Trademark Appeal Case
バナジウム豆腐の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−12945(T2004−12945/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「バナジウム豆腐」の文字を標準文字で横書きしてなり、第29類「豆腐」を指定商品として、平成15年9月12日に登録出願されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、金属元素の1つであり、インシュリンと同様の薬用作用が期待できる微量必須ミネラルとして注目されている『バナジウム』の文字と『豆腐』の文字とを普通に用いられる方法により一連に表示した標章のみからなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に『バナジウムが含有されている豆腐』であると、商品の成分、品質を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 「バナジウム」の文字について
本願商標は、前記第1のとおり、「バナジウム豆腐」の文字を標準文字で横書きしてなるところ、該構成中の「バナジウム」の文字については、以下の事実が認められる。
(ア)「金属元素の一。・・・」(1998年11月11日、株式会社岩波書店発行「広辞苑第五版」)
(イ)「バナジウム水」とは、「血糖値を下げる効果があるといわれるバナジウム(V)を多く含む水。『V水』ともいう。富士山の玄武岩層を浸透した伏流水を源泉とする『富士山のバナジウム天然水』や『糖幻水』などがV水として販売されている。いずれも軟水で、糖尿病予防に、お茶や料理に用いて愛飲する人が多い。・・・」(自由国民社発行「現代用語の基礎知識2006」)
2 新聞記事情報における「バナジウム」の文字の掲載例
(ア)「糖尿病の人にとって、・・・大きな手助けとなってくれるのが、富士山のバナジウム水。・・・バナジウムとは微量必須ミネラルのひとつでインシュリンと同様の性質があり、インシュリンの機能をより高め、相乗効果によりインシュリンや血糖降下剤で下がった血糖値をさらに降下させる働きが確認されている。・・・」(2005年4月10日付け、百歳元気新聞「血糖管理は生涯大切、驚きの水不思議の水 リレイト『秘境の命水』」の項)
(イ)「・・・富士山系地下水に含まれる天然バナジウム入りを売り物にしており、日本応用薬理研究会の学術誌『応用薬理』で天然水では初めて中性脂肪、体脂肪、血糖値などの低下が人体実験により認められた。・・・バナジウムはカルシウムやマグネシウムと同じミネラルの一種で、富士山ろくを流れる伏流水に含まれていることがわかった。・・・」(2005年5月11日付け、日刊工業新聞「ファイルいい話/ダイコープランニングー天然ミネラルウオーター」の項)
(ウ)「アサヒ飲料は今年から『富士山のバナジウム天然水』として積極的な展開を開始した。・・・今年は健康的価値が認められてきたバナジウムの含有量が高い特性を生かした新戦略でチャレンジし、・・・既存製品と比較すると5倍の売れ行きと出足好調だ。・・・各メディアで“バナジウム”の健康への有効性が取り上げられ、・・・このバナジウムは大学と共同研究を実施し、その結果、バナジウムを六五マイクログラム含む水を三ヶ月間、継続飲用すると血糖値が正常値になることが分かり、・・・」(2004年6月2日付け、日本食糧新聞「ミネラルウオーター特集:主要各社の戦略=アサヒ飲料」の項)
(エ)「健康志向の高まりの中、ミネラル成分『バナジウム』が脚光を浴びている。糖尿病の改善効果についての研究が進められ、各飲料メーカーが取り扱うミネラルウオーターも、バナジウムの含有をうたった商品名や添え書きが目立っている。・・・」(2006年1月1日付け、静岡新聞朝刊「ミネラルウオーター、健康志向で高まる人気 続々と商品化」の項)
(オ)「◆セールスポイント これまでの調整豆乳が味付けで飲みやすくしていたのに対し、できるだけ混ぜものをなくし、大豆本来の甘みを引き出した。また『バナジウム』を含有する地下水を使用、・・・」(2005年1月29日付け、静岡新聞朝刊「創る−しずおか企業群=海洋深層水入り豆乳−町田食品(富士市)連載物」の項)
(カ)「・・・血糖値を下げる効能があるというバナジウムをふんだんに含む地下水を使った豆腐や豆乳を、新たな売り物にするという。・・・」(2005年4月29日付け、日経流通新聞MJ「食のチャレンジャー(22)美盛−外食向け豆腐製造・販売、料理も提案」の項)
3 インターネットにおける「バナジウム」の文字の掲載例
(ア)「NIKKEI NET いきいき健康 バナジウム」の見出しの下、「[性質]牛乳や卵、そば、豆腐、イワシ、サバなどに含まれている必須の超微量元素です。[体のなかでの働き]・脂質を代謝し、コレステロールの合成を抑制する・・・」(http://health.nikkei.co.jp/navi/data/data_51.cfm)
(イ)「栄養成分用語辞典 バナジウム」の見出しの下、「バナジウムは、脂質の代謝やコレステロールの合成抑制、インスリンに似たはたらきをする超微量元素です。コレステロールの沈着を防ぐので、動脈硬化や心臓発作の防止に有効です。インスリン同様、血糖値を正常化することから、糖尿病の治療にも効果を発揮します。牛乳、そば、豆腐、いわし、さば、卵、わかめ、ほやなどに含まれる成分で、超微量でも必須ミネラルなので、バランスよく摂取するとよいでしょう。」(http://www.sara-rara.com/eiyou/archives/000757.html)
(ウ)「商品のご案内 町田食品グループ こだわりの商品 バナジウムについて」の見出しの下、「・・・1987年にJ.メイヤロビッチらのグループが人工的に高血糖(糖尿病)にした実験ラットに自然界に存在するバナジウムの金属化合物を投与した結果、血糖値上昇を抑制するインスリンと同様の作用が確認されました。また、日本では1990年に京都薬科大学の桜井弘教授らのグループにより、糖尿病ラットに硫酸バナジウムを腹腔内投与、および4価バナジウム錯体を経口投与したところ、いずれも速やかに降糖効果が現れることも実証されました。・・・当社の『バナジウム豆腐 絹・木綿』は、このバナジウムが大量に含まれている富士山の天然伏流水をふんだんに使用して、造られたものです。」(http://www.machida-shokuhin.co.jp/kodawari_banajium.htm)
4 以上の事実によれば、本願商標中の「バナジウム」は、中性脂肪、体脂肪、血糖値を下げる効果等がある元素・食品成分として一般に知られており、これを多量に含むミネラルウォーターが世人の注目を集め、飲用・料理用水として人気を博していることが認められる。
また、本願商標中の「豆腐」は、近年では、バナジウムを多量に含む水を使用して造った豆腐が市場に流通していることが認め得るものである。
してみれば、この両語が一連に結合したにすぎない「バナジウム豆腐」の文字からなる本願商標は、その指定商品「豆腐」との関係からして、原審説示のとおり、単に「バナジウムが含有されている豆腐」を認識させるに止まるものであるから、商品の成分、品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しないものといわざるを得ない。
5 なお、請求人(出願人)は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、そもそも商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの取引の実情などを勘案し、個別具体的に判断すべき性質のものであるところ、前記のとおり本願商標中の「バナジウム」が多数取引されている実情等を勘案すると、本願商標については前記のとおり判断するのが相当であり、また、請求人(出願人)の挙げる登録例は本願商標とはその文字構成を異にするものであるから、同一に論ずることはできない。
6 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であり、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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