Trademark Appeal Case
味覚擬態語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2004−8524(T2004−8524/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「ピリッ」の片仮名文字(標準文字よりなる)を横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成15年7月4日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『ピリッ』の文字を普通に用いられる方法をもって書してなるが、例えば、新聞記事をみるに、『〈レッドホワートルベリー〉は、・・・ベリーのひとつ。ピリッとしたほろ苦さがあり・・・』、『・・・〈レッドペパー&パプリカ チーズ〉は、ピリッとした辛さと・・・』、『「えびせんべい」は、・・・ピリッと辛味のあるせんべい』、『〈フライドチキン〉は、・・・ピリッと効いた黒コショウの風味で、・・・』、『「あけぼの 鮭高菜フレーク」は、・・・ピリッと辛い高菜と・・・』、『・・・ピリッと辛いキーマカレー・・・ピリッとした辛みの効いたスイートチリソース付き』(いずれも日本食糧新聞の記事)との記載があるとおり、「ピリッ」の文字は、食品を取り扱う業界においては、辛みの様子を表すものとして理解されていることから、これを、その指定商品に使用したときは、その商品が辛みのある味である旨の商品の品質を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、該「ピリッ」の文字及び該文字を平仮名で表し、同義語と認められる「ぴりっ」の文字については、各種辞書類によれば、以下の事実が認められる。
1 各種辞書類における「ぴりっ」の記載例
(ア)「ぴりっ」・・・辛みや電流などの刺激を受けた際の感じの形容(昭和四十九年十二月二十日、株式会社角川書店発行「角川 国語中辞典」)。
(イ)「ぴりっ」・・・辛みなどで,一瞬,舌に受ける強い刺激の様子。また,その感じ(昭和53年10月20日、株式会社東京堂出版発行「擬音語・擬態語辞典」)。
(ウ)「ぴりっ」・・・神経が一瞬つままれるような強い刺激を受ける様子。特に、舌や喉が辛味で刺激される時などに使う(2003年12月25日、株式会社講談社発行「暮らしのことば 擬音・擬態語辞典」)。
(エ)「13 辛い(味)」の見出しの下、その類語として、「ぴりっ ぴりっと ぴりっとする」(2003年11月10日、株式会社大修館発行「日本語大シソーラス−類語検索大辞典」)
また、近年、本願指定商品「菓子及びパン」の分野においては、需要者の嗜好の多様化により、様々な味の商品が販売されているところであり、例えば、「スナック菓子」などに、チリソース等を添加し、「激辛商品」として販売されている事実も存するところである。
そして、上記商品については、「辛みのある味」を表現することばとして、「ピリッ」または「ぴりっ」の文字が多数使用されており、このことは、以下のとおり、新聞及びインターネットにおいて、その記載例を認めることができる。
2 新聞における「ピリッ」の記載例
(ア)「人気ラーメン、スナックに、グロービートジャパン(新製品)」の見出しの下、「トウガラシを加えており、ピリッとした辛みが食欲をそそる」(2005年9月30日、日経流通新聞MJ27頁)
(イ)「[食在東京]後藤の飴 洋菓子ヒントに新たな味」の見出しの下、「ピリッとしたニッキの辛みが、梅雨のうっとうしさを吹き飛ばしてくれた」(2004年7月1日、読売新聞東京朝刊34頁)
(ウ)「『ポテトチップス 明太子マヨネーズ』発売(カルビー)」の見出しの下、「ピリッとした辛さにマヨネーズを加えて・・・」(2003年7月28日、日本食糧新聞)
3 インターネットにおける「ピリッ」の表示例
(ア)「素材菓子sozai−kashi」の見出しの下、「■こんにゃくドライチップ ピリ辛ジャーキー味 あらびきペッパーがピリッと辛い」(http://www.sozai-kashi.net/lineup/k_02.html)
(イ)「あられ・かきもち」の見出しの下、「唐辛子がピリッときいたおかき ピリ辛笹舟」(http://www.hyoubandou.com/shouhin.htm)
(ウ)「ぐるなび レシピ」の見出しの下、「ピリ辛レンコン エビパン サク・コリッ・ピリッと色々楽しめる」(http://recipe.gnavi.co.jp/recipe/2712.html)
4 以上の記載事実によれば、本願商標の「ピリッ」の文字は、「辛みによる刺激」の如き意味を認識させるものであり、本願指定商品との関係では、「商品が辛みのある味」の意味を認識させるに止まるものであって、自他商品の識別力を有しないものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標を、その指定商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。
なお、請求人(出願人)は、「(1)『広辞苑第五版』に『ぴりっ』の項目は存在せず、『ぴりっと』の語として『薄手の材質の紙や布などが勢いよく裂ける音、また、そのさま』、『辛みや弱い電流を感ずるさま』、『体がひきしまるさま』等が記載されている。(2)『ピリッ』の文字単独では指定商品の品質を特定することができず、『ピリッとした』または『ピリッと』と表示した場合、もしくはこれらに『辛み』や『ほろ苦さ』または『(効いた)黒コショウの風味』等のさまざまな名詞が続くことで品質が特定できる。(3)過去の商標登録例を挙げ、本願商標は登録されるべきである。」旨、主張している。
しかしながら、「ぴりっ」の文字が「角川国語中辞典」、「暮らしのことば 擬音・擬態語辞典」等に記載され、本願商標「ピリッ」の文字もこれと同義語と認められること前述のとおりであるから、単に「広辞苑」に掲載されていないことのみを理由とする請求人の主張は採用できない。
また、本願指定商品「菓子及びパン」との関係においては、「ピリッ」の文字に接する取引者・需要者が、「薄手の材質の紙や布などが勢いよく裂ける音、また、そのさま」、「弱い電流を感ずるさま」、「体がひきしまるさま」等を直ちに想起するものとはいえず、むしろ、「辛みのある味」を想起させるものとみるのが相当である。
さらに、請求人(出願人)は、「ピリッ」の文字の後に名詞が続くことによってのみ、「辛みのある味」を表す旨主張するが、必ずしも該文字が後ろに名詞を伴わなくとも、該文字単独で上記意味合いを看取し得るものと判断するのが相当であり、また、請求人(出願人)の挙げる登録例は本願商標とその構成が同一のものとはいい難いから、上記請求人(出願人)の主張はいずれも採用することができない。
5 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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