Trademark Appeal Case
役務の記述的商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2003−979(T2003−979/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「住宅情報賃貸版ネット」の文字を標準文字により表してなり、第35類の願書に記載したとおりの役務を指定役務として、平成12年6月12日に登録出願されたものである。
指定役務については、審判請求後の平成15年1月28日付け手続補正書により、第35類「広告」に補正された。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、要旨「本願商標は、その構成中の「ネット」の文字部分は近年の通信技術の発達によるインターネット等の情報通信網であることが容易に理解でき、全体として「インターネット等の情報通信網を使用した賃貸住宅に関する情報」の意を容易に理解することができる。そしてこれを、本願指定役務中「広告」に使用したときは、これに接する需要者、取引者は上記を内容とした広告の意を容易に認識し、単に役務の質(内容)、提供の方法を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する旨の理由を示し、また、出願人の本願商標を含めた商標の使用実績を示す資料を収集中である旨の意見書及び当該資料を収集するための期間を求める上申書に対して、その後、相当な期間が経過するも、何ら応答がなく、意見書の記載のみでは先の認定を覆すには至らない。」として、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、「住宅情報賃貸版ネット」の文字よりなるところ、その構成中の「住宅情報」の文字が住宅に関する情報を意味するものであり、また、同「賃貸版」の文字が、住宅の中でも賃貸契約による物件であることを示す「賃貸」の文字に、出版などの情報分野において対象を特定するために用いられる「版」の文字を結合させたものであって、同「ネット」の文字は近年の通信技術の発達によるインターネット等の情報通信網であることが容易に理解できるから、原審説示のとおり、全体として「インターネット等の情報通信網を使用した賃貸住宅に関する情報」の意を容易に理解することができるとみて差し支えないものである。
そして、これら上述の意を容易に理解することのできる状況は各紙報道記事ないしインターネット情報により裏付けることができる(「住宅情報」「住宅情報賃貸版」や「賃貸住宅情報」の文字により構成される商標についてした審決(不服2002-7517号、不服2000-5045号、平成11年審判31435号)等に示された各紙の報道記事ないしインターネット上の情報を参照した。)。
また、住宅に関する情報を取り扱う業界においては、物件情報、関連情報をインターネット等の情報通信網で提供し、広告主から当該行為に対する報酬を受け取る業務、すなわちインターネット等の情報通信網による広告を役務としている状況が窺えるところである。
そうすると、本願商標は、その指定役務中「インターネット等の情報通信網による賃貸住宅の広告」に使用する場合、単に役務の質(内容)、提供の方法を表示するにすぎないものというべきであり、また、前記役務以外の役務(広告)に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができないといわなければならない。
(2)請求人(出願人)は、本願商標の構成要素である「住宅情報」及び「住宅情報賃貸版」が土地・建物に関する情報、すなわち多数の不動産物件情報を掲載した雑誌の題号として請求人(出願人)により大々的に使用されてきており、我が国において既に極めて広く知られ周知になっているものであること、さらに、当該雑誌は請求人(出願人)の商品であると同時に請求人(出願人)にとっても、また、不動産広告の需要者・取引者である不動産業者等にとっても、重要な広告媒体となっているものであることから、本願商標は、需要者等に対し「周知著名な雑誌「住宅情報賃貸版」のインターネット版」との意味合いを容易に認識させるものであり、したがって、商標全体としては単なる役務内容を表示する類のものではなく、出所表示機能等の商標的な識別機能を十分に発揮するものとみるのが至当である旨述べて、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第25号証(枝番を含む。)を提出している。
確かに、甲各号証は、「住宅情報」「週刊 住宅情報」及び「住宅情報賃貸版」を題号とする不動産に係る情報誌及びその販売のための宣伝広告に係るものであって、当該情報誌が各発行地の広域エリアの情報が交通線・地区別などに分類整理され、多数の物件情報が網羅されていることや不動産業者等から依頼される物件情報を有料で掲載していること等を認め得ることはできる。
しかし、当該情報誌に掲載される住宅やアパート等の場所、広さ、間取り、家賃等の情報を提供するのは掲載を依頼する不動産業者等であり、かかる情報は住宅やアパート等を探し求めている者に向けたものであるところ、その依頼は特定の情報誌のみによるものとはいい難く、チラシ、新聞広告等の他の広告媒体や複数の広告代理店に依頼され、その物件情報もほぼ同様の体裁になるものであって、これら情報を得ようとする者は住宅やアパート等の物件を探し求める者であり、当該情報誌のみならず自分に合う物件を選び出すため各種の不動産情報を調べるとみて差し支えない。
そして、住宅やアパート等を探し求めている者が、かかる情報をインターネット等の情報通信網検索で行う場合において、「住宅情報」、「賃貸版」及び「ネット」の各文字は、上述(1)のとおり、単に役務の質(内容)、提供の方法を表示したものと理解させるに止まり、かつ、不動産に係る情報誌の題号として使用される「住宅情報」及び「住宅情報賃貸版」の文字自体が常に特定役務の固有商標と把握されているものとまではいい難く、単に住宅やアパート等の物件情報を掲載内容とする情報誌との認識の下に購入する場合も少なくないものといえる。
また、掲載を依頼する不動産業者等は自らが取り扱う住宅やアパート等の物件情報がこれを探し求めている者に広く伝わり、契約に至ることを目途として依頼するものであり、「リクナビ」などで有名な就職・転職関係を始めとする各種情報誌を中心にする日本有数の出版社である請求人(出願人)の発行の不動産に係る情報誌であるとして、その地域性や発行部数を考慮して依頼するものといえるから、直ちに役務「広告」について「住宅情報」及び「住宅情報賃貸版」の文字自体が使用による識別性を獲得しているということもできない。
しかして、当該情報誌が住宅やアパート等の不動産に係る物件情報を有料で掲載していることから、不動産に関する雑誌による広告の代理との側面を有するとしても、その識別性の獲得を主張して商標登録が可能になるのは、使用商標及びその使用に係る商品又は役務が同一の場合に限られるものと解されるところ、本願商標「住宅情報賃貸版ネット」と情報誌の題号として使用されている商標とは同一になるものでなく、また、本願指定役務と使用に係る商品ないし役務が同一であるということもできない。
したがって、請求人(出願人)の上記主張及び証拠方法をもって、上記(1)の認定、判断を覆すことはできない。
(3)以上のとおり、本願商標は、これを補正後の指定役務「広告」中、「インターネット等の情報通信網による賃貸住宅の広告」に使用するときは、取引者、需要者をして、住宅に関する情報のうちの賃貸物件を対象としたものであることを認識するに止まるものであって、その役務の質(内容)、提供の方法を表示するにすぎないといえるものであり、しかも、本願商標がその役務への使用による識別性を獲得しているということもできない。
また、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。
そうすると、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これらを理由に本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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