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Trademark Appeal Case

不使用取消の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30310(T2005−30310/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1475854号商標(以下「本件商標」という。)は、「CAROL」の文字を書してなり、昭和44年5月28日に登録出願、第17類「被服、布製身回品」を指定商品として、同56年8月31日に設定登録、その後、平成3年12月24日及び同13年6月19日に商標権存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同13年12月19日に第25類「被服」を指定商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、過去3年間商標権者によって使用された形跡がない。また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、この点からも、本件商標は不使用の商標である。

したがって、本件商標の登録は、取り消されるべきである。

(2)弁駁の理由

(ア)乙第1号証「広島アパレル工業組合理事長の証明書」は、どのような資料に基づいて使用の証明がされたのか不明である。また、証明を行った「広島県アパレル工業組合」には、被請求人の取締役が専務理事として名前を連ねているため(甲第2号証)、客観的に本件商標の使用事実が証明されているということはできず、採用されないものである。

(イ)被請求人は、乙第2号証「2004AUTUMN&WINTERパンフレット」の右欄上部には、本件商標「CAROL」に係るスポーツ着の見本品番、すなわちC300(ハーフコート)、C301(パンツ)、C120(ウォームアップスーツ)、C121(ディンプルメッシュスーツ)が掲載してあると述べている。

しかしながら、提出された資料は、「CAROL SPORTS及びC図形」商標の使用を示すものであり、本件商標と社会通念上同一の範囲にあるものということはできない。

すなわち、提出された乙第2号証のパンフレットの右欄上部には、「CAROL」の英文字が、赤色の「C」の中に配されており、さらにその下に「SPORTS」の文字が一体となって一つのまとまりのある商標を構成していることがわかる。

また、乙第2号証中、実際に紹介されている商品の胸部、襟元のタグ及びパンツの横部にはワンポイントが施されていることがわかり、そのいずれもが「CAROL」の文字のみではなく、「CAROL」、「SPORTS」及び「C図形」が構成要素となってまとまって構成されていることがわかる(甲第3号証)。

これらを総合すると、被請求人が提出した資料に表現されている商標は、「CAROL SPORTS及びCの図形」であり、そこから生ずる称呼は「キャロルスポーツ」のみである。

また、「SPORTS」の文字が商品との関係で識別力が弱いことがあるとしても、被請求人が提出している資料は「SPORTS」の文字が全て含まれており、かかる資料が示している商品は、本件商標が付された商品ではなく、「CAROL SPORTS及びCの図形」に関する商品である。したがって、ここから使用商標が「キャロル」とのみ称呼されるべきものである事実を導き出すことはできない。

一方、本件商標は、欧文字「CAROL」からなる商標で、「SPORTS」の文字や「C図形」は見当たらない。

使用商標は、特許庁の解説書の「社会通念上登録商標と同一の商標」(甲第5号証)のいずれにも該当しないことは明らかである。

よって、被請求人によって提出された乙第2号証から本件商標と同一の商標が使用されているとは認められない。

また、被請求人は、乙第3号証で乙第2号証として提出したパンフレットの納品書を提出しているが、乙第2号証がそもそも「CAROL SPORTS及びCの図形」の使用を証明するもので本件商標の使用の証明とは何ら関係のないものであるので、これも採用できない。

(ウ)被請求人は、乙第2号証のパンフレットの「配布先立証までは必要ない」と述べている。

しかしながら、立証しなければ「印刷したものの、配布されていないのではないか。」との疑念を抱かれても不思議ではなく、販売実績や売上げ等がそれに比例していない場合だとその疑念は尚更深いものである。

また、提出されたカタログには商品の価格が記載されておらず、需要者に配布されたものとは考えられない。

(エ)被請求人は、乙第4号証及び同第5号証にて、中国の縫製業者に製品の縫製を依頼した指示書を提出している。

しかしながら、これは製造を委託するための指示書であり、この資料単独では商品が現実に製造されたかどうか、さらにはその商品が日本に流通したかどうかは認識できない。

そもそも、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」という。)にこの指示書を本当に差し出したか否かも不明である。

加えて、かかる指示書で示されている品番はC300及びC301であるが、もし、この品番が乙第2号証で示されている商品を意図しているのであれば、それは「CAROL SPORTS及びCの図形」商標が使用されている商品のことであり、本件商標の使用の立証とは関係がない。

(オ)次に、被請求人は乙第6及び7号証で、売上伝票の写しを提出している。

しかしながら、売上伝票とは、そもそも被請求人自身が作成する伝票であり、それのみでは商品の取引があったことを客観的に示す資料にはならない。現実に取引があったとすれば、当該取引に係る納品書の控え、請求書や物品受領書、領収書等、第三者から発行された取引書類が存在しているはずである。これらの提出がなく、単に売上伝票の写しのみでは、それをもって現実の取引があったと推認することはできない。

また、本件売上伝票は発送日及び検印が欠落している。

加えて、乙第7号証の取引数量は、僅かパンツとコート上下1セットのみで、その商品は、被請求人の答弁によると乙第2号証に示された商品の取引、すなわち「CAROL SPORTS及びCの図形」商標が付された商品の取引に関するもので本件と無関係なのはもとよりである。

よって、乙第6及び7号証は、売上伝票としての証明力が欠如している上に、商標も社会通念上の同一性も欠落しているため、本件商標を使用することを客観的に証明する証拠資料として採用できないことは明らかである。

(カ)被請求人は、乙第8及び9号証で文書を提出しているが、被請求人とビッグボーン商事株式会社(以下「ビッグボーン商事」という。)の関係、及び会社の履歴事項を示すもので、それ自体本件の審判の争いに関係ない。

(キ)以上述べたとおり、本件商標は、指定商品について、本件審判請求の登録前3年以内に使用されているものではないから、その登録は取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証を提出した。

(1)本件商標は、被請求人自身が、その指定商品中の被服について、昭和57年当時から継続実施しているものであり、すなわち、乙第1号証(広島県アパレル工業組合理事長 信岡正郎氏の証明書)は、このことを立証するものであるが、具体的に近年の実施態様例について、乙第2号証ないし同第9号証でもって説明する。

(ア)乙第2号証は、「2004 AUTUMN&WINTERパンフレット」であって、大日本印刷株式会社福山営業所(以下「大日本印刷」という。)が証明するとおり、2004年7月30日付けで被請求人の製品販売会社であるビッグボーン商事に納品したものである。

(イ)上記パンフレットの右欄上部には、本件商標「CAROL」に係るスポーツ着の見本品番、すなわち、C300(ハーフコート)、C301(パンツ)、C120(ウォームアップスーツ)、C121(ディンプルメッシュスーツ)が掲載してある。

(ウ)乙第3号証は、乙2号証のパンフレットの1000部を2004年7月30日付けで出荷するとした2004年7月29日付けの大日本印刷発行の納品書である。

(エ)乙2号証のパンフレットが、各販売店や各営業所などに対して広く頒布されることは、必然的に行われる営業活動に外ならず、したがって、これがための配布先立証までは必要ないものと考える。

(オ)乙第4号証及び同第5号証は、乙2号証のパンフレットにおける品番C300(ハーフコート)及び品番301(パンツ)の外注製造指図書であって、すなわち、これは2004年5月26日付けで伊藤忠商事を介し、外注先となる中国の縫製業者に対し製品の縫製を指示した控書である。

(カ)乙第6号証は、上記の品番C300(ハーフコート)の2005年3月25日付けビッグボーン商事の株式会社池田宛て売上伝票である。

(キ)乙第7号証は、上記品番C301(パンツ)とC300(コート)の2005年3月28日付けビッグボーン商事の株式会社ライオン屋宛て売上伝票である。

(ク)乙第8号証は、乙第6号証及び同第7号証の売上伝票記載のビッグボーン商事と本件の被請求人との関係を示す証明書であり、すなわち、ビッグボーン商事は、被請求人が業務としている衣料用繊維製品を独占して販売する販売会社であることを証明するものである。

(ケ)乙第9号証は、被請求人の履歴事項全部証明書である。

(2)上記したことから明らかなとおり、本件商標が過去3年間商標権者によって使用された形跡がないとした請求人の主張は、全く当を得たものにならない。

4 当審の判断

(1)被請求人は、その指定商品中の被服について、昭和57年当時から継続実施していることを立証するとして乙第1号証以下を提出するので、本件商標が取消請求に係る商品に使用されていたか否かについて、以下検討する。

(ア))ビッグボーン商事は、被請求人の製品の販売会社であって(乙第8号証)、ビッグボーン商事の商品ポスター(乙第2号証。以下「本件ポスター」という。)には、その右上部に、「『CAROL』の文字を白抜きの太線をもって斜体で表し、その左部に『C』様の曲線からなる図形を、その右下部に細線で表したゴシック体風書体の『SPORTS』の文字をそれぞれ配してなる商標」(以下「本件使用商標」という。)が表示されており、該商品ポスターには「防水防寒(ハーフコート)C300」、「防水防寒(パンツ)C301」及び「ウォームアップスーツ(上下組)C120、「ディンプルメッシュスーツ(上下組)C121」などの商品が掲載されている。

被請求人は、本件ポスターを「パンフレット」と述べるが、乙第3号証「納品書」に「品名」として「カジュアルA2ポスター」と記載され、その単価も「780円」であって、その体裁も上質紙を用いたA2の大判のものであることからすれば、上記したとおり、乙2号証の資料は、むしろ商品ポスターの類と認めるのが相当である。

(イ)該本件ポスターは、2004年7月30日に大日本印刷から1000部納品されたものである(乙第3号証)。

(ウ)ビッグボーン商事は、2005年3月25日に、品番C300のコート15着を北海道室蘭市中島町2丁目12番21号所在の株式会社池田に販売し、また、2005年3月28日に、品番C301のパンツ1着、及び品番300のコート1着を、兵庫県尼崎市昭和通4丁目133所在の株式会社ライオン屋に販売した(乙第6号証及び同第7号証「売上伝票」)。

(2)以上の事実によれば、本件ポスターの右上部に表示されている本件使用商標は、「CAROL」の文字のほかに、『C』様の図形及び『SPORTS』の文字が配されているものであるが、上記した全体の構成、及び「SPORTS」の文字が被服等の商品の品質・用途等を表示するものとして普通に使用されている商取引の実情に照らせば、構成中の「CAROL」の文字部分は、独立しても自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められる。

そうすると、本件使用商標は、「CAROL」の文字より「キャロル」の称呼、「中世以来のイギリスの民衆的なクリスマス祝歌。キャロル。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第五版」)の観念を生ずるものということができるから、本件商標と同一の称呼、観念を生ずるものと認められる。

そうとすれば、本件使用商標は、「CAROL」の文字よりなる本件商標と社会通念上同一性を有するものといわなければならない。

そして、乙第6号証及び同第7号証の売上伝票によれば、ビッグボーン商事は、2005年3月25日に、「品番C300のコート」を15着、北海道室蘭市中島町2丁目12番21号所在の株式会社池田に販売し、また、2005年3月28日に、「品番C301のパンツ」を1着、「品番300のコート」を1着、兵庫県尼崎市昭和通4丁目133所在の株式会社ライオン屋に販売した事実が認められる。

これを乙第2号証の本件ポスターに掲載されている商品に照らしてみれば、売上伝票における「品番C300のコート」は、本件ポスターに掲載されている防水防寒(ハーフコート)C300に照応し、品番C301は防水防寒(パンツ)C301」に照応するものと認めるのが相当である。

上記本件ポスターに掲載されている防水防寒(ハーフコート)及び防水防寒(パンツ)は、その名称及び掲載されている商品の写真よりすれば、本件取消請求に係る指定商品に包含されるものである。

また、上記各商品を販売したビッグボーン商事は、被請求人の製品の販売会社であって、本件商標の通常使用権者の地位にあるものということができる。

してみれば、本件商標は、本件審判の予告登録前の3年以内に、日本国内において、通常使用権者により本件審判請求に係る指定商品に含まれる商品について使用されていたものと認めるのが相当である。

(3)(ア)請求人は、本件ポスター(乙第2号証)に表現されている本件使用商標は「CAROL SPORTS及びCの図形」であり、そこから生ずる称呼は「キャロルスポーツ」のみである。「SPORTS」の文字が商品との関係で識別力が弱いことがあるとしても、被請求人が提出している資料は「SPORTS」の文字が全て含まれており、かかる資料が示している商品は、本件商標が付された商品ではなく、「CAROL SPORTS及びCの図形」に関する商品である。したがって、ここから本件使用商標が「キャロル」とのみ称呼されるべきものである事実を導き出すことは出来ない。一方、本件商標は、欧文字「CAROL」からなる商標で、「SPORTS」の文字や「C図形」は見当たらず、被請求人によって提出された乙第2号証から本件商標と同一の商標が使用されているとは認められない旨主張する。

しかしながら、本件ポスターの右上部に表示されている商標は、前述したとおり「CAROL」の文字を白抜きの太線をもって斜体で表し、その左部に「C」様の曲線からなる図形を、その右下部に細線で表したゴシック体風書体の「SPORTS」の文字をそれぞれ配してなるものであって、その表された態様において、「CAROL」の文字は、「C」様の曲線からなる図形及び「SPORTS」の文字とは分離して認識されるものというべきである。また、構成中の「SPORTS」の文字は、被服関係の商品については、識別標識としての機能を有しないか、有するとしても極めて弱いものといわざるを得ない。

してみれば、本件使用商標は、「CAROL」の文字部分より「キャロル」の称呼、「中世以来のイギリスの民衆的なクリスマス祝歌。キャロル。」の観念を生ずるものというべきであるから、同様の称呼、観念を生ずる本件商標とは、社会通念上同一のものと認めるのが相当である。

(イ)請求人は、本件ポスターについて、立証しなければ「印刷したものの、配布されていないのではないか。」との疑念を抱かれても不思議ではなく、販売実績や売上等がそれに比例していない場合だとその疑念は尚更深いものであり、また、提出された本件ポスターには商品の価格が記載されておらず、需要者に配布されたものとは考えられない旨も主張する。

しかしながら、本件ポスターは、前述のとおり、需要者等に街頭等で手交されるような商品パンフレットというよりは、むしろ販売店の店内外等の壁面等に貼って掲示されるなどして使用される商品ポスターの類とみるべきであって、単価が780円と高額なものであり、1000部と相当部数作成された事実がある(乙第3号証)。しかも、商品のポスターには販売価格を表示せずに、店員等が口頭で知らせ、又は、該ポスターの所要部に手書きなどで表示し、或いは、別途店内に表示するなどして需要者に販売価格を知らせる取引形態が少なからず見受けられることからすれば、本件ポスターは、販売店等に頒布され、掲示されたものと容易に推認することができるというべきである。

(ウ)被請求人は、被請求人は乙第6及び7号証で売上伝票の控えを提出しているが、売上伝票とは、そもそも被請求人自身が作成する伝票であり、それのみでは商品の取引があったことを客観的に示す資料にはならない。現実に取引があったとすれば、当該取引に係る納品書の控え、請求書や物品受領書、領収書等、第三者から発行された取引書類が存在しているはずである。これらの提出がなく、単に売上伝票の写しのみでは、それをもって現実の取引があったと推認することはできない。また、本件売上伝票は発送日及び検印が欠落している。加えて、乙第7号証の取引数量は、僅かパンツとコート上下1セットのみで、その商品は、被請求人の答弁によると乙第2号証に示された商品の取引、すなわち「CAROL SPORTS及びCの図形」商標が付された商品の取引に関するもので本件と無関係なのはもとよりである。よって、乙第6及び7号証は、売上伝票としての証明力が欠如している上に、商標も社会通念上の同一性も欠落しているため、本件商標を使用することを客観的に証明する証拠資料として採用できない旨主張する。

しかしながら、乙第6号証及び同第7号証の売上伝票には、販売先の名称がフルネームで、住所が番地まで明記され、また、「品番、品名、色」欄のそれぞれについて記載され、「出庫者」、「点検者」欄にも記載がある。さらに、「サイズ別数量」「数量」「単価」「金額」の各欄なども記載がされ、これらの「金額合計」「消費税額」「総合計」のそれぞれにも金額が記載されており、これらの記載に照らせば、当該取引に係る納品書の控え、請求書や物品受領書、領収書等の第三者が発行した取引書類によるまでもなく、これらに記載された内容は、事実に裏打ちされたものであって、これらの記載のとおり現実に取引がされたものと推認することは可能であるというべきである。また、本件使用商標が本件商標と社会通念上同一のものというべきことは上述したとおりである。

(4)以上のとおりであり、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、被請求人により取消請求に係る指定商品に含まれる商品「コート及びパンツ」について使用されていたものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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