Trademark Appeal Case
花名商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90253(T2003−90253/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4643255号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年12月28日に登録出願され、「TULIP」の文字を標準文字により書してなり、第3類「香料類,化粧品,歯磨き,洗濯用柔軟剤,つや出し剤,つや出し紙,靴クリーム,塗料用剥離剤」を指定商品として、平成15年2月7日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の指定商品中「香料類,化粧品」についての登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。」旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標は、「香料」を示す普通名称である「チューリップ」を英字で普通に用いられる方法で表示したにすぎないから、指定商品中「香料類」に使用しても自他商品識別標識としての機能を果たし得ないと言うべきである。
(2)本件商標は、「香料」の原料としても用いられる「チューリップ」を英字で普通に用いられる方法で表示したにすぎないから、指定商品中「香料類」に使用するときには、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないと言うべきである。
また、「チューリップ」は香水の香りを示すものであるから、指定商品中「化粧品」に使用してもその品質、原材料を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。
(3)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第1号及び同第3号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。
3 取消理由の通知
当審は、平成15年9月25日付けで商標権者に対し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与え、本件商標の指定商品中「香料類,化粧品」についての登録は商標法第43条の3第2項の規定に基づき取消すべきものと認める旨通知した理由の要旨は、次のとおりである。
申立人の提出に係る「花精油と調合香料」(平成10年11月10日フレグランスジャーナル社発行)である甲第1号証によれば、「TULIP」の文字は、植物の「チューリップ」を意味する英語であり、その「チューリップ」の花香が開発され、その花香応用例としてフレグランス(芳香性化粧品)、トイレットウォーターが挙げられていることが認められ、また登録後の印刷日によるインターネット情報ではあるが、甲第2号証によると、「チューリップの花弁から香料をとって花の都富山の香りを演出」と説明している「チューリップの香水」「チューリップの石鹸」をふるさと特産品として販売〔(株)北日本ビューテイプロダクツが取り扱っている商品〕していることが認められることからして、「チューリップ」を原材料した香水又は香料、又はチューリップの花香(イミテイション)の香水又は香料が開発され、香水として又はフレグランス(芳香性化粧品)やせっけんの原料(香料)として使用されている実情が窺える。
そうすると、本件商標は、「TULIP」の文字よりなるものであって、これは「チューリップ」を英語で表したにすぎないから、上記実情を勘案すれば、本件商標に接する取引者、需要者は、これより「チューリップの花香よりなる商品」であることを容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「チューリップの花香よりなる香水、その他のチューリップの花香よりなる化粧品、チューリップの花香よりなる香料類」について使用するときは、単にその商品の品質、原材料を表示するというべきである。
また、職権により、本件商標は、これをその指定商品中上記商品以外の「香料類,化粧品」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標は、その指定商品中「香料類,化粧品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上述した取消理由の通知に対し、商標権者は要旨以下のとおり意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第37号証を提出した。
(1)申立人の提出に係る「花精油と調合香料」(平成10年11月10日フレグランスジャーナル社発行)によれば、(413頁)「20世紀初めの時期、単一花香フレグランスに、まだ、人気のあった頃、無数の花の匂いのイミテーションや匂いのない花の想像香が開発された。その花香の中に次のものがあった。アマリリス(AMARYLLIS)アザレア(AZALEA)・・・・チューリップ(TULIP)・・・。実際上、これら花香のすべては使用されていないし、ナチュラルフラワーオイルは入手できない。)。(418頁〜419頁)「チューリップ(ツルプ)エキストラクト No.177 307 フェニルエチルアルコール 100 ネロール 65・・・」と記載されている。
上記内容を見ると、これらの花香は、花を原材料としたものではなく、様々なエッセンスや化学物質を混合して作り出したイミテーションや、匂いのない想像香、すなわち実際に匂いのないにもかかわらず、花の有するイメージで、花香を想像したものを列挙しているだけである。
また、これらの花香の事例や、応用例は、20世紀初め頃に考えられたものであるとしても、本件商標の登録査定時において、これらの花香が指定商品中の「化粧品,香料類」において商品の品質、原材料として明確に述べている箇所は見あたらないから、この証拠資料が、本件商標が商品の品質、原材料を表すものであるとする事実を裏づけるものとして十分なものということはできない。
次に、「チューリップの花弁から香料をとって花の都富山の香りを演出」と説明しているインターネット情報については、本件商標の登録後のものである。
(2)また、乙第1号証ないし乙第37号証は、「チューリップの図」あるいは化粧品、香料類の原材料として使用され続けている「花(植物)の名称」からなる商標であるが、多数商標登録されている。 本件商標のみが、登録を取り消されるとするならば審査の一貫性を欠くものである。
以上のとおり、本件商標は、これをその指定商品に使用しても商品の品質を表したものとはいえず、商品の品質について誤認するおそれもないとするのが相当である。
5 当審の判断
(1)本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、指定商品中「化粧品,香料類」の登録は、上述した取消理由により商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわなければならない。
しかしながら、商標権者は、前記4(1)、(2)のとおり意見書で述べているのでこの点について判断する。
(2)4(1)について
香水とは、体や衣服に付け香りを楽しむための化粧品の一種であり、ひとつの香水には多種類の香料が含まれていることは一般に知られたことである。そして、香料は、天然香料と合成香料に分類され、さらに天然香料は、じゃこう等の動物性香料と、花、果実、幹などの植物性香料があり、それぞれの部分から採れる芳香性のある植物性の精油を加工して新しい香料を作り出した抽出香料等を合成香料という(「廣川 香粧品事典」 平成4年10月1日 株式会社廣川書店発行)。
そうとすれば、たとえチューリップ(TULIP)の花香が、天然の香料としては稀少であるため、様々なエッセンス(精油)や化学物質を混合して作り出した合成香料であるとしても、このような合成香料が、稀少で高価なため入手しがたい天然香料にかわって、香水や香料類の原材料として用いられることはこの種業界においてよく行われていることといわなければならない。
(3)4(2)について
本件商標と申立人が挙げた登録商標とはその構成態様(例えば標準文字と図形)において事案を異にするものであるのに加え、自他商品識別機能を有するか否かについては個別具体的に判断されなければならない。
以上のとおり、申立人の前記4(1)、(2)の主張は前記5(1)の認定を覆すもとはいえないから採用できない。
したがって、本件商標の指定商品中結論掲記の商品についての登録は、同第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。