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Trademark Appeal Case

立体商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第16140号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとし、第2類「謄写版用インキ、その他の印刷インキ」及び第20類「プラスチック製の包装用容器」を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、商品及び役務の区分第2類に係る指定商品との関係からすれば、それらの商品の包装(収納容器)の一形態を示す立体的形状を、また同第20類に係る指定商品との関係からすれば、包装用容器そのものの立体的形状を認識させるに止まるものであるから、これをそれぞれの指定商品について使用しても、単に商品の包装(収納容器)の形状、若しくは商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。また、出願人は、商標法第3条第2項の適用を主張しているが、提出の資料をみても使用に係る商標は、本願商標と態様が異なるものであって同一の商標の使用ではないから、同法第3条第2項の適用を認めることはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入した。

立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状を含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。

また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用をする必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもつて同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 ▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別紙のとおり長筒形状のものの両端にキャップが取り付けられたものであるところ、これを指定商品との関係からみれば、印刷機の消耗品である商品「印刷インキ」の包装(収納容器)及び商品「プラスチック製の包装用容器」の形状の一形態を表したものとみられるものであるから、これをその指定商品(第2類、第20類)について使用しても、取引者、需要者は、単に印刷インキの包装(収納容器)及びプラスチック製の包装用容器の形状を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。

(3)請求人は、本願商標は、長筒形状を基本とするが、一端には当該長筒形状と同径の円盤形のキャップが取り付けられており、他端には中心に円形開口を備え、その周辺に放射状に配置された3つの略台形の開口を備えた円盤状のキャップが取り付けられているもので、インキ用容器としては、箱形形状のインキ容器(第14号証ないし第17号証、第51号証ないし第53号証)が一般的であるから、本願商標のような形状は特異な立体的形状である旨主張する。

しかしながら、商品の包装の形状は、本来的には収納容器としての機能、即ち、本願にあっては、本願商標に係る立体的形状が表す容器は、それに一定量の印刷インキを収納し、印刷機等の機器に装着して、当該機器本体内に印刷インキを供給する機能を果たすための目的で採択されたものであるということができる。

しかして、本願商標に係る印刷インキの包装(収納容器)の形状が他人(競合他社)によるこの種商品についての箱形形状(請求人提出の第14号証ないし第16号証並びに第51号証ないし第53号証)とは異なる形状を示していても、それは自己の取扱いに係る輪転謄写印刷機等の機器(種別・型番)に合わせて採用されたものとみるのが相当であって、そのことは請求人が製造販売する他の機種の輪転謄写印刷機の商品カタログ(第17号証)において、他人(競合他社)と同様の箱形形状の印刷インキの収納容器を使用していることからも明らかというべきで、その形状が収納容器としての機能に関わるものである以上は、これに接する取引者、需要者は、当該商品の包装(収納容器)の形状の範囲のものと認識するにすぎないとみられるものである。

そうとすれば、請求人の主張する特異な立体的形状である点をもって、直ちに本願商標に関し自他商品の識別性に影響を与えるものとは認め難いところである。

(3)請求人は、本願商標は輪転謄写機のインキ容器の立体形状として1989年に採用され、使用を開始して以来、現在に至るまで使用実績があり、その販売数量は1989年から1997年までの9年間で約1400万本に達し、その販売金額は300億円を上回っており、相当な数量と金額に達しており、その立体形状そのものが商標としての機能を発揮するに至ったものであるから、本願商標は商標法第3条第2項の規定により登録を受けられる旨主張し、証拠方法として第1号証ないし第80号証を提出している。

しかしながら、請求人は、商品の販売数量、販売金額、本願商標の使用地域、広告宣伝の回数及び内容等を明らかにする客観的な書証は提出していないものである。また、提出に係る証明書(使用実績)にしても、請求人が予め用意した証明書用紙を用いて、請求人の求めに応じてその取引先が証明したものであり、その内容においても「2.別添の写真に示されるプラスチック容器は、 年頃から、理想科学工業株式会社の製造に係る輪転謄写印刷機用のインキを収容する容器に使用されています。」の空欄部分に記載された「年」は、前記「輪転謄写機のインキ容器の立体形状として1989年に採用され、使用を開始して以来、〜」と述べている「1989年」より前の年が記載された証明書がほとんどであり、請求人の主張と証明書の内容が一致していないといわざるを得ず、このような証明書をもって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を満たすものと認定することはできないというべきである。

なお、請求人は、商品「プラスチック製の包装用容器」について、インキを収容する容器自体も、インキの販売と同時に譲渡されているから、容器自体も取り引きされている旨主張しているが、商品区分第20類に属する商品「包装用容器」とは、容器そのものが商品として取引の対象となる性格のものであるから、商品「印刷インキ」が譲渡される際の包装(収納容器)は、前記第20類に属する「包装用容器」とは認められず、したがって、請求人の主張は採用できない。

(4)してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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