Trademark Appeal Case
周知商標との混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90387(T2005−90387/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4859399号商標(以下「本件商標」という。)は、「BLUE NOTE」の文字と「ブルーノート」の文字とを二段に書してなり、平成15年12月26日に登録出願、第41類「娯楽の提供,録音用スタジオの提供,オンラインによる電子出版物(ダウンロードできないもの)の提供,コンピュータデータベース・インターネット又は無線・ケーブル・衛星その他の通信網を介した電子ゲームの提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」ほか、第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同17年4月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要点
(1)本件商標の指定商品又は指定役務中、第41類「娯楽の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作」については、本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その役務又はこれに類似する役務について使用するものであり、かつ、その業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1項により取り消されるべきである。
(2)具体的理由
a ジャズライブハウス「BLUE NOTE(ブルーノート)」の歴史
1981年にニューヨーク・マンハッタンにジャズライブハウス「ブルーノート」が設立され、1983年にMJQ(The Modern Jazz Quartet)を出演させたことに成功して以来、ジャズクラブには通常出演しない大物アーティストが次々にステージに上がり、ニューヨークの名門ジャズクラブとなった。
我が国においては、ファッション・アパレルメーカー「株式会社ライカ」(以下「ライカ」という。)が、文化事業に進出する足がかりとして、「ブルーノート」ニューヨークと世界初の契約を結び、1988年11月28日、東京南青山に「ブルーノート東京」をオープンさせた。
ライカは、「株式会社ビー・エヌ・ジェイ」を設立し、その後2002年に「株式会社ブルーノートジャパン」(以下「ブルーノートジャパン」という。)と名称を変え、ブルーノート東京を運営している(甲第2号証及び同第3号証)。ブルーノート東京は、1998年12月1日、10周年を機に、同じ青山エリア内に移転オープンし、今までにないエンターテイメント空間として各方面から注目を集めている。
ブルーノート東京の設立以来、「ブルーノート大阪」「ブルーノート福岡」「ブルーノート名古屋」などが次々に設立され、広く親しまれてしるジャズクラブとなっている。
b ジャズライブハウス「BLUE NOTE(ブルーノート)」の周知・著名性
甲第4号証は、ブルーノート東京(大阪)の宣伝広告の一例を示す雑誌写しであり、同第5号証は、ブルーノート東京及びライカの社内関係誌の写しである。同第5号証−Aには、1998年11月30日に開催されたブルーノート東京のオープニングレセプションパーティに、ファッション界をはじめ銀行、百貨店、プレス、各国大使館、レコード会社の関係者などが招待され、盛大に行われた記事が掲載されている。特に芸能界・スポーツ界の著名人の多彩な方々が出席したことからも、1998年の時点でブルーノート東京がいかに注目されていたかがわかる。
甲第6号証及び同第7号証は、インターネット検索エンジンGoogle及びYahooでの検索結果写しであり、多くのサイトがヒットした。
このように、ジャズライブハウス「BLUE NOTE(ブルーノート)」の名称は我が国でも広く認識されているばかりか、世界的に著名なジャズミュージシャンの演奏による高い名声を得ている。
したがって、「BLUE NOTE」及び「ブルーノート」が、ブルーノートジャパンの行っている「音楽の演奏の興行の企画又は運営」を表示する商標として周知・著名であることは明らかである。
c 本件商標について
本件商標は、上述の周知・著名商標「BLUE NOTE」及び「ブルーノート」と称呼上同一で、外観上も類似であることは明白である。
さらに、本件商標の指定役務には、ブルーノートジャパンの行っている「音楽の演奏の興行の企画又は運営」と密接に関連する「娯楽の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作」が含まれている。よって、本件商標がこれらの役務に使用された場合、需要者は、ブルーノートジャパンの業務に係る役務と混同するおそれがあり、また、少なくとも、ブルーノートジャパンの運営するジャズライブハウス事業と営業上何らかの関連のあるかのように誤信するおそれがある。
4 当審の判断
本件商標は、前記のとおり「BLUE NOTE」及び「ブルーノート」の両文字よりなるところ、例えば、朝日新聞社発行「朝日現代用語知恵蔵2005年」の「ブルーノート(blue note)」の項をみると、「ブルース独特の,3度(ミ)または7度(シ)を半音下げた音階.」と記載、また、同「文化・芸術」の頁中「音楽」(0916頁)の「ジャズ」の項には、「・・・ブルーノートと呼ばれる旋律の作り、即興性、音色感覚などを特徴とする。」との記載がある。
また、「BLUE NOTE(ブルーノート)」は、1939年に米国のニューヨークで創設されたジャズ専門のレコードレーベルであり(例えば東芝EMIのウエブサイトのホームページ参照)、我が国においても同レーベルのレコード(CD)は、数多く市販されており、ジャズファンのみならず、広く音楽ファンに親しまれているところである。
ところで、申立人の提出した証拠によれば、1981年に米国ニューヨークマンハッタンにオープンしたジャズクラブ「Blue Note」は、1983年にMJQを出演させて成功して以来、サラ・ヴォーン、ハービー・ハンコックなど大物ジャズアーティストを出演させるなどして人気を博しているジャズクラブハウスであることが認められる。
我が国においては、1988年11月には東京港区南青山に「ブルーノート東京」がオープンしたのを皮切りに、大阪市北区北新地に「大阪ブルーノート」、福岡市中央区天神に「福岡ブルーノート」、名古屋市中区錦に「名古屋ブルーノート」がそれぞれオープンし、これらのジャズクラブハウスにおける公演日程、出演者などについて新聞、雑誌などで数多く報じられていることが認められる。
以上の事実によれば、「BLUE NOTE(ブルーノート)」の文字は、音楽用語としては「ブルース独特の3度(ミ)または7度(シ)を半音下げた音階」を意味する既成語として、あるいは、1939年に設立された長い歴史を有するジャズ専門の名門レコードレーベルの名称として音楽愛好者間において認識されているということができ、また、これらの文字を名称に有するジャズクラブハウスが米国及び我が国に存在し、多くの音楽ファンに注目され支持されている実情にあるということができる。
そこで、我が国におけるこれらのジャズクラブハウスについてみると、ライカのウエブサイトのページ(甲第3号証)に記載されているように、上記ジャズクラブハウスの名称は、「東京」「大阪」「福岡」あるいは「名古屋」の地名と一体でどのジャズクラブハウスであるかが特定されているということができ、公演日程、出演者などを報じる新聞、雑誌なども「ブルーノート」に地名を付して記載されており、取引者、需要者も、「ブルーノート東京」、「大阪ブルーノート」、「福岡ブルーノート」、「名古屋ブルーノート」のようにその全体をもってジャズクラブハウスの名称、すなわちこれらの施設が提供する「音楽の演奏の興行の企画又は運営」を表示する商標と認識しているとみるのが相当である。
そうとすれば、これらのジャズクラブハウスが提供する役務に使用する商標は、一体不可分の構成よりなる「ブルーノート東京」、「大阪ブルーノート」、「福岡ブルーノート」、「名古屋ブルーノート」であって、申立人の提出に係る証拠には、「ブルーノート」の文字のみで、これらの施設が提供する役務を表示する商標として取引者、需要者の間において広く認識されていると認めるに足りる証拠はない。
してみれば、本件商標は、上記各ジャズクラブハウスの提供する役務を表示する商標に類似しないばかりでなく、本件商標をその指定商品中、第41類「娯楽の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作」について使用した場合、取引者、需要者は、これより音楽用語としての上記「BLUE NOTE(ブルーノート)」、あるいは、ジャズ専門の名門レコードレーベルの名称としての「BLUE NOTE(ブルーノート)」を直ちに連想、想起するといえるとしても、上記の各ジャズクラブハウスの提供する役務を表示する商標を連想、想起するものということができないから、本件商標は、申立人又は申立人と関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれもないといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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