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Trademark Appeal Case

「Polo」の周知性と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−16212(T2004−16212/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,帽子,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成15年10月23日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、その構成中に、アメリカ合衆国ニューヨーク市在の『ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ』が、ラルフ・ローレンのデザインによる被服、かばん類等に使用し、一般に広く知られている『Polo』の文字を有してなるものであるから、これを出願人がその指定商品に使用するときは、あたかも上記会社若しくは上記会社と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における職権証拠調べ通知

当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」、「POLO」、「ポロ」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章に関して行った職権による証拠調べにより、以下の事実を発見したので、その旨を請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

(1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」(184頁)及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(208頁)の記述によれば、以下の事実が認められる。

アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルなファッションデザインの展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、世界的に知られるようになった。

そして、前記の記述には「Polo」及び「by RALPH LAUREN」の文字並びに「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章が用いられ、これらの標章は単に「ポロ」と略称されて紹介されている。

(2)株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項(123頁、195頁、221頁、224頁、281頁)及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項(223頁)の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事(5頁)によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、昭和52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、昭和53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。

(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告(6頁)、前出「男の一流品大図鑑」(184頁)、株式会社講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」(147頁)、株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行「別冊チャネラー79−9/ファッション・ブランド年鑑’80年版」(61頁、130頁)、「男の一流品大図鑑’81年版」(12頁 昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(131頁 昭和55年11月15日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(87頁 昭和56年6月20日発行)、前出「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(208頁)、株式会社講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」(63頁)のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。

(4)平成3年株式会社研究社発行「英和商品名辞典」には、「POLO ポロ」の見出し語の下に「⇒Polo by Ralph Lauren」との記載があり、「Polo by Ralph Lauren ポロバイラルフローレン」の見出し語の下に「米国のデザイナーRalph Lauren(1939−)がデザインした紳士物衣料品。通例Poloと略されて呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞、翌年には婦人服で受賞。・・・1974年の映画The Great Gatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣裳を担当して、人気が急上昇した」と記載されている。

平成11年1月10日株式会社小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には、「polo」の見出し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalph Lauren デザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒POLO BY RALPH LAUREN」の記載があり、「Polo by Ralph Lauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバイラルフローレン:米国のR.Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。

(5)ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形等を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付朝日新聞(東京版)夕刊(16頁)、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊(16頁)、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊(30頁)、同11年6月8日付朝日新聞(西部版)夕刊(6頁)、同11年9月9日付日本経済新聞朝刊(39頁)に報道されている。

(6)ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形等について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決として、東京高裁平成2年(行ケ)183号(平成3.7.11言渡)、東京高裁平成11年(行ケ)250号、同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11.12.16言渡)、同268号、同289号(以上平成11.12.21言渡)、同288号(平成12.1.25言渡)、同298号、同299号(以上平成12.2.1言渡)、同333号、同334号(以上平成12.3.29言渡)、平成12年(行ケ)5号(平成12.9.28日言渡)、同140号(平成12.10.25言渡)、同112号(平成12.11.14言渡)、同162号(平成13.2.8言渡)、平成11年(行ケ)420号(平成13.4.19言渡)、平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡)、同119号(平成13.11.29言渡)、平成16年(行ケ)33号(平成16.5.27言渡)等がある。

(7)以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、これらを「ラルフローレン標章」という。)は、我が国において、単に「Polo」、「ポロ」と略称され、その略称は、本願商標の登録出願前には、既に我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものであり、その認識の度合いは現在においても継続しているものと認めることができる。

第4 請求人の意見の要旨

上記の証拠調べ通知に対し、請求人は要旨以下のように意見を述べている。

(1)略称「Polo」の周知・著名の程度は、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を連想、想起させるものである場合において周知であり、例え構成中に「Polo」が含まれていたとしても、ポロ競技とは無関係で「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形とは全く別のイメージを連想する場合や、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を全く想起しない場合などにはラルフ商標とは出所の混同を生じるおそれは無い。

(2)「Water Polo」の語は広辞苑はじめ各種国語辞典や英和・和英辞典、カタカナ語辞典などに幅広く掲載されており、常に「水球、ウォーターポロ」として一個不可分の既成の観念を示すものである。「Water Polo」の略語として「Polo」を使用している例や「Polo」のみを特に抽出して用いているような例は全く見当たらない。

(3)本願商標の図形部分は、文字部分より、需要者等の視覚に訴える度合いが大きく、その図形が、「波間を泳ぐ大きなボールを握った魚のような図形」であれば、取引者・需要者がラルフ商標であると出所の混同を生じるおそれなど全く有り得ない。

第5 当審の判断

(1)「POLO」の著名性について

前記第3の職権証拠調べ通知において示したとおり、ラルフローレン標章は、我が国において、単に「POLO」、「Polo」、「ポロ」と略称され、本願商標の出願前には、既に取引者、需要者間に広く認識されていたものであり、その認識の程度は現在においても継続しているものと認められる。

(2)商品の出所の混同のおそれについて

本願商標は、別掲のとおり、四隅が丸味を帯びた横長の長方形中に種類の不明な一種仮想動物的な図形を書し、その下に「Billdy」及び「WATER POLO」の欧文字を二段に書してなるところ、「Billdy」と「WATER POLO」の両文字は、外観、観念上不可分なものとはいえないばかりでなく、また、これら両文字部分と図形部分も視覚上分離して看取され、該図形は特定の事物を想起し得ないことから、観念上もこれら文字部分と図形部分を常に一体不可分のものとして認識しなければならない格別の事情は見出し難い。

そして、構成中の「WATER POLO」は「水球」の語義を有する英語ではあるが、水球(water polo)の競技自体が、我が国において野球(baseball)、サッカー(soccer)、バレーボール(volleyball)等に比し、一般に馴染み親しまれたスポーツとまではいい難いうえ、本願指定商品中の洋服、コート等被服の商品分野の主たる需要者は、若者から老人までを含む一般的な消費者であり、我が国において、英語教育が進展しているとはいえ、必ずしもこれら取引者、需要者に「WATER POLO」の文字が「水球」を意味する語として理解されるとはいい難いものである。

そうすると、本願商標に接する者は、構成中下段に位置するとはいえ、簡潔に表記された「POLO」の文字に注意を惹かれ、該文字部分に着目することは十分にあり得るといわなければならない。そして、上記構成中「POLO」の文字部分は、前記第5(1)で認定の著名標章「POLO」と同一の文字綴りよりなるものである。

さらに、本願の指定商品は、主として、洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類等の被服類であるところ、これら商品は、前記著名標章の使用に係る商品とその商品分野を同じくし、また、上記以外の指定商品についても、いずれも前記著名標章の使用に係る商品に関連した商品で、いわゆるファッション関連の商品といえるものである。

したがって、上記の事情よりすれば、本願商標をその指定商品について使用した場合は、これに接する取引者、需要者は、「POLO」の文字部分に強く印象付けられ、「POLO」、「Polo」、「ポロ」とも呼ばれる前記著名標章を連想、想起し、その商品がラルフ・ローレンあるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

なお、請求人は、「略称『Polo』の周知・著名の程度は、その『Polo』の文字から『馬に乗ったポロ競技のプレーヤー』の図形を連想、想起させるものである場合においてラルフローレンの商標として周知なのである。」旨主張するが、ラルフローレン標章は、単に、「Polo」、「POLO」、「ポロ」と略称され我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っているものであること、上記第3及び第5(1)で認定したとおりであるから、請求人のかかる主張は採用することができない。

(3)以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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