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Trademark Appeal Case

役務の質表示と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第18571号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「ORDER−MADE」と「ENGINEERING」の各欧文字を上下2段に書してなり、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,士木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル、れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,各種プラントに関するエンジニアリング」を指定役務として、平成8年11月27日に登録出願されたものであるが、指定役務については、平成10年7月21日付手続補正書をもって、「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル,れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」と補正されたものである。

2 原審の理由

原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、全体としてオーダーメイドによる工事の意味合いを理解するに止まる『ORDER−MADE』と『ENGINEERING』の文字を2段に併記してなるから、これをその指定役務に使用しても単に役務の質を表示するにすぎないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」と認定して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は前記に示したとおり、「ORDER−MADE」と「ENGINEERING」の各欧文字を上下2段に書してなるものであるところ、その構成中の「ORDER−MADE」の文字部分は、「注文によって作ること。また、その品。」を意味する和製英語(岩波書店発行「広辞苑第5版」)として、一般にによく知られているものと認められる。

また、「ENGINEERING」の文字部分は、「工学;機関学;土木工事」を意味する英語(株式会社研究社「新英和中辞典(第4版41刷)」)であり、我が国における今日の産業界においては、「エンジニアリング産業」と称し、「工場プラントや、社会公共施設の構築プロジェクトを一つのシステムとしてとらえ、基礎設計から機材・設備の調達、施工まで、あるいは完成後の運用管理まで含めたプロセスを一貫して請け負い、経済性、科学合理性を踏まえた最適の形で実現する典型的な知識集約型産業」(株式会社集英社発行「imidas’99」)を意味する語として使用されているところである。

ところで、「エンジニアリング産業」の一分野として位置付けられる本願の指定役務においては、本来、発注者(需要者)の注文により、役務の遂行がなされるのが一般的であるところ、需要者個々の条件、場所、組織等に相応した個別注文(オーダーメイド)方式が従前からとられていたことは、例えば、1988年11月18日付日経産業新聞の「東洋環境エンジニアリング、焼却灰再利用プラント、部品標準化で半額に。」と題する記事において「従来のプラントは設置場所に合わせ設計するオーダーメイド方式のため高価だったが、新プラントは部品を汎用化して量産できるようにした。」なる記載より認め得るところである。

そして、近年、より高い技術開発力、商品開発力などが求められる産業界にあって、工場などの設備等において、独自の技術開発、商品開発などを高めようとする需要者の要望に、より細かく対応することを目的として、個別注文(オーダーメイド)方式を採用している事例も少なくないことは、例えば、1987年10月21日付化学工業日報新聞の「鶴見曹達、工場排水処理の事業総合化を推進」と題する記事中に「工場の排水処理は、排水質に応じたオーダーメイドの対応になっているとし、排水質の診断から薬剤の供給まで技術を含めての一貫した事業展開を図る考え。」なる記載、また、同紙の1990年3月9日付には「FA・CIM日揮(企画記事)」と題する記事中に「日揮は、プラントエンジニアリングの総合メーカーとしての技術と伝統をベースに、・・・各産業分野に広く評価が定着している。・・・メカトロニクス技術開発センターを中心に、ユーザーとの共同開発、実証テストを通じて固有のニーズを100%実現するオーダーメイドのFAシステムを構築している・・」の記載、1996年4月11日付建設通信新聞の「新商品・中小向け販売管理システム開発ツールを発売/富士通」と題する記事中に「新製品は、多種多様の業種や業態で想定される業務処理の特徴を、あらかじめシステムの部品ライブラリーとして収納しているため、各種の部品を合成するだけで、異なった企業システムをオーダーメイドできるのが特徴だ。」の記載などより明らかである。

また、建築及びその設備等の分野においても、例えば、1999年8月19日付建設通信新聞には「業界初・オーダーメイド・マンション供給システムを構築」なる記事が、1992年1月17日付日本工業新聞には、ビルの高機能化などに伴い、オーダーメイドのエレベーターが発売されたことに関する記事、1996年4月11日付建設通信新聞には、オーダーメイドによる住宅建築が増える傾向にあって、その手引書が発刊されたことに関する記事などが認められる。

上記実情よりすれば、前記構成よりなる本願商標をその指定役務について使用した場合は、これに接する需要者は、全体として、「個別注文(オーダーメイド)方式を採用している工事」なる意味合いを表したと理解するにとどまり、自他役務を識別する標識たる商標とは認識し得ないとみるのが相当である。

したがって、本願商標は、その指定役務の質(内容)を表示するにすぎないものといわなければならないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することはできない。

なお、請求人は、本願商標は、使用による顕著性があり、商標法第3条第2項の適用を受けることができるものである旨主張し、甲第1号証を提出しているが、本願商標が需要者間に広く認識されている事実を立証するものとして提出された証拠は、請求人のカタログのみであり、該カタログのみをもってしては、本願商標がその指定役務について使用され、需要者間に広く認識されているものであるとは、到底認めることはできない。そして、本願商標は、その指定役務の分野における実情よりすれば、役務の質(内容)を表示するにすぎないものであること前記したとおりであるから、請求人の主張は採用できない。

よって、結論のとおり審決する。

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