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Trademark Appeal Case

立体商標の形状識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第17496号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、商標の構成を別紙に示すものとし、第1類「化学品」を指定商品として、平成9年5月15日に立体商標として登録出願、その後、指定商品については、平成10年10月30日付手続補正書により「試薬」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、その商品(包装)の形状の一形態を表したものと容易に認識させる立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の収納容器(包装)の形状を普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。

立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 ▲3▼需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

(2) これを本願についてみるに、本願商標は、別紙に示すとおり、液状又は粉状に係る試薬を収納する容器の形状としてその一形態を表したものと認められるから、これを指定商品「試薬」に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の包装容器の形状を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当と認める。

(3) 請求人は、本願商標のようなエメラルドグリーン着色のガロン瓶はこれまで皆無であり、いわんやこれが試薬瓶として使用された例はなく、本願商標の形状が従来から用いられてきたガロン瓶と実質同一であったとしても、その色は、従来から試薬瓶として用いられてきたものとは全く異なっているから、その色により従来この分野で用いられてきたものとは明確に識別可能であり、したがって、本願商標をその指定商品について使用した場合、充分に自他商品の識別力を有する旨主張する。

しかしながら、瓶の色調は、本来的には、それに収納する商品等の変質、劣化を防止するため等の機能を発揮させるため、或いは美感を起させて需要者の購買意欲を高めるため等の目的から採択、使用されるものであり、実際に様々な色調の瓶が市場に流通していることが認められる。

請求人も認容するように、また、請求人の提出に係る東洋ガラス株式会社発行の「一般びんカタログ」においても、「茶、エメラルド・グリーン、ジョージア・グリーン、イエロー・グリーン、ライトブルー」等、様々な色調の瓶が製造、販売されている事実が認められ、また、前記カタログによれば、本願の指定商品と同様の商品に用いられる「薬品用びん」の分野においても透明の瓶以外に「ライトブルー、茶」の色調の瓶が製造、販売されていることが認められる。

そうすると、請求人が主張するように、瓶の一種類である「ガロン瓶」に本願商標と同様の色調の瓶が他に使用されておらず、かつ、試薬瓶としては前記エメラルドグリーンの色調の瓶が他に使用されている例がないとしても、瓶にはその用途等に応じて様々な色調のものが一般的に使用されている実情を踏まえるならば、本願商標に係る色調も、他の瓶の色調と同様、商品の容器としての機能又は美感をより発揮させるために施されたものとみるのが相当である。

してみれば、本願商標に接する取引者、需要者は、これを全体としてみた場合に、商品の容器として通常採用される形状の範囲に止まるものと認識するにすぎないものであり、請求人が主張するように本願商標がエメラルドグリーンの色調に係る形状からなる点をもって、直ちに商品の出所を識別する自他商品の識別機能を有するものと認めることはできないものである。

なお、商品又は商品の容器の形状と認識されるものからなる立体的形状からなる商標であっても、使用された結果、自他商品の識別力を取得する場合があり、そのときに、識別力を認めて登録することは前示のとおりであるが、本願商標については、この点について主張、立証するところがない。

4 結論

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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