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Trademark Appeal Case

商標「K」の識別力と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第18728号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3314469号商標の登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3314469号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、平成6年6月7日登録出願、第28類「おもちゃ,人形,運動用具」を指定商品として、同9年5月30日に設定登録され、平成10年11月30日付けで本件商標の登録が抹消されているものである。

2 請求人の主張

請求人は、「登録第3314469号商標の登録は、商標法第46条第1項の規定によりこれを無効とする。」との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第16号証を提出している。

(1)無効理由について

第一に、本件商標は、きわめて簡単でかつありふれた標章のみからなるもので、商標法第3条第1項第5号の規定に該当する。

請求人自らが過去に出願した商願昭55−78338号商標が本件商標の「K」と全く同一の書体による文字を用いた商標であり、商標法第3条第1項第5号の規定によって拒絶されている事実がある。また、商願平1−92425号商標は本件商標の「K」と全く同一の書体による文字を用いた「Kitamura」の商標を旧第21類に出願したところ、商標法第3条第1項第4号の規定によって拒絶されている事実からして本件商標は自他商品識別力がないものとしてその登録が無効とされてしかるべきものである。

第二の理由として、請求人である株式会社キタムラは、かばん類、袋物等について長年の使用によって著名となっている本件商標と同一の商標「K」を所有するとともに、これと類似する商標登録第1864172号、第2380965号、第2399843号、第3319103号商標を有し、本件商標の出願時点において、および現在に至るまで本件商標に係る「K」と全く同一の商標が審判請求人の株式会社キタムラの業務に係る商品である、かばん類、袋物等に使用している商標であることが、業界および顧客のあいだで広く知れわた、全国的に著名になっている。

そして、甲第7〜12号証により、▲1▼使用の時期、地域▲2▼販売量▲3▼広告宣伝活動について証明し、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当する。

(2)請求人適格について

本件商標の商標権者である株式会社キタムラ・ケイツウと審判請求人である株式会社キタムラとは、共に横浜の元町商店街に本店をおき、主としてかばん類、袋物等の販売を業とする協業関係にあり請求人適格を有している。

3 被請求人の答弁

(1)利害関係のについて

請求人が所有しているという商標は、本件商標の指定商品とは非類似の「かばん類、袋物等」に関するものであるから、本件商標の存在によりその使用ができなくなる訳ではない。請求人が所有する第21類「かばん類、袋物」を指定商品とする登録第1864172号商標は、指定商品との関係では本件商標の指定商品とは明らかに非類似であり、二重登録の関係になく、請求人の主張は無意味である。請求人である株式会社キタムラは、乙3第号証として提出する登記簿の履歴事項全部証明書の目的から判断するに、「ハンドバッグ並びに各種雑貨の販売、上記に付帯する一切の業務」のみをその業務とするものであり、「おもちゃ,人形,運動用具」の製造、販売を業務としているとは認められず、本件商標権者と審判請求人とは、「おもちゃ,人形,運動用具」について競業関係になく、しかも「おもちゃ,人形,運動用具」の製造、販売を業務としていないということは、請求人がこれらについて、その製造販売等の使用行為をしておらず、使用の予定もないとするのが相当である。

よって、この請求人の主張は、本件商標が存在することにより法律上の不利益を受けているか否かとは全く関連せず、無効審判の請求人の要件である利害関係を有することを立証するものではない。

しかるに、請求人は、本件審判の請求人適格を有さないので、本件審判請求は請求人の記載する無効理由に該当するか否かについて実体審理するまでもなく、不適法な審判請求であるとして審決却下されるべきである。

(2)商標法第3条第1項第5号について

本件商標は、少なくとも右上がりに延びる線が、縦に延びる線を大きく貫通するように描かれていること、及び各々の線の太さが、変化することにより躍動感を見る者に与えつつも、全体として程よく調和していることから、独創的で特異な図形を形成しており、このような構成の商標は、きわめて簡単でもありふれたものでもないことは明らかである。

したがって、本件商標は、明らかにアルファベットの「K」の筆記体、ギリシャ文字の「K」の活字体とは構成を異にしており、きわめて簡単でかつありふれたものではないので、商標法第3条第1項第5号の規定に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

請求人は、本件商標について自他商品識別力がないと主張しておきながら、今度は、本件商標は請求人の商標との間で出所の混同が生ずると主張しており、明らかに論理の破綻を生じている。

次に、請求人の所有するという商標が「著名商標」であることを立証するとして、請求人は甲第7〜12号証を提出している。確かに、かかる証拠により「かばん類、袋物」について請求人の商標が当該「かばん類、袋物」について周知商標であることは立証することができるかもしれないが、これらの証拠では、「かばん類、袋物」と非類似商品である本件商標の指定商品「おもちゃ、人形、運動用具」との関係で具体的な出所の混同が生ずるおそれがある著名商標であることまでは、立証するものではないとするのが相当である。そして、株式会社キタムラは、「かばん類、袋物」の専門店であると需要者、取引者から認識されるもので、かつ、多角経営を行う可能性はないものであり「かばん類、袋物」と「おもちゃ、人形、運動用具」との間では、商品間の関連性、共通性もないので、本件商標と請求人の所有するという商標との間では具体的な出所の混同が生ずる余地はないとするのが妥当である。さらに、仮に具体的出所の混同が生じうるとしても、請求人が「株式会社キタムラ」であるのに対し本件商標権者が「株式会社キタムラ・ケイツウ」であるという事実からして、そのことは当然に許容されるべき事項であるということである。それは、本件商標権者である「株式会社キタムラ・ケイツウ」の初代代表取締役は、本件審判請求人の「株式会社キタムラ」の代表取締役と実の兄弟であり、平成元年2月1日に兄の会社から独立し、その際に本件商標の使用の許可を含む営業譲渡を受けたもので「株式会社キタムラ」と「株式会社キタムラ・ケイツウ」とは、一種の兄弟店といっても良い程の関連会社であり、本件商標の出願時には、両社は兄弟会社と認められる関係にあったため、それは誤認ではないので需要者、取引者に何らの不利益も与えず商取引の秩序も損なわない。

よって、本件に商標法第4条第1項第15号を適用することはこの規定の趣旨から考えて妥当性を欠くものである。

5 当審の判断

本件商標の登録は、当庁の商標登録原簿によれば、平成11年1月18日付けで登録の抹消が記録されているものであり、その状況からして、本件について、さらに利害関係を有するか否かを審尋したところ、本件審判請求人と被請求人との間で、本件商標に係る「Kマーク」に関して、過去において株式会社キタムラが株式会社キタムラ・ケイツウに対してそのマークの使用許諾を認めたところ、株式会社キタムラ・ケイツウが使用許諾を受けている「Kマーク」に関し、自らの名義で商標登録出願をなして商標権を不当に取得してしまったもので、現在係争中(横浜地裁平成11年ワ第3396号)である旨回答している。

よって、請求人は、本件審判請求をする適格があるものと認められる。

そこで、請求人が提出した甲第7号ないし同12号証によれば、請求人は、「かばん類、袋物」の製造販売会社であり、全国主要都市に店舗を置き活発な営業、宣伝活動を行ってきた事実、また、請求人は、本件商標と同一構成の商標をかばん類、袋物について本件商標の商標登録出願前から使用し続けた結果、本件商標の登録出願時には、同商標は既に周知・著名となっていた事実が認められる。

してみれば、本件商標の指定商品が「かばん類、袋物」と非類似商品であることを考慮しても、本件商標は、請求人の前記周知・著名商標と同一構成の商標であるから、これをその指定商品について使用するときは、取引者・需要者は、該商品があたかも請求人もしくは請求人と関係のある者の製造販売に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、請求人の主張する他の無効事由について判断するまでもなく商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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