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Trademark Appeal Case

品質表示と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−23907(T2004−23907/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「弱酸水」の文字を標準文字で書してなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成15年5月26日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由

原査定は、「本願商標は、「弱酸水」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、その構成中の「弱酸」の文字部分は、弱酸性が肌によいとされていること、「水」の文字部分は、指定商品との関係において、「液状の商品」程の意味合いを看取させるものであることから、全体として「弱酸性の水」程の意味合いを容易に理解するものであるので、本願商標をその指定商品中前記文字に照応する商品、たとえば、「弱酸性の化粧水・ローション、弱酸性タイプの化粧品」等に使用するときは、単に、商品の品質を表示したものと理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記文字に照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における判断

1 本願指定商品(「化粧品」「せっけん」等)を取り扱う分野において、「弱酸性化粧品」(pHを酸性にして皮膚のpHに合わせて調整された化粧品)、「弱酸性石ケン」(アルカリ性の石ケンに過敏な人用に開発された洗浄剤でN−アシルグルタミン酸塩,ラウリル硫酸塩,スルホサクシネート塩などを主成分としpHを弱酸性に調整したものが知られている。)と称される商品が存在している(廣川香粧品事典 株式会社廣川書店 平成4年10月1日発行)。

2 そして、健康な肌が弱酸性であることから、化粧水やせっけん等、直接、肌につけるものは肌と同様の弱酸性のものが適しているとして、請求人(出願人)を始め、弱酸性の化粧水等を製造、販売している者が存在することは、例えば、次のような記載から認められる。

(1) 中日本商業新聞社制作のウエブサイト上の業界の歴史の年表において、「1978(昭和53)年 弱酸性化粧品ブーム起こる」との記載(http://www.jncm.co.jp/cosmetics/history/1973_1978.html)。

(2) 「花王製品の相談室 Q.01 ビオレの弱酸性はなぜ肌にいいの?」の見出しのもと、「「ビオレ洗顔フォーム」や「ビオレu」は、肌にやさしい弱酸性の洗浄料です。素肌と同じ弱酸性なので、洗っている時に肌本来の弱酸性の状態をくずしません。素肌の大切なうるおいを守りながら、皮脂や汚れだけをしっかり落とすという特長を持っています。だから、洗った後の肌も外的刺激や乾燥に強い弱酸性の健康な肌を保ち続けることができるのです。」との記載(http://www.kao.co.jp/soudan/answer/body/face/ans_01.html)。

(3) 「カワイは「弱酸性」「無添加」のパイオニアブランド」の見出しのもと、「カワイ基礎化粧品は皮膚と同質の「弱酸性」と「無添加」を作り約30年の歴史です。赤ちゃんからお年寄りまで健康の素肌はトラブル肌知らずの「弱酸性」です。我国では「弱酸性」及び「無添加」の化粧品を、カワイ化粧品が世界初に作りました。」及び「どこにもなかった時代に、カワイは化粧品の基礎をつくる」の見出しのもと、「◎弱酸性の基礎化粧品を開発・販売。・・・◎リンス・トリートメントを全てカットしたシャンプーと弱酸性のシャンプーを開発。」との記載(http://www.kawai-cosmetic.com/kawai/index.html)。

(4) 「デリカーヌ ピュアレンス ソープ」の商品説明で、「うるおいは残して、肌汚れをスッキリ落とす。肌にやさしい弱酸性・低刺激の泡立ち豊かな洗顔石鹸。」との記載(http://www.kose.co.jp/kose/dcp/item/item1.html#s)。

(5) 「秩父の天然湧水とアミノ酸、イオンエキスだけのシンプルな弱酸性/天然化粧水 ピュアミスト」の見出しのもと、「全般肌用 霧の天然弱酸性化粧水 秩父の天然湧水とアミノ酸とミネラルたっぷりの天然イオンエキス(フムスエキス)だけでできたシンプルで「ピュア」な弱酸性の化粧水です。」との記載(http://www.neo-natural.com/skin/p-mist.htm)。

(6) 「プレゼントマリオン」の見出しのもと、「弱酸性イオン化粧水 ビューズが、スキンケア用のイオン水「2H2O 肌清浄WATER」(写真、200ml、3800円)を20人に。「純水」を電気分解によってイオン化した弱酸性水。除菌効果があり、化粧水としてだけでなく、切り傷や肌荒れの雑菌を清浄したり、髪をさらさらにしたりする効果も期待できるという。保存料や香料などをいっさい含まないため、環境にも優しい。」との記載(2004年1月22日 朝日新聞東京夕刊5頁)。

(7) 「弱酸性がなぜはやるのか?(モノわかりのいい話)」の見出しのもと、「スキンケアやベビー用品などで最近、「弱酸性」とうたった商品が目につくようになった。肌にやさしいということらしい。アルカリ性のものはあまり肌によくないということなのだろうか。せっけんで顔や体をごしごし洗うのが好きな身としては気になる。食品などでは、体が酸性にならないようにアルカリ性食品を食べるよう注意された覚えがある。なぜ弱酸性なのか。どんな効用があるのだろうか。 若い女性を中心に人気の洗顔・全身洗浄料「ビオレ」(花王)は、今年春からシリーズ全品を弱アルカリから弱酸性に変えた。「健康な肌を保つためには、肌のpH(ペーハー)を変えずに洗うことが望ましい。pH6の弱酸性にしても泡立ちや洗浄力が落ちない製品開発ができたため」と同社広報センター。 健康な皮膚の表面はpH4・5から6・0くらいの弱酸性に保たれていて、細菌感染や化学物質などの刺激から体を守っている。高アルカリのせっけんなどで洗うと、肌は一時的にアルカリ性に傾く。健康な肌はまた弱酸性に戻す中和機能があるが、肌の弱い人はその回復力が弱い。「弱酸性は、肌の状態がアルカリ化することによるマイナス面をできるだけ避けることが目的といえます」という。 資生堂が二十代の女性向けに発売したスキンケアシリーズ「タフィ」やコーセーの美白化粧水「雪肌精」も弱酸性を打ち出している。ワコールは今年から弱酸性の下着「ウェルサーモpH」を発売した。洗濯などでアルカリ化しやすい繊維に中和作用のある新素材を用いて、結果的に肌のアルカリ化を抑えるのがねらいだ。」との記載(1999年12月1日 朝日新聞東京夕刊28頁)。

3 これらの事実、すなわち、肌の状態に近い弱酸性の化粧水等の商品が広く流通しているという取引の実情があること、及び本願の指定商品「化粧品」等の主たる需要者が必ずしも専門的な化学の知識を有しているわけではない女性であることを踏まえれば、「弱酸水」の文字よりなる本願商標に接する需要者等は、これを特定の意味合いを有しない造語と認識するというよりは、むしろ、「弱酸性の水」の如き意味合いを容易に看取するというのが自然である。

4 ところで、請求人(出願人)は、「弱酸水」の文字の構成中、「弱酸」の文字には「弱酸性」の意味はなく、「弱酸水」は造語であると主張している。

確かに、請求人(出願人)の主張するように、「弱酸」とは、「一部分しか電離しない酸。酢酸・硫化水素の類。」(広辞苑第5版)を表すものであり、「弱酸性」は、pH値が7(中性)に近い酸性(酸の持つ基本的な性質)を表すものであるから、「弱酸」と「弱酸性」の語は、正式な意味合いにおいて一致するものではない。

しかしながら、商取引の実際において、取引者、需要者は、事典等を繙いて商標を観察するというようなことは皆無といって差し支えないこと、及び前記3のとおり、取引の実情と主たる需要者が女性であることを考慮すると、この請求人(出願人)の主張は採用することができない。

また、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年9月4日判決 東京高裁平成12年(行ケ)第76号)。

5 さらに、請求人(出願人)は、「本願商標は、需要者間にも、請求人(出願人)の業務にかかる商品を指称するものとして浸透している」旨主張し、甲第11号証及び同第12号証を提出しているが、その質問内容が「「ビオレ弱酸水」をご存知ですか?」とされている等、「弱酸水」の文字そのものについての認知度を示す客観的な証拠とは認め難いものであるから、請求人(出願人)のこの主張も採用することはできない。

6 してみれば、本願商標をその指定商品中、例えば「弱酸性の化粧水」等に使用しても、これに接する取引者、需要者は、前記のとおり、該商品が弱酸性の商品であると認識するに止まり、単に商品の品質を表示するにすぎないものというべきであって、また、その指定商品中、前記照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれのあるものといわざるを得ない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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