結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30739号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1307335商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(1)に表示したとおり「カーキムコ」と「CARKIMUKO」の文字とを二段に併記してなり、昭和48年8月17日に登録出願、第19類「台所用品、日用品」を指定商品として、昭和52年10月28日に設定登録、その後、昭和63年5月25日及び平成9年6月10日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続するものである。
(1)請求の趣旨
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
(2)請求の理由
本件商標は、「カーキムコ」の文字と「CARKIMUKO」の文字を二段に併記した構成よりなるものである。
しかしながら本件商標は、その通常使用権者である日本キムコ株式会社(東京都荒川区南千住3−18−9)が別紙(2)と(3)に示すとおりの態様の類似商標に変更して使用している(甲第2号証及び同第3号証)。本件商標権者(被請求人)は、その使用について承知しておりながら注意することもなくその使用を容認している。
被請求人は、本件商標を使用している日本キムコ株式会社の代表取締役である(甲第4号証)。
請求人が所有する商標第537250号「KIMCO/キムコ」に基づいて日本キムコ株式会社に商標「CAR KIMUKO/カーキムコ」の使用を中止するよう平成9年11月4日付書状を以て申し入れたところ、請求人が平成9年12月2日受領した書面により、日本キムコ株式会社の使用は被請求人が所有する商標登録第1307335号に基づく登録商標の使用である旨回答してきた(甲第5号証)。
これらの事実によって、被請求人が日本キムコ株式会社に本件商標を使用許諾し、その指示の下に日本キムコ株式会社が、本件商標をこれに類似する商標「CAR KIMUKO」に変更して使用しているものであることは明らかである。
ところで、日本キムコ株式会社が本件商標に類似する商標を使用している商品が、本件商標の指定商品またはこれに類似する商品に該当するか否かについて検討する。
当該商品は、その容器の外箱の記載から、植物抽出物,非イオン系界面活性剤,安息香酸,プロピレングレコール,特殊アルコールなどを主成分とする脱臭剤をプラスチック製の容器に収納してなる自動車用の脱臭器であると思料される。
本件商標は、昭和34年改正施行の商標法に基づく登録であるところ、第19類「台所用品、日用品」を指定商品としているが、「脱臭器」は第19類の「日用品」のカテゴリーに属するものとされている。
また、昭和62年に更新登録された際、「商標の使用の事実を示す書類」として提出された2種類のカタログには、商標を使用している商品としてそれぞれ冷蔵庫用脱臭器(天然アミノ酸と特殊高分子を主剤としこれをプラスチック容器に収納したもの)及び自動車用脱臭器(天然植物(広葉植物その他)の抽出物を主剤としこれをプラスチック容器に収納したもの)が提出され、これら資料に基づいて、登録商標はその指定商品について使用されていることが証明されたものとして、その更新出願は受理されている。
請求人は、「KIMCO」と「キムコ」の文字とを二段に併記してなり、昭和33年8月19日登録出願、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和34年6月15日に設定の登録がなされた登録第537250号商標(以下、「引用商標」という。)を所有しており、これを冷蔵庫用などの脱臭剤に昭和33年から使用している(甲第14号証)。
この引用商標は、請求人の業務に係る脱臭剤を表示するものとして需要者間に周知されるに至っている。その事実は請求人が商標「KIMCO/キムコ」を使用して販売している脱臭剤の市場占有率は約40%であること(甲第14号証の2)によって立証される他、既に特許庁に係属した審判事件、異議事件において特許庁において顕著な事実であるとされていることからも立証される(甲第9号証及び同第11号証)。
本件商標に類似する商標「CAR KIMUKO」を本件商標の通常使用権者である日本キムコ株式会社が自動車用脱臭器及び取替え用脱臭剤に使用している事実についは、甲第2号証及び同第3号証として本書に添付した写真に示される自動車用脱臭器及び取替え用脱臭剤は、平成10年4月24日請求人の社員が埼玉県大宮市所在のドン・キホーテ大宮店(大宮市東大成町2−685)において購入したものである(甲第12号証)。
本件商標の通常使用権者(日本キムコ株式会社)による本件商標に類似する商標「CAR KIMUKO」を指定商品(脱臭器)に使用する行為は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずる。
商標法第53条第1項には「通常使用権者が指定商品...について、登録商標...に類似する商標の使用であって...他人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたときは...」と規定されているが、本条にいう「混同」は客観的に混同を生じさせるおそれのある場合をも対象としている(東京高裁昭和58年10月19日判決,昭和57年(行ケ)50号)(甲第13号証)。
請求人は、引用商標を昭和33年以来冷蔵庫用脱臭剤を中心として脱臭剤に使用しており、現在も使用を継続している。
請求人の商標「KIMCO/キムコ」は、請求人の業務に係る脱臭剤を表示するものとして需要者間に周知されている。
本件商標の通常使用権者である日本キムコ株式会社が、自動車用脱臭器及び取替え用脱臭剤に使用している商標「CAR KIMUKO」は本件商標に類似する商標であるが「CAR」と「KIMUKO」が分離されて2語からなる商標であると客観的に認識される。
そして、「CAR KIMUKO」が使用されている商品は、自動車用の脱臭器及び取替え用脱臭剤であるから、この商標に接する需要者は、「CAR」の語は、この脱臭器及び取替え用脱臭剤は自動車用である、ことを意味するものと直感する。従って需要者は、「CAR KIMUKOは自動車用のKIMUKO」であると観念することは必定である。
「KIMUKO」は「キムコ」の称呼を生じ、請求人の引用商標「KIMCO/キムコ」と実質的に同一乃至極めて酷似する商標である。
本件商標の通常使用権者である日本キムコ株式会社が「CAR KIMUKO」を使用している自動車用の脱臭器は、「植物抽出物,非イオン活性剤,あんそく香酸,プロピレングリコール等」を主成分とする脱臭剤を単にプラスチック容器に収納したのみであり、しかも取替え用脱臭剤は、脱臭剤そのものである。
従って商標「CAR KIMUKO」が、上記した自動車用脱臭器及び取替え用脱臭剤に使用されるときは、それら商品が請求人の脱臭剤として使用している商品であるか、また請求人の許諾を得て製造販売しているかの如く請求人と何らかの関係を有する者による商品であると、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
本件商標権者(被請求人)は、日本キムコ株式会社の代表取締役であり、請求人の日本キムコ株式会社に対する警告に対し、自ら同社の代表者としての立場で回答してきている事実から、自ら、日本キムコ株式会社をして上述の如き使用をさせていたものと考えられる。
従って、商標法第53条第1項のただし書には該当しない。
(3)被請求人の答弁に対する弁駁
被請求人は、その使用に係る商標を「CAR」と「KIMUKO」とに分断使用することによって、その商品が「自動車用のKIMUKO」であると消費者に認識させることが目録まれていることは容易に推認されるところであって、その表示方法は「不正の目的をもってする登録商標に類似する商標の使用」に該当するということができる。
従って、被請求人の本件商標についての「適正使用」の答弁は理由がない。
通常使用権者は、本件商標を意識的に変更した(「CAR」と「KIMUKO」の間に間隔をあけた)類似商標を指定商品(脱臭器)と称しながら実体は異なった商品(脱臭剤)に使用し、請求人の商品(脱臭剤)に示す商標として需要者に周知されている「KIMCO」と品質の誤認又は出所の混同(又は誤認・混同のおそれ)を生じさせているのであるから、その商標の使用は不正行為であって、商標法第53条第1項の規定に該当する。
(1)答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べた。
(2)答弁の理由
(ア)被請求人所有の本件商標に関し、日本キムコ株式会社(東京都足立区西綾瀬4丁目13番8号)は、本件商標権についての通常使用権者であること及び日本キムコ株式会社が、本件商標を甲第2号証、同第3号証に示すような、当該指定商品について使用している事実は認める。
また、請求人が商標登録第537250号の登録商標を所有している点についても争わない。
しかしながら、被請求人は上記通常使用権者が被請求人の所有する登録商標を使用するに当たり、請求人の引用商標に類似する様に変更使用しているとの主張は到底容認できるものではない。
本件商標は、片仮名文字の「カーキムコ」とローマ文字の「CARKIMUKO」とを二段書きに書してなるものである。
一方、甲第2号証に示す使用態様においては、脱臭器本体平面に斜めにローマ文字で「CARKIMUKO」と一連に記載している。
また、この脱臭器本体を収納する透明な収納箱の内側に脱臭器本体を包むように説明書き紙片が配されており、この説明書き紙片において包装箱平面側左上に位置するように片仮名文字「カーキムコ」と表示してなる。そして、さらにこの説明書き紙片の包装箱裏面側位置にはローマ文字で「CARKIMUKO」と記載され、側面位置には片仮名文字で「カーキムコ」とそれぞれ記載している。
従って、確かに甲第1号証公報とは異なり二段に並列に併記してなるものではなく、ローマ文字からなる「CARKIMUKO」と片仮名文字からなる「カーキムコ」をそれぞれ独立した形で表記してなる。
しかしながら、この程度の変更使用は、登録商標の使用として従来より認められていることは明らかである。
従って、甲第2号証及び同第3号証に示される片仮名文字の「カーキムコ」とローマ文字の「CARKIMUKO」をそれぞれ独立に表示することは、本件被請求人が所有する商標登録第1307335号に基づく登録商標の使用である。
本件通常使用権者が使用する商品「脱臭器」は、請求人が所有する引用商標の指定商品とは全く非類似な商品である。
被請求人が通常使用権者(日本キムコ株式会社)に使用を認めている登録商標の指定商品「脱臭器」は、昭和34年改正施行の商標法に基づく登録である登録第1307337号の指定商品であって、第19類「日用品」のカテゴリーに属するものである。
ここで、上記第19類に含まれる「脱臭器」とは、単に脱臭効果を有する化学品そのものを提供するに止まるものではなく、台所用品や日用品として、トイレや冷蔵庫又は自動車等の閉ざされた空間において脱臭を行うために、その使用目的に即して各種工夫された収納容器としての形態を有するものである。例えば、脱臭作用量を調節し効果を持続させたり、脱臭作用終了の表示を行いうる様に各種の工夫を施してなるものである。本件通常使用権者が提供する脱臭器においてもこのような工夫を有している。
そして、請求人も甲第7号証で示す通り、上記被請求人の登録商標については、被請求人の通常使用権者による適正な登録商標の指定商品についての使用が特許庁において認められて更新登録を受け、現在まで権利が有効に且つ適正に存続していることを認めている。
これに対して、請求人の登録商標は第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」である。ここで、上記第1類の「化学品」としての脱臭剤とは、単に原材料として用いられるものであって、第19類の「脱臭器」とは何らの類似関係もない商品である。このことは、請求人が指摘する特許庁商標課編「商品区分に基づく類似商品審査基準」においても第19類の「脱臭器」と第1類の「化学品」との関係において、その類似関係を示唆する何らの表記もなされていないことからも明らかである。
本件使用権者における登録商標の使用においては、デザイン上の観点からの「CAR」と「KIMUKO」の間に多少の間隔はあるものの、あくまで一連不可分に読みとれる範囲のものである。さらに、この脱臭器本体を包む説明書き紙片には上述するように大きく片仮名文字で「カーキムコ」との記載が複数箇所にあることから、本件商標は「カーキムコ」としてのみ称呼が生じるものである。
商標の使用により生じる称呼は、当該商品についての当該商標の使用態様全体を総合的に判断して、需要者・取引者がどのように称呼するかを検討すべきものであって、請求人の如くことさら登録商標の一部を取り出して類否判断することは全く無意味である。
ここで本件通常使用権者が使用する登録商標の称呼「カーキムコ」と請求人の引用商標の称呼「キムコ」との類否を判断すると、本件商標は称呼上最も重要な語頭において極めて強く発音される「カー」の音を有している。この相違は、比較的短い音から構成される両商標にあって、本件商標は語頭音で且つアクセントとなる強音「カ」により上記引用商標とは全体として全く異なった音感を生じせしめることから、両商標を著しく区別する指標となるものであって、明らかに称呼上非類似の商標と言い得るものである。
通常使用権者の登録商標の使用は、請求人の引用商標とは、全く非類似な商標の使用であって、さらに全く非類似な指定商品について使用するものであるから、全く出所の混同のおそれのないものである。
請求人は、引用商標を請求人の業務に係る脱臭剤を表示するものとして需要者間に広く周知されている旨主張するが、それはあくまで冷蔵庫用脱臭剤についての使用によるものであって、自動車用脱臭器についてのものではない。
請求人が甲第14号証の自己の製品総合カタログにおいて示すように、自動車用品の製造販売は一切行っておらず「KIMCO」の商標も用いていない。
一方、通常使用権者が登録商標を使用する指定商品である脱臭器は自動車用品店、自動車用品売場で販売されているものであり、請求人の冷蔵庫用脱臭剤の販売経路や、小売り店や売場と明らかに相違するものである。
従って、このような使用商品の相違に基づく商品販売経路等の相違からも通常使用権者と請求人との間において出所の混同が生じるおそれもないものである。
このことは、本件被請求人が本件商標の登録を受け当該指定商品「脱臭器」について登録商標の使用を当該通常使用権者等により昭和56年に開始して以来、上記請求人の使用する引用商標との出所の混同によるトラブルや購入者自身からの苦情はこれまで一切なかったことからも明らかである。
そして、この18年以上に亘る登録商標の指定商品についての継続使用によって、既に自動車用品業界においては、日本キムコ株式会社は当該登録商標の指定商品への使用に関し業務上の信用を得ているものである。
以上のように、被請求人の通常使用権者の登録商標の使用態様は、被請求人の登録商標の指定商品についての使用であって、請求人の引用商標との出所の混同が生じるような不正使用ではないと確信する。
(イ)請求人が提出した甲第2号証及び甲第3号証の自動車用脱臭器及び取替え用脱臭剤は、平成10年4月24日請求人の社員が埼玉県大宮市所在のドン・キホーテ大宮店において購入したものであると主張し、甲第12号証として該ドン・キホーテ大宮店発行の1998年4月24日付領収書を提出している。
しかしながら、この甲第12号証として示される領収書には「カーキムコ CK24」と「カーキムコ CK−13」と記載され、2種類の商品を2個ずつ購入したことが記載されている。
一方、甲第2号証において写真により示す商品は、その製品番号として品番「CK13−B」と記載されている。
また、甲第3号証において写真により示す商品は、その製品番号として品番「CK−20」と記載されている。
従って、上記領収書に記載された製品番号からすれば、上記ドン・キホーテ大宮店で購入した商品と甲第2号証及び甲第3号証において写真により示す商品は明らかに相違する。
よって、本件通常使用権者の使用は、商標法第53条第1項の規定に該当するものではない。
請求人の提出した甲第2号証及び同第3号証を徴するに、甲第2号証に示された写真の商品は、結局は自動車用の脱臭剤」と認められるものであり、また、甲第3号証に示された写真の商品は「取替用の脱臭剤」と認められるものである。
ところで請求人は、被請求人は商品「脱臭器」について本件商標と類似する商標を使用しているものであるとも述べている。確かに甲第2号証の(2)については、品名「脱臭剤」、用途「自動車用」の表示のほか、「脱臭器」とも表示されているが、この「脱臭器」と目されるものについては、商品全体の販売形態からみてこれは「脱臭剤」のプラスチック製の包装物と認められるものであって、「脱臭器」ではない。
すなわち、本件商標の指定商品第19類「台所用品,日用品」(昭和35年政令第19号によるもの。)に属する「脱臭器」は、いわゆる「ベンチレーター」であって、一般には便所の臭気抜きの換気筒をいうものであり、また、その他脱臭剤等を入れて脱臭するための器具(脱臭剤の入っていないもの)をいうものと認められる。
そして、「脱臭剤」は、第1類「化学品」(昭和35年政令第19号によるもの。)の範疇に属するものである。
つぎに、前記した「脱臭器」は、証拠における使用商品「脱臭剤」とは、生産者・販売者・原材料・品質等が相違するものであり類似する商品とはいえない。
そうすると、甲第2号証及び同第3号証に示された商品「脱臭剤」は、本件商標の指定商品「台所用品,日用品」には含まれていないし、「脱臭器」と類似する商品ではないこと前記認定のとおりである。
ところで、商標法第53条第1項は、「専用使用権者又は通常使用権者が指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についての・・・」と規定するところ、前記認定のとおり甲第2号証及び同第3号証に掲げる商品は、同規定にいう指定商品又はこれに類似する商品とは認められないものである。
したがって、請求人のその余の点について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第53条第1項に規定する要件を具備するものではないから、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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