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Trademark Appeal Case

指定商品外の表示による誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2004−89107(T2004−89107/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4624655号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4624655号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成13年6月13日に登録出願、第30類「菓子及びパン,即席菓子のもと」を指定商品として、同14年11月29日に設定登録され、その後、商標登録の無効審判により、指定商品中「パイ」について無効とすべき旨の審決がされ、同16年11月29日にその確定審決の登録がされたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

(1)請求人は、本件商標と類似する商標(商標「3.14=π(パイ)の日」、指定商品「パイ菓子、その他のパイ」など)を出願中であり、また、同出願中の商標と同一の文字構成よりなる自己の登録第4058700号商標(以下「引用商標」という。)を商品「ミートパイ」について使用している。

そして、構成中に「パイ」の文字を有する本件商標を、「パイ」を含まないその指定商品について使用すれば、消費者において品質の誤認、混同を生ずる。

よって、本件審判請求をするについて利害関係を有する。

(2)本件商標は、「菓子及びパン、即席菓子のもと」を指定商品として登録されたものであるが、無効審判により指定商品「パイ」が無効となった。したがって、もはや残余の指定商品中に標章自体が指し示している商品「パイ」が存在しない。

また、広告代理店の実施したアンケートによれば、一般消費者が本件商標に接して75%もの人が容易に菓子のパイとの関係を認識できることを示している。

したがって、本件商標は、その構成中に指定商品を指示する語を含みながら、指定商品中に指示されるべき商品を持たないから、商標法第4条第1項第16号に違反している。

(3)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反していることは明らかであり、同法第46条第1項の規定により登録を無効とすべきである。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。

(1)請求人の主張によれば、請求人の所有する引用商標も商標法第4条第1項第16号に該当し無効であるから、本件審判請求に請求の利益はない。(2)本件商標は、「3月14日がホワイトデー」であり、「πの日」とは上下段分離しているので、「ホワイトデー」とギリシャ文字の「π」及び「πの日」とは関係がない。

そして、本件商標が、商標法第4条第1項第16号に違反しているとの請求人の主張は、引用商標が「3.14=π(パイ)の日」であるにもかかわらず、その指定商品中に「コーヒー及びココア,コーヒー豆,・・・酒かす」を含んでいることと矛盾する。

(3)よって、本件審判請求には、請求の利益及び理由がない。

4 当審の判断

(1)請求の利益について

請求人は、本件商標は「3.14=π(パイ)の日」を標章とし「パイ菓子、その他のパイ」などを指定商品として出願している商標(該出願は商願平2004−108430として現に特許庁に係属していることを確認できた。)及び引用商標と類似するものであり、被請求人が本件商標をその指定商品に使用した場合、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある旨主張しているのであるから、請求人は、本件審判を請求するにつき、法律上の利益を有するといわなければならない。

(2)東京高等裁判所においてされた審決取消の判決における認定の要旨は、以下のとおり。

本件商標の上段には、「3月14日(ホワイトデー)」の文字が書されている。我が国では、3月14日は「ホワイトデー」と称され、2月14日のバレンタインデーにチョコレートなどをもらった男性がそのお返しとして贈り物をする日としてよく知られている。ホワイトデーの贈り物として定まったものはないが、マシュマロ、クッキー、キャンディ、ケーキなどの菓子類が贈り物として選択されることが多いことはアンケート結果からも明らかであり、3月14日が近づくと、菓子店を初めとする小売店がホワイトデーの贈り物用として様々な商品を宣伝・販売していることは、誰もが経験する周知の事実である。

他方、本件商標の下段には、「πの日」と書され、「π」の文字の上部には「パイ」の振り仮名が付されている。「π」は円周率(3.14)を示すものとしてよく知られていることから、「πの日」が3月14日(ホワイトデー)を意味することは容易に理解できる。また、上記のとおりのホワイトデーの習慣に照らすと、一般の需要者であれば、「π」の振り仮名として書された「パイ」から菓子のパイを連想し、本件商標が全体として「3月14日のホワイトデーは菓子のパイの日である」との意味も持つことを理解できるというべきである。

このような本件商標の構成に照らすと、本件商標が3月14日のホワイトデー用のパイ菓子に用いられるものであり、同日が菓子のパイの日であることを需要者にアピールすることによりパイ菓子を販売しようとするものであることは明らかである。パイは、ホワイトデーの贈り物としてはそれほど一般的であるとはいえないが、ホワイトデーの贈り物として販売される場合には、他の菓子類、即席菓子のもと、パン類等とともに販売される可能性が高いことは、その性質上当然である。

前記判示のとおり、本件商標はホワイトデーという多くの人が限られた期間内に菓子類等を買い求める機会に使用されるものであり、そのことが商標の構成から明らかであるところ、同商標には、パイ菓子であることを直接的に示す「パイ」という言葉が使われ、全体としても「3月14日は菓子のパイの日」を意味すると理解できるのであるから、ホワイトデーの贈り物として菓子類やパン類を求めにきた需要者は、本件商標に接した場合、その内容、品質がパイ菓子であって、他の種類の菓子やパンではないと認識するのが自然である。そうすると、本件商標が、パイ菓子以外の「菓子及びパン,即席菓子のもと」に使用された場合には、需要者はその商品の内容、品質がパイ菓子であると誤認するおそれがあるというべきである、と判断されている。

しかるに、審決を取り消す判決が、その事件について当事者たる行政庁である特許庁を拘束することは、行政事件訴訟法第33条第1項の規定から明らかである。

そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ない。

(3)したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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