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Trademark Appeal Case

「のり武」の称呼

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2005−89070(T2005−89070/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4665381号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4665381商標(以下「本件商標」という。)は、「のり武」の文字を標準文字で横書きしてなり、平成14年7月1日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同15年4月25日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第38号証を提出した。

(1)本件商標の構成とその称呼

本件商標は、「のり武」と標準文字で表した標章であり、その称呼として「ノリブ」、「ノリム」、「ノリタケ」、及び「ノリタケシ」が候補に挙げられる。

まず、「ノリブ」の称呼については、平仮名と「武」漢字の組合せにおいて「ブ」と称呼する例はなく、「ノリブ」との称呼は耳障りで語感が悪く、この称呼は生じ難い。また、「ノリム」の称呼については、「のり武」の文字の「武」を「ム」とは読み難く、この称呼も生じ難い。「ノリタケシ」の称呼については、「タケシ」は漢字「武」の1字のみからなる人名に限って用いられるものであり、他の平仮名や漢字と結合することはなく、この称呼も生じ難い。

これら3つの称呼は、いずれも何らの意味を有する語ではなく、それ故、需要者や取引者に何らの観念も生じさせないから、本件商標では、取引の場面においてこれら3つの称呼のいずれかが自然に生ずるものとは決して考えられない。

これらに対して、「ノリタケ」の称呼については、表記「のり武」の「武」を「タケ」と称呼することは、地名(例えば、名古屋市中村区則武、佐賀県武雄市)や人名(例えば、武田、則武、武彦、武雄、義武)等にみられるごとく普通に行われることである。更に、「ノリタケ」の称呼も、「則」の文字と結合した地名(岐阜市則武、名古屋市中村区則武、名古屋市西区則武)、氏(則武)や法人名(例えば則武化学、則武建築など)にごく普通に認められることであるから、需要者や取引者は、「のり武」を「ノリタケ」と称呼することに何ら疑念ももたず、自然に称呼できる。しかも、この「ノリタケ」の称呼は、一気に称呼でき、語感もよい。

したがって、「ノリタケ」の称呼が、「のり武」の表記に接した需要者や取引者にとって最も受け入れやすいものである。以上から、本件商標「のり武」の称呼は、「ノリタケ」であると結論できる。

(2)商標法第3条第1項柱書き違反について

ア 被請求人の業務について

本件商標の商標権者である被請求人の商業登記簿(甲第2号証)によれば、営業目的に、本件商標の指定役務である第43類に属する役務の提供に関連する業務はない。

上記営業目的の記載の範囲では、被請求人は、業として第43類に属する役務を提供する者とはいえない。また、請求人が調査したところによると、被請求人の現在の主な事業はコピーライター業務であり、平成15年8月末において、4名の役員のほかは従業員1名及びパート1名で営業が行われていたことが推測される。このような会社規模で、現在の事業内容と全く相違する本件商標に係る役務の提供が登録出願時又は近い将来において可能であるとは常識的には考えられないので、被請求人は、本件商標を指定役務に使用する意思はないまま登録査定を得たと考えざるを得ない。

そのため、本件商標は、その査定時において自己の業務に係る役務について使用をする商標ではなかったものであるから、第3条第1項柱書きの規定に違反して登録されたものである。

イ 被請求人の所有するあるいは登録出願に係る他の商標について

被請求人は、138件の登録商標(登録出願中のものを含む。)を有しており、これらの商標は、平成14年5月17日から同17年2月2日の間に登録出願されたものであり、その指定商品、指定役務は第1類から第45類と著しく多岐にわたる(甲第3号証)。

前記のような規模の被請求人において、このような多岐に亘る商品を譲渡等しあるいは役務を提供等することが、それぞれの登録出願時又は近い将来において可能であるとは常識的には考えられない。このような出願傾向によれば、自己の業務に係る商品又は役務に使用しておらず、かつ使用する予定もない商標を多数登録して、その登録商標を売買、賃貸借、仲介することを意図していることが明白である(甲第2号証参照)。

本件商標は、このような意図の下に登録を受けた多数の登録商標の一つであると推定され、このような商標登録を認めることは、商標に化体した業務上の信用を保護する商標法の趣旨に反するものと考えられる。

ウ 結論

上記のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きに違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

ア 請求人の商標の著名性について

請求人は、筆記体で横書きに書き表した「Noritake」(以下「引用商標1」という。)、ゴシック体で横書きに書き表した「NORITAKE」(以下「引用商標2」という。)、ゴシック体で横書きに書き表した「ノリタケ」(以下「引用商標3」という。)、やや崩した字体の漢字及び平仮名により縦書きで書き表した「乃りたけ」(以下「引用商標4」という。)、及び引用商標1に月桂樹の葉を組み合わせた商標(以下「引用商標5」という。)等の各商標を用いて、長年に渡り、食器、研削砥石、研磨工具や研削機械等の工業機材製品、蛍光表示管、大型厚膜印刷ガラス基板等の電子関連製品、ファインセラミックス製品等の製造及び販売を行うと共に、展示施設の貸与や飲食物の提供等を行ってきた。これら引用商標1ないし引用商標5のいずれからも「ノリタケ」の称呼を生ずることは、その構成に照らして明らかである。

ところで、請求人は、洋食器の製造を目的として明治37年(1904年)に愛知県愛知郡鷹羽村大字則武に設立された日本陶器合名会社を前身とする。引用商標1ないし引用商標5は、この設立地の地名に由来するものであり、請求人は、使用態様に変更を加えつつ、一貫して「ノリタケ」の称呼を生ずる商標を使用してきた。この結果、「NORITAKE」は、戦前においても海外で陶磁器の著名ブランドとして認められていた。現在の社名は、ブランド名に合わせて昭和56年に変更したものである。請求人は、書籍、雑誌、新聞等に上記のような商標を付して広告を繰り返し掲載している。

また、請求人の製造販売する食器は、「洋食器ベストカタログ」(甲第8号証)にも、「日本が誇る洋食器メーカーの老舗。ノリタケ・チャイナの名は世界中の人々に親しまれています。」との説明が記載されて洋食器有名ブランドの一つとして紹介されている。この説明は、同号証の発行された1999年において、「ノリタケ」が有名ブランドとして一般消費者の間で既に定着していたことを示すものである。

東洋経済新報社発行の「会社四季報」においては、請求人は、その社名のうち「ノリタケ」を太字でかつ他よりも大きい文字で表した見出しを付して掲載されると共に、「世界的な高級陶磁器食器メーカー」と紹介されている(甲第9号証)。この掲載内容は、請求人の通称が請求人の使用する各商標の称呼である「ノリタケ」であること、及び、その通称すなわち「ノリタケ」の称呼を有する商標が世界的に著名であることを示すものである。

請求人の食器は、一般消費者向けの他にも、全国的に有名な多数のホテルやレストランなどに納入され、請求人の商標を付した食器類が現に使用されていることは周知のことであり、圧倒的なシェアをもっている。甲第10号証、同第11号証、同第12号証は、請求人がホテルやレストランに納入した食器の一例が掲載されているものである。「ノリタケ」の称呼を有する商標がホテル業界や飲食関連業界で著名に至っていることは、これらの証拠からも明らかである。

さらに、「日本有名商標集」に引用商標1及び引用商標2が掲載されており(甲第21号証)、請求人の「ノリタケ」の称呼を有する商標の著名性は、客観的にも認められている。

請求人は、引用商標4と同一構成の文字に背景を組み合わせた登録第1445077号商標(以下「引用商標6」という。)、これと同一の文字に図案化した焼成窯を組み合わせた登録第1580197号商標(以下「引用商標7」という。)及び、これと同一の書体で横書きした文字に「陶房」及び「Ga11ery」の文字を組み合わせた登録第4344328号商標(以下「引用商標8」という。)等も所有している。請求人は、このような書体の「乃りたけ」商標を、遅くとも昭和46年には商標登録出願して同48年に登録を受け、現在に至るまで、全国の有名百貨店等で販売されている和食器類や装飾品類等に、現在まで30年以上に亘って継続して使用している。したがって、この引用商標6ないし引用商標8も、請求人の業務に係る和食器を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っているものである。

請求人の企業規模は、連結ベースで売上高1182億円、従業員総数6538人である(第121期:平成14年3月31日)。また、請求人の事業は、5分野に大別されるが、食器事業分野においては、請求人は日本国内におけるトップ企業であり、世界でも有数のメーカーとして知られている。また、工業機材関係のうち砥石は、日本国内におけるトップ企業であり、世界でも2位又は3位に位置するメーカーとして知られている。

食器事業部門における売上高は、例えば昭和59年から本件商標の出願日前の平成14年までの20年間の総額で5000億円程度にも達し、年間平均では250億円程度になることからも(甲第29号証)、「ノリタケ」の称呼を有する請求人の各商標が著名であることが明らかである。

イ 出所混同の可能性について

請求人は、陶磁器、ガラス製品、合成樹脂製食器、合成樹脂製機械部品、金属食器、検索・研磨・切削用品、電子機材、電子部品、化学機械、化学装置、窯業製品、石膏製品、医療用具の製造販売、セラミック製コンデンサー等の原料としての土石の加工、売買及び輸出入、日用雑貨の売買、仲介、代理、陶芸教室及びギャラリーの運営、コンピュータソフトウェアの製作販売及び情報処理サービス、不動産の賃貸等を営業目的として、多岐に亘る事業を営んでいる(甲第30号証)。

また、連結子会社である株式会社ノリタケテーブルウェアは、飲食店営業及び喫茶店営業等の許可を受け営業している(甲第31号証ないし同第34号証)。

すなわち、「ノリタケ」の称呼を生ずる商標を用いる請求人及びその関連会社は、食器や研削砥石などの他、展示施設の貸与や飲食物の提供も現に行っている。これらは、本件商標の指定役務である第43類に含まれるものである。

ところで、請求人の使用する商標「ノリタケ」等は、前述した通り地名に由来するものであるが、当地は地名自体特に有名なものではなく、「ノリタケ」の語は、地名や人名(法人を含む)以外に特定の意味を有するものでもない。そのため、需要者は、ある特定の商品あるいは役務に付された「ノリタケ」の称呼を有する商標から請求人の名称あるいは商標以外の意味合いを感得することができないものと考えられる。

一方、本件商標「のり武」の文字構成は、請求人が用いる種々の商標の元となった地名「則武」のうち「則」の文字を平仮名で表したものと同一である。したがって、請求人の上記各商標と対比すれば、本件商標「のり武」も、請求人が第43類に属する役務を提供するに際して、従来と同様に「ノリタケ」の称呼を有し、かつ表記の異なる商標を採用したものと需要者が誤信するおそれがある。

しかも、本件商標は、第43類の全役務を指定役務とするものであるが、請求人の食器の需要者のうち約半数を占めるホテルやレストランは、第43類の役務のうち、少なくとも「業務用加熱調理機械器具の貸与、業務用食器乾燥機の貸与、業務用食器洗浄機の貸与、加熱器の貸与、調理台の貸与、流し台の貸与」の需要者でもあることから、本件商標の指定役務の需要者と、「ノリタケ」の称呼を有する各商標を用いた請求人の商品又は役務の需要者とは一致する。そのため、本件商標の指定役務と請求人の引用商標1、引用商標4、引用商標5等が使用される洋食器等とは類似する。

したがって、本件商標は、その指定役務に使用された場合に、需要者に請求人の業務に係る役務であると誤信されるか、請求人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る役務であると誤信され、広義の出所の混同が生ずるおそれがある商標である。

ウ 結論

以上のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る役務と少なくとも広義の出所の混同を生じるものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。

(3)商標法第4条第1項第19号について

(ア)請求人の商標の著名性について

請求人の使用する引用商標1ないし引用商標8等は、前記したとおり陶磁器等に係る商標として、本件商標の出願日前に日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている。

(イ)本件商標と請求人の使用する商標との類否について

本件商標は、前記とおり、請求人の使用する著名商標に類似する商標である。

(ウ)不正の目的について

「のり武」と表記される本件商標の構成は、被請求人の会社名及び役員氏名のいずれとも関係がないから、被請求人には、本件商標を選択しあるいは使用する必然的な理由が存在しない。

一方、請求人の使用する「ノリタケ」の称呼を生ずる商標は、前述したとおり少なくとも陶磁器等に係る著名商標であるから、被請求人もその存在を知っているはずである。

また、前記したとおり、被請求人は、自ら本件商標を指定役務に使用する予定がなく、当初から他人に譲渡しあるいは賃貸することを目的とするが、譲渡しあるいは賃貸する価値は、請求人の著名商標にただ乗りし、その出所表示機能や名声等を希釈化しあるいは毀損させる等の不正の目的をもって使用するものである。

(エ)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。

(4)商標法第4条第1項第11号について

(ア)引用商標

請求人の所有する商標登録第4639737号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成14年2月26日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,植物の供覧,庭園の供覧,洞窟の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,電子出版物の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付き証票の発売,通訳,翻訳,写真の撮影,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,運動用具の貸与,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,おもちゃの貸与,楽器の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,図書の貸与,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用具の貸与」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の介護,動物の宿泊施設の提供,カーテンの貸与,会議室の貸与,家具の貸与,加熱器の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与,調理台の貸与,展示施設の貸与,流し台の貸与,布団の貸与」を指定役務として、同15年1月24日に設定登録されたものである。

同じく登録第4639787号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成14年3月22日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,庭園の供覧,洞窟の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組制作のために使用されるものの操作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競争の興行に関するものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付き証票の発売,通訳,翻訳,写真の撮影,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,運動用具の貸与,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,おもちゃの貸与,楽器の貸与,カメラの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,書画の貸与,光学機械器具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,図書の貸与,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の介護,動物の宿泊施設の提供,カーテンの貸与,会議室の貸与,家具の貸与,加熱器の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与,調理台の貸与,展示施設の貸与,流し台の貸与,布団の貸与」を指定役務として、平成15年1月24日に設定登録されたものである。

(イ)引用商標9及び引用商標10について

引用商標9は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなるものであり、この商標に接した需要者は、その構成のうちの右端に位置する「森」の文字と「文化と出会い、森に憩う。」及び「ノリタケの森」の各文字からは、「ブンカトデアイモリニイコウ」、「ノリタケノモリ」、「ノリタケ」等の称呼が生ずるものであり、上記のうち「ブンカトデアイモリニイコウ」は記述的でやや冗長であるため識別力を有せず、特に最も簡潔な「ノリタケ」という称呼が商標の要部として取引者及び需要者に認識される。

また、引用商標10は、別掲(2)に示したとおりの構成よりなるものであり、その構成のうち「Noritake」の文字から「ノリタケ」の称呼が生ずる。

(ウ)本件商標と引用商標との類否について

前述したように、本件商標と引用商標9及び引用商標10とは、共に「ノリタケ」の称呼が生じるので、称呼において一致する。

したがって、本件商標と引用商標9及び引用商標10とは、称呼において相紛らわしく、類似の商標というべきである。

(エ)指定役務の類否について

本件商標及び引用商標9、引用商標10は、前述したとおりの役務を指定役務とするものであり、本件商標の指定役務は、引用商標9の指定役務のうち第43類に属するものを全て含み、引用商標10の指定役務のうち第43類に属するものと同一である。

(オ)結論

以上のとおり、本件商標は、引用商標9及び引用商標10と類似する商標であり、その指定役務も同一である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。

(5)むすび

以上、説明したとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きに違反して登録されたものであり、第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。

(1)本件商標は、のりのいい「のり」をベースに、武士の「武」を付加し、「のり武」としたものである。「則武」という氏の「則」という字がいささか読みにくいために、「のり」を平仮名とし「武」をそのまま残し、「のり武」としたものである。「ノリタケ」の読み方とする地名、姓名と問わず人名、屋号等々に普通に使用されている。

(2)商標法第3条第1項柱書き

請求人は、被請求人を小さな会社と述べているが、皆、小より始めて大となるものである。請求人が有名であるからといって、「ノリタケ」が含まれる全名称を独占できる訳ではない。請求人は、商標「のり武」につき、役務区分第43類の登録をしていなかったのであるから、先行者がこれを登録すれば、後行者たる請求人に登録の権利がないのは当然である。

被請求人は、登記目的の会社であるが、将来事業を拡大する予定もあり、また、関連会社との業務提携による事業拡大の予定もある。近いうちに本件商標の使用をする予定である。本件商標の使用予定を立証する証拠を乙号証として提出する。

よって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きに違反するということには当たらない。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同第11号

被請求人は、本件商標の指定役務の一部を抹消登録する用意がある。

被請求人は、指定役務のうち「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与」について使用する予定であり、これらを除いた役務「展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」について削除する登録申請を行うことにやぶさかではない。

そうすると、本件商標は、請求人の引用する商標とは、その指定役務において非類似となり、商標法第4条第1項第10号及び同11号に該当しないことは明白である。

(4)商標法第4条第1項第15号

請求人の引用商標は、著名な商標であるが、商品「食器類」などの部門において著名であるにすぎず、全商品及び全役務の商標として独占しなければならないほどの著名ではない。

インターネットで検索すると、「のりたけ」で約7,080件、「ノリタケ」で約112,000件、「則武」で約40,700件、「乃利武」でも約3,410件が抽出される(乙第1号証)。この膨大な件数の結果から得られる事実からでも「ノリタケ」を読み方とする地名、姓名と問わず人名、屋号等々に普通に使用されていることが判明する。一例として「ノリタケ」の読みを有する岡山県在の旅館「苫田温泉 乃利武」、ゴルフ工房「ノリタケ」及び東京都在の「株式会社則武工務店」のホームページ写しを乙第2号証として提出する。

このような使用状況の中で、本件商標の使用のみが請求人の引用商標と出所混同が生じるおそれがあるか否かは自ずと明らかであると思われる。

したがって、本件商標をその指定役務に使用しても、請求人の引用商標と役務の混同が生ずることはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第19号

請求人の引用商標は、明らかに本件商標「のり武」と異なり、著名とはいっても、商品「食器類」を中心としたものにすぎず、業種が異なるため損害を加える意図は全くない。請求人が殊更に損害をいい立てるのは、商標の独占を図るためのいいがかりにすぎず、迷惑であるといわざるを得ない。

本件商標の選択理由は、前記のとおりであり、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

(6)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書きに違反するものではなく、同法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号、同第19号に該当するものでもない。

したがって、請求人の主張は、本件商標登録の登録を無効とする理由が存しない。

4 当審の判断

請求人は、登録無効の理由において、本件商標は商標法第3条第1項柱書きの規定並びに同法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号の各規定に違反して登録されたものであると主張するところ、商標法4条第1項第11号に該当する理由に、本件商標と類似の商標であるとして引用商標9及び引用商標10を引用するので、まず、本件商標が引用商標9及び引用商標10と類似する商標であるか否かについて検討する。

本件商標は、前記のとおり「のり武」の文字よりなるところ、語尾に位置する「武」の文字は、「ブ」、「ム」、「タケ」又は「タケシ」と読む漢字であるが、名古屋市中村区則武、名古屋市西区則武本町、岐阜県岐阜市則武、佐賀県武雄市、長野県小県郡武石村、愛知県知多郡武豊町、福井県武生市などの地名や武田、則武、武彦、武雄、義武などの氏又は名等にみられるように、「武」の文字を「タケ」と読むことはさほど困難なことではなく、むしろ日常見聞することの少なくないなじみのある読み方であるとみることができる。

そして、本件商標の「のり武」の文字を「ノリタケ」と称呼した場合、他の読みである「ノリブ」、「ノリム」あるいは「ノリタケシ」に較べて響きがよく、無理なく自然に称呼し得るということができ、本件商標から「ノリタケ」の称呼を生ずる点について、請求人及び被請求人の両当事者間に争いはない。

してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「ノリタケ」の称呼を生ずるものと認めるのが相当である。

これに対し、引用商標9は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなるものであって、称呼、観念の生じない図形と「文化と出会い、森に憩う。」及び「ノリタケの森」の両文字よりなるものであるから、これら両文字の全体に相応して「ブンカトデアイモリニイコウ」及び「ノリタケノモリ」の称呼を生じる。また、引用商標10は、称呼、観念の生じない図形に「Noritake」の文字を重ねて配してなるものであり、この文字に相応して「ノリタケ」の称呼を生ずるものと認められる。

そうすると、本件商標と引用商標9とは、構成音数、音構成に著しい差異があり、称呼において明瞭に区別し得るものといえるのに対し、本件商標と引用商標10とは、「ノリタケ」の称呼を同一にするものであるから、両商標が外観において相違するものである点を考慮しても、本件商標は、引用商標10と称呼において類似する商標といわなければならない。

また、本件商標の指定役務と引用商標10の指定役務とを対比すると、それぞれの指定役務は前記のとおりであって、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務中、第43類の指定役務と同一のものである。

してみれば、他の登録無効の理由について検討しても、本件商標は、引用商標10と称呼において類似する商標であり、かつ、引用商標10の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわなければならない。

したがって、本件商標は、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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