Trademark Appeal Case
記号と工法の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第19841号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に示すとおり、「ST工法の家」および「
エスティコウホウのいえ
」の文字を二段に書してなり、平成9年4月24日に登録出願、指定商品については、願書記載の指定商品を同10年9月24日付手続補正書により、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット」と補正しているものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、商品の規格、品番等を表す記号又は符号として類型的に用いられているローマ文字の二文字である『ST』の文字と『加工・工事などにおける造り方・組み立て方』を意味する『工法』の文字に『の家』の文字を結合させて『ST工法の家』と書し、その下段にその字音である『
エスティコウホウのいえ
』の文字を添えてなるにすぎないものであるところ、その指定商品中には、例えば、鋼材、鉄鋼製品、建築用又は構築用の専用材料、建具、金具などをはじめに種々の住宅用資材も含まれていることも勘案するならば、これをその指定商品に使用したときは、需要者をして、住宅の建築工法を表す記号又は符号のひとつ程度に認識することはあっても、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、その構成別紙に示すとおり、欧文字の「ST」の2文字及び漢字及び平仮名からなる「工法の家」とを連結して「ST工法の家」と表し、同文字下部に、その表音と認められる「
エスティコウホウのいえ
」の片仮名文字及び平仮名を表してなるものである。
しかして、一般に欧文字の1文字ないし2文字は、商品の規格、品番等を表すための記号又は符号として商取引上類型的に採択使用されており、本願指定商品を取り扱う建設、建築関連の業界においても例外でなく、例えば、業界雑誌「月刊建設物価」(財団法人建設物価調査会発行)によれば、「PN」、「PV」、「SM」、「FB」等の欧文字が「建築金物、鋳鋼製支柱」等を初めとする各種建材について取引上普通に使用されていることが認められる。
そして、本願商標の構成中、「工法の家」の文字部分は、「工法」の文字(語)が一般に「土木・建築工事などの技術的方法」(株式会社三省堂発行「大辞林」)、「加工・工事などにおける造り方・組立て方」(株式会社岩波書店発行「広辞 苑第五版」)を意味する語として理解されるものであることから、これに「の家」の文字を組み合わせることにより、「一定の技術方法により建てられた家」との意味合いを容易に看取させるものである。
因みに、建築関連業界においては、一般に「工法」には、特徴別に分けて、いわゆる「在来工法」であるところの「木造軸組工法」や「ツーバイフォー(2×4)工法」、「プレハブ工法」等があることは周知の事実であって、これら住宅メーカー又は建材メーカーに係るインターネットホームページ上の情報によれば、「木造軸組工法の家」、「新在来木造工法の家」、「木造在来軸組工法の家」、「木造在来工法の家」、「在来工法の家」、「ツーバイフォー(2×4)工法の家」、「柱を必要としない住宅工法の家」、「伝統工法の家」等の用例に見られる如く、その工法上の特徴を表現しているのが実情である。
一方、これら建築工法を示す語に前記欧文字の1文字ないし2文字を冠して、例えば「スーパーZ工法の家」、「DK・工法の家」、「PM工法の家」、「SW工法の家」等の如く、当該建築工法を表示している状況が認められ(前出ホームページ情報より)、さらに、いわゆる「ユニットハウス」と呼ばれる簡易建造物組立セットに関しても、例えば、株式会社トキワに係るモービルハウス(移動ハウス)について、「軽量鉄骨ラーメン構造の工場生産100%のユニットハウス『ST』」、或いは、コマツハウス株式会社に係るプレファブ・ユニットハウスについて、「K−セブン パネル組立工法」とするなどして、当該移動ハウス又はユニットハウスについて、その規格、形式を表す記号・符号として欧文字の1文字ないし2文字を使用している事実(当該会社に係るインターネットホームページ上の事業広告より)が認められる。
以上によれば、「工法の家」に冠して用いられる前記欧文字の1文字乃至2文字は、前述建材に係る一般的用例と同様に、当該工法に適合させるべく予め設計・製造された建築専用部材ないしは簡易建造物組立セットの規格、形式を表すための記号、符号として取引上普通に使用されているものとみて差し支えないものと認められる。
しかして、本願商標は、その構成別紙に示すとおり、「ST工法の家」、「
エスティコウホウのいえ
」の文字よりなるものであって、下段の片仮名及び平仮名文字部分は、上段の文字の表音を振り仮名風に表示するに止まり、かかる構成にあってはそれ自体に商品識別の機能を有するとみるのは困難であり、ほかにその態様等において特異な点も見出せないから、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、全体として、「一定の(ST式の)建築工法による家(建物)」程度の意味合い、すなわち建築業界において普通一般に用いられる建築工法の一類型と認識するか、もしくは、当該工法に係る建築専用部材ないしは当該設計・製造に係る簡易建造物組立セットの型式、品番又はその用途、品質を表示したものと理解するに止まり、それをもって、当該商品の出所を示す識別標識とは認識し得ないものというべきである
してみれば、本願商標は需要者をして何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものといわなければならない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない
よって、結論のとおり審決する。
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