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Trademark Appeal Case

「士」の文字の識別性と誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−9582(T2004−9582/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「臨床美術士」の文字を標準文字で書してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,植物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として、平成15年7月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、以下の(1)及び(2)のとおり、認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(1)本願商標は、「臨床美術」の文字と一定の技能や資格を有する人であることを表す語として一般に認識されている「士」の文字とを「臨床美術士」と普通に用いられる方法で書してなるところ、「臨床美術」の文字は、痴呆療法を目的に右脳を刺激するアートセラピーとして知られることよりすれば、これを本願指定役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は「臨床美術に関する専門知識、専門技能を修得した者の提供に係る役務」または「臨床美術に関する専門知識、専門技能を修得するための役務」であること、すなわち役務の質(内容)を、表示するものと理解するにすぎず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)本願商標は、「臨床美術士」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中の「士」の文字は、「一定の資格を持った者」を意味し、例えば「弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、建築士、土地家屋調査士、不動産鑑定士」等国が法律に基づいて資格を特別に付与した者を表示する事例が多いことから、本願商標をその指定役務に使用したときは、恰も国家資格を表す名称の一つであるかのごとく、需要者に誤認を生じさせるおそれがあるから、このような商標を一個人である出願人が自己の商標として採択・使用することは、公の秩序を乱すおそれがあり、穏当ではない。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断

(1)本願商標は、「臨床美術士」の文字を標準文字で書してなるところ、指定役務との関係より、これが直ちに原審説示のごとき意味合いを認識、理解させるものとはいい難く、また、当審において調査するも、本願商標を構成する文字が、本願指定役務を取り扱う業界において、取引上、その役務の質等を表示するものとして、普通に使用されている事実を発見することができなかった。

そうとすれば、本願商標をその指定役務に使用しても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標ということはできない。

してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。

(2)また、本願商標の構成中の末尾の「士」の文字部分については、一般国民が、末尾に「士」の付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表していると、理解することが多いと一般的にはいうことができるが、他方、いわゆる「民間資格」において、法律に準拠しない「士」の文字を含む名称や称号が使用されている事実も少なからず見受けられるところである。

そこで、当審において調査するも、本願商標である「臨床美術士」と同一又は類似する名称の国家資格は存在しないばかりでなく、「臨床美術士」と同一又は類似する名称が他の法律によって、使用を規制されているといった事実も見い出し得ないところである。

そうとすれば、本願商標をその指定役務に使用しても、取引者、需要者をして、これより直ちに国家資格を表す名称の一つであるかのごとく誤認を生じさせるおそれがあるものとはいえず、また、国家資格制度の秩序を乱すおそれがあるものと認めることもできないから、結局、本願商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標ということはできない。

してみれば、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(3)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第7号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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