結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2005−89085(T2005−89085/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4804527商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年2月9日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料類,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同16年9月17日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効にする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第55号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求人について
請求人は、以下に述べるように、本件商標が請求人の業務に係る商品若しくは請求人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、商品の出所について誤認、混同を生ぜしめるおそれがあるため、本審判を請求する利害関係人であることは明らかである。
(2)本件商標について
ア 本件商標の構成
本件商標の英文字「St.PrideAQUOS」は、前半部分「St.Pride」が、筆記体で大文字と小文字が混在した斜体がかった態様であって、一方、後半部分「AQUOS」は、すべて大文字の態様で表示されており、一般的に、このような結合商標は、その書体の相違により、これらを一体不可分のものとして認識し、称呼しなければならない特段の理由がない限り、それぞれの文字が独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものと認められる(甲第2号証ないし同第5号証)ことに加え、本件商標の片仮名文字「セントプライドアクオス」は、「セント」、「プライド」及び「アクオス」の各語から構成され、各語に観念的なつながりがなく冗長であって、これらを一体不可分のものと認識し、称呼しなければならない特段の理由がないことと相侯って、本件商標については、英文字及び片仮名の各後半部分である「AQUOS」及び「アクオス」が、以下に述べるように請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く知られた「AQUOS」及び「アクオス」であることも相侯って、本件商標の英文字部分の「AQUOS」及び片仮名部分の「アクオス」の部分のみで強く印象されることになる。
イ 本件商標中の「AQUOS」、「アクオス」
本件商標中「St.」又は「セント」は「聖人、聖者、聖徒、聖」等を意味し、「プライド」又は「Pride」は「うぬぼれ、思い上がり、優越感、高慢」等を意味するが(甲第6号証)、「AQUOS」又は「アクオス」は特定の観念を生じない造語であり、本件商標の英文字部分の大文字で構成されていること、及び、特定の観念を生じない造語であることから、後半部分の「AQUOS」及び「アクオス」が強く印象されることになる。
ウ むすび
以上より、本件商標は「AQUOS」及び「アクオス」の部分が需要者等の注意を惹き付け、強く印象される部分であることが明らかである。
(3)引用商標について
ア 引用商標の造語性
引用商標(登録第4489184号商標)は、英文字「AQUOS」と片仮名文字「アクオス」の上下二段併記からなるものであり(甲第7号証)、請求人の特定の観念を生じない造語標章である。
イ 引用商標の周知・著名性について
引用商標は、請求人の液晶カラーテレビについて使用されてきた商標であり、本件商標の登録出願時には既に日本及び海外で広く知られるものとなっていた。
(ア)請求人は、その業務に係る商品を掲載したカタログに引用商標を掲載している。
甲第8号証ないし同第21号証は、2000年(平成12年)12月ないし2004年(平成16年)12月発行の請求人の液晶カラーテレビについてのカタログである。
甲第22号証ないし同第33号証は、2001年(平成13年)11月ないし2004年(平成16年)11月発行の請求人の液晶カラーテレビについてのテレビ・雑誌等の広告媒体キャンペーンの告知ポスターである。
同カタログ及び同告知ポスターから明らかなように、請求人は、2000年(平成12年)以降、その業務に係る商品について「AQUOS」及び「アクオス」の商標を、カタログ、TVCM、交通広告、新聞広告及び雑誌広告等において積極的に使用してきたことが容易に認識できる。
(イ)2004年に発行された日本知的財産保護協会発行の「日本有名商標集」には、引用商標が掲載されている(甲第34号証)。
(ウ)請求人は、引用商標である「AQUOS」及び「アクオス」をその商標の一部に有する登録商標を多数保有し、広く使用している(甲第第35号証及び同第36号証)。
(エ)請求人は、本件商標の登録出願前である2000年(平成12年)12月から商標「AQUOS」を付した液晶カラーテレビを生産しており、本件商標の登録出願時には既に生産台数が200万台を超えており、さらに、本件商標の登録時には既に生産台数が400万台を超えている(甲第37号証)。
(オ)2001年(平成13年)8月11日ないし2004年7月26日付け(発行)の新聞あるいは雑誌に、薄型テレビの売れ筋ランキングには、請求人の液晶テレビ「アクオス」シリーズが1位から4位を独占している(甲第38号証)、請求人の10型以上の家庭用液晶テレビのシェアは9割近くに達していると見られている(甲第39号証)、2003年第1四半期の国内市場のメーカー別の液晶テレビの台数シェアにおいて、請求人の台数シェアが68.6%である(甲第40号証)、液晶テレビの台数シェアにおいて、請求人の台数シェアが56.6%である(甲第41号証)旨がそれぞれ記載されている。
(カ)請求人の商品である引用商標を付した液晶カラーテレビが、各業界において多数の賞を受賞している(甲第42号証ないし同第46号証)。
(キ)これらの液晶カラーテレビには引用商標が付されており、又は、これらの液晶カラーテレビの広告に引用商標が付されている。
かかる事実から、請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして、周知・著名になっていることが推認できる。
ウ 請求人の業務について
請求人は、AV関連商品、家電製品、情報通信関連商品のみならず幅広い商品を取り扱っており、請求人の登記簿謄本には、「現在事項全部証明書」の「目的」において、通信機械器具の製造及び販売、電気機械器具の製造及び販売等と並び、「前各号の各種機械器具、自動車、自動車用品、家具、スポーツ用品、日用品雑貨等の販売、割賦購入斡旋、賃貸借及び輸出入業務」が記載されている(甲第47号証)。
かかる事実から、請求人は、本件商標の指定商品「せっけん類、歯磨き等」を含む「日用品雑貨等」の販売をはじめ幅広い商品を扱っていることがわかる。
(ア)請求人のカタログ「販促情報ガイド」には、石鹸、ハンドソープ、シャンプー、洗剤や歯磨きが掲載されている(甲第48号証ないし同第50号証)。上記商品は、本件商標の指定商品中の「せっけん類」や「歯磨き」と同一又は類似の商品である。
(イ)請求人は、「AQUOSフォトギャラリー」及び「クリーニングクロス」等の引用商標を付した様々な商品を取り扱っている(甲第51号証)。
(ウ)請求人は、ウェブサイト上において、ショッピング、コミュニティ・会話、メールマガジン、読書・まんが等の様々な情報サービスコンテンツを提供している(甲第52号証)。例えば、引用商標を付したアクオスイメージコレクションのコーナーでは、高品位デジタルピクチャーをテーマごとに収録したコンパクトフラッシュメモリーカードの販売を行っている(甲第53号証)。
エ むすび
以上に述べた事実から、請求人の引用商標「AQUOS」及び「アクオス」は、請求人が世界に先がけて売り出した液晶カラーテレビの商標であること、及び、その商品の品質の高さから、高い評価を得て、本件商標の登録出願時には既に引用商標が日本及び海外において広く知られていたこと、並びに、引用商標が請求人の業務に係る様々な商品の出所を表示していることは明らかである。
(4)出所の混同のおそれについて
ア 本件商標と引用商標の対比
(ア)本件商標が、上述のように需要者の間で広く認識された請求人の商標「AQUOS」及び「アクオス」と他の文字との結合商標である。
(イ)引用商標が請求人の特定の観念を生じない創造標章である。
(ウ)したがって、本件商標は、引用商標と類似することが明らかである。
イ 商品
上述のように、請求人の商品として、本件商標の指定商品中の「せっけん類、歯磨き」等と同一又は類似の商品である「石鹸、ハンドソープ、洗剤や歯磨き」等の商品を取り扱っている。
また、「石鹸、ハンドソープ及び洗剤」と本件指定商品の「せっけん類」並びに「歯磨き」と本件指定商品の「歯磨き」は、販売場所や用途等が共通することから、極めて密接な関係を有する商品である。
なお、たとえ販促品であっても、取引業者との間においてそれ自体独立した交換価値を有し、商取引の対象となっている場合は、販促品に商標を付し譲渡等する行為は商標の使用に該当する(「平成10年(行ケ)第324号判決」甲第55号証)。
さらに、請求人の商品として、引用商標を付して様々な商品、情報サービスコンテンツを扱っており、請求人における多角経営の可能性があることは明らかである。
ウ むすび
以上のとおり、(a)本件商標は、需要者の間に広く知られた引用商標と他の文字の結合であり、両商標は互いに類似し、(b)引用商標は、本件商標の登録出願時に日本及び海外において、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く知られており、(c)本件商標は、構成中の「AQUOS」及び「アクオス」の部分が強く印象に残り、(d)本件商標は、引用商標が使用される商品と同一又は類似の商品を指定するものであるから、本件商標は、請求人の業務に係る商品若しくは請求人と何等かの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、商品の出所について誤認、混同を生ぜしめるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(5)結論
よって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により無効にされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、欧文字の部分において、「St.Pride」の文字部分が筆記体に近い書体でかつ大文字と小文字とが混在した斜体で書き表されている一方、「AQUOS」の文字部分がすべて大文字の態様で書き表されているものの、その下段に欧文字「St.PrideAQUOS」に対応する片仮名文字「セントプライドアクオス」が併記されているので、本件商標に接する一般需要者は、片仮名文字の表記に従って、素直に「セントプライドアクオス」と称呼することができる。
(2)引用商標について
ア 使用商品
引用商標が、「液晶カラーテレビ」について日本及び海外において周知・著名な商標となっていることは、被請求人も首肯するところである。
しかしながら、引用商標は、請求人のいわゆるハウスマークではなく、商品的には単一の商品「テレビ」、その中でも特に「液晶カラーテレビ」にのみ使用されてきたものであることは明らかである(甲第8号証ないし同第46号証)。
イ 請求人の販促商品
請求人は、「現在事項全部証明書」(甲第47号証)を挙示して、その「目的」の欄に「日用品雑貨等販売」が記載されていることから、「請求人は、本件商標の指定商品『せっけん類、歯磨き等』を含む『日用品雑貨等』の販売をはじめ幅広い商品を取り扱っていることがわかる。」と記されている。
しかしながら、一般に「現在事項全部証明書」の「目的」の欄に記載されている業務は、必ずしもその法人が現に行っている業務でないことは、同じく前記「目的」の欄に記載されている「自動車」を請求人が製造販売していないことからも明らかである。
したがって、請求人の「現在事項全部証明書」の「目的」の欄に「日用品雑貨等販売」が記載されているからといって、直ちに「せっけん類、歯磨き等」を含む「日用品雑貨等」の販売をはじめ幅広い商品を取り扱っていることにはならない。
もっとも、請求人は、カタログ「販促情報ガイド」(甲第48号証ないし同第50号証)を挙示して、「石鹸、ハンドソープ、シャンプー洗剤や歯磨き」を取り扱っていた事実を証明している。
しかしながら、カタログ「販促情報ガイド」は、確かに請求人が、「石鹸、ハンドソープ、シャンプー、洗剤や歯磨き」を販売促進用の商品として取り扱っていた事実を示す証拠たり得るものではあるが、該カタログは、営業マンや営業関係者が目にするものであっても、一般需要者が目にするものではない。すなわち該カタログは、一般の通信販売のカタログとは性質の異なるカタログであるといわざるを得ない。
そして、甲第48号証ないし同第50号証は、2002年4月ないし2004年3月31日という期間が表示されているものであること、頒布場所、頒布対象者及び頒布数量等が示されていないこと、インターネットで「販促情報ガイド」を検索してみると、ヤフー及びグーグルのいずれにおいても1件もヒットしないこと(乙第1号証及び同第2号証)等に鑑みると、カタログ「販促情報ガイド」は、極めて狭い範囲でしか知られることのなかったカタログであり、末端のエンドユーザーにまで認知されていないカタログであるというべきである。
そうであれば、一般需要者は、引用商標が「液晶カラーテレビ」について使用されている商標であることを知っていても、該商標を使用する者が、本件商標の指定商品を取り扱っていることは想像もできないことであるというべきである。
ウ 商品の関連性
請求人は、甲第51号証において、引用商標を付した商品として「クリーニングクロス」を示されているが、該「クリーニングクロス」は、液晶カラーテレビ「AQUOS/アクオス」用の商品であることが強調されている。
このような事実関係に鑑みると、引用商標「AQUOS/アクオス」が使用されている商品と、本件商標の指定商品「化粧品,せっけん類」等との関係性は極めて希薄であるというべきである。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標とを対比してみると、それぞれの構成は前記のとおりでありから、両商標が外観上非類似の商標であることは明らかである。
また、両商標はいずれも特定の観念を有しない商標であるから、観念上も非類似の商標であることは明らかである。
また、本件商標は上記のとおり二段併記の商標であって、その片仮名文字部分は、欧文字部分の発音を表記したものであるから、「セントプライドアクオス」と称呼されるものである。
したがって、本件商標から生じる自然的称呼は、唯一「セントプライドアクオス」であり、これをあえて「セントプライド」又は「アクオス」と称呼しなければならない理由がない。
一方、引用商標は、文字どおり「アクオス」が唯一の自然的称呼である。
「セントプライドアクオス」と「アクオス」とは、称呼全体の音数が異なるものであるから、称呼上も両商標は非類似であるというべきである。
(4)商標法第4条第1項第15号の適用について
上記においてみたとおり、請求人のいう引用商標は、「液晶カラーテレビ」についてのみ使用された結果、周知・著名性を獲得したものであるところ、「液晶カラーテレビ」と本件商標の指定商品「化粧品,せっけん類」等とは、取引上何の関係性をも有していないことが明らかである。
そうであれば、本件商標は、取引の実情、実態を十分考慮するならば、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがないものというべきであるから、商標法第4条第1項第15号の規定に該当しない商標である。
(5)むすび
上述の次第で、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当しない商標であるから、その登録は無効とされるべきものではない。
(1)本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、請求人は、「AQUOS」と「アクオス」の両文字よりなる商標を引用し、引用商標は、請求人が液晶カラーテレビについて使用し周知・著名であり、請求人の業務はAV関連商品、家電製品、情報通信関連商品のみならず幅広く広範な商品に及んでいるから、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある旨主張するので、まず、引用商標が請求人の液晶カラーテレビの商標として周知・著名であるか否かについて検討する。
請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(a)請求人は、2000年(平成12年)12月から「AQUOS」シリーズの液晶カラーテレビの量産を開始し、2001年(平成13年)1月から発売した(甲第37号証)。
(b)請求人は、2000年(平成12年)12月頃から「AQUOS」シリーズの液晶カラーテレビのカタログ、テレビ、新聞、雑誌、交通機関などの広告媒体を通じて広告・宣伝を継続して行っている(甲第8号証ないし同第33号証)。
(c)「AQUOS」シリーズの液晶カラーテレビの生産台数は、2002年(平成14年)12月には100万台、2003年(平成15年)10月に200万台を達成し、以降量産を続け2004年(平成16年)12月には500万台に達した(甲第37号証)。
(d)2001年(平成13年)8月11日付け「日経流通新聞」に、「売れ筋ランキング(台数ベース)はシャープの薄型テレビの「アクオス」シリーズが1位から4位を独占した。」(甲第38号証)と記載され、また、2001年(平成13年)10月19日付け「日経産業新聞」には、「市場リサーチ 液晶テレビ」の記事に「アクオスのヒットで、シャープの10型以上の家庭用液晶テレビのシェアは9割近くに達していると見られている」(甲第39号証)と記載され、2003年(平成15年)9月29日発行「日経エレクトロニクス2003no.857」の「フラットパネル搭載品がズラリ地上波デジタル・テレビ出そろう」の記事に、「国内市場のメーカー別のシェア」として「液晶テレビの台数シェア(2003年第1四半期)」「シャープ68.6%」(甲第40号証)と記載され、2004年(平成16年)7月26日付け「日経産業新聞」に、「液晶TV首位シャープ死守」として「液晶テレビで圧倒的な存在感を誇るのがシャープ。国内シェアは56.6%に達した。」(甲第41号証)と記載されている。
(e)「AQUOS」シリーズの液晶カラーテレビは、第14回「スーパーグッズオブザイヤー」のグランプリを受賞するなど、各業界において多数の賞を受賞した(甲第42号証ないし同第45号証)。
(2)以上の各事実によれば、請求人の「AQUOS」シリーズの液晶カラーテレビは、2001年(平成13年)1月の発売依頼、生産台数が増加し、本件商標の登録登録出願時(平成16年2月9日)前に、既に200万台に達しており、液晶テレビ市場において圧倒的なシェアを獲得していたことが認められる。
これらの事実を総合すれば、引用商標は、本件商標の登録登録出願の時には、請求人の業務に係る液晶カラーテレビの商標として取引者・需要者の間に広く認識され、周知・著名性を獲得していたものと認められる。
(3)つぎに、本件商標についてみるに、本件商標は、別掲のとおり「St.PrideAQUOS」と「セントプライドアクオス」の両文を二段に併記した構成よりなるものであって、そのうちの上段の前半部の「St.Pride」文字が、筆記体風の大文字と小文字が混在した斜体がかった態様で表されているのに対し、後半部の「AQUOS」の文字は、すべて大文字で表示されていて、これら両文字は書体(態様)が相違しているから、これら両文字に分離して認識される場合も少なくないということができる。
一方、本件商標の下段に表示された「セントプライドアクオス」の文字をみると、該文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔をもって一連で一体的に表されており、これを「セントプライド」と「アクオス」の両文字に分離して認識されるものではなく、その全体をもって一体不可分の構成よりなるものと把握し認識されるものと認められる。
そうとすれば、本件商標中の「St.PrideAQUOS」の文字は、「St.Pride」と「AQUOS」の両文字に分離して認識される可能性を否定し得ないとしても、一連で一体的に表示された「セントプライドアクオス」の文字が併記されたことにより、該欧文字部分の一体性をより高める効果を発揮しているとみることができる。
(4)つぎに、本件商標の指定商品と引用商標に係る商品についてみると、本件商標の指定商品は、第3類「化粧品,せっけん類,香料類,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」であって、いずれの商品をみても、請求人が引用商標を使用する「液晶カラーテレビ」とは、商品の製造・販売業者、商品の品質、原材料、用途、機能等を異にする異質の商品であって、関連性の極めて希薄な商品ということができる。
請求人は、AV関連商品、家電製品、情報通信関連商品のみならず、本件商標の指定商品「せっけん類、歯磨き等」を含む「日用品雑貨等」の販売をはじめ幅広い商品を扱っている旨主張する。
確かに、請求人の「現在事項全部証明書」(甲第47号証)の「目的」欄には、「通信機械器具の製造及び販売、電気機械器具の製造及び販売」等のほかに「前各号の各種機械器具、自動車、自動車用品、家具、スポーツ用品、日用品雑貨等の販売、割賦購入斡旋、賃貸借及び輸出入業務」と記載されている。
しかしながら、一般に多くの会社が、「目的」欄に記載された業務のすべてを行っているものでないことは、周知の事実である。
請求人の挙げる取扱いに係る商品・役務のうち、請求人が、インターネットを通じ、「クリーニングクロス」及び「コンパクトフラッシュメモリーカード」を販売し、また、ショッピング、メールマガジン等の様々な情報サービスコンテンツを提供している事実は認められる(甲第51号証ないし同第53号証)。
しかし、請求人が幅広い商品を扱っているとして挙げる商品「石鹸、ハンドソープ、シャンプー、洗剤、歯磨き」(甲第48号証ないし同第50号証)については、エンドユーザーである一般消費者に他の商品の宣伝・広告のために無償で配布される販売促進用のものであって、請求人と販売業者の間で取引される商品であるという点で商標法上の商品性は認められるものの、これら石鹸、ハンドソープ等の商品自体がエンドユーザーである一般消費者に有償で取引されるものではないから、一般の取引者・需要者にとっては、請求人が市場性を有する商品として取引に供していると認識される性質の商品ではないというべきである。
してみれば、請求人の提出に係る証拠によれば、請求人にクリーニングクロス、コンパクトフラッシュメモリーカードの販売及びショッピング、メールマガジン等の情報サービスコンテンツなどを提供しているという点において多角経営化の傾向は認め得るものの、本件商標の指定商品「せっけん類、歯磨き等」に含まれる商品、あるいは、これらの商品に関連する商品に係る業務を行っていると認めるに足りる証拠はない。
(4)そうとすれば、引用商標の周知・著名性は認められるものの、本件商標中の「St.PrideAQUOS」の文字は、分離して認識される可能性があるものの、「セントプライドアクオス」の仮名文字が併記されていることによりその一体性もまた高いものであり、また、本件商標の指定商品については、引用商標の商品と関連性の極めて希薄な商品であって、請求人がこれらの商品に関連する業務を行っている事実も認められないことからすると、一般の取引者・需要者も、請求人が本件商標の指定商品あるいはこれと関連性を有する商品を取り扱っていると認識しているとは認め難いといわなければならないから、これらを総合勘案すれば、請求人における多角経営化の拡大の可能性を考慮するにしても、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者、需要者が、これから直ちに引用商標を連想・想起し、該商品を申立人又は申立人と関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同するとは判断することができない。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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