結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2005−30259(T2005−30259/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4332427号商標(以下「本件商標」という。)は、「HCA」の欧文字を標準文字で書してなり、平成10年12月15日に登録出願され、第1類「化学品」を指定商品として、同11年11月5日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が指定商品「化学品」についての登録商標を使用された事実はない。
また、商標登録原簿上、本件商標について専用使用権、通常使用権は登録されていない。また、実質的な専用使用権者、通常使用権者も存在しない。 したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても指定商品について使用されていないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。
(1)キクチカラー株式会社(以下「キクチカラー」という。)が、本件商標についての通常使用権者である旨の証明がない。
被請求人は、キクチカラーが本件商標について、被請求人から通常使用権の許諾を受けている旨答弁している。
しかし、商標原簿には通常使用権の設定の登録はなく、また、キクチカラーが許諾による通常使用権者であることの証明もない。
よって、キクチカラーが本件商標について、通常使用権者であるとは認められない。
(2)乙第1号証及び乙第3号証は、証拠として採用できない。
(ア)乙第1号証について
乙第1号証には、撮影者、撮影年月日、撮影場所の記載がない。これらの記載がない以上、本件審判の請求の登録前に撮影したものと認めることができない。
したがって、乙第1号証を使用証拠として採用することはできない。
また、乙第1号証の1は、袋を写した写真(写し)であるところ、当該袋に貼付されたラベルに記載されている「5D79」の表示の「5」は、2005年を、「D」は、4月を意味するものと考えられる(A=1月、B=2月、C=3月、D=4月、E=5月、F=6月、G=7月 ... )。
そうとすれば、写真の内包物「プラスチック、ゴムの発泡剤」は、2005年4月に製造されたものと推定し得る。
ゆえに、当然、乙第1号証の1は、本件審判の請求の登録日(2005年(平成17年)3月30日)より後に撮影されたものと推定し得る。
したがって、当該袋の中央部に貼られているラベルも、本件審判の請求の登録前に、写真のように貼付して取引されていたことを証明するものではない。
以上の理由により、乙第1号証は、本件審判の請求の登録前における商品の取引状態を証明するものとは認められない。
(イ)乙第3号証について
乙第3号証の1、乙第3号証の4及び乙第3号証の7は、いずれも、発注者の欄、納品先の欄、数量の欄等がマーカーで消去されている(ただし、マーキング前に記載があったとする証拠はない。)。
また、乙第3号証の2、乙第3号証の5及び乙第3号証の8は、いずれも、数量の欄、出荷先の欄がマーカーで消去されている(ただし、マーキング前に記載があったとする証拠はない。)。
さらに、乙第3号証の3、乙第3号証の6及び乙第3号証の9は、いずれも、届先の欄、個数の欄、数量の欄がマーカーで消去されている(ただし、マーキング前に記載があったとする証拠はない。)。
このように、肝要部分がマーカーで消去された納品書類は、実際の取引に使用された納品書類とは認められない。
したがって、乙第3号証は証拠力に欠けるものであり、これを取引証拠として採用することはできない。
(3)乙第1号証の1に示される商品のLOT NOと、乙第3号証伝票に記載されている商品のLOT NOが異なっている。
乙第1号証の1に示される商品のLOT NOは「5D79」で、これは上記(2)(ア)で述べたように、2005年4月の製造品と推定できる。 一方、乙第3号証の伝票に記載されている商品のLOT NOは「4G77、4G78」で、これは2004年7月の製造品と推定できる。
したがって、乙第3号証の伝票に記載されている商品「ユニフォーム AZ SR−25」は、乙第1号証に示されている商品ではない。
そして、乙第3号証の伝票に記載されている商品「ユニフォーム AZ SR−25」が、乙第1号証の1のように、「HCA」が表示された袋に収納されて取引されていたとする証拠はない。
(4)「プラスチック、ゴムの発泡剤」の商標は「ユニフォーム」であって「HCA」ではない。
被請求人は、「乙第1号証の2及び3に写っている『プラスチック、ゴムの発泡剤』の商品名は、『ユニフォーム』である。そして、乙第1号証の1の包装袋に、当該商品名『ユニフォーム』と商品型番『AZ SR−25』とからなる『ユニフォーム AZ SR−25』の表示がなされている。」旨、述べている。
しかも、このことを、乙第2号証の大塚化学(研究所長)の証明書で証明している。
そうとすれば、キクチカラーによって製造されている「プラスチック、ゴムの発泡剤」の商標は「ユニフォーム」であって「HCA」ではないことを被請求人自身が明確にしていることになる。
また、キクチカラーが製造している「プラスチック、ゴムの発泡剤」に、商標「HCA」が使用されていたという証拠もない。
(5)「HCA」は、商標として表示されているものではない。
包装袋の上部の「HCA」なる表示が商品「プラスチック、ゴムの発泡剤」を表示する商標でないことは、上記(4)で詳記したとおりである。
では、かかる「HCA」の表示は、どの様に理解すべきであろうか。
けだし、甲第1号証(大塚化学株式会社(以下「大塚化学」という。)のホームページ「会社案内」中の“大塚化学の歴史”によれば、大塚化学は、1956年に発泡剤「ユニフォームAZ」を発売し、1998年には発泡剤「ユニフォームAZウルトラ」を発売したことが紹介されている。この証拠によっても、「ユニフォームAZ」は、大塚化学が販売している「プラスチック、ゴムの発泡剤」の商標であるといえる。
乙第3号証及び甲第1号証によれば、キクチカラーは、大塚化学から商標「ユニフォームAZ SR−25」として「プラスチック、ゴムの発泡剤」の製造を依頼され、指定する納品先へ納品するよう指示を受け、これに従って行動しているだけにすぎない(キクチカラーには商取引行為はない。)というべきである。
乙第1号証は、「HCA」の表示がある袋を利用しただけであって、「HCA」を指標として「プラスチック、ゴムの発泡剤」が取引されているわけではない。
したがって、当該袋の「HCA」の表示は、「プラスチック、ゴムの発泡剤」を表示する商標としての使用でないことが明白であるから、このような表示をもって、本件商標が指定商品「化学品」に使用されていることにはならない。
(6)乙第3号証は、本件商標が当該「プラスチック、ゴムの発泡剤」の商標ではないことを証明している。
乙3号証の取引書類には、発注品名及び納品名として「ユニフォームAZ SR−25」が記載されており、商標としての「HCA」の記載はない。 これらの取引書類からしても、キクチカラーが製造している「プラスチック、ゴムの発泡剤」の商標は、「ユニフォーム」であって「HCA」でないことが明白である。
してみると、乙第3号証は、キクチカラーが、少なくとも、平成16年9月から同12月にかけて製造している「プラスチック、ゴムの発泡剤」の商品名が「ユニフォーム」であることを証明するものであって、本件商標が当該「プラスチック、ゴムの発泡剤」の商標として使用されていることを証明するものではない。
(7)むすび
以上の理由により、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても指定商品「化学品」について使用されていないから、商標法第50条第1項及び第2項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。以下、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。
また、中央部にラベルが貼られ、該ラベルには「ユニフォーム」なる商品名と「AZ SR−25」なる商品型番が表示されている。
この商品名と商品型番からなる「ユニフォームAZ SR−25」なる商品は、前記包装袋の樹脂製内袋の中に収納されており、これは「化学品」のうち、アゾジカーボンアミドを主成分とする化合物からなる「プラスチック、ゴムの発泡剤」を示している。
このことを証明するために乙第2号証を提出する。
乙第2号証は大塚化学株式会社機能化学品研究所の所長による、「ユニフォーム AZ SR−25」なる商品が「プラスチック、ゴムの発泡剤」であるという事実についての証明書である。
また、「ユニフォーム AZ SR−25」なる商品は、平成13年7月頃からキクチカラーが製造して販売し、同社が前記のように使用し、その後、現在に至るまで継続して行われているところであり、このことを証明するために乙第3号証を提出する。
乙第3号証は、キクチカラーが少なくとも平成16年9月から同12月にかけて本件商標を「プラスチック、ゴムの発泡剤」に使用している事実を証明するものである。
以上のことから、本件商標は、キクチカラーが審判請求の登録前3年以内に日本国内において、これを使用しているといえる。
よって、本件審判の請求は理由がなく、棄却されるべきである。
乙第1号証ないし乙第3号証をみるに、乙第1号証の1は、商品が封入された状態の紙製の包装袋の写真(写し)、乙第1号証の2は、ビニール袋に詰められた粉状の商品、及び乙第1号証の3は、袋から出した粉状の商品の写真(写し)と認められるところ、乙第1号証の1の包装袋の上部には、「HCA」の文字が印刷されており、その中央に「ユニフォーム」、「AZ SR−25」、「LOT NO 5D79」、「販売元 大塚化学株式会社」及び「製造元 キクチカラー株式会社」などが印字されたラベル(紙片)が貼付されている。
しかしながら、乙1号証の写真は、撮影年月日の記載はなく、かつ、本件商標権者(被請求人)及び封入されている商品名(普通名称)は表示されていない。
また、乙第2号証は、大塚化学の担当者から、キクチカラーに宛てて発行された「ユニフォーム AZ SR−25」の主成分に関する証明書と認められるところ、この証明書は、本件審判の請求の登録後の2005年(平成17年)7月14日に発行されたものであり、この書面にも本件商標権者(被請求人)の記載はない。
そして、乙第3号証は、「発注票」、「書類送付のご案内」及び「納品書控」などの取引書類(写し)と認められるものであるところ、いずれの書類も発注者、納品先(又は出荷先)、数量等の取引書類としての重要な部分がサインペンのようなもので黒く塗り潰されている上、これらのいずれの書面にも本件商標権者(被請求人)及び本件商標の記載はない。
また、被請求人は、被請求人から通常使用権の許諾を受けている「キクチカラー」が、本件商標をその指定商品「化学品」のうち、「プラスチック、ゴムの発泡剤」について使用している旨答弁しているが、「キクチカラー」が本件商標権者(被請求人)との関係において通常使用権者であることを裏付ける証拠は何ら提出されていない。
加えて、「大塚化学」が被請求人といかなる関係にあるかも何ら答弁していない。
前述のとおり、乙各号証(枝番を含む)は、いずれも不十分なものであり、これらの証拠からは、通常使用権者により指定商品(「プラスチック、ゴムの発泡剤」)について本件商標が使用されていたことを裏付けるものとは認めることができない。
他に、上記の認定を覆す証拠は見当たらない。
してみれば、被請求人は、本件商標を継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用していたことを証明したものと認めることができないものであり、また、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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