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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89107(T2005−89107/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4836990号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4836990号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年5月25日登録出願、第3類「水をマイナスイオン化し、これに重曹を加えて造った洗剤」を指定商品として、平成17年2月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が、本件商標の登録無効に引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続している。

(1)登録第1364531号商標(以下「引用A商標」という。)は、「イオナ」の片仮名文字を書してなり、昭和49年7月13日登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、昭和53年12月22日に設定登録され、その後、平成元年2月27日及び同10年10月6日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(2)登録第1536697号商標(以下「引用B商標」という。)は、「IONA」の欧文字を書してなり、昭和52年11月25日登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)、香料類」を指定商品として、同57年8月27日に設定登録され、平成6年の6月29日及び同15年2月12日に商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、最終的に、同15年12月10日になされた書換登録により、第3類「せっけん類、歯磨き、化粧品、香料類、薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」になっているものである。

(3)登録第4737108号商標(以下「引用C商標」という。)は、「LOLA」の欧文字を標準文字で書してなり、2001年4月3日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成13年9月28日登録出願、第3類「スキンクレンザー,肌用せっけん,その他のせっけん類,スキンモイスチュアライザー,スキンローション,日焼け止め用化粧品,ヘアケア用化粧品(医療用のものを除く),つめ手入れ剤,オーデコロン,香水,バスソルト,その他の化粧品,芳香油,香,その他の香料類」、第4類「ろうそく」及び第35類「化粧品・美容用品の販売に関する事務の代行,その他の商品の販売に関する事務の代行,インターネットによる化粧品・美容用品の販売に関する事務の代行,インターネットによるその他の商品の販売に関する事務の代行,化粧品・美容用品の通信販売に関する事務の代行,その他の商品の通信販売に関する事務の代行」を指定商品及び指定役務として、同15年12月26日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その構成から見て、上段の小さめの「水の洗剤」の文字は、その指定商品「水をマイナスイオン化し、これに重曹を加えて造った洗剤」に係る商品名を表記したものであって、その商標の要部は、「イオナローラ」の文字部分にあることは明白であり、その文字に対応する「イオナローラ」の称呼を生ずることは容疑なきところである。

そして、「イオナローラ」の文字が、特定の観念を有するスペリング(綴り)とは認められないから、必ずしも常に一体不可分に称呼しなければならない特別の事情は見い出し難い。

また、この種の商標についていえることは、自己の商標を選択するに際して、代表的出所標識とその取り扱いに係る数多い商品のそれぞれを区別するための商品毎の識別標識とを続けて使用する傾向が強く見られるのが実情である。

このような見地からすれば、本件商標を構成する文字中、前記事情の存する「イオナ」の文字部分は、代表的出所標識として理解される結果、仮令、本件商標のごとく一連に表されているとしてもなお、前記の「イオナ」の文字部分が、独立して、自他商品識別標識としての機能を有するものであるとするのが相当である。

してみれば、本件商標は、「イオナ」の称呼を有する引用A商標及び引用B商標に類似するものである。

さらに、取引者・需要者は、本件商標中の「ローラ」の文字部分に着目し、その文字に対応する「ローラ」の称呼をもって、商品を具体的に指定する場合も少なくないものといわざるを得ない。

してみれば、本件商標は、「ローラ」の称呼を有する引用C商標に類似するものである。

また、本件商標の指定商品と引用A商標、引用B商標及び引用C商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。

したがって、本件商標は、商標補題4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人の答弁は、本件商標の構成とは全く異なった対象にすり替えて弄しているものであって、実際の構成とは異質の架空の商標の前提に立脚した空理空論にすぎない。

また、商標制度は、その保護する対象が使用する商品を表示する「商標」であって、「商品」そのものではないことは商標法の目的を詳細に説明するまでもなく明らかであり、かかる観点からも被請求人の主張は、「商標」と「商品」を全くはき違えた主張である。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

1 請求人が主張する「イオナ」又は「LOLA」は、それぞれ単独の商標として登録されているものであり、同様に「水の洗剤イオナローラ」も単独の商標である。これを類似の商標として主張するのは無理がある。

2 句文の軽重からいえば「水の洗剤」が極めて重要な意味を持っている。 請求人は、本件商標の要部は、「イオナローラ」にあると断定しているが、「水の洗剤」の意味する重みについての解釈が極めて平凡で的外れである。

今、環境汚染の問題が、政治的にも社会的にもかってない重みを持って議論され、CO2の次は、H2Oであるということが喫緊の課題である。「水の洗剤イオナローラ」は、この課題に対応するため、「水を基本とした無公害商品」を基本コンセプトに開発されており、「水の洗剤」こそ商標のシンボルなのである。表記文字の大小はデザイン上のことであり、これを二分して問題視することは許されない。

3 「イオナ」の文字部分を代表的出所標識とはしていない。

請求人は、「イオナ」の文字部分が、本件商標の代表的出所標識として認識されると主張しているが、間違いである。無公害洗剤の開発・販売にあたって、界面活性剤を一切使用しない商品として「水の洗剤」を特に強調し、商品特性別にブランド化を図り、多目的洗剤については、「水の洗剤エブリデイ」を使用し(乙第1号証)、洗濯専用洗剤については、「水の洗剤リモネンウオーター」を使用し(乙第2号証)、家庭専用洗剤については、「水の洗剤イオナローラ」を使用している(乙第3号証)。請求人の主張によれば、多目的洗剤については、「水の洗剤イオナ○○○」、洗濯専用洗剤については、「水の洗剤イオナ△△△」、家庭専用洗剤については、「水の洗剤イオナローラ」とならなければならないはずである。

4 請求人の誤解ある審判請求を拒絶して、本件商標登録の存続を認める審決を求める。

第5 当審の判断

1 本件商標は、別掲のとおり、上段にやや小さな文字で「水の洗剤」と書してなり、下段にそれより大きな片仮名文字で「イオナローラ」と書してなるところ、上段の文字と下段の文字とは視覚的に分離して認識されやすいものである。また、「水の洗剤イオナローラ」の文字が、全体として何らかの意味合いを有するものとして、一般に知られているという事情も認められず、前半部の「水の洗剤」の部分は、本件商標の指定商品である洗剤を説明した部分ととらえられやすいことから、本件商標は、構成全体として「水の洗剤イオナローラ」ととらえられるばかりでなく、下段の「イオナローラ」の文字部分も独立して、取引に資されることもあるというのが相当である。

加えて、この顕著に表された「イオナローラ」の文字は、特段の意味を有しない造語と認められるものであって、全体を常に一体として捉えなければならない格別の事情もないところ、「ローラ」は、女の名として用いられることも多く、また、「イオナ」及び「IONA」の商標は、請求人が商品「化粧品、せっけん」等について使用して、本件商標登録出願前より需要者に広く知られていることとも相まって、構成中の「イオナ」の文字部分が着目され、該文字部分をもって取引に資されることも少なからずあるものというのが相当である。

そうすると、本件商標はその構成より、単に「イオナ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

2 一方、引用A商標及び引用B商標は、「イオナ」又は「IONA」の文字を書してなる構成より、「イオナ」の称呼を生ずることは明らかである。

してみれば、本件商標と引用A商標及び引用B商標とは、「イオナ」の称呼を共通にする類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似の商品である。

被請求人は、本件商標は、「水の洗剤」を特に強調し、商品特性別のブランドとして「水の洗剤イオナローラ」、「水の洗剤エブリデイ」等を使用しているものであって、被請求人が本件商標の構成中の「イオナ」を代表的出所標識として使用していないとする趣旨の主張をしているが、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしばその一部だけによって、簡略に称呼され、1個の商標から2個以上の称呼、観念を生ずることがある(昭和36年6月23日 最高裁第2小法廷)ものであり、需要者は、被請求人の商標採択の意図をもって商標について認識するものとは限らないものであって、本件については、上記のとおり、判断すべきものであるから、その主張は採用することができない。

3 結び

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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