Trademark Appeal Case
著名図形商標の類似性と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2004−90788(T2004−90788/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4807248号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年3月12日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同16年8月18日に登録査定、同年10月1日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立の理由(要旨)
登録異議申立人(美津濃株式会社。以下「申立人」という。)は、登録第1703877号商標ほか5件の登録商標(以下、これらを総称していうときは、「引用各商標」という。)を引用し、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。また、引用各商標は、申立人が昭和56年にスポーツ競技のスピード性をイメージして「走る鳥」を図案化した商標であり、「RUNBIRD」「ランバード」の商標と共に採用し、スポーツシューズに永年使用してきた商標である。
そして、申立人のスポーツシューズは、陸上競技、テニス、野球、サッカーなどの分野で活躍する有名選手に使用され、また、これら有名選手が使用する商品に引用各商標を付して宣伝広告してきたので、少なくとも、スポーツシューズの取引者・需要者間では、「RUNBIRD」「ランバード」の商標と共に申立人会社のスポーツシューズの商標として広く知られている。
したがって、本件商標をその指定商品である帽子、衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴に使用したときは、商品の出所について混同するおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
よって、本件商標の登録は、商標法第43条第の2第1号により、取り消されるべきである、旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証を提出している。
3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成17年11月8日付けで要旨以下の取消理由を通知した。
(1)申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人の使用に係る別掲(2)のとおりの構成からなる登録第1703877号商標(以下「引用商標」という。)等の商標は、申立人が昭和56年にスポーツ競技のスピード性をイメージして「走る鳥」を図案化した商標であり、「RUNBIRD」の商標と共に、スポーツシューズに永年に亘って使用してきた商標である。 そして、その後、スポーツ用品、スポーツウェア、スポーツバッグ等にも使用範囲を広げて現在に至っており、日本有名商標集(甲第19号証)においても取り上げられているものであって、引用商標は、本件商標の登録出願時においては既に、少なくとも、スポーツシューズの取引者・需要者の間においては、申立人の業務に係るスポーツシューズの商標として広く知られていたものと認められ、その著名性は登録査定時においても継続していたものということができる。
(2)本件商標は、別掲(1)のとおりの構成からなるところ、これを引用商標と比較した場合、本件商標の図形には白抜きの部分がないこと等、構成各部の細部においては若干の差異が認められるとしても、全体の形状は、「鳥が地上を走っている姿」をデザイン化した引用商標と極めて似かよった構成からなるものであり、特に、本件商標がシューズに使用された場合を想定すると、引用商標との相違点は殆ど確認できなくなる程度のものであって、外観上、極めて近似した印象を看者に与えるものである。しかも、本件商標の指定商品には、申立人の業務に係る商品「スポーツシューズ」をはじめ、密接な関連を有する商品を含むものである。
(3)そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の使用に係る著名な引用商標を想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
上記3に対し、商標権者は、要旨以下のとおりの意見を述べている。
本件商標は、引用商標とその商標図形において相互に大きく明白に異なっていることは明らかである。
したがって、本件商標を使用しても、何ら引用商標を想起すること等はなく、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれはないと確信する。
まず、引用商標の図形の主要なイメージの1つとして、「非常に快速に走っている動物」のイメージを与えるものとなっている。加えて、図形の中央部に略三角白抜きのシンボル模様が構成され、これが引用商標の主要ないま一つのイメージとなっている。
他方、本件商標は、権利者であるラッキーベル株式会社が、自社の名前の英文字「LUCKY BELL」の頭文字である「L」を採用し、該文字を変形させる共に斜め方向に回転してデザイン化したものである。
したがって、ゆったりとした非流線形状及び中央部の土台的形状の結果として、少なくとも何かが走っているようなイメージは全く生じ得ない。
上述のごとく、引用商標と本件商標では、引用商標が「非常に快速に走っている動物」のイメージを与えるのに対し、本件商標は、そのような快速なイメージを与えることなく、両者間においてイメージの大きな隔たりがあることは明らかである。
さらに、引用商標では図形の中央に(白抜きの)シンボル模様が構成されており、このシンボル模様が図形の中央に全く存在しない本件商標は、引用商標に対して、たとえ、図形の概略における相関があっても、需要者、取引者をして、その出所が明らかに区別されるものである。
してみれば、引用商標と本件商標とは、図形のイメージに加えてシンボル模様の有無においても、両者が十分区別されて認識されることは明らかであり、よって、本件商標は、需要者、取引者をして、引用商標に係る他人の業務の商品と混同を生ずるおそれはないものである。
なお、商品区分第25類に関して、登録第2343484号商標及び登録第245179号商標が存在するが、これらの登録商標も「流動なイメージのある鳥」あるいは「快速なイメージを与える鳥」として、引用商標と近いイメージであるが、出所の混同を生ずるものとされていない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではないと確信する。
5 当審の判断
本件商標は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなるものである。
これに対し、引用商標は、別掲(2)に示したとおりの構成からなり、該商標は、前記3の取消理由通知で示したように、申立人が昭和56年にスポーツ競技のスピード性をイメージして「走る鳥」を図案化した商標であって、「RUNBIRD」の商標と共に、スポーツシューズについて、永年に亘り使用してきた商標と認められるものである。
そして、その後、スポーツ用品、スポーツウェア、スポーツバッグ等にも使用範囲を広げて現在に至り、本件商標の登録出願時においては既に、取引者・需要者の間においては、スポーツシューズ等の商標として広く知られていたものと認められ、その著名性は登録査定時においても継続していたものということができる。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、黒塗りの鳥と思しき図形の頭部から嘴の部分にかけて左傾斜の直線で表してなること、尾の部分を長く伸ばしてなること及び中央に頭部と尾をバランスよく支えるような胴体部分を有してなること等において、その構成の軌を一にするということができ、本件商標の中央胴体部分に逆三角形状の白抜き部分がないことなど、構成各部の細部においては若干の差異が認められるとしても、両商標の全体の形状は、「鳥が地上を走っている姿」をデザイン化したものとして、極めて似かよった構成からなるものとみるのが相当である。
他方、商標権者は、引用商標は「快速に走っている動物」のイメージであるのに対し、本件商標は快速なイメージを与えることはないこと及び引用商標はその中央部に白抜き図形があるのに対し、本件商標にはなく、イメージを異にする等々述べている。
しかしながら、そのような差異を有するとしても、両商標を全体的に観察したときは、上記のとおり、構成の軌を一にする商標といえるものであり、加えて、前述のとおり、引用商標は、スポーツシューズ等において、取引者、需要者間に広く認識されている商標であるから、本件商標を上記スポーツシューズ等と関連性の高い本件指定商品に使用したときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の使用に係る著名な引用商標を想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
なお、商標権者は、2件の登録商標を挙げ、これらの存在をもって、本件商標も出所の混同を生ずるおそれはない旨主張している。
しかしながら、上記登録商標と本件商標及び引用商標とは、その構成を著しく異にするものであって、別異の商標と認識されるものであるから、この点に関する商標権者の主張は採用することができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり、決定する
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