわざるを得ないから、これに違反してされた本件商標の登録は商標法第46条第1項により無効とされるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む)(各証拠には甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む)と表示されているが乙第○号証とした。)を提出した。

本件商標は、以下に述べるように、商標法第4条第1項第15号及び同法第7号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべき限りでない。

1 商標法第4条第1項第15号について

(1)本件商標と引用標章の類否

本件商標は、「コンバースストーン」の片仮名文字(標準文字)を表してなるものであるところ、これを「コンパース」と「ストーン」の文字に分離すれば、前半部の「コンバース」(converse)の文字は会話をすること、「談話をすること、逆であること、あべこべであること」、後半部の「ストーン」(stone)の文字は「石、小石」の意味を有する比較的平易な英語(外来語)といい得るものである(乙第1号証及び同第2号証)。

ところで、文字のみからなる商標の場合には、通常その文字に相応した称呼、観念を生ずるものであるから、たとえ、それが二つの語を結合してなるものであっても、これを構成する各文字が一様に連なり、その各語に対応する文字の大きさや形態に差異がない場合には、右二つの語のうちの一方が日常使用されない特異な語であるなどその語自体が特別顕著な印象を与えるとか、その称呼が全体として殊更冗長であるなど特段の事情がない限り、その商標は原則として一連に称呼され一体的に観念されるものとみるべきである。

これを本件商標についてみると、本件商標は、前記のとおり、「コンバースストーン」の片仮名文字よりなるものであって、その構成各文字は同一の書体、同一の大きさ及び同一の間隔で外観上まとまりよく一体的に表されていて、これより生ずると認められる「コンバースストーン」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、本件商標は、これを構成する「コンバース」と「ストーン」の各文字がその意味合いからして、いずれも高い識別力を有するといえるほど特異なものではないこと、これらの文字が軽重の差なく一体的に結合されていて、例えば「コンバース」と「ストーン」又は「コンバー」と「スストーン」の文字部分のいずれにも分離し難いほどその結合は強固なものといい得ることや、その称呼もさほど長くないことなどを併せ考慮すれば、かかる構成においては、後半部の「ストーン」の文字が請求人主張のような「商品の品質、原材料等」を表示するものというよりは、むしろこれに接する取引者・需要者をして、その文字の有する意味合いを深く詮索することなく、一連不可分の造語よりなるものと把握、認識されるとみるのが自然である。

なお、被請求人の調査によると、「ベルジュストーン」及び「シェードストーン」の文字を表してなる出願商標について、「本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成中の『ストーン』の文字が、『石、石材』等の意味を有するとしても、かかる構成にあっては、直ちに前記意味合いを理解、認識させるものとは言い難いものであり、むしろ構成文字全体をもって一種の造語と認識され、把握されるとみるのが自然である。」又は、「ランドストーン」の文字を表してなる出願商標についても、「本願商標は、その構成全体をもって、一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。」と判断した審決例(乙第3号証の1ないし3)や、下記に示すように、「ストーン」「STONE」と他の語を結合してなる商標と、当該他の語及びこれに類似する商標が非類似のものとして登録されている例(乙第4号証の1ないし10)が少なからず存在する。

これら審決例、登録例からみても、「本件商標は、一連不可分の造語よりなるものである。」とする被請求人の前記主張は、妥当なものとして是認できる。そして、他に本件商標を「コンバース」と「ストーン」の文字部分に分離して観察しなければならないとする格別な事由は見当たらない。

してみると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「コンバースストーン」の一連の称呼のみ生ずるものであるから、「コンバース」の称呼を生ずる引用標章とは、その称呼において明らかな差異を有し、また、外観及び観念においても類似するところのない別異の商標というべきである。

(2)引用標章及び商品の関連性について

請求人提出に係る各甲号証によれば、引用標章は、本件商標の登録出願時には既に、米国の「コンバース社」の業務に係る商品「スポーツシューズ」を表示する商標として、我が国において、ある程度の著名性を獲得していたことはこれを認めることができる。

しかしながら、引用標章は、これを構成する「CONVERSE」「Converse」「コンバース」の文字が、前述したように、「会話をすること、談話をすること、逆であること、あべこべであること」の意味を有する比較的平易な英語(外来語)であって、このような文字は誰しもが容易に採択し得るものであるから、創造性のある特異な商標として取引者・需要者の印象に強く残るもの、即ち、強い識別力ないしは出所表示力を有するものということはできない。

また、商品の関連性についてみると、引用標章の使用をする商品「スポーツシューズ」と本件商標の指定商品「陶磁製建築専用材料,その他の建築専用材料,等」は、その生産者・販売者、取引系統及び材料・用途等における共通性ないしは関連性が全くない異質の商品であるばかりでなく、前者は一般の需要者、後者は主に業者(業者間取引)を対象とするものであって、その取引者・需要者層を異にするといい得るものである。そうとすると、今日における企業の多角経営化の傾向(例えば、「被服類,かばん類,装身具,等」に引用標章が使用されていることを考慮したとしても、主に「スポーツシューズ」の製造・販売を業務とするコンバース社が、全く異質の商品である本件商標の指定商品「陶磁製建築専用材料,その他の建築専用材料,等」に係る業務を行うものと取引者・需要者に認識されるとはいい難い。

(3)本件商標の混同を生ずるおそれについて

出願に係る商標が他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるか否かは、「その他人の標章の周知度(広告、宣伝等の程度又は普及度)」、「その他人の標章が創造標章であるかどうか」、「その他人の標章がハウスマークであるかどうか」、「企業における多角経営の可能性」、「商品間、役務間又は商品と役務間の関連性」等を総合的に考慮して、その判断がなされるべきものである(特許庁商標課編「商標審査基準」、第4条第1項第15号の項参照)。

そして、最高裁の判決〔平成10年(行ヒ)第85号、平成12年7月1日判決言渡〕においても、「『混同を生ずるおそれ』の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」との判示がなされている。

そこで、被請求人が述べるところを踏まえて、本件商標が他人(コンバース社又は請求人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標か否かについて検討するに、本件商標はその構成各文字が一体不可分に表示されていて引用標章とは全く類似するところのない別異の商標であること、引用標章を構成する文字自体は平易な英語(外来語)であって創造性もなく誰しもが容易に採択し得るものであること及び当該引用標章の使用をする商品「スポーツシューズ」と本件商標の指定商品は全く異質のものであって、取引者・需要者層も異なることなどを総合すれば、仮に引用標章が本件商標の登録出願時にコンバース社又は請求人の業務に係る商品「スポーツシューズ」を表示する商標としてある程度の著名性を獲得していたとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合、取引者・需要者をして、その構成中前半の「コンバース」の文字部分のみを分離して認識し、引用標章を連想又は想起するほどまでにこれが著名になっていたとは到底認め難いものである。

したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、コンバース社又は請求人若しくは同人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものとといわなければならない。

なお、商標権者がコンバース社又は請求人ではない、登録第3361924号商標(「Converse」の文字を表してなり、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器

具等」を指定商品とするものである。)が存在する(乙第5号証)。そして、上記登録商標はその指定商品について使用されているものとも推認されることからしても、本件商標は、他人(コンバース社又は請求人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのないものとされるべきである。

2 商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、その構成自体がきょう激、卑隈、差別的な印象を与えるような文字からなるものでなく、また、本件商標を指定商品について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとは認められず、他の法律によって、その使用等が禁止されている商標又は国際信義に反する商標とも言い得ないものである。

そして、他に本件商標を公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものとしなければならない格別の事由及び証拠は見当たらない。

3 本件商標の使用について

本件商標は、被請求人が自己の製造、販売する「窯業外装材(建築専用材料)」の商標として採択、使用しているものである(乙第6号証)が、本件商標を使用するにあたって、これと引用標章との間において、商品の出所について誤認混同をきたしているといったような事実も存在しないので、この取引の実情も十分に勘案されるべきである。

4 結論

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同法第7号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべき限りでない。

第4 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は、前記のとおり「コンバースストーン」の片仮名文字よりなるところ、構成各文字は、標準文字(同じ書体、同じ大きさ)で等間隔に表されていて、外観上まとまりよく一体的に看取し得るばかりでなく、これより生ずる「コンバースストーン」の称呼も一気一連に称呼し得るものであり、かつ、何らの特定の意味合いを看取し得ない一種の造語と認識し把握されるものとみるのが相当であるから、常に、構成文字を一体的に看取し、前記一連の称呼のみをもって取引に資される固有の商標とみるのが自然である。

2 引用標章について

引用標章は、「CONVERSE」、「Converse」及び「コンバース」の文字よりなるところ、請求人提出に係る甲各号証より以下の事実が認められる。

祥伝社ムック平成11年5月20日発行「永久定番コンバース」(甲第2号証)には、その表紙に別掲のとおり「Converse All Star」及び★のマークからなる商標及びこれを側面に付したバスケットシューズ、「CONVERSE」、「コンバース」及び「コンバース社」の文字が表示され、1908年、マーキス M コンバースがコンバ−ス・ラバー・シュー・カンパニーを創設したことの記事が記載されている。

株式会社研究社1990年発行英和商品名辞典「Converse:コンバース/コンヴァース」の項(甲第3号証の1)及び株式会社三省堂2001年発行グランドコンサイス英和辞典「Converse」の項(甲第3号証の2)には、「米国Massachusetts州のスポーツシューズ(バスケット用、ランニング用、ラケット用など)メーカー、そのブランド」及び「米国のスポーツシューズメーカー(の製品)等」の記載が見られる。

株式会社ポスティコーポレーション2003年10月発行「シューズブック」 2004年版(抜粋)(甲第4号証の1)によれば、我が国において引用標章に係る製品の販売足数は2002年/430万足、2003年/500万足であり、2002年は業界4位、2003年はニューバランス、プーマ、ミズノ、アシックス等を抑えナイキ、アディダスに次いで国内第3位との記載があること。

また、(有)スポーツ商工プレス2003年12月8日発行 「THE SPORTS FRONTIER」に係る報道記事(甲第5号証の1)、2003年8月から2004年3月にかけて発行された同紙報道記事によれば(甲第5号証の2ないし同7)、コンバースブランド特に「コンバースオールスター」が取り上げられ報道されていること及び★のマークと「converse」からなる商標が表示されていること。

さらに、引用標章に係る製品は国内のファッション雑誌を始め一般雑誌又は関連の業界雑誌等には、「オールスター」、★のマークと「converse」からなる商標及び引用標章と共に商品「スニーカー」、「バスケット用シューズ」「帽子」、「スポーツタオル」、「ベルト」及び「バック」等が紹介され又は広告掲載されていること。

以上のとおり、引用標章は、「オールスター」、★のマークと「converse」と共に「スポーツシューズ(バスケット用、ランニング用、ラケット用など)、スニーカー」に使用され、本件商標の登録出願時以前ないし現在に至るまで日本国内のスポーツ及びファッション関連商品の取引者及び需要者の間において広く知られていると認め得るものである。

3 本件商標の指定商品と引用標章の使用商品との関係について

引用標章は、我が国において、スニーカー等スポーツシューズの分野を中心に使用され、取引者、需要者の間において広く知られていたものであることは前記認定のとおりである。そして、Tシャツその他インナーウエア・アウターウエア、ソックス、帽子、手袋等の被服類のほか、ウエストバッグ・その他のバッグ類・ベルト・財布等の革製品、眼鏡フレーム等のアクセサリー、その他タオル等と日用・雑貨品等のスポーツ及びファッション関連商品にも、引用標章が使用されていることが認められる。

一方、本件商標の指定商品は、「陶磁製建築専用材料,れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,セメント及びその製品,木材,石材」とするものであって、スポーツ及びファッション関連商品といえるものでなく、かつ、一般の商取引に照らし、両者はその製造部門、販売、流通部門を異にし、購買・消費者層も全く相違するものである。

4 商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、その構成中に「コンバース」の文字を有するとはいえ、構成全体として一体不可分の商標として看取され、その構成文字に相応して「コンバースストーン」の一連の称呼のみを生ずるものであること前記のとおりであり、本件商標に係る指定商品と引用標章の使用に係る商品であるスポーツあるいはファッション関連商品とは、その製造部門、販売、流通部門を異にし、購買・消費者層も相違するものであることを合わせみれば、本件商標を商標権者が指定商品について使用しても、これに接する需要者の商取引における一般の注意力をして、直ちに引用標章を想起するものといえないから、結局、本件商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

なお、請求人は、本件商標はその構成中に著名商標「コンバース」の文字を有し、該文字部分に取引者・需要者の注意が集中するものであるから「コンバース」の称呼が生ずるとともに、世界的に著名な引用標章を想起することは明らかである旨述べ、審判決例を挙げて、その妥当性を主張している。

しかしながら、本件商標と例示された審判決は、商標の構成及び指定商品の取引者、需要者等において事案を異にするものである。

そうとすれば、この点についての請求人の主張は採用できない。

5 商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、引用標章と別異の商標であり、引用標章との関連を想起させるものではないこと前記のとおりであるから、本件商標をその指定商品に使用することが、社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとは認められず、また、その構成自体がきょう激、卑隈、差別的な印象を与えるような文字からなるものでなく、他の法律によって、その使用等が禁止されている商標又は国際信義に反する商標とも言い得ないものである。

そして、他に本件商標を公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものとしなければならない格別の事由及び証拠は見当たらない。

6 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものとは認定し得ないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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