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Trademark Appeal Case

略称の商標的使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2005−30332(T2005−30332/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4162479号商標(以下「本件商標」という。)は、「戦プロ」の文字を横書きしてなり、平成9年3月14日に登録出願、第9類「業務用テレビゲーム機,業務用テレビゲーム機専用の電子回路,業務用テレビゲーム機専用のゲームプログラムを記憶させた電子回路,業務用テレビゲーム機筐体,その他の遊園地用機械器具,コンピュータ,コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク及び読出専用の電子回路,その他の電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させたROMカートリッジ・磁気テープ・磁気カード及び磁気ディスク」を指定商品として、同10年7月3日に設定登録されたものである。

そして、本件審判の請求の登録は、同17年4月13日にされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「コンピュータ,コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク及び読出専用の電子回路,その他の電子応用機械器具及びその部品」についての商標登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の要旨を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「コンピュータ,コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク及び読出専用の電子回路,その他の電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

請求人は、a)システムソフト・アルファー株式会社が、本件商標権の通常使用権者であることを示す書面、b)乙第1号証のダイレクトメールが2003年3月に発送されたこと及びその発送総数を示す書類、c)乙第3号証から乙第5号証の製品案内の頒布先を示す書類の提出を被請求人に求める。

請求人は、上記書類が提出されるという前提で以下のとおり弁駁する。

(ア)登録商標の使用について

本件商標「戦プロ」は、漢字の「戦」とカタカナの「プロ」の文字からなるものである。被請求人が提出した乙各号証から、請求に係る指定商品について、「登録商標」の「使用」がなされているかについて検討する。

被請求人は、『「あの『戦プロ(マルR)』がお求めやすいスタンダード版で新登場!」との記載が乙第1号証(拡大したものが乙第2号証)にあるので、「戦プロ」が自他商品識別標識たる登録商標であることを示していること、及び、これを見る需要者は、「戦プロ」を登録商標と認識、理解することは明らかである』旨、述べている。

しかし、このダイレクトメール用葉書を全体的に見ると、商品の識別機能を果たしているのは、「戦プロ」の文字ではなく、葉書の上段左と下段左に大きな文字で表示され、楕円形で囲まれた「戦略プロ野球」という文字である。「あの『戦プロ(マルR)』がお求めやすいスタンダード版で新登場!」という表現は、単に、「戦略プロ野球」という名前の「家庭用野球ゲーム」(以下「本製品」という。)を「戦プロ」と略し、そのスタンダード版が新発売されたことを説明しているにすぎず、本製品を同種の他の製品群から識別するために表示されているものではない。

また、楕円形で囲まれた「戦略プロ野球」という表示の大きさと、説明文の一部として表示されているにすぎない「戦プロ」という文字を、乙第2号証の拡大コピーにより面積で比較すると、前者は後者の約25倍の面積となっている。上下に2ヶ所あるので、約50倍となる。したがって、商品識別機能を果たしているのは、楕円形で囲まれた「戦略プロ野球」という表示であると見るのが需要者の一般的認識というべきであり、後述するように、乙第3号証、乙第4号証には、楕円形で囲まれた「戦略プロ野球」に「マルR」が付されており、「戦プロ」には、「マルR」は付されていない。

さらに、ダイレクトメール用葉書の表下(乙第1号証)の「システムソフト・アルファー株式会社」の文字及び「Systemsoftとロゴマーク」が本製品の出所表示機能を果たしているのであり、本製品の説明文の一部を構成するにすぎない「戦プロ」なる文字が自他商品識別機能、出所表示機能という商標の本質的機能を発揮しているものではない。

この点については、いわゆる「一休さん事件」(昭和55年7月11日東京地裁 昭和53(ワ)255:甲第3号証)及び「通行手形事件」(昭和62年8月28日東京地裁 昭和59(ワ)10502:甲第4号証)において、「登録商標が単に形式的に商品等に表示され、自他商品の識別機能を果たす態様で用いられていない場合には、登録商標の使用に該当しない」との判決が出されている。

また、乙第3号証には、左上に「戦プロ」の文字があるが(『球春(マルR)は「戦プロ」の季節!「戦略プロ野球(マルR)2003」発売のお知らせ』という説明文の一部として)、「マルR」は付されておらず、「戦略プロ野球」、「球春」の文字にそれぞれ「マルR」が付されている。さらに、その直下には、楕円に囲まれた「戦略プロ野球」(茶色で表示)の「球」の右上に「マルR」が付されている。

乙第4号証も乙第3号証と同様であり、乙第5号証にも「戦略プロ野球」の文字の直後に「マルR」が付されている。したがって、乙第2号証において、「戦プロ」に「マルR」が付されているから登録商標として使用しているとの被請求人の主張は失当であり、本製品の商品識別機能、出所表示機能を果たしているのは、文字の大きさ、表示方法からすると、「戦略プロ野球」の文字及び「systemsoftとロゴマーク」であると言える。

次に、乙第6号証及び乙第7号証の本製品のパッケージを見ると、パッケージ正面上部には「戦略(R)プロ野球」の大きな文字が楕円で囲まれて表示されており、側面には、ひときわ目立つように「戦略プロ野球」の文字が大きく縦書き表示されている。「戦プロ」の文字は、どこに表示されているのか認識できない。したがって、本製品に接する需要者は、「戦略プロ野球」という文字を、商品識別の標識として認識するものというべきである。

以上述べたように、登録商標「戦プロ」は、識別標識たる商標として使用されているのではなく、「戦略プロ野球」の「略称」として、本製品の説明文の一部として、またキャッチフレーズの一部として表示されているにすぎない。

乙第9号証は、審判請求の登録前3年以上経過しているものと認められるが、その右上部には、「戦プロ‘99年版は、チーム育成とインターネット対戦がキーワード」との記載があり、同号証下段には、本製品のパッケージの右側に「今度の戦プロはインターネット対戦対応」との縦書き記載がある。これらも、商品の機能の説明において、「戦略プロ野球」の「略称」として単に商品説明中に表示されているにすぎず、商品識別機能、出所表示機能を果たす態様で表示されているわけではない。

(イ)取消し請求に係る指定商品について

被請求人が提出した証拠、乙第1号証ないし乙第9号証を総合的に検討すると、本製品は、その用途、機能からして、「家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた磁気ディスク」に属するものというべきであり、取消し請求に係る指定商品とは異なる商品である。したがって、被請求人は、「取消し請求に係る指定商品」について使用しているものではない。

(ウ)むすび

以上詳述したように、本件商標は、商標の本質的機能である、自他商品の識別機能、商品の出所表示機能を発揮するような態様で使用されているものとは認められず、単に商品説明の一部として、あるいは、商品広告のキャッチフレーズの一部として表示されているにすぎない。また、「取消し請求に係る指定商品」について使用しているものもない。

結局、被請求人は、取消し請求に係る指定商品について、審判の請求の登録前3年以内に登録商標を使用しているものではなく、また、不使用の正当な理由も明らかにしていないのであるから、商標登録の取消しを逃れないというべきである。

よって、本件商標の登録は、「コンピュータ,コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク及び読出専用の電子回路,その他の電子応用機械器具及びその部品」については、その登録が取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める。と答弁し、その理由の要旨を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。

(1)商標権者の関連会社であるシステムソフト・アルファー株式会社は、2003年(平成15年)3月頃、乙第1号証として提出したダイレクトメール用葉書を作成し、ユーザーを始め、一般の顧客に郵送した。

そのダイレクトメール用葉書裏面の詳細を示すために、乙第2号証として、その拡大コピーを提出する。

このダイレクトメール用葉書によって広告、宣伝されている商品が取消請求に係る商品「コンピュータ,コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク及び読取専用の電子回路,その他の電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気ディスク等」であることは、その裏面の説明文、及び、「Microsoft,Windows XP/Me/2000/98各日本語版対応」の記載からも客観的に明らかである。

さらに、その裏面中段には、「あの『戦プロ』が、お求めやすいスタンダード版で新登場!」との記載がある。

すなわち、本件商標と同一の構成からなる文字「戦プロ」に「マルR」を付して使用しているのであるから、「戦プロ」の表示が自他商品識別標識たる登録商標であることを示していること、及び、これを見る需要者が「戦プロ」を登録商標であると認識、理解することは客観的に明らかである。

(2)通常使用権者であるシステムソフト・アルファー株式会社の作成に係る製品案内(2003年ないし2005年)を提出する(乙第3号証ないし乙第5号証)。

これらは、すべて、各販売店にファックスで送信されたものであるが、それぞれ2003年(平成15年)3月31日、2004年(平成16年1月28日)、2005年(平成17年)4月20日に作成されたものである。なお、2005年の製品案内は、予告登録後のものである。

そして、2003年と2004年版においては、右上に『“球春”は「戦プロ」の季節!』と題し、2003年版は、左上に『今年の「戦プロ」は、“デラックスバージョン”と“スタンダードバージョン”の2本立て!!』と、また2004年版は、上段の枠内に「戦プロ2004はシリーズ機能が充実!」と表示されている。さらに、2005年版は、右上に『「戦プロ」も“改革元年”』と題し、使用している。

即ち、上記(1)において主張、立証したのと同様、本件商標を「」(かぎ括弧)で括り、継続して使用している。

(3)通常使用権者であるシステムソフト・アルファー株式会社のホームページから、「戦略プロ野球2004」の広告を乙第6号証として提出する。

ここでは、『球春(R)到来! 今年の「戦プロ(R)」は、ぺナンとレースと同時開幕!』と、登録商標であることを示す表示とともに、表示されている。

(4)さんてく株式会社の運営に係るショッピングモールにおける商品広告を乙第7号証として提出する。

ここでは、上記(1)及び(2)と同様、商品の広告においてかぎ括弧を付して「戦プロ」の表示がある。また、このデータ登録日は、2004/02/26とあり、2004年2月26日にデータが登録されたことが分かる。

(5)予告登録前3年を越えるが、2002年(平成14年)版と1999年(平成11年)版のチラシを提出する(乙第8号証及び乙第9号証)。

2002年版は、片仮名文字「センプロ」を、平成11年版は「戦プロ’99年版」の文字が表示されている。

これらにより、本件商標が3年以上にわたり継続して使用されている事実を示す。

これら乙各号証により、本件商標が本件審判の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者であるシステムソフト・アルファー株式会社によって、その請求に係る指定商品中、「コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気ディスク等」について使用されていたことは明らかである。

4 当審の判断

請求人は「システムソフト・アルファー株式会社が、本件商標権の通常使用権者であることを示す書面」の提出を求めているので、まずこの点について検討するに、通常使用権は、商標権者が他人にその商標権について使用の許諾をすることにより発生するものであり、例えば、商標登録原簿に登録されることが効力を生ずる要件とはなっていない。そして、被請求人が「通常使用権者であるシステムソフト・アルファー株式会社」と述べていることから、被請求人がシステムソフト・アルファー株式会社に通常使用権を許諾していることについて、前記の書面の提出がないとしても、システムソフト・アルファー株式会社(以下「通常使用権者」という。)は本件商標に関する通常使用権者でないとはいい得ない。

次に、被請求人は、乙第1号証ないし乙第9号証を提出し、本件商標が本件審判の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者によって、その請求に係る指定商品中、「コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気ディスク」(以下「使用商品」という。)について使用されていた旨主張している。

そこで、被請求人の提出に係る証拠についてみるに、乙第1号証ないし乙第4号証、乙第6号証及び乙第7号証のダイレクトメール用葉書、製品案内及びホームページの広告等には、かぎ括弧を付して「戦プロ」(以下「使用商標」という。)と表示されている事実を認めることができる。そして、請求人の主張の如く、その使用商標が、「戦略プロ野球」の文字に比較して小さく表示され、「戦略プロ野球」の略称であるとしても、使用商標は、自他商品の識別標識としての機能を有するといい得るものであって、本件商標と社会通念上同一の商標といわざるを得ない。

また、乙第1号証及び乙第2号証には、「戦略プロ野球2003DX」、「4月25日(金)新発売」、乙第3号証には、「平成15年4月25日(金)同時発売」、乙第4号証には、「戦略プロ野球2004DX」、「3月26日(金)に同時発売」、乙第6号証には、「平成16年3月26日発売」及び乙第7号証には、「データ登録日:2004/02/26」とそれぞれ記載されていることから、通常使用権者により、使用商標を本件審判の請求の登録前3年以内に、使用商品について使用していたものと認められる。

さらに、乙第1号証及び乙第2号証には、「Microsoft Windows XP/Me/2000/98 各日本語版対応」及び乙第7号証には、<動作環境>の項に「CD−ROMドライブ」、「Windows 98/Me/2000pro/XP」とそれぞれ記載されていることから、使用商品は、コンピュータに関連する商品、つまり、請求に係る商品である「コンピュータ,コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク及び読出専用の電子回路,その他の電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属する商品とみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る商品中使用商品について使用していたものといわなければならない。

なお、請求人は、乙第1号証のダイレクトメールが2003年3月に発送されたこと及びその発送総数を示す書類、乙第3号証ないし乙第5号証の製品案内の頒布先を示す書類の提出をそれぞれ求めているが、被請求人は、「通常使用権者は、2003年(平成15年)3月頃、乙第1号証として提出したダイレクトメール用葉書を作成し、ユーザーを始め、一般の顧客に郵送した。」、「乙第3号証ないし乙第5号証の製品案内は、すべて、各販売店にファックスで送信されたものである。」旨それぞれ述べている如く、それらの葉書及び製品案内が郵送・送信されなかったとまではいい得ないものであるから、前記の書類の提出を求める請求人の主張は採用することができない。

また、請求人が援用する甲第3号証及び甲第4号証の判決例は、本件と事案を異にするものであり、本件の判断を左右するものではないから、この点に関する請求人の主張も採用することができない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「コンピュータ,コンピュータ用のゲームプログラムを記憶させた磁気テープ・磁気ディスク及び読出専用の電子回路,その他の電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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