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Trademark Appeal Case

複合商標の要部判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2005−90443(T2005−90443/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4867392号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4867392号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成16年6月11日に登録出願、「ワンダフルパンダ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年5月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由の要点

(1)商標法第4条第1項第11号について

登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の引用する登録第2710191号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「FIAT PANDA」の欧文字を横書きしてなり、平成2年11月14日に登録出願、第12類「自動車、その部品および附属品」を指定商品として、同7年9月29日に設定登録され、その後、平成18年1月4日に指定商品を第12類「自動車並びにその部品及び附属品」とする指定商品の書換登録がされたものである。

本件商標は、その構成中「ワンダフル」の語が「すてきな、すばらしい」等の意味合いを有する語として我が国では広く知られているから、単に商品の品質を誇示したものであり、その要部は「パンダ」の部分にある。他方、引用商標1は、その構成中「FIAT」が申立人の商号の略称であり、また、「PANDA」が申立人の特定の車種を意味していると理解され、「PANDA」の部分から「パンダ」の称呼が生ずる。

したがって、本件商標と引用商標1とは、「パンダ」の称呼を共通にする類似の商標であり、その指定商品も同一の商品を含むものである。

(2)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、申立人が「自動車」について使用して我が国に全国的において知られている「Panda」及び「パンダ」(以下、前者を「引用商標2」、後者を「引用商標3」という。)と類似し、かつ、本件商標と引用商標の指定商品も同一又は類似するものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

さらに、本件商標は、申立人が「自動車」について使用して我が国において全国的に知られている引用商標3を含んでいるため、その指定商品中、「自動車並びにその部品及び附属品、二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、リヤカー」に使用された場合に、需要者は当該商品が恰も申立人あるいはその関連会社の製造販売に係る商品であるかの如く、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある。

(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消されるべきである。

第3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号及び同第10号の該当性について

申立人の本件商標と引用商標1とが類似の商標であるとの根拠は、本件商標の構成中「ワンダフル」の語が、「すてきな、すばらしい」等の意味合いを有する語として我が国では広く知られているから、単に商品の品質を誇示したものであり、その要部は「パンダ」の語にあり、それより「パンダ」の称呼が生ずることに前提がある。

そこでその当否について判断するに、本件商標は、「ワンダフルパンダ」の片仮名文字を標準文字で書してなるところ、構成各文字は同書、同大、等間隔に書されていて外観上まとまりよく一体的に表示されており、これより生ずる「ワンダフルパンダ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。そして、構成中の「ワンダフル」及び「パンダ」の文字が、申立人も同様に述べているように、それぞれ「すてきな、すばらしい」及び「中国等の山林に生息する白黒模様のアライグマ科の動物」の意味を有する語として我が国において広く知られている語である。そして、このアライグマ科の動物「パンダ」は、数が少ないことや姿が愛嬌のあることから近年、世界中に人気が高まっているものである。

そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、「ワンダフルパンダ」の文字全体から、「すてきなパンダ」ほどの意味合いの語、すなわち、人気の高い動物のパンダの印象を表現した語として理解し、構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握し、これより生ずる「ワンダフルパンダ」の称呼のみをもって取引に資するとするのが自然である。

たとえ、「ワンダフル」の語が「すてきな、すばらしい」等の意味合いを有するものとして我が国では広く知られているとしても、この語に「パンダ」の語を付加した本件商標からは、前述のとおり、人気の高い動物のパンダの印象を表現した語として理解されるもの、すなわち、「ワンダフル」の語は動物名のパンダを形容した語と認識されるものであり、該語が商品の品質を誇示した語とは認識しないものというべきである。

そうすると、本件商標は、その構成中「ワンダフル」の語が商品の品質を誇示したものであるとはいえないから、その要部は「パンダ」の語にあり、これより「パンダ」の称呼が生ずるとの前提は妥当でなく、したがって、その上で、本件商標と引用商標とが類似するものとする申立人の主張は採用できない。

また、引用商標2及び引用商標3について、後述のとおり、本件商標の登録出願の時に、引用商標2及び引用商標3が我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないから、商標法第4条第1項第10号の、いわゆる周知性の要件をも満たしていない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第10号に違反して登録されたものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について

(ア)申立人の主張及び甲号証によれば、申立人は、「FIAT PANDA(フィアットパンダ)」という名称の自動車を、1979年11月にイタリアで発売を開始して以来、2002年11月まで販売を続け、世界中で400万台超を販売した。その後、2003年にヨーロッパにおいて、新型が発売され、それ以前のモデルを「旧型パンダ」、2003年以降のモデルを「新型パンダ」と称している。我が国においては、1980年から旧型パンダの輸入が開始され、1999年まで販売をした。その数は、1996年に1511台、1997年に1400台、1998年に1132台、1999年に495台である。2000年から2004年6月までの4年半の間、販売を中止した(1999年4月から輸入車についても適用になった「前面衝突時の乗員保護の技術基準」をクリアできなかったため輸入販売ができなかったもの。)ものの、新型パンダを2004年7月から発売開始し(なお、新型パンダは、本件商標の登録出願後の発売開始である。)、その年に502台、2005年は771台を販売したことが認められる。また、この間、旧型及び新型パンダについて商品カタログ、インターネットのホームページ、雑誌などに掲載し、宣伝広告を行った事実が認められる。

(イ)まず、商標法第4条第1項第15号、同第10号において、本件商標の登録出願の時に当該条項に該当しないものについてはその規定の適用がないところ(同条第3項参照)、以下検討する販売量や宣伝広告の実情について裏付けとして提出した新型パンダに関する本件商標の登録出願後の証拠(甲第4、8、9、11、19、20、21号証)は、その判断の基礎とすることはできない。

(ウ)そこで、旧型パンダの販売量についてみるに、発売開始以来25年間全世界で400万台超を販売したということは、年平均16万台であるところ、我が国における販売量は、前述のとおりであるから、全世界の年平均販売量の1%にも満たず、かつ、1995年以前の販売量が示されていないのでそれまでの総数が明らかでないばかりでなく、「前面衝突時の乗員保護の技術基準」の関係で数年後に輸入販売ができなかった事情があったにせよ、その販売数が年々減少し先細りした販売実績であったものである。

次に、旧型パンダの宣伝広告についてみるに、商品カタログ(甲第6、7号証)には「FIAT PANDA」と表示し、「PANDA」の文字に申立人の略称である「FIAT」の文字を冠している。また、その商品カタログがいつ頃から、どの地域でどの程度の数量が頒布されたのかその実情も示されていない。

また、インターネットのホームページ(甲第10号証)は、本件商標の登録出願後の2005年11月22日にプリントアウトされたものであり、掲載されたモデルが1990年2月以降に発売されたことが伺えるものの、そのモデル名が「フィアットパンダ」と表示し、「パンダ」の文字に申立人の略称である「フィアット」の文字を冠している。また、このホームページ上の広告が、該出願前のいつからどの程度の期間掲載されたのか明らかでない。

また、雑誌による広告宣伝についても(甲第12、13、14、16、17、18)、「フィアット・パンダ・セレクタ」、「FIAT PANDA SELECTA」、「FIAT/PANDA」(二段書き)、「フィアット『パンダ』」、「NEWフィアットパンダ」と表示し、「パンダ」あるいは「PANDA」の文字に申立人の略称である「フィアット」あるいは「FIAT」の文字を冠している。また、その雑誌による広告宣伝がいつ頃からどれくらいの期間、どの地域で、どの程度の数量がなされたのかなどの取引の実情も示されていない。

(エ)そうすると、これらの証拠によって、我が国において、申立人が「PANDA」あるいは「パンダ」の文字を含む商標を自動車の商品カタログ、インターネットのホームページ、雑誌に使用していることは認められるとしても、それは、申立人の略称である「FIAT」あるいは「フィアット」を冠したものであるから、該「PANDA」あるいは「パンダ」の文字は、申立人の略称「FIAT」あるいは「フィアット」を伴って初めて認識し、把握されるものであり、該「PANDA」あるいは「パンダ」の文字が申立人の略称から離れて単独で取引者、需要者の間に広く認識されていたということができない。

なお、「Panda」(引用商標2)」のみを該自動車に付して使用していることが伺えるのは甲第7号証(9頁)に掲載されている後部ドアのみであり、該自動車には同様な表示があったと推認できるものの、前記認定した自動車の販売量や商品カタログ、雑誌の表示からするとこれだけで前記認定判断を左右するものではない。

(オ)そうすると、これらの証拠によっては、本件商標の登録出願の時に、引用商標2及び引用商標3が我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものであり、かつ、本件商標は、前述のとおり、「すてきなパンダ」ほどの意味合いの語として構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握され、「パンダ」の文字のみが独立して認識されるものではなく、引用商標2、引用商標3とは商標それ自体別異なものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した者がこれより直ちに引用商標2及び引用商標3を連想、想起するものということはできない。

してみれば、本件商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも違反して登録されたものではない。

(3)以上のとおりであり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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