結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2005−89119(T2005−89119/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4838424号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年6月19日に登録出願、第1類「農業用・園芸用化学品,植物成長調整剤類,肥料」を指定商品として、同17年2月10日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)登録第428396号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MIRACLE」の欧文字を横書きにしてなり、昭和26年6月19日に登録出願、第1類「化粧品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、同28年7月21日に設定登録、その後、商標登録の一部取消審判があった結果、その指定商品中「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチツクス」について取り消され、その登録が、同63年10月27日にされたものである。さらに、4回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、平成15年6月18日に指定商品を第1類「無機酸類,有機酸類,無機塩類,有機塩類,アルカリ,漂白粉(洗濯用のものを除く。),アラビヤゴム,にかわ(事務用又は家庭用のものを除く。),りん,エチルアルコール,グリセリン,硫黄(化学品),オゾン,酸素ガス,しょうのう,しょうのう油(化学品),蒸留水,人造しょうのう,炭酸ガス,はっかのう,はっか油(化学品),竜のう,硫黄(非金属鉱物)」、第2類「マスチック,松脂」、第3類「洗濯用漂白粉,芳香油(しょうのう油(化学品)・はっか油(化学品)を除く。) 」、及び第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く。),防腐剤,防臭剤(身体用のものを除く。),駆虫剤」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第854100号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ミラクル」の片仮名文字を横書きにしてなり、昭和39年10月6日に登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品(但し、のり及び接着剤を除く)」を指定商品として、同45年4月22日に設定登録、その後、3回にわたりに商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは「引用各商標」という。
請求人は、「本件商標の指定商品中「農業用・園芸用化学品,植物成長調整剤類」についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第15号証を提出した。
(1)請求人の利益
請求人は、本件商標と類似する引用各商標を保有している。そして、引用各商標の指定商品も本件商標の指定商品中「農業用・園芸用化学品」及び「植物成長調整剤類」と類似している。また、引用各商標は、「水産用医薬品」について実際に使用している(甲第2号証)。
したがって、本件商標がその指定商品に使用され、請求人の保有する引用各商標の商標権が侵害されることを防ぐために、請求人は本件審判請求をすることについて利害関係を有している。
(2)本件商標と引用各商標との類否について
(ア)本件商標は、構成中の「Miracle−Gro」の文字部分についてみれば、「奇跡」を意味するよく知られた英単語「Miracle」(甲第5号証)と、特定の語義を有しない「Gro」(甲第6号証)との間にハイフン「−」が配されている。
そうすると、本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標をハイフン「−」の両側に配された「Miracle」と「Gro」に視覚上分離して看取することが明らかであり、分離された両語のうち商標の識別上重視され、かつ、「奇跡」の語義を有し、我が国でも外来語として広く用いられている英単語である前半部「Miracle」におのずと着目し、該文字から「ミラクル」の称呼を導き出し、「ミラクル」の称呼をもって取引に当たることが明らかである。
また、後半部「Gro」は、上述のとおり特定の語義を有さない部分であるから、「奇跡」の語義を有する「Miracle」に結合したとしても、それによって熟語的意味合いが形成されることはなく、観念的にみても前半部「Miracle」と後半部「Gro」との結合力は極めて希薄であ。
さらには、本件商標は、7文字のアルファベットからなり、かつ、よく知られた英単語である前半部「Miracle」と、3文字のアルファベットからなり、かつ、特定の語義を有さない後半部「Gro」との間にハイフン「−」を配してなるものであるから、前半部「Miracle」と後半部「Gro」との間には、視覚及び観念の両面において顕著な軽重の差があり、ハイフン「−」によって前半部「Miracle」と後半部「Gro」に分離して看取されることも明らかである。
したがって、本件商標からは文字部分の前半部「Miracle」に対応した「ミラクル」の称呼と「奇跡」の観念が導き出される。
このことは、特許庁が発行した本件商標の商標公報(甲第1号証)において、[称呼(参考情報)]の欄に「ミラクル」が明記されていることからも明らかである。
一方、引用商標1「Miracle」及び引用商標2「ミラクル」からは、それらの構成文字に相応して「ミラクル」の称呼と「奇跡」の観念が導き出される。
そうすると、本件商標と、引用各商標は、称呼および観念において互いに類似することが明らかであり、外観の相違を考慮したとしても、本件商標は引用各商標に類似すると言わざるを得ない。
なお、このような請求人の考え方は、甲第7号証ないし同第13号証に示す過去の審決例および判決例からみても妥当なものである。
(イ)本件商標の文字部分の後ろには、黒塗りの真円からなる図形部分が配されているが、このような黒塗り真円の図形は、商標を構成するにあたって極めてありふれて採択されるものであり、さらに、文字部分のうち、語頭の「M」と語尾の「o」の一部が該図形部分からはみ出るように構成されていること等を考慮すると、該図形部分は、単に文字部分の背景図形としてのみ認識されることが明らかである。
そうすると、単なる背景に過ぎない本件商標の図形部分が看者に与える印象は極めて希薄であり、図形部分と文字部分とを常に一体のものとして看取すべき特段の事情が生じるはずがないことも明らかである。
なお、このような請求人の考え方も、甲第14号証及び同第15号証に示す御庁の審決例からみて妥当なものである。
(ウ)本件商標中の「Gro」は、その称呼が「成長」を意味する英単語「grow」と酷似しており、本件商標が「植物成長調整剤類」に用いられて称呼された場合、それを聞いた取引者は「奇跡的な成長」を意味する「miracle grow」を連想し、「Miracle」の部分だけに注意力が傾き、記憶に残るおそれが多分にある。
(1)本件商標の構成文字は、通常のゴシック体を若干縦長にアレンジしたにすぎないもので格別特徴的な書体ではない。ハイフンが通常の横棒であろうと点であろうと、本件商標において既成の英単語「Miracle」と造語「Gro」との間に文字とは異なる何らかの記号が介在していることは動かし難い事実であり、本件商標に接する取引者・需要者が、広く知られた英単語「Miracle」と何らかの記号を介在させて後に続く馴染みのない造語「Gro」とを分離して認識することは、審決例のみならず、取引上の経験則に照らしても明らかである。
さらに、本件商標の前半部「Miracle」とハイフンを介して後に続く「Gro」の頭文字は、それぞれ大文字で始まっているから、このような点からも、視覚上、本件商標が前半部「Miracle」と後半部「Gro」に分離して看取されることは明らかである。
その上、被請求人が主張するように、両文字部分の間に介在する記号が「点」であるならば、それは欧文字部分の文字列の中段ではなくて文字列の下端と同列に配されるべきものである点、さらに当該記号が前半部「Miracle」の「i」及び「l」と同じ横幅でもって表わされている点を考慮すれば、当該記号が「点」であるとする被請求人の主張は、妥当性に欠ける。
よって、本件商標が特徴的な書体で構成され、ハイフンが小さな点であることを理由に、本件商標の文字部分が視覚上一体的に認識され、「ミラクルグロ」の称呼のみが生ずるとする請求人の主張には何ら説得力なく、決して妥当ではない。
(2)本件商標に接する取引者・需要者が、我が国で広く知られた「奇跡」の語義を有する英単語「Miracle」から生ずる聴き慣れた表音「ミラクル」と、特定の語義を備えない造語「Gro」から生ずる聴き慣れない表音「グロ」とを常に一連に称呼するとは簡易迅速を尊ぶ商取引の経験則に照らしても考え難く、「奇跡」の語義を有する聴き慣れた表音「ミラクル」を聴き慣れない表音「グロ」から分離し、単に「ミラクル」と称呼するであろうことは明らかである。
よって、「ミラクルグロ」が無理なく一気に称呼し得るとする被請求人の主張には何ら説得力がなく、引用各商標から生ずる称呼「ミラクル」と十分に聴別できるとする被請求人の主張も、妥当ではない。
(3)被請求人は、本件商標と引用各商標とは観念上も対比することはできない旨述べている。
しかし、造語とは、一連に書されてしかも辞書に掲載されていない言葉を指すのであって、「奇跡」の語義を有する英単語「Miracle」の後ろにハイフンを介して「Gro」を結合させた「Miracle−Gro」を造語であるとする被請求人の主張には少なからず無理があり、決して妥当ではない。
(4)商標の類否は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察して判断されるものであるから、外観上非類似であることを理由に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないとする被請求人の主張もまた妥当ではない。
(5)本件商標においても、ハイフンの存在が明確に表れていることは動かし難い事実であり、甲第7号ないし同第13号証の審決例と、本件商標とは何ら事情の異なるところがない。被請求人の主張は、本件商標中にハイフンが明確に表れている事実を歪曲させた極めて恣意的なものであり、妥当ではない。
(6)本件商標において、文字部分の語頭「M」及び語尾「o」が黒色の円と重なるように配されていることをもって、図形部分が単なる背景図形ではないとする被請求人の主張は論理的ではない。なぜならば、語頭および語尾が黒色の円と重なるように配されるか否かは、図形部分を背景図形として捉えるべきか否かとは別問題であり、黒塗りの円形図形上に文字部分のほとんどすべてが存在する以上、該図形部分は背景図形として捉えざるを得ない。また、被請求人は文字部分が図形部分から浮き出るような視覚効果が得られる旨、述べているが、文字部分が図形部分から浮き出るということは、すなわち該図形部分が背景図形であることを自認しているにほかない。
よって、被請求人の上記主張には何ら説得力がなく、本件商標と甲第14号証及び甲第15号証の事案とは構成を異にするとする被請求人の主張もまた妥当なものではない。
(7)被請求人は、「奇跡」等の語義を有し、一般的に広く知られている「Miracle」よりも、むしろ造語である「Gro」に看者の注意が向き、「Miracle−Gro」が一体となって認識され、記憶されると考えるのが自然である旨述べている。
しかし、「奇跡」の語義を有する良く知られた英単語「Miracle」よりも、特定の語義を備えず、わずか3文字からなり、しかも文字部分の後半部に配されてなる造語「Gro」に看者の注意が向くとは、商取引の経験則に照らしても到底考え難く、被請求人の主張は理に適っていない。
(8)被請求人は、「MIRACLE」の欧文字又は「ミラクル」の片仮名文字を商標の構成中に含む併存例(乙第1号証ないし同第9号証)を挙げているが、これらの事例は、本件商標とはその文字構成が明らかに異なっているので、本件商標をこれらの事案と同日に論じることはできない。
(9)むすび
以上のとおり、本件商標は、「ミラクル」の称呼と「奇跡」の観念を有する引用各商標に類似するものであるから、本件商標の指定商品中「農業用・園芸用化学品,植物成長調整剤類」については、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第9号証を提出した。
しかしながら、本件商標は黒丸の図形部分と白抜きの文字部分「Miracle−Gro」によって構成され、外観上まとまりよく一体的に表現された商標であり、文字部分の一部だけを分離して観察すべきものではなく、商標の構成全体によって商標の類否を判断すべきであるから、本件商標は、文字のみから構成される引用各商標とは非類似であることは明らかである。
また、本件商標の文字部分を図形部分と分離して観察した場合においても、文字部分全体が縦長の特徴的な書体によって表されており、また「Miracle」と「Gro」を連結するハイフンについても通常の横棒ではなく、小さな点のように表されており、前半部と後半部の結合が密であることから、文字部分全体が視覚上一体的に認識、把握されるので、本件商標からは「ミラクルグロ」の称呼のみが生じると考えるのが妥当である。
ここで、「ミラクルグロ」は、格別冗長とはいえず、無理なく一気に称呼し得るものであり、引用各商標から生じる称呼である「ミラクル」と比較した場合にも、その音数及び音構成の差により、語調、語感が著しく異なり、需要者・取引者をして十分に聴別し得るものである。
また、観念においても、本件商標の文字部分を一体不可分のものとして認識し、把握すべきであるところ、「Miracle−Gro」は、特定の観念を生じない造語であり、「奇跡」の語義を有する引用各商標と観念上対比することはできない。
さらに、本願商標と引用各商標における外観上の類否について検討するに、本件商標は前記のとおり外観上まとまりよく一体的に表された「Miracle−Gro」の文字部分の両端が黒丸の図形からはみ出すように白抜きして書されたものであるから、文字のみから構成される引用各商標とは外観上明らかに非類似である。
したがって、本件商標と引用各商標は外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号には該当しないものである。
なお、上記の被請求人の主張を裏付ける証拠として審決書の写し(不服2002−9430)を添付する(乙第1号証)。本件商標については、登録前の審査段階において、引用各商標が引用され、商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶査定を受けていたが、拒絶査定不服審判において、登録審決を受けていることを付言する。
また、本件商標の指定商品中の「農業用・園芸用化学品,植物成長調整剤,肥料」と同一又は類似する商品に関して、「MIRACLE」の欧文字又は「ミラクル」の片仮名文字を商標の構成に含む多数の登録商標が引用各商標と並存して認められている(乙第2号証ないし同第9号証)。
また、請求人の挙げる審・判決例(甲第7号証ないし同第13号証)は、いずれもハイフンが明確に存在しており、視覚上、商標がハイフンの前後で分離して看取されることが構成上明らかなものである。したがって、ハイフンが小さい点のように表され、ハイフンの存在が構成上、明らかではない本件商標について、該審、判決例における判断方法をそのまま適用できるものではない。
しかしながら、本件商標の文字部分の語頭「M」及び語尾「o」は、黒色の円と重なるように配されており、看る者において文字部分が図形部分から浮き出ているような視覚効果が得られるので、黒色の円を単なる背景図形であるとする請求人の主張は妥当なものではない。また、甲第14号証及び同第15号証における図形商標は、文字部分が完全に黒色の円の中に包含されており、文字部分が黒色の円からはみ出ている本件商標とはその構成を異にするものである。したがって、本件商標の文字部分を図形部分から分離して、さらに文字部分の前半部分「Miracle」のみを分離して、「ミラクル」の称呼と「奇跡」の観念をもって取引に当るとする請求人の主張は成り立たない。
しかしながら、我が国において、「Gro」の語が、英語の「grow」に由来する語として一般に用いられていることを示す証拠はなく、本件商標の指定商品が植物の成長等に関連する商品である「農業用・園芸用化学品,植物成長調整剤類,肥料」であることを考慮に入れたとしても、本願商標に接した取引者・需要者にとって、「Gro」の文字を英語「grow」に由来するものであることを認識・理解することは、一般には困難である。
そうであるならば、「奇跡」等の語義を有し、一般的に広く知られている「Miracle」よりも、むしろ造語である「Gro」に看者の注意が向き、「Miracle−Gro」が一体となって認識され、記憶されると考えるのが自然である。
したがって、請求人の主張するように「Miracle」の部分だけに注意が傾き、「Miracle」が観念され、記憶に残り、引用各商標と混同されるおそれがより一層高まるとする請求人の主張は成り立たない。
以上のとおり、本件商標と引用各商標とは非類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
請求人が本件審判請求をすることの利害関係を有していることについて、当事者間で争いがないので、以下、本案に入って判断する。
本件商標は、別掲のとおり、黒丸図形上に、「Miracle」の欧文字と「Gro」の欧文字を白抜きにして表し、両文字の間の中央部に白抜きにした小さい略正方形を配してなるものである。そして、「Miracle」と「Gro」のそれぞれの欧文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表されていて、かつ、略正方形部分が、各欧文字部分に比べて、極めて小さく、また両文字間の中央に表されていることから、小さな点、あるいは中黒に類するものと看取され、看る者にとって印象が薄い部分といえる。
加えて、欧文字部分が黒丸の図形の左右にはみ出ているものの、欧文字部分の語頭「M」と語尾「o」が黒丸の外周線と交差していることから、「Miracle」と「Gro」の欧文字が左右の外周線上で留まるようにバランス良く配置されているといえる。
そうすると、上記構成からなる本件商標にあっては、小さい略正方形を含めた両文字の全体をもって外観上まとまりよく一体的に把握されるものとみるのが自然といえる。
また、これより生ずる「ミラクルグロ」の称呼も、全体で6音という格別冗長とはいえない音構成で一気一連に称呼し得るものである。
してみれば、本件商標は、その欧文字部分に相応して「ミラクルグロ」の称呼のみを生ずるものと認められ、特定の意味合いを有しない造語と認識させるものである。
請求人は、本件商標は、その構成中「Miracle」と「Gro」の文字との間にハイフン「−」が配されているから両文字は視覚上分離して看取することが明らかである旨主張しているが、ハイフンは、「−」のように、細長い形の線又は棒線で表されて使用されているのが通常といえるから、該主張はその前提において妥当でないというべきである。
仮に、前述した略正方形の部分が、請求人が主張するように「ハイフン」と認識されることがあるとしても、その表示した態様が両文字に比べ極めて小さく、かつ、その配置も両文字間の半文字程度の間隔の中に納められ、極めて両文字に接近して表されているものである。加えて、前述のとおり、「Miracle」と「Gro」のそれぞれの欧文字が同じ書体、同じ大きさ、等間隔で表されている上に、両文字が、黒丸の図形の左右にはみ出ているものの、欧文字部分の語頭「M」と語尾「o」が黒丸の外周線上で交差していることから、「Miracle」と「Gro」の欧文字が左右の外周線上で留まるようにバランス良く配置されているといえる。そうすると、そのような構成からなる本件商標にあっては、仮にハイフンであると認識されることがあるとしても、両文字の全体が外観上まとまりよく一体的に把握されるものとみるのが自然であるというべきである。したがって、請求人の前記主張は採用できない。
また、請求人は、審決例(甲第7号証ないし同第13号証)を挙げて両商標は類似する旨を主張しているが、該審決例はいずれも、明らかにハイフンを形成してなるものであるばかりでなく、本件商標のような表示態様(大きさ、配置、黒丸とのバランス等)において相違があるから、本件と事案を異にするというべきであり、その主張も採用できない。
さらに、請求人は、本件商標中の「Gro」は、その称呼が「成長」を意味する「grow」と酷似しているから、本件商標が「植物成長調整剤類」に用いられて称呼された場合、「奇跡的な成長」を意味する「miracle grow」を連想し、「Miracle」の部分だけに注意力が傾き、記憶に残る旨主張している。
しかしながら、植物成長調整剤類を取り扱う分野において、「Gro」の語が、成長を意味する「grow」の語と同義に使用されて、需要者にそのように認識させるという事情について認めるに足りる証拠はない。そのような事情が認められない語であるにもかかわらず、請求人の主張が認められるとすると、同音異義語や称呼が類似する語までも、指定商品に関連して自他商品の識別機能を有しないあるいは極めて弱いとし、他の文字が着目されるという観察方法が正当化されることになりかねず、到底その観察方法をとることはできない。したがって、前記請求人の主張は採用できない。
引用商標1は「MIRACLE」、引用商標2は「ミラクル」の文字をそれぞれ書してなるものであるから、それぞれの構成文字に相応して「ミラクル」の称呼を生ずるものである。
また、引用各商標を構成する「MIRACLE」の文字及び「ミラクル」文字は、「奇跡」を意味する英語、外来語として一般によく知られているものであるから、これよりは「奇跡」の観念を生ずるものである。
前記認定のとおり、本件商標の文字部分よりは、「ミラクルグロ」の称呼のみを生じ、特定の観念を有しない造語であるのに対し、引用各商標よりは、「ミラクル」の称呼、「奇跡」の観念が生ずるものであるから、称呼上及び観念上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標と引用各商標とは、前記したそれぞれの構成よりみて、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。
したがって、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛らわしいところのないものであり、非類似の商標といわなければならない。
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、請求に係る商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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