結論テキスト
審判費用は,請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2005−89048(T2005−89048/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4782929号商標(以下「本件商標」という。)は,「撃マン」の文字を標準文字で書してなり,平成15年11月17日に登録出願,第30類「菓子」を指定商品として,平成16年7月2日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4811852号商標(以下「引用商標」という。)は,「撃(げき)」の文字を横書きしてなり,平成15年9月18日に登録出願,第30類「菓子及びパン」を指定商品として,平成16年10月22日に設定登録されたものである。
請求人は,「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は,引用商標を含む類似の商標であり,その指定商品も共通するものであるから,本件商標をその指定商品について使用するときは,商品の出所の混同をひき起こすほか,請求人の販売活動も阻害されるおそれがある。
したがって,請求人は,本件審判を請求することについて,法律上の利益を有する者である。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「撃」と「マン」の結合よりなるものであり,これらが結合されることによって,新しい意味の造語や熟語をつくらないものである。また,本件商標中,語頭に位置する「撃」の文字部分は,看者の印象に強く残るものであるのに対し,「マン」の文字部分は,「饅頭」の普通名称やその略称である(甲第6,8,9号証)。
したがって,本件商標中の自他商品の識別標識としての機能を発揮するのは,「撃」の文字部分である。
そして,本件商標中の要部である「撃」は,引用商標と同一であるから,両商標は,外観及び観念上類似するばかりでなく,本件商標中の「撃」より生ずる「ゲキ」の称呼は,引用商標と同一である。
また,引用商標は,これを「饅頭」について使用した場合は,「撃マン」と観念され,これより「ゲキマン」の称呼が生ずるものであり,この場合,本件商標は,引用商標と外観,観念及び称呼の面で一致するものである。
さらに,本件商標と引用商標の指定商品は,「菓子」において共通するものである。
してみれば,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,請求人の業務に係る「饅頭」に使用されるものであって,該饅頭は,自衛隊駐とん地(全国400余箇所)でしか販売されていない商品として,請求人により平成15年3月より継続的して2年余にわたり販売されている。
また,引用商標を使用した饅頭(以下「請求人商品」という。)は,フジテレビ系で放映された番組「トリビアの泉」で取り上げられ,自衛隊でしか買えない饅頭として紹介されたことなどから,引用商標に請求人の信用が蓄積されつつあることも,裏付けられている(甲第4号証)。
さらに,請求人商品は,観光客,自衛隊員の間で「撃まん」と呼ばれて親しまれるようになっている(甲第5号証の枠取り部分)。
一方,被請求人は,請求人商品の製造委託業者である。
したがって,被請求人は,上記事情を熟知していながら,引用商標に蓄積された請求人の信用にフリーライドするために,本件商標を登録出願したものである。
してみると,本件商標は,他人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある商標というべきであるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は,その構成から直ちに「撃という饅頭」,「撃の饅頭」という観念が生じ,特に,「撃」と分離して認識できる「マン」は,直ちに饅頭やその皮をそのまま表しているにすぎない。
したがって,本件商標は,これを「饅頭」以外の菓子に使用したときは,菓子の品質の誤認を与えるおそれがあるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。
(1)請求の利益について
請求人が引用商標を採択したものであるとことは,請求人と被請求人との間における不正競争行為差止等請求事件(平成16年(ワ)第3173号:甲第4号証)で,被請求人も認めている。したがって,被請求人の請求の利益についての主張は虚偽である。
(2)商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第16号について
本件商標は,被請求人の業務に係る商品「饅頭」について使用されるものである(甲第5号証の1ないし3)から,その構成中の「マン」の文字部分が「人名」や「人」などを表したと理解されることはなく,「饅頭」と理解される。
したがって,本件商標中の要部は,「撃」の文字部分であるから,本件商標は,引用商標と類似の商標であり,また,商品の品質の誤認を生じさせるものである。
また,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものであることは,上記不正競争行為差止等請求事件において判示されている。
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第16号に違反してされたものであるから,同法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べた。
引用商標は,被請求人が創作したものであり,請求人には引用商標の登録を受ける資格はない。また,不正競争行為を行ったのは,被請求人ではなく請求人である。
したがって,請求人には訴えの利益はない。
(1)請求人は,本件商標中の「マン」について,饅頭を表す語であると主張するが,その主張は誤りである。
「マン」の語について,広辞苑(甲第6号証)には,ドイツの作家の人名と記載され,また,日本国語大辞典(甲第9号証)には,「人。男。多く,『銀行マン』『鉄道マン』『宣伝マン』など,他の語につけてその方面の仕事をする人の意で用いられる。」とあり,その他,イギリスの経済学者,ドイツの小説家,評論家の人名と記載されている。
このように,本件商標中の「マン」は,一義的に饅頭を指すものではなく,むしろ,一般の消費者であれば,英語の「man」を想起するのが通常であり,「人」や「男」を指すものとして認識するのが通常である。
また,本件商標を構成する文字は,同じ大きさの標準文字からなっており,同じ間隔で書されている。このような本件商標の態様からすると,これに接する消費者は,全体として「ゲキマン」と呼称するのが通常であり,全体として「撃つ人」「撃つ男」という観念を生ずるのが通常である。
以上のように,本件商標は,構成する全体の文字に一体性があり,全体から一定の外観,称呼,観念が生ずるものであるから,その一部を分離ないし抽出することは不自然である。
(2)そうすると,本件商標から生ずる「ゲキマン」の称呼と引用商標から生ずる「ゲキ」の称呼は,明らかに異なるものである。
また,本件商標を構成する「撃マン」と引用商標を構成する「撃(げき)」は,外観上も異なるものである。
さらに,本件商標は,全体として,「撃つ人」「撃つ男」の観念を生ずるのに対し,引用商標は,「撃つ」という観念が生ずるから,両商標は観念上も異なるものである。
以上より,本件商標と引用商標は,称呼,外観及び観念のいずれにおいても異なるものである。
上述したとおり,「撃」の文字よりなる商標は,被請求人が考案したものであるから,被請求人の信用にフリーライドしたのは請求人である。「撃」を使用した「自衛隊オリジナル饅頭」は,被請求人の商品であり,商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品」には当たらない。
上述したとおり,本件商標中の「マン」の部分からは,「人」や「男」といった観念が生じるのが通常であり,請求人が主張するような「饅頭」という観念が直ちに生ずるものではない。
したがって,本件商標を「饅頭」以外の指定商品に使用しても品質の誤認を生ずるものではない。
以上より,本件商標に登録無効の理由は,存在しない。
本件審判の請求の理由によれば,請求人は,本件商標は引用商標と商標において類似するものであって,その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であり,本件商標を使用した商品と引用商標を使用した商品との間に出所について混同を生ずるおそれがあるから,本件商標の登録が存続することにより,請求人が法律上の不利益を受けるおそれがあると主張しているものと認められる。
そうすると,請求人は,本件審判を請求するについて法律上の利益を有する者といわなければならない。
(1)本件商標
本件商標は,前記第1のとおり,「撃マン」の文字を書してなるものであるところ,その構成中の「マン」の文字部分は,片仮名で表記されているところから,これより直ちに「饅頭」及びその略語を表したものと理解されることはないというのが相当である。そして,本件商標を構成する文字全体が外観上簡潔な構成よりなり,かつ,これより生ずると認められる「ゲキマン」の称呼も一気に称呼され得るものである。
そうすると,本件商標は,構成する各文字の一体不可分性は強いものといえるから,これを「撃」と「マン」とに分離し,「撃」の文字部分のみを抽出して,称呼,観念されると見るべきではなく,構成全体をもって,特定の観念を有しない造語を表したと認識されるというべきである。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して,「ゲキマン」の一連の称呼のみを生ずる造語よりなるものといわなければならない。
(2)引用商標
引用商標は,前記第2のとおり,「撃(げき)」の文字を書してなるものであるから,これより「ゲキ」の称呼を生ずるものであり,「強くうつ,武力をもって攻める」などの意味を有する(甲第10号証)ものである。
(3)本件商標と引用商標との比較
本件商標より生ずる「ゲキマン」の称呼と引用商標より生ずる「ゲキ」の称呼は,後半部において「マン」の音の有無の差異を有するものであるから,該差異音が比較的短い両称呼全体に及ぼす影響は大きく,それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても,明瞭に聴別し得るものである。
また,本件商標は,前記認定のとおり,造語よりなるものであるから,観念上,引用商標とは比較することはできない。
さらに,本件商標と引用商標は,それぞれ前記した構成より見て,外観上十分に区別し得るものである。
したがって,本件商標と引用商標は,その称呼,観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
商標法第4条第1項第15号でいう「混同を生ずるおそれ」の有無は,「当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきものである。」(最高裁判所平成10年(行ヒ)第85号,平成12年7月11日第三小法廷判決)
そうすると,本件商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というためには,少なくとも,引用商標が請求人の業務に係る商品「饅頭」を表示するものとして,本件商標の登録出願時において,需要者の間に広く認識されるに至っていたことが不可欠であるといわなければならないところ,請求人は,引用商標の著名性を立証する証拠として,甲第5号証を提出するのみであり,これとても,その発行日は,2003年(平成15年)11月7日であり,本件商標の登録出願日(平成15年11月17日)のわずか10日前に発行されたものである。のみならず,甲第5号証からは,「撃」の商標を使用した饅頭の主体が明らかではない。
してみれば,引用商標は,請求人の業務に係る商品「饅頭」を表示するものとして,本件商標の登録出願時に,需要者の間に広く認識されていたものとは,到底認めることができないのみならず,前記2で認定したとおり,本件商標と引用商標とは,商標それ自体非類似の商標というべきであるから,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,請求人又は請求人と営業上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
前記2で認定したとおり,本件商標は,その構成中の「マン」の文字部分が「饅頭」ないしその略語を表すものではなく,構成全体をもって,造語を表したものと理解されるというのが相当であるから,これをいずれの指定商品について使用しても,商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当するものではない。
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第16号に違反してされたものではないから,同法第46条第1項の規定により,無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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