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Trademark Appeal Case

地名商標の産地表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2002−24089(T2002−24089/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「NAZCA」の文字を書してなり、第33類「ふどう酒,その他の果実酒,洋酒,日本酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成13年5月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、『ペルー南西部、イカ県南東部の都市』(コンサイス外国地名辞典参照)を意味する『NAZCA』の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるから、これをその指定商品中ペルー産の商品、例えば『ペルー産のふどう酒,その他のペルー産の果実酒』などに使用しても、単に商品の産地又は販売地を表すにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記指定商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記1のとおりの構成よりなるものであるところ、「NAZCA」の文字は、ペルー南西部、イカ県南東部の都市で、地上絵など多くの遺跡があり、1994年にユネスコの世界文化遺産に登録されたことは、原査定で示した辞典のほか、「ランダムハウス英和大辞典(小学館発行)」においても確認できるものであり、観光地としても知られているものである。

そして、「コンサイス外国地名辞典」(株式会社三省堂発行)によれば、「イカ(Ica)」は、「ペルー南西部の県。県都イカ。大部分が砂漠の河川流域に灌漑耕地として開かれた綿作地帯。またブドウの主産地で、ピスコ酒が作られる。」と記載されているものである。

そうしてみると、「NAZCA」は、イカ県の一都市であって、イカ県地域がブドウの主産地であることよりすれば、「NAZCA」においてもワイン等が生産・販売され得るとみるのが相当である。

さらに、ペルーのイカ県地域がワイン、ブランデー等の産地であり、かつ、ペルーが観光地であることは、例えば、新聞記事情報、インターネットのホームページにおいて、以下の記事があることからも十分に裏付けられるところである。

(1)1997.9.19 「日本食糧新聞」

「三国コカ、初の南米ワインフェア 三国コカ・コーラボトリング(株)(埼玉県桶川市、048・774・5061)は、同社としては初のワイン試飲会となる『南米ワイン・フェア』を12日、大宮市内のパレスホテル大宮で開催した。・・ペルーは最近輸出にも力を入れている国で、タカマ社は同国を代表するワインメーカー。ペルー特産の「ピスコ・ブランデー」の大手メーカーでもあり、今回同品も発売する。・・南米四ヵ国の中で、日本で初めて本格的に取り組まれるのが

ペルー産のワイン

。ペルーは世界の八〇%の気候があるといわれるほど多彩な気候に恵まれ、したがってブドウ栽培好適地も豊富にある。」

(2)1998.1.7 「毎日新聞」地方版/埼玉

「[アンデスの風]埼玉・南米新事情/4 ワイン交流−ペルー /埼玉 1889年に創業し、ペルーを代表するワインメーカー『タカマ社』はこの

イカ

にある。・・日中は高温、夜間は気温が低下する気象条件のほか、かんがいによる豊かな水に恵まれ、

イカ

はブドウを生産するには最適な環境とされる。このため、スペイン人がペルーに入植した16世紀後半以降、ワインやブドウから作る「ピスコ・ブランデー」の製造が始まった。・・ペルーワインを世界に広げようと、タカマ社は約30年前から、フランス出身のロベルト・ニーデルマン技術課長を中心に、地道な技術革新に取り組んできた。この結果、赤で4種類、白とロゼで各3種類の高品質のワイン製造に成功した。最近では輸出にも力を入れ、欧米や南米各国向けに年間24万本を輸出。フランスやカナダで開かれた国際大会ではメダルを受賞するまでに成長した。」

(3)1998.12.2 「共同通信社」

「『学芸=海外手帳』☆チリ☆ピスコ酒はだれのもの?・・ピスコとは、先住民の言葉で『鳥』という意味だが、固有名詞としてはペルー最古の文化発祥地の一つに挙げられる南部パラカス半島近くの都市名や川の名称に昔から使われている。しかもこの

ペルーのピスコ市周辺

では植民地時代になっていち早くブランデー生産に着手した。『ピスコ』は今や

ペルー酒

を代表するナショナルブランドであり、このためペルーは『ピスコ』を国家の文化遺産と認定し、名称の知的所有権を理由にチリ産ピスコの販売中止を訴えた。」

(4)1996.4.26 「日刊スポーツ」23頁

「ランキング GWに出掛ける海外旅行 海外旅行者は、今年1500万人に達するという。・・トップはニューヨーク。・・★海外人気スポットランキング 順位 旅行場所 指示人数 イメージ (1)ニューヨーク 1002 大都会、自由の女神、ミュージカル・・(36)

ペルー

239 インカ文明、ナスカ地上絵、遺跡・・」

(5)1999.8.3 「毎日新聞」地方版/北海道

「輸出拡大目指し、札幌でペルー展 ペルー特産品を展示即売して対日輸出拡大を促進する『ペルー展』が、2日から札幌市中央区の北海道経済センターで始まった。・・日本人のペルー移住100周年を記念し、日本貿易振興会(JETRO)とペルー政府輸出振興協会の主催で開催。・・会場にはヒエに似た穀物『キヌア』を使ったパン、ビタミン豊富な果物『カムカム』の清涼飲料水や、綿織物、

ワイン

などの特産品がずらり。」

(6)2004.4.9「日本食糧新聞」

「サントリー、『新健康酒』創出へ本格始動、『マカディア』の受注好調サントリー(株)(東京都港区、03・3470・1104)が、「新健康酒」創出に本格始動した。その第一弾施策として6日、『健康リキュール〈マカディア〉』を投入し、ワイン&スピリッツカンパニーとして食に対する健康ニーズの高まりにしっかり対応していくことを目指す。・・同商品はアンデスの“薬用ニンジン”と言われる『マカ』とビタミンを豊富に含んだ別名“ビタミン爆弾”と言われる『ローズヒップ』に注目したもので、両者をアンデスの

白ブドウ蒸留酒(ピスコ

)に漬け込み・・従来の同社酒類マーケティングでは異例となる美容室・・

ペルー

大使館など幅広くアプローチ。」

(7)2004.10.21 「毎日新聞」地方版/奈良 21頁

ペルー

物産展 現地の子ら支援、絵画も展示 県内外で暮らす外国人を支援する『外国人労働者奈良保証人バンク』などが24日、かしはら万葉ホール(橿原市小房町)で『ペルーの子どもたちの絵画展とペルー物産展』を開く。物産展はアルパカのセーターや、ケーナなどの楽器、

ワイン

、食材など盛りだくさんの内容で、収益は同国の子どもたちが学ぶ現地の学校支援にあてられる。

(8)「NHKのホームページ 世界遺産の旅 ・・世界遺産ここに行きたい!ベスト30 1位 マチュピチュ 国名

ペルー

・・12位ナスカ地上絵 国名

ペルー

・・」

(http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/ranking/index0929.html)

以上よりすれば、ペルーにおいて、イカ県イカ地域を中心としてワインが製造・販売され日本にも近年輸出されていること、「NAZCA」もイカ県の一都市であって、かつ、同じような気候・地理条件をもつ近隣県でも蒸留酒等が作られていることに鑑みれば、「NAZCA」がワインの産地とまでは言えないにしても、そこで、ワイン等が生産され、または販売されているだろうと認識させ得るものであり、かつ、一般的に観光地であっては、その地域の特産品を販売しているものと認識させるものである。

そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品「ぶどう酒,その他の果実酒,洋酒」に使用した場合、これに接する取引者・需要者をして、「NAZCA(ナスカ)で生産・販売されいる商品」であるものと理解させ、単に商品の産地・販売地を表示したものと認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、ペルー産以外の商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。

なお、請求人は、「NAZCA」がペルーの都市を表すことは我が国で知られていない旨主張するが、ペルーが観光地であることは、前記認定のとおりである。また、本願商標はチリ及び米国において登録されている旨主張するが、登録の判断については、各国は属地主義を採用しているものであるから、請求人のその主張は採用できない。さらに、過去の登録例を挙げて、本願商標は登録されるべきであると主張するが、過去の登録例は、商標と指定商品の関係等において、本件とは事案を異にするものであって、これらの登録例をもって本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切でなく、過去の審査例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、請求人のその主張は採用できない。

よって、結論のとおり審決する。

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