Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−17764(T2004−17764/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「なおきのぱん工房ぶぅらんじぇ」の文字を標準文字で書してなり、第30類「菓子及びパン,サンドイッチ,ハンバーガー,ホットドッグ」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成15年10月7日に登録出願されたものである。
2 原査定の引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第3169252号商標(以下「引用商標1」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、平成4年9月30日に登録出願、第42類「フランス料理の提供」を指定役務として、同8年6月28日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4366714号商標(以下「引用商標2」という。)は、後掲のとおりの構成よりなり、平成10年9月4日に登録出願、第30類「洋菓子及びパン」を指定商品として、同12年3月10日に設定登録されたものである。
以下、これらを総称するときは「引用商標」という。
3 当審の判断
本願商標は、上記のとおり「なおきのぱん工房ぶぅらんじぇ」の文字よりなるところ、これを構成する各文字が、同書、同大、同間隔で表されているとしても、その構成文字数が多いばかりでなく、全体より生ずると認められる「ナオキノパンコウボウブゥランジェ」の称呼は、冗長であって、一気、一連に称呼し得るほど簡潔とはいい難いものであり、また、その構成文字全体をもって特定の意味合いを有する一連の語句として一般に親しまれていると見るべき格別の事情は、見いだせない。
そうとすると、かかる冗長な構成からなる本願商標に接する取引者、需要者は、全体の読みやすい語句をとらえて区切り、分離して把握し、認識することが十分にあり得るものといわざるを得ない。
そして、「工房」の文字は、「美術家・工芸家の仕事場、アトリエ」等の意味を有し、「職人が事物を創作・製造する場所」を表す語として親しまれている語であって、製造される事物を該語の前に冠して使用されることの多い語といえるものであるから、構成中「ぱん工房」の文字からは、「パンが製造される場所」ほどの意味合いが容易に認識されると見るのが自然である。
また、語頭の「なおき」の文字は、人名に相当する語として、続く「の」は、格助詞としてそれぞれ認識されると見るのが自然であるから、構成前半の「なおきのぱん工房」の文字部分は、「『なおき』という人が所有する、あるいは製作に係るパン工房」という一つのまとまった観念を認識させる場合も決して少なくないものと見るのが相当である。
これに対して、後部の「ぶぅらんじぇ」の文字は、「パン屋、パン製造人」等の意味を有するフランス語「boulanger」の表音を平仮名表記したものであるとしても、我が国において、該語が商品の品質又は役務の質を表示するものとして、広く知られているとまではいい難いものであるから、必ずしも上記語義のみに限定して理解され、自他商品又は役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきものでもない。
そして、上記「なおきのぱん工房」と「ぶぅらんじぇ」を組み合わせた本願商標が、新たな熟語的意味合いを生ずるものとはいえないばかりか、両語句の関連性について見れば、後者が前者の「ぱん工房」すなわち製パン所の名称を特定する役割を果たしているようにとらえられること、本願商標の構成文字全体より生ずる称呼も冗長であること、及び、全体として称呼しても「ナオキノパンコウボウ」の称呼と「ブゥランジェ」の称呼の間に若干間をおくように称呼され易いこと等を併せ考慮すれば、本願商標に接する取引者、需要者は、これを常に一体不可分のものと見るというよりは、むしろ、該構成を前記二つの語句の組み合わせとして把握するというのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、その構成文字全体より「ナオキノパンコウボウブゥランジェ」の称呼を生ずるほか、独立して自他役務の識別標識として機能し得る「なおきのぱん工房」、「ぶぅらんじぇ」の各文字に相応して、単に「ナオキノパンコウボウ」、「ブゥランジェ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標1及び引用商標2は、それぞれ後掲のとおりであり、その構成中顕著に表わされた「BOULANGER」の文字と、該欧文字の読みを特定するものとして認識される「ブーランジェ」の文字及び「ブランジェ」の文字が、独立して取引に資される場合があるものというのが相当であるから、引用商標1からは、「ブーランジェ」の称呼を、また、引用商標2からは「ブランジェ」の称呼を、それぞれ生ずるというべきである。
そこで、本願商標より生ずる「ブゥランジェ」の称呼と引用商標1から生ずる「ブーランジェ」の称呼とを比較するに、両称呼は、拗音及び長音を含めた6音よりなり、称呼上重要な要素をしめる語頭音を含めて「ブランジェ」の音を、その配列を含めて同じくし、わずかに第2音において拗音「ゥ」と長音との差異を有するにすぎないものであるところ、いずれの音も強く発音される前音「ブ」の音の母音に連係した長母音を形成する関係上、前母音[u]に吸収されやすく、明確に発音され、聴取される音であるとはいえないから、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、これらを一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに相紛れるおそれがあるものというべきである。
また、本願商標より生ずる「ブゥランジェ」の称呼と引用商標2から生ずる「ブランジェ」の称呼とを比較するに、両称呼は、第2音において、わずかに拗音「ゥ」の音の有無の差異を有し、他の音構成を同じくするものであるところ、該差異音が、比較的強く発音される前音「ブ」の音に続く音であって、前音の母音[u]と同じものであってみれば、その差異が称呼全体に及ぼす影響は、小さいものであり、これらを一連に称呼するときは、互いに相紛れるおそれがあるものというべきである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較すべきところがないとしても、両商標は、称呼において相紛れるおそれのある全体として類似する商標といわざるを得ない。
また、本願商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する商品及び役務を含むものである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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