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Trademark Appeal Case

役務の類否判断の論点

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2004−7893(T2004−7893/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「PAS」の文字を標準文字で表してなり、第38類「電気通信(放送を除く。)」及び第39類「無線又は有線による通信を利用した位置情報の提供」を指定役務として、平成15年3月11日に登録出願され、その後、第39類に属する指定役務については、平成15年10月28日付けの手続補正書で補正され、さらに、平成16年2月27日付けの手続補正書で「道路上その他の陸上の所在位置に関する情報の提供,鉄道路上の列車等の所在位置に関する情報の提供,水路上の船舶等の所在位置に関する情報の提供,空路上の飛行機等の所在位置に関する情報の提供」に補正されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4150277号商標(以下「引用商標」という。)は、「PAS」の文字を横書きしてなり、平成5年9月29日に登録出願、第39類「車両による輸送,船舶による輸送,貨物の輸送の媒介,主催旅行の実施,旅行(宿泊に関するものを除く。)の企画,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,駐車場・駐輪場の提供,自転車の貸与,二輪自動車の貸与,自動車の貸与,船舶の貸与」を指定役務として、平成10年5月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)

出願人は、本願指定役務中の「水路上の船舶等の所在位置に関する情報の提供」と引用商標に係る指定役務中の「船舶による輸送」は、非類似の役務である旨述べるが、第39類「船舶による輸送」の役務においては、例えば、地球低軌道に打ち上げられた複数の人工衛星から発信される電波を受信し、現在位置の経緯度や高度を測定する、GPS(global positioning system)を利用し、輸送に係る貨物を積載した船舶の現在位置を情報提供する等の実情があるところからすれば、上記「水路上の船舶等の所在位置に関する情報の提供」は、第39類「船舶による輸送」に関する情報の提供の一環であるといわざるを得ない。

したがって、本願商標と引用商標は、同一又は類似する商標であって、かつ、これらの指定役務も同一又は類似の役務と認められる。

4 当審の判断

(1)本願商標に係る指定役務中の「水路上の船舶等の所在位置に関する情報の提供」と引用商標に係る指定役務中の「船舶による輸送」との類否について検討する。

平成15年10月28日付け意見書によれば、本願商標に係る指定役務中、第39類に属する役務は、地上の人間・自動車等、海上の船舶等及び空中の航空機等に対して、GPS(Global Positioning System:全地球無線測位システム)などの測位情報通信網を用いて、その所在位置を確認し、その情報を提供する役務であり、該役務は、人間その他の移動体のナビゲーション・車輌の運行管理・測量・水道等のライフライン管理等の用途に使用されるものであることが認められる。

また、2005年12月22日付け日本経済新聞(朝刊、9頁)には、「ガリレオ計画、EU、独自GPSへ一歩、試験衛星28日打ち上げ。」の見出しのもと、「GPS 人工衛星から発信される電波信号で地上の正確な位置をとらえるシステム。船舶や航空機の位置測定、カーナビゲーションなどに使われる。最近は通学時の児童の安全を守る防犯システムにも利用されるようになった。精度が上がれば、高速道路などで車が何番目の車線を走っているかまで細かく把握できるようになる。音声や映像を配信する事業者が情報を移動中の携帯端末に途中で途切れることなく正確に送るなどのサービス向上にもつながる。」との記事が掲載された。

さらに、平成16年7月30日に提出された甲第1号証ないし甲第5号証によれば、GPSなどの測位情報通信網を用いて、自動車や船舶等の所在位置を確認し、その情報を提供する事業者の多くは、情報通信に関連する者であることが認められる。

これに対し、引用商標に係る指定役務中の「船舶による輸送」は、「他人の需要に応じ、海洋、沿海、港湾、河川、湖沼において船舶により旅客又は貨物の輸送を行う役務」(「商品及び役務区分解説」1996年12月25日改訂3版発行)であり、主として、船舶運送業者によって提供される役務である。

してみると、「水路上の船舶等の所在位置に関する情報の提供」と「船舶による輸送」は、提供する事業者において大きく異なるばかりでなく、前者の主たる需要者は、船舶の航行に従事する運送業者や漁業関係者、あるいは、海上保安庁などの公的機関等と考えられるのに対し、後者の主たる需要者は、一般の需要者や商品などの製造・販売業者等と考えられるから、その需要者においても異なるものといわなければならない。

さらに、「水路上の船舶等の所在位置に関する情報の提供」と「船舶による輸送」は、提供の手段・目的、提供の用に供する物、提供する事業者を規制する法律(船舶による輸送は、海上運送法等によって規制されている。)等においても著しい差異を有するものである。

そうであるならば、本願商標に係る指定役務中の「水路上の船舶等の所在位置に関する情報の提供」と引用商標に係る指定役務中の「船舶による輸送」は、非類似の役務というのが相当であるから、これらの役務について、同一又は類似の商標を使用した場合においても、役務の出所について誤認、混同を生ずるおそれはないとうべきである。

(2)以上のとおりであるから、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとした原査定の拒絶の理由は妥当でなく、原査定は、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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